• 人生相談 29 部活を挫折するか

     <質問>
     
    私は大学で茶道部に所属しています。
    今ちょうど1年たった所です。
    お点前の所作はある程度はできるようになったつもりです。
     
    ですが、先日、部は卒業した先輩から
    私のお点前は個性がなく、品がないというようなことを言われました。
     
    本当のことを言われて、今までその事を見透かされていたと思うと
    もうお点前をする自信もないし、部活に行く勇気もありません。
     
    その時のお点前は気が散漫していて、
    特に私は人からどう見られているのか過剰に意識してしまう癖があります。
    これだけではなく、私には慇懃無礼な雰囲気が少なからずでていたと思います。
     
    茶道をするうえであるまじきことです。
    こんな気持ちでは茶道をする資格はないです。
    かといって、こんな私の性格をすぐに変えれる自信もありません。
     
    こんな気持ちではやめるべきですが、私達の代は部員が非常に少なく、
    先輩になった時今の人数でも部の運営が大変です。
    しかし、こんな気持ちで部にいる方が迷惑だと分かっています。
     
    どうしたらいいのか、分かりません。
    先輩方も同年代の友達も本当に優しい人ばかりです。
    でも自分が恥ずかし過ぎてもう顔を合わせられません。
     
    少しでもいいのでアドバイスよろしくお願いします。
     
     
     <回答>
     
    ほっほっほっほ
     
    たわけもの!!!
     
    おめえは何のために茶道の道を進むのだ?
    あの、誰も言わんけど実はクソ不味い抹茶を飲むためか?
    それとも、その罰ゲームのご褒美の和菓子狙いか?
     
    違うだろ!
    心を無にして己と向き合い、礼儀作法に則ったもてなしの心を
    ひいては、人に対する思いやりを学ぶためだろ!
     
    立派な心の者が茶道をするのではない。
    立派な心になるために、茶道をするのじゃ。
    私の事を “利休さま” と呼んでも構わんのだぞ?
     
     
    私の答は、もう上の数行に集約されているけど
    いや、利休呼ばわりはされたくないけど
    ひとつ感心している事があるんだよ。
    それは、おめえが結構なキレイな心の持ち主だという事。
     
    “個性も品もない” って、人に向かって、よお言うよ
    という事を言われているのに、それを受け止めて認めて恥じる。
    何? おめえ、女神さまか何か?
     
    私には、それぐらいおめえが美しく見えるがな。
    お世辞でもイヤミでもなく、純粋に。
     
     
    ただ、ひとつ欠点もあって
    それは 「性格をすぐに変えれる自信もありません」
    と言いつつ、自分が結論を急いでいる事。
     
    私がおめえぐらいの歳には、自分の事も人の事も見えてなかったぞ。
    服とか靴とかに血道を上げるバカ女だった。
     
    おめえはさ、その時代の私を遥かに抜いてるわけだよ。
    だから誇って良いと思うぞ。
    (比べる対象がやたらレベルが低いのは置いといて。
     うるせえ! 余計なお世話だ!)
     
     
    どの道も、技を磨くものではなく己を磨くものだとしたら
    未熟な者ほど、続けていくべきじゃないのかな。
     
    だから辞めるべきではない。
    ゆっくりコツコツと積み重ねていけば良いんだよ
    それも、一生をかけて成し遂げるつもりで。
     
     
    それでも辞めたいのなら、おめえは深く傷付いてるんだよ。
    先輩の言い草にな。
     
    傷付いた自分を認めたくないから
    受け入れて反省をしてる、と無理に大人の態度を取って
    逃げようとしてるんじゃないのか?
     
    特にその容赦ない評価が、図星を指されているんなら
    ええっ、皆、私の事を今までそう思ってたわけ?
    とか不信感を持つし、自己嫌悪には陥るしで
    部にいたくなくなる気持ちも、よくわかるよ。
     
     
    だけど皆、良い人なんだろ?
    たまたまヘンな言われ方をしただけで
    そんな、陰で笑うようなヤツらじゃないんだろ?
     
    だったら、「ごめんなさい、頑張ります」
    と自分をさらけだして、部に戻れる道も開けているはず。
     
    感情を取っ払って、客観的に冷静に考えてみい
    おめえは部の仲間たちをどう判断する?
     
     
    ここは、付いた傷を乗り越えるか
    茶道を挫折した自分を乗り越えるか、の二択だ。
    しかも乗り越えるかどうかは、おめえ次第だ。
     
    乗り越えても、挫折をしても
    どっちも、将来的に絶対に何かを得られるから
    好きな方を選んで良いと思うぞ。
     
     
    にしても、茶ぁをかき混ぜて回し飲みするのに
    個性とかが出るんか?
     
    私がやったら何と言われるんだろう?
    「暴力は止めてください!」 か?
     
