ゼロも反省する事があるのか
しばらく口数も少なく、ションボリとする日が続いた。
太郎も、そんなゼロを見て見ぬフリをし
ふたりはお互いに何となく避け合っていた。
血まみれちゃんは、太郎とゼロの間に挟まれて針のムシロだった。
元はと言えば、自分がゼロにせかしたのだ。
首を振る事でしか、表現が出来ない血まみれちゃんは
無表情で、どんどんうつむいていくしか出来なかった。
数日後、ゼロは目まいを起こした。
気付くと、目の前に太郎と山口がいる。
「呼んだ?」
「はい。」
呼ばれるのは構わないけど、いきなり消えるんで
血まみれちゃんが動揺するのが可哀想なんだよな
ただでさえ最近、気を遣わせてしまっていたのに。
ショックを受けていないといいけど・・・。
それに私も、突然目が回るのは辛いし
何か他に連絡手段ないんかなあ
呼ばれた事も瞬時に忘れて
憮然と考えて込んでいるゼロに、太郎が言った。
「あの・・・、山口から同居を提案されたんだけど。」
そこでようやく、あ、呼ばれてたんだ、と気付き直すゼロ。
「へ? 同居? 何で?」
「あ、俺が説明するわ。」
山口が軽そうに言った。
「この前の忍者屋敷、あれ、俺名義のマンションなんだわ。
大学の合格祝いに親父が買ってくれたんだ。」
その話に、ほーら、やっぱこいつ金持ちのボンだったろ?
と、今の今までギクシャクしていた関係も、再び瞬時に忘れて
自分の予想が当たった事を、盛大に太郎に誇るゼロ。
ゼロがいつものように、話し掛けてきたので
内心、安堵する太郎。
「でさ、俺、考えたんだわ。
皆、長野と遊びたいし、ゼロさんにも会いたいんだ。
長野が忙しいのって、生活費を稼ぐバイトのせいだろ?
俺のマンション、大学の側で交通費いらないし
家賃も光熱費もいらねえよ。
これで長野、バイトを減らせるんじゃねえ?」
「ほお、チャラ男にしちゃ、良い案だなあ。
中々やるじゃん。」
感心するゼロを、太郎がたしなめる。
「いくら友達だからって
そこまで甘えるのはダメだと思うんだけど・・・。」
「うん、まあな。
でもチャラ男には負担じゃないと思うよ。
だからチャラ男、この話の許可を父ちゃんから貰え。」
いきなりの展開に、山口が反論する。
「え? 何で親父に?
あのマンション、俺名義だと言ったじゃんよ?」
「学生の身分だからさ。」
ゼロがきっぱりと言った。
「子のすべては、親由来なんだよ。
良い事も悪い事もな。
親との関係は家庭によって違うけど
たとえ自立をしてても、無視して良いって事じゃないだろ。
ましてやおめえ、その住居は愛情でのプレゼントなんだし
親が相手だろうと、きちんと筋を通せよ。」
ええー、めんどくせー、とゴネる山口に
ゼロが珍しく優しく語りかける。
「太郎を親父んとこに連れて行って、ちゃんと紹介しろ、な?
大丈夫! 太郎なら、親は喜ぶ友達だ。
そんで許可が出たら、家賃と光熱費の分配を話し合え。
タダ住まいは、太郎の肩身が狭い。
ま、太郎なら、出世払いも可だがな。」
意味深にニヤリと笑うゼロ。
太郎は何故か、“女衒” という単語を思い出した。
だが、ゼロの言う事はもっともである。
「うん、ゼロさんの言う通りかも知れないよ。
親を無視して、勝手な事をしちゃいけないと思う。
まずは、おとうさんと相談してみてくれよ。」
太郎がそう言うと、山口も考え直した。
「そうだな、一生付き合うつもりなら
長野が俺の親とも仲良い方がラクだもんな。
んじゃあ、近い内に実家に行ってくるわ。」
太郎と山口が、ふたりでうなずき合っているところに
空気を読まずに、ゼロが割り込む。
「で、太郎は今日もバイトなんだよね?」
「あ、はい。」
「うん、わかった。 頑張ってね。」
ゼロは駅の方へと飛んで行った。
山口のマンションなら、ゼロさんも大学と自由に行き来できるんだよな
太郎は、ふとそう思った。
にしても、確かに良い話だけど
そこまで甘えて良いものなのか?
