• 亡き人 12

    ゼロと血まみれちゃんは、公園に来ていた。
    「アパートからちょっと離れているけど来れたねえ。
     うちら半径どれぐらいまで移動できるんだろうねえ?
     んで、基準って何なんだろう?」
     
    考え込むゼロに、血まみれちゃんは首をかしげる。
    「まあ、その実験は、追々やってみよう。
     血まみれちゃんも、今度アルゼンチンやってみてよ。
     太郎んとこに行けるかどうか。」
     
    いやいや、と首を横に振る血まみれちゃん。
    「したくないの?」
    うんうん、とうなずく血まみれちゃん。
    「えーと、何でかな。」
     
     
    しばらく考えたゼロが言う。
    「1.血まみれちゃんの土着は太郎じゃない
     2.血まみれちゃんは、そもそも地縛していない
     3.マジでアルゼンチンに行けそうだから
     4.迷子になったら困るから
     どれ?
     1? 2? 3? 4?」
     
    血まみれちゃんは、1と4でうなずいた。
    「迷子になった事があるの?」
    うんうん
    「そん時、どうやって戻った?」
    いやいや
    「自動的に?」
    いやいや
    「戻ってないの?」
    うんうん
    「じゃ、迷子のまま?」
    うんうん
     
    ええ・・・?
    じゃあ、血まみれちゃんは浮遊霊って事?
    血まみれちゃんに移動制限はないんか?
    私は地縛霊?
    でも太郎に呼び出されるよねえ?
    ゼロは益々考え込んでしまった。
     
     
    「て言うかさ、考えてもわかるわけないじゃん、って話だよねー。」
    ゼロが顔を上げて、血まみれちゃんの方を見ると
    血まみれちゃんが青ざめていた。
     
    「ちょ、何フリーズしてんの?」
    血まみれちゃんの顔の前で、手の平を上下させた時に
    その目が一点を見つめているのに気付き、振り返るゼロ。
     
    視線の先には、真っ黒の巨大な綿菓子のようなものが
    ウニャウニャしながら、こっちへゆっくりと近付いて来ていた。
     
    「あ、あれ何? とか質問しているヒマがあったら
     とっとと逃げるべきじゃない?」
    ゼロが慌てる程に、“それ” は嫌な雰囲気をかもし出していた。
     
     
    「逃げろ! おい、血まみれちゃん、正気に戻れ
     とにかく逃げろ、あれ、ヤバいって!!!」
    ゼロの剣幕に、血まみれちゃんがようやく反応した。
     
    「おらおらおらおら、全力で遁走せえーーーーーーっ!!!」
    ゼロの叫びに、血まみれちゃんも必死で飛ぶ。
     
     
    次の瞬間、血まみれちゃんがヨロめいた。
    「って、ああっ、浮いてるのに何でコケる!」
    前を飛ぶゼロが振り返りつつ突っ込む。
     
    血まみれちゃんはコケたわけではない。
    黒綿菓子から伸びた手みたいなものに捕まれたのだ。
     
    「ああああああ、触手プレイきたーーーーーーーーっ!!!」
     
     
    もうゼロ、ピンチ過ぎて、わけわからん状態。
     
     
     続く。
     
     
    関連記事: 亡き人 11 10.12.16
          亡き人 13 10.12.22
          
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          亡き人 1 10.11.17  

  • ソフィーナ・ボーテ デイプロテクター

    日中用美容乳液 という名の日焼け止めである。
    SPF24 PA +++
     
     
     
    (容器に貼ってあるのは、使い始めた日。
     こうやって、開封した日を記しておかないと
     忘れて古いやつを使ったら、肌トラブルを起こしかねんぞ。)
     
    この日焼け止めには、4種類の使い心地があって
    私が使ってるのは、環境依存文字の “Ⅳ” という種類で
    一番しっとりするという “とてもしっとり”。
     
     
    SPFは30あれば、日常使いには充分だが
    これは24しかない。 惜しい!
     
    だけどこれは、今まで使った日焼け止めの中で
    初めて白浮きをしなかったものなのだ!!!
     
    理由は、カネボウと共同開発をした
    ・・・何だっけ? 網目状にカバーする仕組み?
    忘れたけど、そういう技術らしい。
     
    が、そういう事はどうでも良い。
    そうやって能書きタレてる割には
    効果が感じられないのが、美容製品の基本。
     
    でもこの日焼け止めは、本当に白浮きしないのだ!!!
    ちょい安物のパール粒大を2度塗りしてもだ!
     
    ただSPFが24なので、おでこ、鼻筋、頬、あご
    とハイライトを塗る部分には
    体用にと買った顔にも使えるSPF50を重ねている。
     
    普通の日焼け止めは、きちんと白浮きをするので
    ハイライトの役目を果たしてくれる。
     
     
    そして、この日焼け止めを絶賛するもうひとつの理由。
     
    乾燥しない!!!
     
    今まで、どんな保湿をうたおうが
    日焼け止めは乾燥していた。
     
    “しっとり” とか言ってるやつに限って
    表面ベットベトのくせに、皮膚内部がカッサカサという状態になる。
     
    付けていて、ピキピキ突っ張るは
    内部乾燥小ジワは出来るは、表面ベトつきでメイクはヨレるは
    紫外線さえ防げれば、崩れメイクの化け物で良いんか!
    と、荒れ狂いたくなったものである。
     
    ところがこれは、つけていて表面はベットベトだけど
    肌内部のピキピキがない。
    キシキシもしない。
    私の使ってるのが、“とてもしっとり” だからかも知れない。
     
    つけていて乾燥しない日焼け止めというのも、初めてだ!
    あ、オーガニック系ではあったけど
    あれは日焼け止め数値が信用できないんで、除外。
     
     
    でもこれは、日焼け止めではなく
    “日中用美容乳液” なんだよな。
     
    真夏にはSPF24は、不安。
    買ったのは真夏だけど (日焼け止めはなくなる前に買い置き必須)
    使い始めたのが、10月26日なので目安にはならんかも知れんけど
    日焼けは防げている。

    (すまん、最近はマスクとサングラスで
     日焼け止めすら塗らずに外出してるんだ・・・。)
     
     
    んでな、“美容乳液” と言うものは
    ・・・・・・落としやすい!!!
     
    汗、涙、脂 等の、つゆダク状態には弱いだろうけど
    オーガニックのミルククレンジングで落ちる!!!
     
    これ、クレンジングに弱い乙女たちには、すっげえ朗報だろ。
    あの、よくわからん自然派のミルククレンジングで落とせるんだぜー。
    これだけでも価値があるんじゃねえ?
     
     
    と言うか、カネボウもこの白浮きしない技術を持っているはずなので
    花王かカネボウで、高SPFで透明の日焼け止め出てるんじゃないか?
     