     
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     
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    相談内容に沿った、ご自分の意見、経験を教えてください。
     
    貰った意見をどう解釈して取り入れるかは
    相談者が勝手に決めて良い事なので、意見を書く人は
    相談者に一方通行の贈り物をするつもりでお願いします。
     
    相談者には相談者の個性や性格があるので
    願ったものとは違う答を出しても
    助言がムダになったわけではないのです。
     
    相談者が意見募集を締めた後も
    似たような状況の人も関係ない人も、何かの参考になって
    皆が何かを得る事ができたら良いな、と願っておりますので
    いつでも経験談などの意見を書いてくだされば、ありがたいです。

  • 黒雪伝説・湯煙情緒 4

    「王子さま・・・。」
    廊下を歩く王子に、執事がスッと近寄る。
    「王さまのご機嫌が少々お悪いようです。
     お気をつけください。」
     
    「そこの調節を、何とか頼む。」
    「はい、やってはみますが、難しいと思います。」
    「王というものは、能のあるなしに関わらず
     気位だけは高いからな・・・。」
    溜め息を付く王子。
     
    「わかった。 何とかしよう。
     私たちが城を空ける時はおまえは残ってくれ。
     この3人の内のひとりは、必ず城にいるようにしよう。」
    「御意。」
    執事は黒雪に頭を下げ、去って行った。
     
     
    「あの執事も妖精王に許してもらったのね。」
    「はい。
     じいは私が生まれた時から側にいてくれた唯一の者です。
     一緒に来る事ができて、本当に助かりました。
     ・・・しかし逆にその厚意が不安なのですよね・・・。」
    「どういう意味?」
     
    「謀反人の息子に、この温情は過剰ではないですか?
     それとも、私が腹心をも必要とするほど
     この国の復活劇は大変なのでしょうか?」
     
    「うーん、そう言われてみれば、手取り足取りよねえ。」
    「何か違いますよね? その言い回し。」
    「えーと、板れり突くせり?」
    「ははは。」
     
     
    王子は黒雪の肩を抱き寄せた。
    この人がいてくれて本当に良かった、と心から思えた。
     
    ひとりだったら、この寒い土地で国の復興など無理だっただろう。
    いや、あの時のこの人の涙がなかったら
    母の償いをしようなど、思いもしなかったであろう。
    この人は、私に心を持たせてくれた。
     
     
    王子は、黒雪に口付けをした。
    途端、足を思いっきり蹴られた。
     
    「うっっっ!!!」
    足先を押さえてうずくまる王子。
     
    「あ、ごめんごめん。
     でも歩きながら他の事をすると
     ほぼ八割方、痛い目に遭うわよ。」
     
     
    「・・・・・・・・・・・」
    王子は涙目で黒雪を見上げた。
    黒雪はヘラヘラと笑っていた。
     
    「・・・このぐらいの痛み、あなたは平気でしょうけどね・・・。」
    「それどころか、自分の傷自慢に発展するけどね。」
    「これだから肉体派は・・・。」
     
    王子がブツブツ言いながらも、痛がってるので
    黒雪が王子を抱きかかえた。
    「ちょっと! 止めてください!!」
     
    「部屋まで連れてってあげるわよ、痛いでしょ?」
    「お願いですから、お姫さま抱っこだけは
     私から奪わないでくださいーーーーー。」
     
     
    王子の号泣に黒雪は動揺し、慌てて床におろした。
    「あなたには男のプライドなんかわからないんですっ!」
     
    廊下に座り込んで、しかも女座りで泣き喚いている時点で
    男の沽券は台無しじゃないだろうか?
     
     
    とは言えないので、黒雪は王子の横にしゃがんで
    ごめんね、と背中を撫ぜながら謝った。
     
    王子と妃なのに、何をやっとんのか
    ほら、家臣たちが遠巻きに見てるぞ。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪伝説・湯煙情緒 3 11.3.29
           黒雪伝説・湯煙情緒 5 11.4.4
           
           
           黒雪伝説・湯煙情緒 1 11.3.23  
           
           小説・目次   

  • 血統書

    おとといの犬の話 狡猾な愛すべき犬というヤツら 11.3.28
    を書いたついでに思い出した知識、
    犬を買うと付いてくる血統書ネタを披露しよう。
     
     
    “血統書”
    普通の家庭で飼うなら、これほどいらないものはない、と思う。
    ただ自分ちの犬の親の名前などやっぱり見てみたい、それだけ。
     
    犬はすんげえ長い名前を持っている。
    これはブリーダーが自由に付けられるらしいんだが
    各ブリーダーの個性が出てて、それを見るだけでも面白い。
     
     
    飼ってたアフガンハウンドの正式名は、和訳すると
    「アフガニスタン上空にある幻の都の騎士」 みたいな名前で
    この粗暴な犬に、えらくメルヘンで思わず笑ってしまった。
     