ゼロはその話にはまったく触れて来ないので
太郎はひとりで悩んだが
“正解” と思えるものが出ない。
ゼロさんなら答を持ってる気がする・・・。
だけど、訊けない太郎であった。
続く。
関連記事: 亡き人 19 11.1.20
亡き人 21 11.1.26
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亡き人 1 10.11.17
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亡き人 20
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禁煙の意外な産物
私の場合、今んとこ健康面で良い事はない。
「肌がキレイ」 と言われる確率が上がったけど
それはファンデを塗るのをやめたせいだ。
しかも理由が、“面倒くせえから” で。
ファンデさ、塗らない方がキレイに見える肌ってあると思う。
いや、ここらへんの文句は、美容記事で言おう。
禁煙しても、ただタバコを吸わなくなっただけで
タバコ代が掛からなくなったな、ぐらいのものだった。
いや、これが禁煙の一番の理由なんだけど
ほんと、ほんっとタバコ代の事は
いまだに口に出来ない程、悔やんでいるんだ。
まだそこまで直視できない。
立ち直れていないんで、パス!
しかし禁煙の真の価値を知るのは
夏と冬と年末であった!!!
霊膨大 ← うちのキーボードのバカさ加減がわかるだろ?
冷房代と談膨大
・・・・・・・・
あーっ、もう! せっかく良い話をしようとしてるのに!!!
冷房代と暖房代が、ものすごく減ったんだよ!
去年の猛暑でも、冷房をちょっと入れておけば
あとはエアコンを切っても、ずっと快適。
暖房もしかり。
うち、機密性に優れているマンションで
しかも中部屋なんで、温度の変動が少ないんだ。
だけど喫煙時代は、換気のために常に窓を開けていた。
ヘビースモーカーだったもんで
在宅している時は、必ず窓を2箇所数センチ開けてたんだよ。
タバコの煙を少しでも追い出したくてな。
喫煙者でも、煙は煙いんだ。
部屋もヤニで汚れるし。
年末大掃除で、そのヤニ汚れにも驚愕させられる。
毎年毎年、マイペットで何度拭いても
雑巾に茶色い汚れが付いてくる。
どこで踏ん切りを付けるかは、疲労しきった時が目安。
どうせ数ヶ月したら、またヤニが付くんだし。
禁煙して初めての年末に、ヤニの恐ろしさを知る。
雑巾に付いてくる汚れが10分の1。
去年4月から禁煙してるから
1月 ~ 3月のヤニは付いてるんだけど
それでも、いつもの年に比べたら10分の1!
喫煙しないのなら、大掃除必要ないんじゃないか・・・?
とまで思ってしまったよ。
毎年マイペットを4本ぐらい使っていたけど
今回はキッチンのガス台周囲の床ぐらいで
あとは水拭きでやってしまった。
ウレタンスポンジも活躍してくれたし。
関連記事 : 低反発ウレタンスポンジ 10.12.15
お金を払って、家と内臓を汚して
タバコって一体何の意味があるんだろうな?
禁煙した今、ほんと吸う理由がわからない。
禁煙したては、間が持たなくて
“吸う行為” をしたい、と思う事もしばしばあって
その想いは一生消えない、とか言われてガックリきてたけど
消えるよ、吸いたいっていう気持ち。
間が持たないのも、気持ちの切り替えも
ないものねだりをせずに、自然に受け入れれば
あえて、する必要もない、と気付いた。
間、持たせる必要ないんだよ。
気持ちの切り替えも、放置してたら勝手に切り替わるし。
タバコがない人生に慣れてきたら
タバコが存在する理由がわからなくなるんだ。
これが人間の順応性と勝手さか・・・。 -
亡き人 19
いきなりゼロが太郎の目前に現われ、一同は驚愕した。
「あー、アルゼンチン・ワープ、便利良いけど
ものすごく目が回る感じで不愉快なんだよなー。」
眉間を押さえてグチるゼロに、太郎が声を掛けた。
「あの、ゼロさん、どうしたんですか?」
太郎をキッと睨んで、ゼロが怒鳴る。
「どうしたもこうしたもねーよ!
おめえが毎晩遅いから、グレたんじゃねえかと
血まみれちゃんが心配してんだよっ!」
「あっ、ゼロさんだー。」
「すごーい、瞬間移動が出来るんだー。」
歓声が耳に入り、辺りを見回すと
心霊研究会のメンバーたちがいた。
「・・・おめえらかい・・・。」
ガックリするゼロに、メンバーからブーイングが飛ぶ。
「えー、あたしらじゃ不満なわけー?」
「うん、ちょっと期待してたんだよねえ
太郎に彼女でも出来たんじゃないか、ってね。」
「それはすいませんでしたねー。」
スネる女子メンバーたち。
「いやあ、エッチの真っ最中とかじゃなくて、良かったよー。」
ヘラヘラ笑うゼロに太郎が、やめてください、と怒る。
「で、ここはどこなんだ?