    私は今後は、日焼け止めはこの2社のどっちかにするよ。
    他社が真に効果のある新技術を開発しない限り。
     
    でも外国ブランドは止めとく。
    これが外国のだったら、5800円とかしてたはず。
     
    安価で高機能、さすが日本企業だよな!
     
     
     
    11.4.26追加
    すまん、私がここで言ってるのは
    “とてもしっとり” タイプに限る事だった。
    他のタイプのは、ちまたの日焼け止めと変わらん使い心地だ。
     
    私のお勧めは、“とてもしっとり” のみ、という事で
    夏場は高SPFのに、この “とてもしっとり” を
    混ぜて使う、という方法をするつもり。
     
    このシリーズの “とてもしっとり” 以外を使うんなら
    高SPFのを使った方が良いと思うぞ。
     
     
    関連記事: しっとりする日焼け止め 11.11.9
     
     
     
     
     
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    ソフィーナボーテ UV 
     
     

    評価:

    ソフィーナ


    ¥ 2,940

    コメント:この “とてもしっとり”、これだけが白浮きなし乾燥なしの素晴らしい使い心地。 このシリーズのこれ以外のタイプはシリコン特有のスルスル感がババア肌を引きつらせるんで、他の日焼け止めと変わらないぞ。 お勧めは “とてもしっとり” のみ!

  • 亡き人 11

    山口は食堂でキョロキョロしていた。
    ゼロの策を実行するためである。
     
    あ、いたいた。
    山口はとあるテーブルに近付いた。
    「ここ、座っても良い?
     ひとりで飯食うのって、もう寂しくってさあ。」
     
     
    テーブルに座っていた男性たちのひとりが答えた。
    「良いけど、いつもの仲間はどうしたの?」
    「んー、俺が霊が見える、って言ったらバカにされてさ。
     今ハブられてんのよー。」
     
    あはは、と笑う山口に、向かいに座っていた男性がギョッとした。
    「もしかして、この前の講義中のあれ、見えた?」
    「え? おまえも見えてたの?」
    驚いたように言う山口だったが、実は演技である。
     
     
    ゼロが山口に教えたのは、この子の事であった。
    「ほら、おめえの2列前の斜めのとこに座ってた黒ブチメガネに
     黒いトレーナーを着たヤツ、いたろ?
     そいつ、大口開けて驚愕してたよ。」
    「えーと、福島の事かな?」
     
    ゼロは、そいつと友達になれ、と助言したのである。
    「見えるヤツ同士、気が合うかもよ。
     うちの太郎ほどじゃないけど
     割とマトモそうなヤツだったしね。
     おめえに必要なのは、そういう友達だと思うぞ。」
     
     
    その福島が言う。
    「あの時はほんと驚いたよー。」
    「あのズクブンブンだろ?」
     
    山口の適当な言い方を、福島は訂正した。
    「ズグダンズンブングン。」
    「おまえ、正式名称よく覚えてるな。」
    「まあね。 とにかくあんな霊、初めて見たよ。」
     
    山口と福島が喋っているところに、通りがかりの女性が口を挟んだ。
    「霊って?」
     
    福島が慌てて言い訳をする。
    「いや、たまにヘンなものが見える気がする、って話で・・・」
    「弁解しなくても良いよ、あたしも “視える人” だから。
     で何? どっかに出たの? 近寄らないようにしたいから教えて。」
     
     
    「へえ、見える人、結構いるんだー?」
    福島が驚くと、山口の後ろのテーブルに座っていた女性が
    振り向いて言った。
    「見えるなんて、普通言えないもんねえ。」
     
    「え? じゃ、きみも?」
    更に驚く福島に、女性が笑った。
     
    「見えるなんて言うと、変人扱いだよお。
     その人なんて、実際ハブられたらしいじゃない。
     考えなしに振舞うと、そうなるんだよねー。」
    グサグサッときて落ち込む山口を、まあまあと福島が慰める。
     
     
    「で、どこに出たの?」
    「いや、講義中にズクダンズンブングンを踊る霊が出たんだよ。」
    「ズク・・・?」
    「ほら、お笑いコンビのこういう・・・。」
     
    ズクダンズンブングンの説明をする福島に、山口が勝ち誇ったように言う。
    「へっへーん、俺、あの霊と知り合いなんだー。」
    「え? そうなの?」
    「うん、あれ、長野の守護霊なんだぜー。」
     
     
    「と言うわけで、俺たち、心霊研究会を発足しましたー。」
    「だから何でここに来る!!!」
     
    正座する一同を見て怒り出すゼロに、長野が慌てる。
    「いや、皆ゼロさんを見たい、って言うから・・・。」
     
    はああああーーー、とイヤミっぽい溜め息を付くゼロ。
    「恩を仇でキッチリ返しやがる。
     チャラ男はこれだから・・・。」
    「いや、せっかくだから長野にも仲間になってもらいたいんだよ。」
     
    ジロリと睨むゼロに、一同が萎縮する。
    「当の太郎はどうなの?」
     
    いきなり話を振られて、慌てる太郎。
    「え? ぼく? あ、えっと、バイトとかで忙しくて
     あまり付き合う時間が出来ないと思うんだけど・・・」
     
    「長野の事情は話しておいたから、邪魔はしないようにするよ。」
    山口が言うと、周囲もうんうんとうなずいた。
    「え、あ、じゃあ、よろしくお願いします・・・?」
    流される長野に、ゼロがほくそ笑んだ。
     
     
    心霊研究会のメンバーは、山口を入れて4人だった。
    例の黒ブチメガネの福島に、岡山と石川という2人の女の子。
     
    九州がおらんな、とゼロは思った。
     
     
     続く。
     
     
    関連記事: 亡き人 10 10.12.14
          亡き人 12 10.12.20
                
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          亡き人 1 10.11.17  

  • 低反発ウレタンスポンジ

    ウレタンスポンジを激しくプッシュする。
    いや、スポンジをズブズブ押しているわけじゃなく
    買え、と推しとるんだ。
    はあ? と思われるだろうが、まあ聞いてくれ。
     
    どっかで、網戸の網の掃除にはウレタンスポンジが良い、と読んだ。
    多分ネットで、重曹の使い方を調べていた時だと思う。
    私の場合、必ずソースの場所を忘れ
    二度と在りかを探れないのだが、今回もそうだった。
     
    まあ、お店の人に訊けばわかるだろ、と
    ホームセンターに行った。
     
     
    「ウレタンスポンジはありますか?」
    「何に使うんですか?」
    「掃除です。」
    「はい、こちらです。」
     
      × 2
     
     
    それぞれ、連れて行かれた場所は違うけど
    目の前には必ず “メラミンスポンジ” が、いた。
     
    おどれらは、私がウレタンとメラミンを勘違いしてると???
     