    ゴールデン・レトリーバーに至っては
    「緑ヶ丘の地獄の一丁目」 だ。
    一体何の呪いが掛かっているのか、あんまりな命名である。
     
    名は英語偏差値が40台の私の訳なので、真に受けないでもらいたいが
    とにかく、犬の正式名は長ったらしい。
     
     
    血統書には、(記憶が薄れているが)
    確か、3代前ぐらいまでの親兄弟の名が書かれている。
    これも怪しい記憶だが、裏面には親族の受賞歴も書いてある。
     
    血統書にお金を取る販売者もいるけど
    こんだけ細々書かにゃならん上に
    手続きは多分、犬寝るクラブから用紙購入や承認を貰うだろうから
    金のいっちょも取りたくなる面倒くささだろうな、とも思う。
     
     
    しかし犬の血統書ほど、質実共にアテにならないものもない。
    まず、偽造が簡単。
    この詳しい方法は、正直に言うがきれいさっぱり忘れた。
    いや、ところどころ覚えているけど
    あまりにあいまいな事を書くと、関係者方面に迷惑が掛かるので自粛。
     
    次に、親族の受賞歴。
    うちのアフガンの親族は、受賞歴がてんこ盛りで
    パッと見、えれえなエリート血族のように思えるけど
    犬のショーなど、毎日どこかで行われているわけで
    どんなにショボいショーでも1度受賞したら、血統書に書けるのである。
     
    よーーーくよーーーく確認して
    有名な大きな大会で何度も受賞している親族がいたら
    ・・・その親族が凄い、ってだけである。
    自分ちの犬、まるで関係なし。 とほほ
     
    最後に、チャンピオン同士を掛け合わせて産まれた子犬は
    単純に 「血統が良い」 という事が言えるのだが
    その才能を受け継ぐ (優れた素質がある) のは
    数匹産まれる子犬の中でも、1匹いれば良い方らしい。
    ブリーダー曰く、大抵の子犬は結構な台無しっぽい。
     
     
    ちなみに、うちの場合は、ゴールデンより
    あのヘル・ドッグ、アフガンの方が血筋が良かった。
     
    あんな美しい犬、アフガンハウンドを飼う人は
    そりゃショーのいっちょにも出したいだろうから
    この血統書の親族の受賞歴の数々も、不思議はない事だが
    それにしても、うちのアフガンは外れ中の大外れだったんだな・・・
    と、とても虚しくもなるわけさ。
     
     
    でも犬を、“商業的価値” で見ると
    優秀な遺伝子を持ち、訓練士やハンドラーに鍛えられて
    名のあるショーでチャンピオンになるのが、頂点なのだ。
     
    ドッグショーは、犬種の型の維持には欠かせないもので
    サカリのままにやりたい放題な動物を
    ここまできっちり、型の維持が出来ているのは
    ひとえにドッグショーのお陰だと思う。
     
    利益や名誉が絡まんと、多くの人が必死にはならんのだから
    犬の世界は良い方法を見つけたものだ、と思う。
     
    な? 血統書、一般家庭ではいらんだろ?
    あれは保証書みたいなもんで、真に効力を発揮するのは
    ショー用ドッグの種付けや、仔犬の売買の価格設定の時なのである。
    でも、見てると楽しいのは確か。
     
     
    ちなみに、犬の外見の基準を設定している “スタンダード” だが
    誰が決めたんかは知らない。
     
    定義をしているのは、えーとインターナショナルドッグ何たら?
    とにかく世界基準なわけだが
    俺様主義のルール押し付けで、勝手な事をする国もある。
     
    そういう国と言われて思い出すのは、真っ先に某米国だが
    大正解!
     
    その国で言われている秋田犬は、秋田犬ではない。
    写真を見てみい、全然違うぞ。
     
    某米人、何を騙されとんのんじゃ、と思ったが
    歴史を調べてみると、闘犬目的での調子こいた繁殖によって
    古来種が崩れた頃の秋田犬を、自国に持ち帰って広めたらしい。
    時期が悪かったんだな。
     
    だけどこの国、何でも “米ン” と付ければ許されるとばかりに
    他の犬種でもこういう事をやってるんで
    純血種の保存、という点では擁護はしたくない。
     
     
    秋田犬の保存会の人が怒っている、というニュースを聞いたので
    ハリウッド版ハチ公が、どんな犬を使うのか心配していたけど
    無事に秋田犬を使ってたようで、安心したよ。
     
    “HACHI 約束の犬” は
    しっかり保存版に録画してるけど、まだ観ていない。
     
    だって、あんな切ない話はねえぞ!
    “ハチ公物語” だって、永久保存版にしてるけど
    画面が映った途端、号泣だよー。
     
    私、血も涙もない鬼畜だけど、犬の話は弱いんだ。
    うっ・・・、思い出しただけで泣けてきた。
    やべえ、もうこの話、終わり。
     
     
     携帯用→
     
     携帯用→

  • 黒雪伝説・湯煙情緒 3

    待望の春がそこまでやってきていた。
    黒雪は、大臣たちを集めて会議を開いた。
     
    「道路建設は東国側の協力もあって、今年中には目途が立つでしょう。
     次の策は、荒野に冬季用の城と街を作る事です。
     今のこの城の場所は、雪に埋もれてしまいます。
     その間、すべてが停滞してしまうのです。
     それでは国力を伸ばせません。
     しかし国土の形状を考えると、この場所に本拠地が必要です。
     よって、ここは春夏秋用として、冬場のみ閉鎖にしましょう。」
     