黒い家具だらけで忍者屋敷になっとるが。」
「あ、俺の部屋ー。
大学から近いんで、部室代わりになってるっつーか。」
「チャラ男・・・、やっぱおめえはアホだったか。
霊感があるのに、こんな黒い部屋に住むとは・・・。
悪霊来てくださいー、って言ってるようなもんだと思うが?」
その言葉に、山口が慌てる。
「えっ、そうなの?」
「うん、仏壇が並んでるようにしか思えんわ。
霊にはすんげえ居心地が良いんじゃね?」
「えええーーーっ、デザイン性を重視したのにーーーっ。」
嘆く山口に、ゼロが冷たい口調で優しい言葉を掛ける。
「今度から何かする時は、大人のヒトに相談しようねー?」
山口を不幸のドン底に叩き落した後に
振り向いて、今度は太郎を詰問し始めるゼロ。
「で? 何で最近遊びに目覚めたわけ?」
「え・・・、だってゼロさんが
『人付き合いをしろ』 と言うから・・・。」
意外なその言葉にゼロは驚き、そして考え込んだ。
「・・・そうか・・・
大学とバイトと勉強、の太郎のスケジュールだと
友人と付き合う時間もないもんな・・・。」
ゼロは太郎に頭を下げた。
「太郎、無責任な事を言ってごめん。
今の優先順位は、勉強だと思うんだ。
あれもこれも、は時間的に無理だよな。」
そして、メンバーたちを見回して言った。
「皆、頼む。
太郎が司法試験に合格するまで待ってくれ。
こんな夜の数時間でさえ、遊ぶと勉強の時間がなくなるんだ。」
いや、別に良いけど、という空気に
いたたまれなくなった太郎は、少し怒ってゼロに言った。
「ゼロさん、厚意で遊んでもらってるのに
“待ってくれ” なんて、勝手すぎますよ。
それに司法試験を誤解してるようですけど
大学卒業後に法科大学院に入って
それを卒業して、やっと受ける資格ができるんですよ。」
ゼロは目を丸くした。
「え? そうなの?」
「そうでなくても、僕の都合で
皆を振り回すわけにはいかないですよ。
さあ、帰りますよ。
皆、ごめんね。」
太郎の言葉に、自分の非に気付いたゼロがうなだれた。
「そうだわ・・・、私が勝手すぎた・・・。
皆、ごめんなさい。」
ゼロは、部屋を出た太郎を慌てて追いかけた。
そして足早に歩く太郎の首にしがみついて謝った。
「ごめんね、太郎
あなたの立場を悪くするような真似をしちゃったね。
出すぎた事だったよ、本当にごめんね、許して。」
太郎がどう答えて良いか迷って、無言でいると
それを拒絶と取ったのか、ゼロが立ち止まって泣き始めた。
太郎はもう怒ってはいなかったが、すぐに許すのもシャクに障るので
振り返って怒った口調で言った。
「やめてください!
霊がすすり泣いてる姿なんて、ほんと恐いんですから!
さあ、帰りますよ、早く来てください!」
ゼロは、ヒックヒックしゃくり上げながらも
太郎の背中にしがみついて来た。
“帰りますよ”
太郎は少し自分にガッカリした。
続く。
関連記事: 亡き人 18 11.1.18
亡き人 20 11.1.24
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亡き人 1 10.11.17 -
ウィンドウズ 7
なあ、ウィンドウズ・ビスタだっけ?
あれ、いつの間に消えたんだ?
あんだけ大騒ぎしてたのに
新しい・・・、何だっけOS?は
“ウィンドウズ 7 (セブン)” だとよ。
ウィンドウ、グルグルしないんだよ。
あーーー、こんな事なら
ビスタが宣伝されていた時に
文句を書いておきゃ予言になったのにーーー。
あの画面グルグルさ、絶対に無理だと思ってたんだよー。
モニターがタッチパネルで、指で突付けるならまだしも
マウスでコマコマしなきゃならないのに
ウィンドウが3次元で回るなんて
どう考えても、うっとうしい!!!
当時、これを専サポに言ったら
「これからは、こういう形になっていくんです!」
とか、えらい擁護していたけど
私はそこにはあえて触れないよ。
ウィンドウズ・ビスタが、ウィンドウズ・me と同じだの
ベータの運命だの、ニンテンドーで言えば64かな、だの
そんな揚げ足取りはせんよ。
でもさ、PCが2台あって、片方が上等なら
もう1台は単なる控え選手にならんか?
かと言って、2台使いこなす技術も必要もない・・・。
だからお願いしたんだよ、専サポに。
新しいパソコンもウィンドウズXPにしてくれ、と。
もう、もんのすごおおおおおおおおおく怒られたよ。
そんなバカな事を言うヤツはいない、と。
どんどん進化していくんだから、と。
ええー、じゃあビスタはー? と、言ってしまったんだよ。
あれ買ったヤツ、失敗じゃないのー? と。
ついつい。
失敗だったと認めたのは、心の狭い専サポにしては偉い。
だけどその必殺技を出した後、かなりムッとされた。
ほんと、無神経だった。 すみません。
でも、ウィンドウズXPはもう売られていない
ってのはウソだよな?