    ・・・うん。 こうなると、自分を疑い始めるさ。
    もしかしてウレタンじゃなくて、メラミンだったんだろうか?
    “ドイツの主婦が絶賛”“掃除に!” って、書いてあるし
    ひとつあっても便利かも、と手に取る。
     
     
    その瞬間、脳裏にフラッシュバック。
    「これ、ものすごい吸水力があるんだぞ!」
    と、兄が目の前で、いきなり床にコップの水をジャバー。
    手には豆腐のようなスポンジが握られている。
     
    うちの兄、マジで “紙一重” じゃないか、と
    こういう時によく思う。
    てか、うちの家族でマトモなのは私だけだと思う。
     
    そんなリスクの高い実験は
    風呂場とか流しとかベランダでやれば良いのに
    何で屋内の、しかもリビングでするんだか・・・。
     
     
    吸水力は、フツーーーだった。
    もう、普通としか言えないぐらいに普通。
    フローリングの床に、腰の高さから水を撒いたので
    水が四方八方に飛び散り
    兄は大部分に渡って、拭き掃除をせねばならなかった。
     
    数年後、そのスポンジを深夜のTVショッピングで観たが
    もちろん私はヌルい笑みを浮かべつつ、眺めるだけだった。
     
    そのスポンジは、何故だか洗面所の流しの蛇口の側に置かれ
    常に水気に晒されている割には
    カピカピに乾燥して硬化し、なおかつ青カビを生やすという
    複雑な状態になったまま、オブジェと化していた。
     
    そして関西のスーパーで見かけては
    実家の洗面所を思い出すという
    ノスタルジックな存在になったのが、乾燥高野豆腐である。
     
     
    メラミンスポンジは、あの洗面台のあいつじゃないのか?
    袋を凝視したけど、質感がちょっと違う気もする。
    が、とりあえず、カゴに入れる。
     
    そしてスポンジというと、メラミンに案内する人類に失望し
    自力で店の隅々を歩きに歩いて
    ようやく工具系売り場で、ウレタンスポンジを見つける。
     
     
     
    また、わかりにくい写真ですまんが
    左の袋と右上の白いスポンジが、メラミン
    約138×300×32mm が2枚入りで398円。
    ミンティアのすぐ下の黒っぽいのが、低反発ウレタン
    30mm×100mm×100mm で380円
    そのまた下のが、ポリウレタンスポンジ
    20×100×100mm で、58円。
     
    ウレタンスポンジは、低反発の衝撃吸収というのと
    ポリウレタンってのと、2種類あったので
    とりあえず両方買ってみた。
     
     
    これで何をするのかっちゅうと、網戸の網掃除である。
    集合住宅のベランダには、水道はないもんで
    いっつも網戸の網は、網戸拭きシートで適当にやってたんだ。
     
    だけど汚れ、落ちないんだ。
    正直、諦めてたんだよ、網。
    と言うか、むしろその汚れでベタついて
    くもの巣のように、虫を絡め取ってくれるものだと信じたいよな!
     
     
    さて、この3種のスポンジで、網戸拭きをやってみた。
    水に塗らして絞り、軽く軽く網の表面を撫ぜる。
     
    メラミンスポンジ、ゴシゴシしないと汚れが取れないので
    網がたわむ、つまり網戸が傷む。
    ポリウレタン、こいつは何の効果どころか変化すらなかった。
    金をベランダから遠投した気分にさせられた。
     
    あの情報は、また勘違いなのか?
    そうガッカリしつつ、一番期待していなかった
    低反発ウレタンで網を撫ぜた時に、それは起きた。
     
     
    網の汚れが、スポンジに沿ってヨレていくのだ。
    撫ぜ終わったら、汚れが消しゴムのカスのように
    スポンジのフチに付いている。
     
    こここここここれが噂の汚れ落ちかっっっ!!!
     
    うちの網戸、網が張られていないかのように存在感がないぜ!
     
    その内、締めてる事を忘れて
    ベランダに出ようと蹴り破るんじゃないだろうか
    と言うのは言い過ぎ。
    どんだけ透明な網だよ?
     
     
    さて、残り2つのスポンジの処遇だが
    ポリウレタンは、床やタンスの水拭きに使った。
    禁煙した & 貧乏 なんで、水だけで良いよね?
    という逃げ由来で。
    (重曹は、いまだに使い方が定まらず。)
     
    困ったのが、ホームセンター一押しのメラミンである。
    能書きを読んでみると、「塗装面などは止めてーっ」 と書いてある。
    どうやら研磨作用があるらしい。
     
    おいおいおいおい、そんなん、うちの安物合板家具にはキツくねえ?
    おお、ガラスや鏡には良いんか。
    ・・・・・・・・どういう風に・・・・・・・・・・?
    (ガラス用洗剤も買っておいて、本当に良かったよ。)
     
     
    メラミン、鍋やコップ、陶器の食器ぐらいにしか使えねえ。
    しょうがないので、洗浄を怠っていたヤカンを擦ってみる。
     
    もう、中学生男子真っ盛りより擦ったのに
    あああああすいませんすいませんカッとしてつい反省しております
    コゲた部分は取れない。
     
    ワシワシ擦ってると、ボロボロと崩れてくるし
    ヤカンが5mmキレイになるごとに
    周囲が30mm汚れていく。
     
    私にこいつは使いこなせねえ。
    美容業界ではメラニンが悪者だが
    私の世界では、メラミンが敵となる。
     
     
    私が感動した、ウレタンスポンジは
    エーテル系ウレタンフォーム と書いてあり
    “消臭効果を持つ備長炭入り衝撃吸収低反発” という
    おめえ本当は何者なんだ? と思わせる肩書きである。
    WAKIという大阪の会社のメイドインジャパン。
     
    こいつ、多分、床に敷いて消音するやつだと思う。
    ごめんな、共存すべき運命なのに、網になすりつけて。
    でも来年も頼むよ。
    (保存劣化がなければ、何年か使えると思う。)
     
     
    網戸の掃除には、低反発ウレタンを強力に奨励する。
    何で “テイハンパツ” 限定なのかは、正直わからん。
    “低反発” を一発変換しない、このキーボードも謎だが
    何より、うちの網戸の汚れが取れたんだから、しょうがない。
     
    低反発ウレタン、どこの家庭にも1つはある気がする。
    枕とか、寝具やクッションに入ってないか?
    隅っこを切って、・・・いや、止めろ。
    そこまで高いものじゃないんだから、買え。
    ホームセンターに走れ!
     