    大臣たちが、うなずきながらも反論する。
    「それは我々も考えておりました。
     しかし実現には莫大な費用が掛かります。」
     
    「工事には、東国の職人も入れましょう。
     東国にとっては雇用の促進になるので
     私の父にもいくばくか用立ててくれるよう、交渉します。」
     
    会場は小さく歓声が上がった。
    大国と繋がりができるというのは、こんなにもメリットがあるのか
    驚きとともに、閉鎖的だった時代を悔やんだ。
     
     
    「だけどそれだけでは、工事費用はまかなえません。
     そこで私は別動で、資源を探してみます。」
    「資源?」
     
    「ええ。 この広い大地には、絶対に地下資源が眠っているはずです。
     学者たちにも協力してもらって、それらを探します。」
    「その資金はどうするんですか?」
    「私の持参金を使います。」
     
    「ちょっと待ちなさい。」
    口を挟んだのは王であった。
    「そなたの持参金は、国庫に入った。
     もう使い道は決まっておる。」
     
     
    「城の者の衣服や装飾品等ですね?」
    王子が書類を手に立ち上がった。
     
    「申し訳ありませんが、しばらく皆辛抱してください。
     他国に助けてもらいながら、贅沢な暮らしをしようなど
     失礼というものですよ。」
     
    王が明らかにムッとしている。
    「あ、じゃあ、捜索は私と少人数でいたしますわ。」
    黒雪が手を上げた。
     
    「あと、私のドレスは作らないでくださいね。
     もう充分に持っておりますし、正直似合いませんしね。」
    あはは、と笑う黒雪に、会場がなごむ。
     
     
    「大国の姫など、どんな鼻持ちならないお姫さまかと思っていたら
     気さくな良いお方ではないか。」
    「ああ、さすがうちの自慢の王子様がお選びになっただけある。」
     
    大臣たちが喜んでいる中、王だけがムッツリとしていた。
    王子と王子の妃が、どんどん物事を決めていくのが気に入らないようだ。
     
    これが “老害” というやつか。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪伝説・湯煙情緒 2 11.3.25
           黒雪伝説・湯煙情緒 4 11.3.31
           
           黒雪伝説・湯煙情緒 1 11.3.23  
           
           小説・目次 

  • 狡猾な愛すべき犬というヤツら

    近所の公園に時々、犬を訓練するジジイが出没するようになった。
    犬種はあえて伏せよう。
    こんな訓練をするジジイなど、関西でも6人ぐらいしかいないだろうから
    「わしの事か?」 と気付かれたくない。
    ついでにジジイじゃなくて、ババアかも知れんぞ
    とか、ブラフをかけて目くらましもしとこう。
     
     
    ジジイの訓練は、実にわかりにくい。
    “お座り” をかけて、“待て” をかける。
    そしてヨタヨタとある程度離れた位置まで、ジジイが移動するのを
    犬も見ている私も、ジリジリしながら待つのも構わん。
     
    だが、“よし、来い!” で、一気に駆け出す犬に
    いきなり “お座り” をかけるのは、いかがなものか。
    ジジイ・・・、そこは “止まれ” の後に “お座り” だろうー。
     
    ジジイが 「お座り! お座り!」 と叫ぶのに
    犬、むっちゃくちゃ、ひるみながらも
    ノンストップでジジイの元に走り寄る。
     
    そこでジジイ、何と 「よしよし」 と犬を褒めるんだよ。
    こらっ! 言われた事をしてないのに褒めたらいかん!
     
    しかも、犬をしきりに犬を撫で回した後に
    ズボンのポケットから、ビーフジャーキーを出して与えている。
    こら!!!!!!!!!!!
     
     
    私は、犬の訓練に食い物のご褒美をやらない主義である。
    何故ならば、カロリーの差し引きが難しくなる。
    “訓練太り” など、シャレにならん。
     
    そして、犬が私の命令を聞くのは
    “ご褒美のためではなく、この人がご主人様だから”
    という意識を持ってもらうためである。
     
    ご主人様の言う事は、いついかなる時でも絶対。
    納得しようがしまいが、命令が下ったら聞くのみ。
    ご主人様は、何かあったら守ってくれるから。
     
    という中世ヨーロッパの地主のような心構えで
    私は犬に接さざるを得なかった。
    あの、地獄の噛み犬、アフガンドハウンドに。
     
     
    アフガンハウンドの支配者になってわかったのだが
    バカだバカだと思っていた犬が、こんなに頭が良いとは!
     