いや、良いんだよ。
ウィンドウズ 7 にして良いんだよ。
進化には付いて行かなくちゃならないから。
でも、XPが売り切れとか、ウソだよな?
もう、何を説得するのを諦めとんのか
ほんと腹が立つんだけど
XPを希望する私も悪いんだろうし
結果的には7にしただろうから良いんだけど
説明責任を投げ出さないで欲しいよ。
と言う事で、売り切れだったXPの代わりとして(薄笑い)
ウィンドウズ7がうちにやってきたんだけど
私はこういう変化には、黙々と合わせる努力をする。
だけどな、7、ドン臭いんだ。
作動は速いんだよ。
でもその速さを、感じさせない工夫がされているんだ。
動きが、モワンとしているんだよ。
開くのもモワーンと開いて、閉じるのもモワーンと閉じる。
ほんと、使用者の勢いを封じるんで
ピリピリした職場には、余裕をもたらすのであろう。
だけど、何か・・・、そう、“萎える” んだよ。
画面がモワーンモワワーンとなってると
気持ちもモワーンと、しぼむんだ。
私の記事の切れ味が鈍っているとしたら
セブンに調子を狂わされているせいだと思う。
モニターを前にすると、どんどんやる気が失せていくんだよー。
何? セブン、もしかして日本の頭脳撲滅プログラム?
専サポに、そういう設定を訊いたら
何と! 知らないそうだ!!!
「私も使った事がないんですから
どうにか独力でお願いします。」
と言われて、そうだね、XPが売り切れだからしょうがないよね
と、心の声でネチネチ突っ込みつつ
テキトーいじくり、という、“独力” を繰り出したら
何か画面がよくわからん状態になって
専サポの休日を台無しにしてしもうた。
ほんとすいません。
マジで嫌がらせじゃないんですーーー。
これ、去年の話なんだけど、今頃になって書いとるのは
旧PC (XP) が完全に壊れたんで、追悼として。 -
亡き人 18
「だからさ、UFOっているいない、じゃないと思うの。
だって、“未確認飛行物体” って意味なんでしょ?
世間で確認できていない飛行物体って、あるじゃん。
軍の開発途中の戦闘機とか偵察機とかさ。
何で UFO = 宇宙人の乗り物 になってんの?
てかさ、私が確認できない、ってだけでも
UFO扱いして良いと思うの!」
ゼロがいつものように、自論を好き勝手に喋りまくる中
血まみれちゃんの様子が、いつもと違っていた。
どことなく、ソワソワしている。
「ん? どうしたの? 排卵日か?」
ゼロのくだらないギャグに、血まみれちゃんが髪を逆立てて怒る。
・・・と言っても、血まみれちゃんは無表情である。
普段はボーッと宙を眺めて制止している。
たまの意思表示も、首を縦に振るか横に振るかでしか出来ない。
だけど、しつこく一方的に喋りかけている内に
ゼロは、血まみれちゃんの感情の微妙な変化を
読み取れるようになっていた。
「ごめんごめん、死人に排卵日、何の卵だよ? っちゅう
高度なブラックジョークだってばー。」
能天気にヘラヘラ笑うゼロに
血まみれちゃんが真面目な顔で、時計を見る。
「えーと、今、夜中の11時過ぎ。 それが?」
次に血まみれちゃんは、太郎の椅子を見た。
「ああ、わかった。
『太郎の帰宅が遅くて心配』 って言いたいんだね?」
血まみれちゃんが首をブンブンと縦に振る。
「ちょ、やややや止めてーーーっ。
おめえ首のところもケガしてるから
千切れそうで、ハラハラさせられるって。」
ゼロが血まみれちゃんの首を押さえると、傷が少し消えた。
「あれっ? 治ったよ、ここ! 少しだけど。」
自分の手の平を見つめるゼロ。
「んー、この治癒能力、何か不安定だよね。
この前、試してみた時は治らなかったのに。
法則とかがあるんだろうか?」
考え込もうとするゼロに
血まみれちゃんが、必死にゼロの顔を覗き込む。
「あ、ごめん、太郎の話だったね。」
ゼロがカレンダーを見ながら言う。
「確かに最近、太郎の帰りが軒並み遅い。
これは・・・。」
血まみれちゃんが身構える。
「彼女でも出来たのかなー?」
血まみれちゃん、カクッと肩をわずかに落とす。
「おっ、良いリアクションが出来るようになったじゃん。」
笑うゼロに、血まみれちゃんが涙目で訴える。
「うーん、太郎も青春真っ盛りだし
放っといて良いんじゃないか、とも思うけど
横道に逸れて、人生の目標をフイにする可能性もあるわけだし
ああいう真面目くんほど、ハジケやすいしねえ・・・。」
何のかんの言って、血まみれちゃんの頼み事には弱いゼロ。
「わかった。
どこで何をしてるんか、確認しとこう。