      ↓ ヤフーではあったぞ、低反発ウレタン。 衝撃吸収低反発ウレタンフォーム-希望サイズ販売-

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     ↓ 念のための、スポンジサンプルセット
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    アマゾンでも探してみたけど
    これは、“低反発” かどうかはわからない。
     

    評価:

    イノアックリビング


    ¥ 978

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    コメント:網戸掃除に、低反発ウレタンスポンジを激しくお勧め! これが低反発かはわからないけど、このようなもの、という無責任な見本。

  • 亡き人 10

    「ただいまー、ゼロさんいるー?」
    帰ってきた太郎の後ろから、山口が顔を覗かせた。
    「ちぃーっす。」
     
    「太郎ーーー、霊だけじゃなく、息してるクズまで連れ込むんか?」
    「何? その容赦ない評価。 ひっでーーー!」
    山口が怒る横で、太郎が困ったように説明をする。
     
    「いや、何かゼロさんにお願いがあるらしくて・・・。」
    「ほーら、出会ってすぐに頼み事だよ。
     ほんとチャラ男のするこって。」
     
     
    「勘弁してくださいよー、俺マジで今、窮地なんすよー。」
    そっぽを向いて鼻をほじるゼロに動揺しつつ、代わりに太郎が訊く。
    「何かあったの?」
     
    「うん、ゼロさんが大学に来た日があったろ?
     あの日から俺、仲間にハブられてんだよ。」
    「え、どうして?」
     
    「あの後、仲間に長野と何を話してたのか訊かれて
     俺、正直に言ったんだよ、長野の守護霊が来てた、って。
     そしたらウソ付き呼ばわりされてさ。」
     
    太郎があらら、という顔をし、ゼロはフンッと鼻で笑った。
    「だから俺、ゼロさんが本当にいる、と証明したくてさ。
     写真、撮らせてくんねえ?」
     
    ゼロが、はあ? という顔をしつつ突っ込んだ。
    「そんでおめえ、私の写真が撮れたとして、それでどうするわけ?」
    「だから、その写真でウソじゃないと証明して・・・」
     
    「また仲間に入れてくれ、ってかー?
     アッホじゃないのーーー?」
     
     
    ゼロが、正に容赦なく畳み込んだ。
    「おめえさ、仲間といて騒いで楽しい、って日々だったんだろ?
     それは良いよ、楽しい事は良い事だからな。
     でも自分が理解出来ない、ってだけで仲間外れなんだろ?
     そういうヤツらとは、未来のない関係なわけじゃん。
     人は皆同じじゃないんだから、必ず理解し合えない事が起こるぜ?
     ダラダラ付き合って、何年もムダにするより
     今の内に離れた方が、傷が浅いと思うぞー。
     良かったじゃん、早くにわかって別れられてさ。
     今度はもちっとマトモなヤツと付き合えよ。」
     
    「マトモって、どんなヤツだよ?」
    「そりゃ、うちの太郎みたいなヤツさ。」
    今度は太郎が、はあ? という顔をしてゼロを見た。
     
     
    「おめえの今までの仲間ってさ、学生ん時は華やかでも
     社会に出たらペーペーの新人で、実績もなく埋もれるのさ。
     そんで日々のルーティンワークで、お互い疎遠になって
     久々に会おうって言われたら、大抵マルチか宗教の勧誘なんだよ。
     何の役にも立たねえどころか、大迷惑を掛けられるわけさ。」
    ゼロのあまりの極論に、太郎はあっけに取られた。
     
    「その点こういう真面目くんは、つきまとわない裏切らない面倒見が良い
     三拍子揃った理想的な友人になれるんだよ。
     その上に太郎はな、弁護士志望なんだぞ。
     社会に出た時に、特殊資格のあるヤツはすんげえ役に立つぞ。
     いいか、よく覚えておけ。
     社会に出てからチヤホヤされるのはなあ
     学生ん時とは比べものにならないぐらいに気分良いぞおーーー?」
     
     
    悪魔のような顔をして、ヘッヘッと笑いながら言うゼロに
    山口はつい洗脳されてしまった。
    「そうか、長野、俺と友達になってくれ!」
     
    え? と、固まる太郎の背後からゼロが即断する。
    「はい、太郎ちゃんはダメー。」
    「え、何で?」
    驚く山口。
     
    「バカチャラ男ーーー、私の言った事を聞いてたか?
     太郎は理想的な友人だけど、おめえは太郎にとってどうなんだよ?
     太郎はな、勉強とバイトで大変なんだよ、邪魔すんな。
     真っ当になる事が出来てから、出直してこい!」
     
    「あ・・・、そっか・・・。
     俺も長野にとって良い友人にならなきゃだよな・・・。
     でも、俺、ひとりは寂しいよ・・・。」
     
    その言葉に血まみれちゃんが、ピクッと反応した。
    ゼロがそれを見て、ちょっとほだされる。
     
    「・・・しょうがねえなあ、よし、サービスしたるわ。
     あのな、良い方法があるんだ。
     私、教室でブクブクズンズンを踊ったろ?
     あの時にな、すんげえ驚いていたヤツが数人いたんだよ。
     そいつらには私が見えてたと思う。
     そこでな・・・」
     
     
    ゼロにヒソヒソと案を授けられた山口は、喜んで帰って行った。
    わからない展開に唖然としている太郎に、ゼロが言う。
    「あの山口とかいうヤツ、あいつ案外、良いヤツっぽいぞ。」
    「何でそう思うんですか?」
     
    「教室でのあいつの最初の言葉、覚えてる?
     嘲笑でも好奇心でもなく、太郎の体調を案じていたろ?
     それに太郎の名前が長野太郎だって知っても、からかわなかったじゃん。
     仲間の質問にも本当の事を言ってるしさ
     あいつ、育ちの良い素直なヤツだと思うぞ。
     自然に気遣いが出来るヤツって、良い友人になれるんじゃないか?」
     
     
    ゼロの言葉に太郎が憮然として答えた。
    「友達なんていなくても良い、って言ってたくせに・・・。」
    「無理に作ろうとする必要はない、って事だよ。
     ついてきた縁まで断ち切るのはもったいなくねえ?」
     
    「縁?」
    「そう、縁。
     血まみれちゃんや私とのような、な。」
     
    ゼロはニヤッと笑った。
     
     
     続く。
     
     
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          亡き人 1 10.11.17  

  • 人生相談 27 してもらって当然

     <質問>
     
    私が友人だと思っていた人が、
    実はものすごい依存癖の持ち主であると発覚しました。
    彼女は、人に物を頼みません。
    「お願いします」が言えないのです。
    いつも「これが困ってるのー」「どうしよう」「私にはできないんだー」など
    常に相手からのアクションを待っていると言うか、
    誘っているようなことしか言わずに助けを求めます。
    そして人にやらせている状況なのに、
    「思うとおりに作業が進まないのー。ムカつくわぁ」と言うのです。
     
    それに気づいたとき、私はがつんと言いました。
    そうしたら、彼女は私にはそれをしなくなりました。
    もちろん、依存癖に気づいていない他の人にはしますが。
     
    ある日、私が彼女に「悪いんだけどこれ手伝って」と頼みました。
    そうしたら彼女は「君にはできないよ。Aさんに頼みなよ!」と第三者を出してきました。
    そのAさんというのは、まだ知り合って3回も会ってないような人です。
    確かに私が手伝って欲しいといった作業について、Aさんはセミプロの方ですが、
    私は自分で時間を掛ければできると思ったので、手伝いを彼女に頼んだのです。
     