    私の “目を盗む” という事を、きっちりしやがる。
    私がいない時に、陰でコソコソ悪さをする。
    バレそうだと判断したら、気付かれる前に逃げる。
    正直、高校時代の私レベルの知能があると思う。
     
     
    ・・・何か、えらい情けない事を言うとるが
    私は天才だけど、苦手なジャンルもあってな
    特に、心理戦とか戦略系は不得手とするところなんで
    アフガンハウンドと将棋とかしたら、絶対に負けると思う。
     
    それどころか、身体能力、知能、美貌、とあらゆる総合能力で
    ものすごく差をつけられて負けてる気がする。
    そんぐらい、あのプロブレム・ドッグ
    アフガンハウンドですら、凄いんだよー。
     
     
    そこで私は、私が無能である事をアフガンハウンドに悟られないように
    暴君として君臨する事にした。
     
    私は、これをするな、と言ってるよな?
    したいなら、していいぞ
    ただし私の見ていないところでな。
    バレたら、えらいなヒドい目に遭わせるぞ。
     
    何で、したらいけない かっちゅうと
    何 か イ ヤ !  ただ、それだけだよ!
     
    私が決める事を、徹底して守らせる事は不可能だと悟ったので
    “これはご主人様が嫌がってるから
     表立って、してはいけない”
    という雰囲気に持って行ったのである。
    正義感とかルールとか、そういう真っ直ぐな心を排除して。
     
    そしてこのやり方は、悪魔の犬アフガンハウンドには
    理解しやすかったようで
    私の目を盗んで、散々悪さをしていたけど
    私の目の前では大人しくしていて
    かろうじて私の威厳は保たれたのであった。
     
     
    こんな、あなどれない犬という生き物を相手に
    このジジイは大丈夫かいな
    犬の訓練の前に、私がおめえを訓練しちゃりてえよ!
     
    ジジイと犬の攻防を見かける度に
    そうイライラしながらも、通り過ぎてたわけだが
    昨日、久しぶりにジジイと犬に遭遇。
     
    ジジイは犬を真横に付けて、歩き回る訓練に移っていた。
    おお! えらい訓練も進んだな、とか思ったら
    ジジイ、リードを放して歩いてるんだよ。
    まだそこまで統制が取れてないのに。
     
    案の定、犬、ジジイが歩いている後ろで
    耳を掻いたりして、ジジイが振り向く寸前で
    言う事を聞いているフリをするんだよ。
    犬、ほんと頭が良い・・・。
     
     
    て言うか、この犬はもう
    ジジイのすべての行動パターンを見切っていて
    ジジイが見ていないところでは、大あくびをしたり
    思いっきり気を抜いているのだ。
     
    「ジジイ、後ろ後ろーーー!」 と
    思わず、その “コント” に参加したくなるぐらいな
    鮮やかな、犬の豹変ぶり。
     
    これは、ジジイが犬を訓練しているのではなく
    犬がジジイの介護をしている、と言っても過言ではない。
     
    犬、相変わらずさすがだな!
     
     
    ヘルドッグ・アフガンハウンドとの暮らしは
    まったく楽しくなく、ほぼ全面的に苦痛の日々だった。
     
    ただ、チャランポランだと思っていた自分が
    意外にも、ブレない信念を持っている事を知った。
    意思の強さがある事にも気付いた。
    あの大変な日々は、逆に有意義だったわけだ。
     
    だから私は、ジジイを温かく見守る。
    どんなに犬にナメられようが
    ジジイは犬から得るものが、沢山あるだろう。
     
    そして、あんな大笑いな劇を展開しとるジジイと犬との間には
    確かな “愛” が見てとれるんだ。
     
     
    私は今後もし犬を飼っても、もう “家族” にはなれない。
    犬に対して、君臨するのみしか出来ない。
    本当の “主人” が出来た時の
    あの狂暴なアフガンハウンドの安定ぶりを見たから。
     
    犬は犬として扱うのが、犬にとっては幸せな事で
    そのためには人間は、犬のご主人様になる必要があるのである。
     
    それを知ってしまった私には、あのジジイがかなり羨ましい。
     
     
    「よお、犬、ジジイをしっかりお守りしとるかー?」
    と目で話し掛けるも、犬の瞳にはジジイしか映っていない。
    私はひとり、家に帰る。
     
     
    関連記事 : 訓練ジジイ 続報 11.4.11
           訓練ジジイ 続々報 11.4.15
          
    訓練ジジイの謎 11.12.12
     
     

  • 黒雪伝説・湯煙情緒 2

    一週間に及ぶ、結婚のイベントをこなした直後
    黒雪は議会で道路建設の指揮を取ると言い出した。
     
    莫大な持参金と、大勢の従者を連れて来た大国の姫は
    新参なのに、北国の城の中で既に一大勢力を持っていた。
    「結婚したばかりなのに、早すぎませんか?」
    せいぜいがこの程度の異議しか出ない。
     