んじゃ、帰りは太郎と一緒になると思う。
行ってくるね。」
血まみれちゃんがうなずくのを見た後
ゼロが、ハヤタがウルトラマンに変身する時のようなポーズを取った。
「アルゼンチン!!!」
ゼロの姿が、血まみれちゃんの前から消えた。
続く。
関連記事: 亡き人 17 11.1.14
亡き人 19 11.1.20
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亡き人 1 10.11.17 -
世界にひとつだけの技
2010.11.12 核武装 の記事の中で
替え歌を作ったんだ。
槇原敬之の “世界にひとつだけの花” の歌の。
正直、この歌をよく知らなくて
でも宇宙船でこの歌が流れた、というニュースで
曲のタイトルだけは記憶にあったんだ。
で、記事の流れで、勢いで替え歌を作ろうとしたは良いけど
元歌を知らないもんで、歌詞検索して
ほんと、「ここ4文字だから4文字で」 みたいに
まるでパズルのピースを当てはめるように、歌詞を替えたんだよ。
そんな作り方をしたもんだから
ちゃんと歌になるのか、とても興味が出て
かいねに 「歌って」 と、数ヶ月前に頼んだんだ。
多分、記事アップ直後の依頼だったと思う。
・・・月日が経つのは早いもので
あれからもう、“来年” になってしもうた。
その内、記事にする予定だけど
私、リアルでとても辛い事が連続してて
上手く歯車が回らない時って、何もかも不幸に思えて
ものすげえ孤独で孤独で
ああー、辛いなあ、とショボショボ思ってたら
かいねから嬉しいお便りが届く。
替え歌を歌ってくれたのだ!!!!!
ネットインして、それを繰り返し聴いて涙したよ。
悪い事だけじゃ終わらないんだな
絶対に救いってあるんだな
そう思えたら、泣けてくるんだ。
かいねには、しょっちゅう泣かされている・・・。
ツイッターの登録の時も。 (参照: 10.12.1 ゆたぽん)
で、何度も聴いて、ようやくボンヤリと歌を覚えたんだけど
うん、私、暗記・記憶系能力は皆無なんだ。
替えた歌詞、無理があるところが何箇所かある。
やっぱり、曲を覚えていないのに
歌詞をつけるって、無謀だとよくわかった。
かいね、歌いにくい歌詞ですまんだった。
そして、ありがとう。
ものすげえ嬉しいよ。
いつもいつも想像以上の仕事をしてくれるんで
私の軽々しい要求が、おめえの負担になってないか心配だよ。
おめえの歌にファンがいる理由がよくわかったよ。
ものすげえ可愛い歌声じゃないか。
デスメタルを歌ってもらいたかったが、自主却下するぜ。
だが、歌詞忘れは誤魔化せんぞ?wなお、音声版黒雪姫は、かいねが出だしで凝って
背景音とか入れたんで、そういう効果音が探しにくいせいで
中々アップできないらしい。
かいねは歌も上手いけど、墓穴を掘るのも上手いようである。
かいねの朗読だけで、充分魅力があるんだから
簡素にやっていけよ。
じゃないと、道のりが辛いぞ。
と、やりっ放しすぎる私が言うておるが、どうか?
なお、メールとかツイートで訊くって面倒だよな。
私の名前が入るのは、よくある話で
その後も、そんな複雑な単語じゃないし
推理できる範ちゅうのパスだと思う。
そういや私さ、人のメルアドとかの下横線が出せないんだよ。
その記号、よく使われてるよな。
もう、キーボードですっげえ探したんだよ
英数半角にしたり、シフトを押したりしながら。
でも見つからなかったんだ。
そんである日、そういう面倒くせえメルアドにしてる人に
噛み付いたんだよ。
何でそんな見つけられん記号をメルアドに組み込む?
それ、どこだよ? どうやって出せば良いんだよ? と。
で、教えてもらった。
世の中って意外に優しい。
真剣にブチ切れてるのに、ププとか吹き出されたのにはイラついたが。
_ 半角だと _
おお、ちゃんと覚えてた、出せる出せる。
右の下の方の、“ろ” って書いてあるキーなんだよな。
この下線、結構よく見るけど、何? この記号、人気なんか?
PC業界ってのは、相変わらず私には理解しがたいなあ。
えーと、何の話だったっけ?
ああ、替え歌さ、これでも凄い思い入れがあるんだよ。
元歌は “花” だけど
“世界にひとつだけの花” って、気持ちはわかるけど
愛とか、皆が散々テーマにしてるし
個性だの権利だのは、頭に乗ってる人もいる事だし
愛の歌じゃなく、愛国の歌を歌えば良いのにのお。
だから私は、“世界にひとつだけの技” なんだよ。
この “技” は何かっちゅうと
被爆国にしか出来ない平和運動ってあるんじゃないか?