    ちなみに、彼女とAさんはただの知り合い程度の関係です。
    手伝いたくないならそう言えばいいのに、どうして第三者を出すのでしょう。
    どうして、そう簡単に人を使うことをするのでしょう。
    自分の依存癖を私にも押し付けてきたような気がしました。
    そう思ったら物凄く腹が立ってきて、私は席を立ちました。
     
    これまでも彼女はいろいろなことをいろいろな人におんぶにだっこで、
    何度も私は説教をしてきました。
    一時同居していましたが、生活もだらしなく、
    これに関しても何度も注意してきました。
    汚しても拭かない、出してもしまわない、お皿をきれいに洗えない、などなど。
     
    しかしこの時に堪忍袋の緒が切れました。
    正直、今海外で同僚として仕事をしていて、
    彼女が私の車に同乗して通勤していなければ、さっぱり切りたいくらいです。
    それでも、仕事上でもプライベートでも付き合いをしていかなければなりません。
     
    今は公の場では口を利きますが、私的な時間では話しを避けています。
    でも彼女は他の同僚さんに「最近○○(私)が車では口を利いてくれないの」とこぼしていたそうです。
    ここは私が大人になるしかないのでしょうか?
    彼女に私が怒った事情を説明して、安易に他人を使ってはいけない、と言えばいいのでしょうか?
     
    恐らく、切るのは簡単なのでしょう。
    でもあしゅらさんのお言葉にもあったように、
    他人を変えようとするよりも自分が変わるべきなのでしょうか。
     
    私もそのほうが丸く収まることは理解できます。
    でも、どうしても私は自分が折れるような気がしてそれができないのです。
    ここ最近、そこで堂々巡りを繰り返しています。
    頑固なことは自覚していますが、どうかアドバイスをいただけましたら幸いです。
    よろしくお願いいたします。
     
     
     <回答>
     
    何と! 実はこの私にも似たような友人がいた。
    私は “気付かない人” なんで、漠然と
    「何でこいつといても楽しくないんだろう???」 
    と、長年モヤモヤしていたよ。
     
    引っ越す度に、何となく言わないでおくんだけど
    そいつは実家に電話して、私の行方を追うんだよ。
     
    普通、引っ越し先を教えない、ってのは
    遠ざかりたい気持ちの表明だろ。
    だけど、そいつはそれに気付かないのか
    気付いてても、こっちの気持ちはどうでも良いのか
    平然とくっついて来るんだ。
    「あなたって、そういうトコあるよね~。」
    とか、自分が私のザツさをカバーしているかのように言いつつ。
     
     
    で、どっかに行くなら車で送り迎え当然、とか
    長距離ドライブでも、高速代とかガソリン代とか出さない、とか
    自分からはメールを寄越しても
    私のメールには返事をしない、とか
    待ち合わせは必ず遅れる、とか
    呼び付けといて、自分は風呂に入って
    親に書類を手渡させる、とか
     
    こんぐらいで怒るのは心が狭いんかな?
     
    と思わせてくれるような事を、色々としてくれたんだけど
    どうにも心の重荷になってたんで、追求したんだ。
     
    私にしては、遠慮深くだったけど
    相手、全否認なんだよ!!!
    もう、ここらへん、さっぱり理解できなかった。
     
    忘れてるのか、ウヤムヤにしたいのか、どっちであれ
    「それはさせない」 と言ったら、絶交されたよ・・・。
     
    いや、切れるのは願ったり叶ったりなんだけど
    絶交の言葉に、もうすんげえ傷付いたさ。
     
     
    相談者の、その彼女
    切れる時も、ものすごい傷をくれると予想する。

    百害あって一利なし、の
    まるでタバコのようなヤツだと思う。
    付き合うにしても切るにしても
    ロクでもない事しかしでかさない、と透視するぜ。
     
     
    だから、今の私なら切る。
    (てか、そういうヤツは追ってくるんで
     向こうから切ってもらうのが理想だけど。)
    だってその時が最後の傷になるし
    その後が、とってもスッキリだから。
     
    理由の説明など、そんな親切はしないな。
    何をどう言っても、好き勝手な解釈をしてくれるだろうし
    関わるだけ、労力のムダだと断言するよ。
     
     
    “他人を変えようとするより、自分が変われ”
    これには、2つの相反する意味があるような気がする。
     
    そいつを受け入れる or まったく気にしなくなる。
    どっちも自分の気持ちの持ちようだけど。
     
    仕事上の繋がりがあるなら、「切れ」 は不可能だろうから
    私は、“まったく気にしなくなる” をお勧めする。
    その彼女は、変わらないと思う。
    相手にしないで、やり過ごすようにした方が良い。
     
     
    他の人々も、相談者の態度の理由には気付くはず。
    それを良しとするかは、業務に支障をきたさないんだったら
    見て見ぬふりが多数だろうから、問題はないと思う。
     
    彼女を相手にするその中でも、はっきりと拒絶できない人が
    彼女につきまとわれる運命を背負う事にもなるんで
    さっさと事務的な関係に終始したのは、正解だと思う。
     
    通勤も見捨てれば良いと思うの (はぁと)。
    私なら、そうする。
     
    良い事、不思議なぐらいにないんだよ、そういう相手との付き合い。
     
     
    友人知人からの迷惑、経験してる人、多いと思う。
    体験談、対策、進行中などなど、ちょっと聞かせてくれんか?
     
    あっ、管理人ぷらちッとかいねは発言禁止!!!
    私の事がボロボロ出てきそうで恐いからだ!
     
     
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     
    人生相談は、あまり受け付ておりませんが
    ご相談はメールでお願いいたします。
     
    相談前に、私の他の記事をご一読ください。
    こういう “私” に相談する、というその選択について
    もう一度よくお考えくださるよう、お勧めします。
     
    アドレスはプロフィールにあります。
    件名に、「人生相談」 と入れてください。
    迷惑メールに紛れる危険性がありますので、何とぞ。
     
    匿名で結構です。
    いらん個人情報ばかり書いてこないで
    肝心の相談内容の情報の方にこそ気を遣ってください。
     
     
    なお、ここの相談では、通りすがりの人にも回答されます。
    むしろ、回答を通りすがった人に丸投げする事もあります。
     
    なので相談後の意見、返事、報告等がありましたら
    出来れば記事のコメント欄に書いていただけたら、ありがたいです。
    答えた人ここを読んだ人全員、結果を気にしていると思いますので。
     