     
    「浮かれてる場合じゃないと思います。
     それでなくとも、年の半分は雪で身動きが取れないのだから
     動ける内に動いておかないと。」
     
    この意見には、もちろん文句は出ない。
    「ただ・・・、その・・・、お世継ぎも・・・。」
     
    「私も王国で生まれ育った身。
     世継ぎの重要さはわかっております。
     出産は真冬にしますから。」
     
    黒雪の言い切りに、会場はどよめいた。
    妊娠出産を、そう都合良く出来るものか。
     
    だが黒雪の強運さは、そこにあった。
    雪が積もるギリギリまで、奔走しつつも
    冬に見事に出産するのである。
    しかも男女の双子であった。
    これにより、北国での黒雪の地位は確固たるものとなった。
     
     
    「はあ・・・、出産、すんごいしんどかったわ・・・。」
    「お疲れ様でした。
     ありがとう、奥さま。」
    王子は感動しきりである。
     
    「さすが元ヘビ、多産させられるわー。
     卵で出て来い、っつの。
     双子、この国では不吉じゃないわよね?」
    「はい。 むしろ幸運だと言われてるみたいですよ。」
     
     
    王子の抱擁を受けながら、ベッドの上で黒雪は考え込んだ。
    「何です?
     私の奥さまが恐い顔になっていますよ?」
    黒雪の眉間をチョンチョンと王子が突付く。
     
    「ああ、いえ、ちょっと気になったんだけど・・・。
     あの王さまって、実のお父さんじゃないわよね?
     王さまの奥さんはいないの?
     そこ、どうなってるの?」
    ヒソヒソと王子に耳打ちする黒雪。
     
    「この国は母のせいで消えていたらしいのです。
     それを作り直した上に、更に後から私を組み込んだみたいですよ。
     この国の人の記憶では、私は父王の嫡男となってます。
     父王の奥さん、この世界での私の母の事でしょうかね?
     とにかく王妃は、私を産んですぐ死んだ事になってますね。」
     
     
    王子の話に、黒雪が首をひねった。
    「国の再生はどれぐらい掛かったのかしら?
     あなたをそこに組み込むのは一瞬で出来たの?」
     
    王子も少し顔を曇らせた。
    「そこがよくわからないんです。
     いつ国の再生が完了したのか。
     でも私が組み込まれたのは、最後のようです。
     どうもところどころ、わからない部分があるんですよね。
     300年前の戦いの時から。」
     
    「ふーむ、私たちの結婚も、偶然だけじゃないかもね。」
    黒雪の言葉に王子は慌てた。
    「えっ? 私はあなたを真剣に愛していますよ!」
     
    「そこじゃなくて、この結婚は私たち以外の誰かにとっても
     何かの意味とか、目論みみたいなのがあるのかも、って話よ。
     もう! こういう頭を使う事はあなたがやってよね!
     私は労働担当だから。」
     
    「・・・小人さんたちに言われた事を、根に持ってますね?」
    王子がクスクス笑った。
    「今度あいつらに会ったら、お礼をしないとね。」
    鼻息を荒くする黒雪。
     
     
    「ふふ、頑張ってくださいね。」
    まるで他人事のように言う王子。
    「・・・あなた、時々すごく冷たいわよね?」
     
    ちょっと引く黒雪に、平然と答える王子。
    「どうせ爬虫類ですからね。 ふん。
     でも、あなたにだけは何があっても忠実ですよ。」
     
    「へえ? ハブ女王の息子だった事とか、ウソを付いていたのに?」
    その言葉を聞いた途端、ガバッと黒雪にしがみつく王子。
    「それは本当に謝ります。
     真実がわかったら、全部言いますから!!!」
     
     
    え? まだ何か秘密があるの?
    と黒雪は思ったけど、まあ、いいや、と流した。
     
    筋肉脳は、太っ腹である。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪伝説・湯煙情緒 1 11.3.23
           黒雪伝説・湯煙情緒 3 11.3.29
           
           
           小説・目次  

  • 災害報道

    地震発生から2週間。
    TVはもう “いつも通り” になってるな。
    ワイドショーとニュースぐらいしか
    被災地の話題をやってない。
     
    ニュースに合わせて動けないんで
    民法は交替で、一日中どっかの局でニュースをやってほしい。
     
    これは以前から思っていた事なんだけど
    この非常事態にすら各局、横並び編成で
    日本のTVに対して、激しく失望させられたぞ!
     
     
    被災者のところに図々しく入って行って
    精神的に負担を掛ける、と非難もある災害報道だけど
    私は必要だと思っている。
     
    何故なら阪神淡路の時には、あまりTVを観ていなかったので
    何の教訓も得てなく、災害に対して備えなかったからである。
     
    阪神淡路の時は、何故TVを観ていないのかわからない。
    その頃は熊本で結婚していたのに、どうしてだろう?
    多分あまりTVでやってなかったんじゃないか?
     