という提案なんだ。
今、日本を愛する人々が国を憂えて
軍隊を作ろう、と言い出してて
それは私も反対しないんだけど
核武装だけは、しない方が良いと思うんだ。
世界唯一の被爆国として。
という話から作った歌詞なんだ。
頑張れ、日本人!!!
何だか余計に面倒な話にしてしまったか?
んじゃ、メールやツイートでひとつよろしく。 -
【替歌】世界にひとつだけの技
元ネタ
2010-11-12 核武装
あしゅ感想
2011-01-17 世界にひとつだけの技[powerpress]
↓携帯で聞けるかもリンク(聞き方のサポートはしません)
YouTube – 【替え歌】世界に一つだけの技―――歌詞―――
モニターの向こうに並んだ
いろんな兵器をみていた
人それぞれ好みはあるけど
どれもみんな凄そうだねこの中でどれが一番だなんて
試してみたら最後だよ
持ってる事自体、辛いだろう
そんな凶器をどうするの?それなのにきみら外人は
どうしてそうも取りたがる?
一国一国違うのにその中で
一番になりたがる?そうさ 日本には
世界に一つだけの技
ひとりひとりの犠牲の果ての
この技を活かすことだけが
真の平和の基となる困ったように笑いながら
内心怒っている人がいる
示された選択肢はどれも
隷属だから仕方ないねやっと部屋から出てきた
その人が抱えていた
大量の “却下” の書類と
悔しそうな横顔小さい島国だけれど
それでも僕らは笑って生きた
誰も気付かない隅っこだけど
世界の一部なんだそうさ 日本も
世界に一つだけの国
隣は隣 うちはうちで
他国に迷惑を掛けることなく
協力し合っていけばいい小さい国や大きな国
一つとして同じ国はないから
世界はひとつにならなくてもいい
それぞれの道を歩もうよ―――歌詞終わり―――
オリジナルはもちろん槇原敬之さん作詞作曲「世界に一つだけの花」
オケは Cyber DAM 槇原さん ver. です。
※ 拙い歌唱力で申し訳ございません。。
-
亡き人 17
1店舗目から駐車場へと移動しながら
太郎の背中のゼロに責められるエリアマネージャー。
「大体、何で夜にすんの?」
「夜の方が見えるから・・・。」
「あのさ、って事は、霊は夜にパワーアップするんじゃない?」
「あ、ああ、そうだと思う。」
「決して、おめえのパワーアップじゃないよね?」
「・・・・・・、ああっ、そうかも知れない!」
ハッとするエリアマネージャー。
「何か私、昼夜あまり関係ないっぽいのね。
だったら、相手の力が弱まってる昼にやりたかったわ。」
「そうか、そういう事なら・・・」
「てかさあ、営業時間外にしないと
おめえの評判ガタ落ちだと思うよー?」
「ううっ・・・」
激しく落ち込むエリアマネージャーを
黙って見ていた太郎が、さすがに同情したらしい。
「ゼロさん、ちょっと言い過ぎですよ。」
その言葉に益々不機嫌になるゼロ。
心なしか、背中がずっしり重くなった気がする太郎であった。
2店舗目は線路の横だった。
店に入ろうとするエリアマネージャーを、ゼロが呼び止める。
「ちょっと待って。 ここで説明して。」
「あ? ああ、いいけど・・・。」
この店は、祓っても祓っても怪異が起こるという。
店の中に貼ってある御札も、すぐにボロボロになる。
霊能者は、ここが霊道だから定期的に祓わないとしょうがない
と言っているらしい。
「その霊能者に全店舗任せているのね?」
「ああ、前任者の時からの付き合いらしい。」
「その霊能者さ、ここで店の中だけやってた?」
「確か、そうだったはず。
どの店も外周りは何もしてないと思う。」
ゼロはそれを聞くと、考え込んだ。
「どうしたんだね?」
エリアマネージャーが訊くと、うーん と唸る。
「・・・これを言って良いのかわかんないけど
他の霊能者に替えた方が良いと思う。」
その言葉にエリアマネージャーが険しい顔をする。
「詐欺だと言うのかね?」
「その霊能者さ、ちゃんと能力はあると思う。
でも、あえてカモれる場所を何箇所か残してる気がする。
さっきの店舗の霊もさ、スッキリ祓えたはずなんだよ。
私のを見てたでしょ?」
「ううむ、確かに・・・。」
「そんで、ここさ、店が霊道なんじゃなく
この横の線路伝いに霊がどんどん通ってるっぽい。」
「えっ、霊って線路上を移動するの?」
驚く太郎に、ゼロがあいまいに答える。
「いや、それはよくわかんないけど、ここはそうみたいなのよ。」
「それじゃあ、店を祓っても無意味だというわけかね?」
「うん、店内の浄化より、店外に結界を張った方が良いと思う。」
「それはきみには頼めないのかね?」
エリアマネージャーの言葉に、ゼロが呆れた。
「よく考えて物を言えよ、私は霊だろ。
力勝負のバトルならどうにかなるけど
専門家じゃないと、そういう儀式みたいなんは無理だよ。
てか、自分をも祓う術なんか使えるわけがねえじゃん。」
「そうか・・・、じゃあ誰に頼めば良いものか・・・。」
アゴをさすりながら悩むエリアマネージャーに、ゼロが言う。
「でもさ、ここを試験場にすりゃ良いと思う。
ここで私と同じ意見を言う人なら
確かな腕を持ってる、って証拠だし
それにこんなカモ場、滅多にないし、誠実さも量れるよ。」
「おお、そうだな!