     
    ※ 相談内容を転記の際、状況によって
      伏字、改行、修正などをさせていただく場合があります。
     
    ※ 精神的に打たれ弱い方はご遠慮ください。
     
     
    注: たまにこちらからのメールが届かない人がいますが
       その “私ブロック” を解いておいてください。
     
     
     <通りすがりの人の、回答上の注意>
     
    偽名、匿名、無記名で結構ですので
    相談内容に沿った、ご自分の意見、経験を教えてください。
     
    貰った意見をどう解釈して取り入れるかは
    相談者が勝手に決めて良い事なので、意見を書く人は
    相談者に一方通行の贈り物をするつもりでお願いします。
     
    相談者には相談者の個性や性格があるので
    願ったものとは違う答を出しても
    助言がムダになったわけではないのです。
     
    相談者が意見募集を締めた後も
    似たような状況の人も関係ない人も、何かの参考になって
    皆が何かを得る事ができたら良いな、と願っておりますので
    いつでも経験談などの意見を書いてくだされば、ありがたいです。

  • 亡き人 9

    「うーん、ゴリ押しなら得意だけど
     よく言うじゃん、水商売のところには霊が集まりやすいって。
     今いるのを追い払っても、また次のが来るんじゃない?
     専門家にお祓いをしてもらった方が良いかもー。」
     
    ゼロがのんきに答えると
    ガッカリしたエリアマネージャーが、首を振った。
     
    「もう、全店舗してもらったんだよ・・・。
     だけどこうやって時々、怪奇が起きるんだ。
     我々の業界では、仕方のない事だと受け止めてはいるんだが
     たまに客足に影響を及ぼすので、良い対策が必要なんだ。」
     
     
    店長が口を挟む。
    「お話し中、申し訳ありませんが、誰と喋っておられるんですか?」
     
    エリアマネージャーは店長に言った。
    「きみには見えていないだろうけど
     ここに彼の守護霊だと言う人がいるんだよ。」
     
    「はあ・・・。」
    店長は困った顔をした。
     
     
    「この人、絶対にあなたの事をキ○ガイだと思ってるよー。
     見えない人って、大抵そういう反応をするらしいし。」
    「ゼロさん!」
     
    太郎が慌てて止めると、エリアマネージャーが嘆いた。
    「私だって、見えなければそう思うと思うよ。
     こういう能力を持っているのは、本当に辛いんだ。」
     
    「でも逆に、その能力があるからこそ
     他の人には分からない解決法を示せて、出世できたんじゃないの?」
    「ゼロさん!」
     
    再び慌てて止める太郎に、エリアマネージャーが言う。
    「いや、良いんだよ。 確かにそうなんだから。」
     
    「ヘンな霊がいると、見えない人でも違和感を感じて
     寄り付かなくなる事って、ありえるもんね。
     人材やお客がそれで減ると、死活問題だよねえ。」
     
    「そうなんだよーーー。」
    エリアマネージャーとゼロは腕組みをしつつ、うなずき合った。
     
     
    「ところで、きみにはここの状態はどう見えるんだね?」
    「んーーーっと、コソコソしたヤツらが3体いる。」
    「3体? 私には1つしか見えないんだが。」
     
    「何か強いのが1つ居ついていて、他のを呼び寄せているみたいな感じ?
     よく聞くパターンよね。
     お祓いだけじゃなく
     結界みたいなもんを張る必要があるんじゃないかと思う。」
     
    ゼロの言葉に、エリアマネージャーは考え込んだ。
    「どうも、その必要があるみたいだな・・・。」
     
     
    「解決したんなら、私は帰るよー。」
    帰ろうとしたゼロを、エリアマネージャーが慌てて呼び止める。
    「ちょっと待ってくれ。」
     
    「何?」
    「実はあと数店舗、不審なところがあるんだ。
     私にはそこまで見えないので、一緒に来て見てくれないか?」
     
     
    「えええーーー? 霊の身分になってまで働きたくないーーー。」
     
    渋るゼロに、エリアマネージャーが太郎の方に提案した。
    「特別手当を出すから、そういう仕事の時には
     きみ、助手として一緒に来てくれないか?」
     
    「えっ、特別手当ですか?」
    太郎はゼロの顔を仰ぎ見た。
     
    「・・・さすがエリアマネージャー
     その肩書きはダテじゃないヤリ手よねえ。」
    イヤミを言いつつ、ゼロは渋々と承諾した。
     
    「太郎には迷惑を掛けているし
     宿代ぐらい工面しろ、って事かあ・・・。」
     
     
     続く。
     
     
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          亡き人 1 10.11.17  

  • 酒乱

    ようやく今日になって、海老蔵事件に追いついたんだけど
    とんだ浦島太郎になっとるが
    これは今が12月なのと、アフィリとツイッターと
    小説に苦労していたせいである。
     
    商品使用レポは、次々にポンポン出るんだけど
    もう、小説の文章が浮かばねえ浮かばねえ。
    欲望に目が眩むと、芸術 ← ! はダメになるんだな・・・。
    よし! 私の死後に評価してくれ!!!
     
    あっ、↑ は格好つけて言ってるだけで
    今、たった今、チヤホヤしてくれても一向に構わんのだぞ?
     
     
    さて、たわごとはこれぐらいにして
    海老蔵の謝罪会見、鼻で笑わせてもらうぜ。
    断酒したら、本当に反省していると認めてやるわ
     
    酒乱の父親を持った身として!!!!!
     
    断酒、出来るか? それは出来ないだろ?
    ものすごく理由付けして、飲酒は続けるよな?
    海老蔵、酒乱だろ?
    酒乱は死んでも治らないね。
     
    一般家庭内での話にとどまらず
    仕事上でも、色んな人に迷惑を掛けたのだから
    断酒以外に反省の態度はない! と断言しちゃるよ。
    一般家庭でも、ああいうのがひとりいると地獄なのに・・・。
     
    と言うか、アルコールって毒だと思う。
    本当にそう思う。
    度を過ぎると、というけど、適度な飲酒をしてる人は
    仮に酒がなくなっても生きていけるはず。
     
     
    うちの父親は酒乱だった。
    暴力こそなかったけど、絡み酒というか
    叫ぶ怒鳴るで、毎晩毎晩、本当にうっとうしかった。
     
    昼間は沈着冷静で威厳があって
    不正を許さず、真っ直ぐで平等で公平で崇高な人なのに
    アルコールが入ると、豹変するのだ。
     
    まあ、一日中あの “正しさ” を保てるなど
    神さま以外には出来ないだろうけど
    相反するふたつの人格が、一人の人間の中にあるなど
    レイジング・ケイン! (多重人格者の映画)
     
    ちなみに面白いのがな
    シラフの時は、酔っている時の事を一切覚えてないんだよ。
    でも酔ってる時は、酔っている時の大昔の事まで覚えている。
    うちの父には、同時進行で2つの歴史があったわけだ。
     