     
    今回の東日本大震災は、土日ずっとTVに釘付けだった。
    観ていて号泣させられたよ。
    自分がここまで感情を揺さぶられるなど
    驚きとともに、苦痛が強かった。
     
    それでもTVを消さなかった理由は
    日本で起きている事実を、しっかり受け止めなくてはいけない
    と、同じ日本国民でも被災していない身として
    苦労を共有しようとしたんだ。
     
     
    やはり被災者の辛さは、真にはわからない。
    だけど見ると見ないとでは、大違いなんだよ。
     
    読む < 聞く < 見る <<すげえ壁<< 経験する
    私の場合は、この順番で
    自分の中での認識の度合いが変わってくるんだ。
     
    出来なくても、理解しようとする事は
    誰にとっても決してムダではない、と信じている。
     
     
    ところが被災者側にとって、報道陣、とてもうっとうしいらしい。
    高飛車で遠慮がなく、神経を逆撫でする事を訊いてくる。
    しかも、ヤラセもやってる、という話まである。
     
    報道は、誰にとっても必要なのに
    邪魔にならないよう、人心に配慮するのは出来ないんだろうか?
     
    あ、それを言ったら
    「おめえのブログも配慮は出来んだろうが」 と言われるよな。
     
    ・・・・・・・・・・・・
    えええーーー、マスコミと同列に語られてもーーー!
    (ものすごく頭の悪い言い逃れ)
     
     
    この災害報道は、私は続けてほしいと願っているけど
    正直、日本のマスコミってバカじゃなかろか
    とTVを観ていて、よく思う。
    しょっちゅう思う。
     
    人には、くだらん、わかりきった質問をして
    自分では感情的に物を言う。
    アナウンサーの思想は必要ない。
    カメラはもっと全体を写してくれ。
     
    観ている私たちが、自分の脳みそで
    判断する機会を与える事に専念してくれ!
     
     
    でもさ、いっちょ良い利用法を思い付いたんだよ。
    何かあると、真っ先に駆けつけるのがマスコミじゃん。
     
    そいつらに物資を持って行く義務を課せばどうだろう?
    とりあえず、持てるだけ持って行け、と。
    あ、でもそれをさせると、恩着せがましくなるか・・・。
     
    うーん、マスコミ、割に手に負えん機関かも。
     
     
    報道を続けろ、と言ってるけど
    私は政府発表や報道を、あまり信用してはいない。
    今回の原発事故の事で、その疑いに確信が持てた。
     
    枝野官房長官だったっけ? 1号機爆発後の公式発表で
    「放射能はそんなに漏れてはいません。」
     
    “そんなに”
     
    つまり、大量には漏れていないだけで
    放射能漏れはある、という事なんだな
    と判断したけど、それで正解だった。
     
    ウソはついてはいないけど、正確に言ってもいない。
    政府発表や報道はこういう風に聞くんだな、と学んだよ。
     
     
     
    あ、ついでにここで伝言。
    東北、関東、中部の皆、私は何も言わないけど
    それは気を遣っているからなんだ。
     
    こういう時に、されたい態度なんて千差万別だろ。
    どういう言葉がNGとか、きっと当人にもわからんだろう。
    だから私は、いらん傷を付けんためにも
    こっちからは何も言わないんだよ。
     
    だけど想っているからな。
    何かあったら、言ってこい。
    まだボケてねえから忘れたりしてないし
    歳を取って温厚になっとるんで、多少の我がままは聞いちゃるぞ。
     
    ただし、私、結構な役立たずなんで
    そこはほんとすいません、だがな。
     
     
    ↑ こういうのさ、従姉妹が言ってたけど
    「風呂屋のたわごと」 だってさ。
    そのこころは、「湯だけ。(ゆうだけ = 言うだけ)」
     
    ・・・お後がよろくしくないようで。

  • 黒雪伝説・湯煙情緒 1

     北国の王は動揺した。
     
    息子が連れて来た結婚相手が
    超・兄貴! だったからである。
     
    (注: 超兄貴とは、その昔PCエンジンというハードで出た
     伝説のシューティングゲームである。
     と言うか、こういう解説がいる言葉を多用しないでもらいたい。
     えっ? 自分で書いてて人のせい?)
     
    真っ黒に日焼けして、筋骨隆々のその婚約者は
    本当に女性なのか? と、疑うほどであった。
     
     
    だが、そこが逆に国民にウケたのは意外であった。
    厳しい気候のせいで、裕福ではない我が国に
    あの大国、東国の姫が嫁いでくれる事自体、奇跡だったが
     
    体中アザだらけ傷だらけなのに、堂々とウエディングドレスを着る
    → さすが、大国の姫君! ってな具合に。
     
    しかもそのアザや傷や日焼けは
    我が北国への道を作るためにできたものなのだ。
    国民たちは、感謝とともに期待を持って黒雪を歓迎した。
     
     
    ふむ、少々気の弱いところのある王子には
    このような逞しい姫が良いのかも知れん。
     
    王はカイゼルひげを引っ張りながら、納得した。
     
     
    「アタシは納得しないですわん!」
    黒雪の枝毛だらけの髪をセットしながら
    ヘアメイク担当のカマが不満をタレる。
     
    「しばらくイベント続きだというのに
     このきったないお肌に、ボッサボサの髪!
     アタシが代わりにドレスを着た方が、よっぽど美しいわん!
     ああ、姫さまのヘアメイク、とっても苦労ーーーっ!!!」
     