じゃあ、まずは霊能者探しだな。」
翌日、太郎にエリアマネージャーから電話があった。
「いやあ、夕べはどうもありがとう。
思った以上の成果に、感謝しているよ。
特別手当をはずむからね。
また何かあったら頼むよ、ゼロさんによろしく。」
いえ、とんでもない、お役に立てて良かったです
と、太郎が型通りの返事をして電話を切った後に
振り向くと、ゼロが仁王立ちをしていた。
「な、何ですか?」
「今の電話、エリアマネージャーからだろ?
相手が切るまで切らずに待ったか?」
「は、はい。」
「・・・んなら、良い。
それと、夕べのおめえの態度、60点ね。」
「それは低いんですか? 高いんですか?」
「普通。 ほんと、フツーーーーーー!」
ビビる太郎に、吐き捨てるように言うゼロ。
「自分の能力外の場面で、いらん主張をせんのは良い。
でも、フォローやサポートに回れる機会はあった。
どんな時でも常に、自分のやれる事を探さないと
相手に何の印象も持たれずに終わるよ?
わかった?」
「は、はい。」
オドオドしながら返事をする太郎に
怒ってばかりじゃなく褒めなくちゃ
と、珍しく気を遣ったゼロが、背中を向けながら言う。
「素直さは満点だけどね。」
思わぬ褒め言葉に、つい顔が赤くなる太郎であった。
続く。
関連記事: 亡き人 16 11.1.12
亡き人 18 11.1.18
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亡き人 1 10.11.17 -
のど飴
神様、私の声が、か細く弱いこの声が
届いているなら、どうか教えてください
私の好むのど飴は、何で販売停止になるんだよっっっ
いい加減にせえよ、こらあああああああ!!!!!
私はのどが弱い。
にも関わらず、ヘビースモーカーだったんで
年中のど飴が欠かせなかった。
禁煙した今も、のどの粘膜自体が弱いっぽいので
のど飴は常備している。
その、のど飴、私がひいきにするやつは
ことごとく消えていくのである。
そりゃもう、熊本時代から!
銘柄は忘れてしまったけど
歯の詰め物が取れるほど食ったグミ状のものもあった。
(詰め物、実際に取れた)
あっ、ちょい前のは、覚えてるぞ。
ユーマのど飴、確か味覚糖だ!
味覚糖、おめえ何でミント味だけなくすんだよ?
箱買いしてただろうが!
散々大人買いしていたのに
ユーマも白ミントも黒ミントも
とことんミント味だけ根絶やししやがったな。
記憶にあるだけに、味覚糖をとても恨んでいる。
他の味が幅広く売られているから
ほんっっっっと、余計に腹立たしいんだよ!
ユーマのど飴、ミント味
このブログかどっかで書いたほど好きだったのに。
もう、ほんと次から次へと
私が好む銘柄がなくなっていくんだ。
世間と私の好みが正反対、なわけがねえよな。
メーカー、何をやっとるんだよ?
私の嗜好、狙い撃ちかよ?
ウララーウララーウラウララーかよ?
若いもんにはわからんギャグを言う私が悪いんかよ?
そして今ヤバいのが、はなのど飴EX
・・・? これが商品名かな?
よくわからんが、これの甜茶入りのやつ。
外が硬いキャンディで、中に液体が入っているんだ。
今、マジマジと袋を見てるけど
プロポリスやシソ、甜茶、V.Cが入ってるんだな。
これ、花粉症にドンピシャの配合成分じゃねえ?
知らなかったよ、味だけで選んでいたから。
(メーカーには、ありがたみがなくて、すまんのお・・・)
写真いる?
アフィリ貼るから、いらないだろ?
え? 食ってる証拠がねえって?