    ほんと、ああなると病気扱いをして良いと思う。
    のむ・うつ・かう このどれも、ひとつでもやってるなら
    手を出すべき相手じゃない。
     
     
    子供の頃に、親の知り合いの人が私にプレゼントを送ってくれて
    お礼の手紙を書きなさい、と親に命じられた。
    その時に私が書いた文章は
     
     パパは毎晩お酒を飲みます
     お酒を飲んだパパは恐いです
     ママはよく泣いています
     パパの事は好きだけど、お酒を飲んだパパは嫌いです
     私はパパにお酒を飲まないでほしいです
     
    もう、お礼全然関係なく
    自分でも何でそういう事を書いたのか、わからないけど
    バカガキなりにストレスを溜めて、SOSを出したんだと思う。
     
    しかし、うちの親はこっからが凄かった。
    とうちゃんは、酒量がいつにも増して多くなり
    かあちゃんは、そういう文章を書いた私を怒り
    泣きながら、欺まん的なお礼を書き直させられたのだ。
     
     
    まあ、手紙の書き直しは当然だけど
    その後も何の変化もなかったので
    愛娘の悲痛な叫びにも応えられない酒乱は、不治の病だぜ。
     
    真の共産主義だから、あまり我が子への愛はなかったようだが。
    ・・・とか書いてると、ロクでもねえ親だよな
    うちのとうちゃん・・・。
    昼間はとても尊敬できる、子にとって誇らしい父親だったんだぜ。
    ・・・夜になって酒さえ飲まなければな・・・。
    (“~しなければ良い人”、周囲のこの感覚が更正の機会を奪う)
     
    倫理的には、母親をも責めたいところだが
    現実問題、かあちゃんの気持ちも立場もわかるんで
    もう、ただひたすら、家族は耐えるしかなかったんだよな。
     
    だから、最初からそういう物件には手を出さない方が良い。
    素人じゃ手に負えないし、治らない。
    愛でも乗り越えられない事はある。
    希望はない。
     
     
    ところで、私はアル中になる要素を持っている気がする。
    父親は夜しか飲酒をしなかったけど、アル中だったと思う。
    その血を、私は受け継いでいる。
     
    酔わないし、味も嫌いだし、体調が悪くなるだけなのに
    飲み始めたら、毎晩飲まなきゃ気が済まないし
    酒量がどんどん増えていくからである。
     
    幸い (?) 肝臓がイカレているし
    酒類も酒飲みも大っ嫌いなので
    そういう場所にも人にも、近寄りたくもない。
     
    このまま酒が存在しない人生で、生涯を終えられたら良いなあ。
     
     
    “父親が酒乱” って、結構な苦労だけど
    感性の鈍いガキだった私は、あまり深刻には受け止めていなかったんだ。
    要所要所で、イヤな想いはさせられたけどさ。
     
    こういう、せんで良い苦労をしている人に言いたい。
    おめえのその苦労さ、すげえ武器だぜ。
     
    たとえば今回、一生懸命に謝っている人を
    鼻で笑うなんて、凄え非人道的な所業だろ?
    だけど私には、誰もそれを言えない。
     
    だって私には、“酒乱の父” という印籠があるからだ。
    「あなたに酒乱の家族を持った者の気持ちがわかるの?」
    これを言われたら、私系のヤツ以外は黙るしかねえよな。
     
    ああ? 私は反論できるよ。
    何? その被害者ヅラ、って。
    おめえの気持ちがわからないと、こっちは物も言えんのかよ? って。
     
    私は鬼畜だから、自分の弱みを武器にも出来るわけで
    そういう事をしているヤツには、何の同情もせんで良し。
     
    ただ特殊な苦労は、ここぞという時に使えるよお?

    と、いらん伝授をしとるわけだ。 ほっほっほ

  • 亡き人 8

    ゼロが喋りまくり、血まみれちゃんがうなずく
    そんないつもの光景を繰り広げているところに、太郎が帰ってきた。
     
    「ただいま。」
    「あ、おかえりー、・・・って・・・。」
    ゼロが不審な表情になった。
     
    「何ですか?」
    「太郎ーーー、いっつもいらん霊を連れてくるな、って言ってるくせに
     自分は浮気してんのかよ?」
     
    「え? 何なんですか?」
    太郎が、またこいつは訳のわからん事を・・・と思いつつ
    バッグを床に置いて、着替え始めた。
     
     
    「気付いてないの?
     憑いてきてるよ、後ろ。」
    「えっ?」
    慌てて振り返る太郎。
     
    何も見えないのだが、そう言われると何となくイヤな雰囲気がする。
    血まみれちゃんは部屋の隅にうずくまり、震えている。
     
     
    「出てけっ!!!」
    ゼロの一喝で、急に空気が澄んだ気がした。
    「憑いてきてたんですか?
     気付かなかった・・・。
     そういやバイトの途中から寒気がしてたんだけど、あの時からかなあ?」
     
    「太郎、ほんと憑かれやすいんだからー。」
    ケタケタ笑うゼロだが、太郎は笑い事じゃない、と思った。
    急に体が疲れたりする事もあったし
    きっと今までも、こうやって知らずに憑かれていたのかも知れない。
     
    普段は騒がしく、うっとうしいだけだが
    こういう時にはゼロさんがいてくれて良かった、と思う太郎だった。
     
     
    「バイト、憑いて来てくれませんか?」
    太郎のお願いを、ゼロはあっさり断った。
    「いや。 今日は寒いもん。」
     
    「寒い・・・んですか?」
    「うん、寒い。
     何で心霊話が夏の特番なんか、よくわかったよ。
     冬場は寒くて、霊、出たくないんだよ。」
    「え、そうなんですかね?」
     
    「絶対そうだって!
     基本うちら死んだ時の服装なわけじゃん。
     真冬にノースリーブとか、やってらんねえ、って感じ。」
     
    そういうゼロの服装は、長袖Tシャツにジーンズである。
    「ゼロさん、長袖じゃないですか。」
    「コートがないとイヤ!」
     
    あーもう、どうにも出来ない事で我がままを言われても・・・。
    太郎はしょうがないので、ひとりで出掛けて行った。
    バイト先には、夕べの霊がいるかも知れないので
    今日はゼロに一緒にいてほしかったのだが。
     
     
    「そんでね、ナパーム弾ってのは焼夷弾の事で
     有名になったのはベトナム戦争での話からだけど
     実際の歴史はもっと古くて・・・」
     
    血まみれちゃんに、霊には何の役にもたたない熱弁をふるっていたゼロが
    一瞬、あっ・・・ と、つぶやいた。
    次の瞬間ゼロの姿が消え、血まみれちゃんはすごく動揺させられた。
     
     
    その “次の瞬間” には、ゼロは居酒屋にいた。
    何? ここ
    目をパチクリさせてとまどっていると、後ろで声がした。
    「あっ、ゼロさん?」
    振り返ると、太郎がいる。
     