     
    「ちょ、待て、何故おまえがここにいるの?」
    黒雪が問うと、カマが驚愕する。
    「あらっ! あらららっ!
     結婚式もアタシ担当だったのに、今頃気付いたんですのん?
     あんまりですわん!
     腐った雑巾のような姫さまを、花嫁へと何とか変身させたのに!」
     
    「す・・・、すまん・・・。」
    「まあ、いいですわん。
     結婚式なんて誰でもアタフタしてますしねん。
     ・・・あーたは準備中、ずっと寝てたようですけどねん。」
    「す・・・、すまん・・・。」
     
     
    「ヘアメイクアップアーティストというのは、花形の職なんですのよん。
     特に王室勤めともなると、ファッションリーダーですわん。
     カリスマですわん。
     なのに姫さまに付いて、辺境の国に移住するなんて
     もったいなさすぎますわん。」
     
    ベラベラ喋りながらも、テキパキと手を動かす
    この、“ヘアメイクアップアーティスト” が
    とても有能らしい事は、美容に無頓着な黒雪にもわかった。
     
    「へえー、何故おまえは来てくれたの?」
    「東国の城には、もうトップがいたのですわん。
     彼には適わないから、アタシは新天地でトップを目指しますわん。
     “鶏口となるも牛後となるなかれ” って言うでしょん?
     牛の中ではビリでも、鶏の中で一番になりゃ良いでしょ、って。」
     
     
    「ふむ、そうなのか。
     頑張ってくれ。
     一緒に来てくれて、ありがとう。」
     
    その言葉を聞いたカマは、一瞬手を止めて黒雪の顔を見た。
     
    「・・・・・・ふーーーっ
     ブスなのに大らかな性格なのよねん、姫さまったら。」
    首を振って溜め息を付かれ、黒雪は複雑な気分になった。
    「・・・・・・・・・どうも・・・・・・・・・・。」 
     
     
    そこへ王子が入ってきた。
    「仕度はできましたか? 姫。
     いえ、・・・私の奥さま・・・。」
    王子の顔が赤くなるので、黒雪までつられて赤くなる。
     
    ふたりの間に花びらが降りかけたところで
    カマが割って入る。
     
    「もーーーーーっ!
     イチャラコチャラは後でやってくださいよねん!
     まだ準備中ですのよん。
     殿方は出入り禁止ですわん。」
    カマがキイキイ言いながら、王子を追い出す。
     
     
    「まったく、このゴリ姫の夫が
     あんな美男子なんて、世の中狂ってますわん。」
    「えっ、あいつ、美男子なの?」
     
    「・・・そういう自覚のないところが、また腹が立ちますわん。
     さあ、さっさと用意しますわよん!」
     
     
    カマの逆鱗に触れ、グイグイ髪を引っ張られる黒雪。
    こいつに逆らえるヤツは、多分いない。
     
    ちなみに彼の名は、キドである。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪伝説・湯煙情緒 2 11.3.25
           
           
           小説・目次  

  • このブログの使用法

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     ブログの信念の変更 12.10.25  
     
    ::::::::::::::::::::::: 
     
    09.3.25から改名したんだ。 理由はここ ↓
     
     改名のお知らせ 09.3.24
     

    でも正直、“あしゅ” でも “あしゅら” でも
    どっちで呼んでくれても良い、と思っているザツさ

     
    でも、こういう方向で実験。
     
     ちゃん付け 12.1.10 
     
     
    このブログの私の方針は
     
     私のHPの方針 05.12.29
     
     このブログの使い方 09.10.8
     
     コメントのルール 09.10.6
     
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     ババア宣言 10.2.4
     
    などに書いてある。
     

     
     
    通りすがる皆の場所はここ。
     
     お便りコーナー 11.10.17
     
     カテゴリー 人生相談
     
    参加する時は、記事下に書いてある注意書きをよく読んでな。 
      
     
    なお、私は長文が読めない性質なので
    ムダな改行、多い読点、妙なカタカナや漢字の有無など
    とにかく、“自分が読みやすい” という1点に特化しているんだ。
     
    しかもヘンな言い回しや、誤用も無数にちりばめているんで
    決して、内容も文法も見習わないでくれ。 教育に悪いぞ。
     
     実は読めません 06.7.28
     
     
    ここのサイトの管理人ぷらちッとの関係は
    こちらに書いてあるんで、誤解のないよう一読プリーズ。
     
     管理人ぷらちッとの関係 10.3.15
     
     
    美容の今のところの私の結論
     
     美容の真理 11.2.17
     
     人生相談 30 肌の手入れ 11.6.28 
      
     美容法の変遷 11.6.30
     
     
    私の野望
     
     アフィリ 10.11.29
     
     
    私の書いた小説を、朗読してくれるサイト。
     
     かいねの音声ブログ
     

  • 【朗読】黒雪姫 4/42

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    黒雪姫 4 | 天使か?悪魔か?

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