ちっ、疑い深い野郎だな。
ほれ ↓ これだ。 拝み見れ。
これがな、どの店もレモン味やりんご味?しか置かなくなって
この甜茶入りがなくなってきているんだ。
メーカーは・・・、浅田飴!
今度はおめえか、浅田飴ーーーーーーーーーーっっっ!!!
おいこら、浅田飴!
これまで、なくさないでください
ほんと頼んます。
てか、もっとこれをプッシュしてくれよ。
押さないから店が置かないんじゃないんか?
これ、すげえ美味いぞ。
ちなみにレモン味も食ったけど、どうでも良い味だったぞ。
あれなら、他のV.C入りのど飴で良いと思うぞ。
甜茶入り上げのために、他を落としてすまんけど
おめえらの方が、これをザツに扱いすぎなんだよ!!!
これをメインに売ってくれよーーー!
評価:
—
浅田飴
¥ 198
()
コメント:効能はわからんが、喉にも良さげな飴としては美味い。 ミント好きにお勧め。 ドロリもあるでよ。(中に液体が入っている) 本気で喉の痛みを治したいヤツは病院に行け!
-
亡き人 16
「あの・・・、ゼロさんに店に来てほしいって
エリアマネージャーが・・・。」
言いにくそうに切り出す太郎に、ゼロが容赦なくイヤな顔をする。
「あああーーー? 何か私、コキ使われてねえ?
おめえのお友達とか上司にさー。」
「・・・すみません・・・。」
素直に謝る太郎に、ゼロはより一層憤慨した。
「おめえさ、仮にも弁護士を目指してるんだろ?
気の利いた言い訳のひとつも出来ないとマズくねえ?」
「はあ・・・。」
この返事にも、怒るゼロ。
「あーーーっ、企業の面接官の気持ちがわかった気がするー。
これが “ジェネレーション・ギャップ” ってやつ?
ね、太郎、筆記も大事だけど実技のスキルも付けるんだよ?」
「それはどうやって学ぶんですか?」
「人付き合い!
どんな時どんな場所でも、結局は VS・人 なんだよ。
ね?」
よりによって、血まみれちゃんに同意を求めるゼロ。
急な同意要請に流されて、慌ててうなずく血まみれちゃん。
ゼロが得意げに大声を出す。
「ほらあー、浮遊霊ですら付き合いを大事にしてるんだよー?」
ねーーー、と血まみれちゃんに向かって首を傾けるゼロに
血まみれちゃんも動揺しながら、頭を縦に振る。
「じゃ、血まみれちゃんも、付き合いで一緒に行く?」
ゼロが誘った途端、血まみれちゃんは青ざめて消えた。
「仰る通り、濃厚なお付き合いで・・・。」
つぶやく太郎に、ゼロがニッと笑いながら言う。
「その調子!」
この人の感覚がいまひとつわからないなあ
悩みながら靴を履く太郎に、ゼロがおぶさった。
待ち合わせ場所からは、エリアマネージャーの車で問題の店舗に向かう。
「・・・その体勢は何なんだね?」
車内でも、太郎の背にしがみつくゼロを見て
怪訝そうに訊くエリアマネージャーに、太郎が丁寧に説明をする。
「はい、移動している時は、この方が安定するらしいんです。」
「何となく、ってだけだけどね。」
お偉いさんに、無愛想タメ口のゼロ。
1店舗目に着いた。
「ここはね、一番奥の席がいつも空くんだ。
お客さんが座っても、すぐに帰ってしまう。
かと言って、回転が良いわけでもないんだよ。
あそこの席は、客単価が飛び抜けて低いんだ。」
「その理由は、もうわかってるよねえ?」
ゼロの問いに、エリアマネージャーが即答する。
「ああ、女性が座ってるのが見える。」
「じゃ、祓えばー?」
「祓ったんだけどねえ。」
「もー、しょうがないなあ。」
ゼロは太郎の背から降りて、女性に近寄った。
そしてクルクル回りながら叫んだ。
「ウルトラ☆ミラクル☆ゼロちゃんチョーップ!」
空中元彌チョップレベルの技なのに、女性はボフンと霧散した。
「おおーっ、凄い凄い!!!」
エリアマネージャーが拍手をする。
「あのお、すんませんが、ひとつお聞きしたい。
何で今、これをしなけりゃいけないんですかあ?」
ゼロの問いに、エリアマネージャーが改めて答え直す。
「いや、だから売り上げに響くぐらい・・・」
「じゃなくてー!」
ゼロがイライラしながら言う。
「おめえには私が見えてるだろうけど
他の従業員やお客には見えてないと思うよー?
おめえさ、端から見たら、無言の青年にしつこく話しかけて
ひとりではしゃいでいる気色の悪いオヤジなんじゃない?」
「ああっっっ!」
周りを見回し、その冷えた視線に大慌てするエリアマネージャー。
続く。
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亡き人 1 10.11.17