    「・・・・・?
     私、何でここにいるんだろう?
     アルゼンチンに行こうとしてたわけじゃないのに。」
    「あ・・・、すいません
     多分ぼくが呼んだんだと思います。」
     
    更衣室にいたら、ドアのところに霊らしきものが出て
    とっさに 助けて! と思ったらしい。
     
    「もしかして、最初の血まみれちゃんの時もそう思った?」
    「あ、そうかも知れないです。」
    ハッとする太郎に、ゼロが首を振る。
     
    「太郎ー・・・、霊に遭った時に弱腰じゃダメだよ。
     そんなんだから付け込まれるんだよ。
     ま、いいや、その更衣室に案内して。」
     
     
    「ここなんです。」
    「どれどれ。」
     
    中に入ると、中年男性がふたりいた。
    「店長とエリアマネージャーの人です。」
    太郎が小声でコソッと言う。
     
    「何か用かね?」
    店長が太郎に問う。
    「あ、いえ、その・・・。」
     
    太郎がどう言い訳をしようか迷っていると、ゼロが言った。
    「ね、こっちのおっさんと、やたら目が合うんだけど。」
     
    こっちのおっさん呼ばわりされたエリアマネージャーの
    驚きを見て、ゼロが確信した。
    「ああー、やっぱこの人、私が見えてるわー。
     こんばんはー。 いつも太郎がお世話になっておりますー。」
     
     
    深々と頭を下げるゼロに、エリアマネージャーがおそるおそる訊ねる。
    「この女性は誰なんだ?」
    「えーと、ショートヘアの20代女性なら
     その・・・、ぼくの守護霊みたいなものなんです・・・。」
      
    「ゼロでーす。 よろしくお願いいたしまーす。」
    ゼロがえらくドデカい猫をかぶる。
     
    「じゃ、最近のここでの不可思議な出来事はこの人のせいなのか?」
    「私じゃねーよ!」
     
    即座に猫を投げ捨てたゼロを押し留めながら、太郎が慌てて言う。
    「いえ、さっきぼくがここにいたらイヤな気配がしたので
     それを察して助けてに来てくれたみたいなんです。」
     
    「じゃ、この人ならここにいる霊を追い払えるのか?」
    エリアマネージャーの表情に、期待が浮かぶ。
     
     
     続く。
     
     
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          カテゴリー 小説
                   
          亡き人 1 10.11.17  

  • 手帳

     疲れて帰宅したら、 TVで手帳の特集をやっていた。
    最近のスケジュール管理は、アナログな人が多いんだと。
     
    だから最初から私が言ってるだろうーーー
    段取りは、“紙に手書き” に勝るものはないと。
     
     
    という私の手帳は、20歳ぐらいの時に
    2万円台で買った、このシステム手帳。
      
     
     
    あの頃の私に、告げに戻りたい。
    「おめえ、そうやって調子ぶっこいて
     ホイホイ高級品を買ってるけど
     おめえの老後は、その手帳1個の金額が
     1ヶ月の食費なんだぞ。」 と。
     
    年寄りの貧乏話など物悲しいだけだが、これが現実である。
    食えてるだけマシと思え、っちゅう話である。
     
     
    そんな私だが、最近はメモぐらいにしかこの手帳を使わない。
    何故かというと、ババアは1m進むのに2.6秒ぐらい掛かるので
    そんなモタモタしたヤツは
    1日の予定を複数こなせないからである。
     
    まだ、すべき事の1個ぐらいは忘れずにいられるので
    ババアの予定管理は、カレンダーにポストイットで充分なのだ。
     
     
     
    この方法の欠点は、1日が終わり
    ポストイットを剥がす時に、寿命も1日剥げ落ちた気がするところ。
     
    きっと頭髪に悩んでいる人は
    朝起きた時の枕目撃で、この気分を味わうのであろう。
    (枕に抜けた頭髪がバラバラ落ちているんだと。)
    お互いに限りある資源の持ち主同士、支え合って生きていこうな。
     
     
    と言うか、最近の手帳の利用法って
    シールだの色ペンだので、えらく華やかで
    私がやってた、黒一色の読めない走り書きでしかもビッシリ
    というのとは、訳が違うようである。
     
    そういや、この傾向はメールの文面にも現れていて
    私より年上の人が、文節ごとに絵文字を入れてくるんだよ。
    それも、どっかでダウンロードしたらしき、チマチマ動く絵文字。
    とても華やかなんだけど、私の脳内で処理しきれんわ!
     
    相手は相手で、私の事を愛想のないヤツ
    もしくは携帯技が使えないヤツ、と思うておる事であろう。
    そのどっちもが当たっているのが、ほんと腹立たしいが
    それに追いかぶせて、私は基本、無粋なんだ。
    可愛いものに興味がないんだよな。
     
    私が好きなのは、“格好良い” 事で
    これは一歩間違えば、とんでもないマヌケになる諸刃。
    女の子 ← ! は、素直に “可愛い” を
    目指した方が、傷が少ないと思う。
     
    ・・・何の話だったっけ?
    “なりたい自分” じゃないよな?
     
    今朝のご飯、何だったけ?
    いかんいかん、物忘れが・・・。
    (話の収拾が付かなくなってきた時の必殺技、体得!)
     
     
    TVでは、手帳の達人という男性が
    手帳を使い始めたきっかけを
    「毎日、同じ事の繰り返し」 だと言っていて
    それを聞いた時に、ものすごーーーく羨ましかった。
     
    同じ事を繰り返せる事が、どんなにありがたいか
    戦争とか病気とか貧困とか、しごく正当な理由抜きに
    ただ、“性格” のみでだけで言っても、とても羨ましいよ!
     
    何故か知らんが毎日毎日、何らかのトラブルが起こって
    それはどうやら、自分だけのせいで
    周囲に迷惑を掛けると、必ず自分も痛い目に遭って
    世の中にはグッスリ眠れている巨悪とて、大勢いるだろうに
    いっちょ何かやらかすと、いっちょ必ずバチかぶって
    ああ・・・、人生に疲れたんだけど
    平均寿命ってキッチリこなさにゃいかんのかなあ?
     
    私・・・、トラブルメーカーなんだよな?
    自分では、その原因がまったくわからないんだけど
    私は天然でもドジッ子でもないんで
    人に迷惑を掛けまくる、そういう流れの日々が
    むっちゃくちゃ辛いぞ。
     
     
    最近とみにグチグチ言うて、すまんが
    これはきっと老人性の気分の落ち込みであろう。
     
    黙って、黙って聞き流してくれ!
    だがしかし、心に余裕あるならば
    ロコツなお世辞じゃない、上手いウソで慰めてくれ。
    (私だって、自分が褒められたヤツじゃない事ぐらいわかってるさ。)
     
    あ、やっぱ慰めるの、待って。
    1mm慰められると、10m昇るんで
    また調子こいて、ロクでもねえ事をしでかしそうで恐いんだ。