• 黒雪姫 31

    ズシャズシャズシャッ と折り重なるように
    どこかに落とされた黒雪姫たち。
     
    「あいたたたたた・・・。」
    「何でこんなに投げ回されにゃならんのじゃ。」
    「損しかしてない気分じゃ。」
    「と言うか、次はどこなんじゃ?」
    「うう・・・、周りを見るのが恐いぞ。」
     
     
    目を開けると、下は木の床だった。
    見上げると、目の前にドレスを着た女性が立っている。
    「女王じゃあ!!!」
    キャアキャア言って、右往左往する小人たち。
     
    「「 うるさい !! 」」
    女性と黒雪姫が同時に怒鳴った。
    だるまさんが転んだ で、ピタッと止まる小人たち。
     
     
    「・・・うっとうしいわね・・・。
     さすが、あなたのツレね。」
    「お褒めいただき光栄ですわ、お継母さま。」
     
    「何ーーーーーーーーっ?」
    「お継母さまじゃとーーーーーーーっ?」
    「ラスボスはあんたの継母じゃったんか!」
    どよめく小人たちを、継母と姫がギッと睨む。
     
     
    睨まれた小人たちは、部屋の隅にジワジワ追いやられつつも
    各自がひとことは余計な感想を言わなきゃ気が済まないようで。
    「迫力はさすが似ておるな。」
    「言動も一緒じゃ。」
    「本当に継母か? あれで血の繋がりはないのか?」
    「・・・と言うか、あの話、覚えているか?」
    「何じゃ?」
    「ほれ、事の発端の美人争い。」
    「ああ・・・、そうじゃったな・・・。」
    「このレベルでのお・・・。」
     
    「「 聴こえているんだけど? 」」
    「「「「「「「 すっすいませんーーーっ。 」」」」」」」
    ズザザザザと、あとずさりする小人一同。
     
     
    「姫のお継母さまでいらっしゃいますか。
     お初にお目にかかります、私、北国の王子です。
     どうぞ、お見知りおきを。」
     
    片膝を付き頭を下げる王子に、継母の顔が少しほころんだ。
    「あら・・・ (はぁと)」
     
    「(はぁと) じゃないですわよ、この色ボケババア。」
    黒雪姫の罵倒に、継母が微笑んで言う。
    「鉄板処女よりマシでしょう、ほほほ。」
     
     
    30cmの距離で睨み合う継母と娘。
    「美人争いですって?
     ペラペラとよくも・・・。
     口が軽い女はモテなくてよ?」
     
    「おほほ 勘違いババアほどイタいものもありませんわ。
     私は自分のツラの偏差値ぐらい、わきまえておりますから。」
     
    ビシビシビシッと火花が散る。
    こ、恐すぎる・・・ と2人以外の全員が縮み上がった。
     
     
    「で? あなた、何故生きているのかしら?
     ああ、いえ、それは後ほど瞬殺するから良いとしても
     何故ここにいるのかしら?」
     
    継母のその問いに、黒雪姫が怪訝そうな顔をする。
    「お継母さまが私たちを呼んだのではないのですか?」
    継母は、は? と笑った。
    「何故あたくしがあなたを呼ばなきゃならないのかしら?」
     
     
    継母から目を逸らさずに、黒雪姫が問う。
    「ここはどこですの?」
     
    「ここはあたくしの塔ですわよ。」
    「城の・・・?」
    「ええ。」
    黒雪姫の口の端がピクッと上がった。
     
    「そこだあっ!!!」
     
    黒雪姫が振り向き様に、ヒジで鏡を割る姿が
    スローモーションのように展開された。
     
    「あな た な  に   を     」

    継母の叫びが、途切れ途切れに耳に入ってくる。
     
     
    飛び散った鏡のカケラのひとつひとつに
    全員の驚く顔が映りこんでいた。
    カケラは渦を巻いて鏡台の中へと吸い込まれて行った。
     
    後に残ったのは、鏡面のない鏡台だけだった。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪姫 30 10.10.5
           黒雪姫 32 10.10.12
           
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           黒雪姫 1 10.7.5    

  • ババアの言葉遣い

    このブログでの私の言葉遣いは悪い。
    一見、10代のチャラ男がわめいているようである。
     
    ところが現実は、あらビックリ!
    ナイスバディで上品で知的でストイックな
    淑女なのだよ、“あしゅ” 様はよー。
    (自分を様付けで呼ぶヤツに限って、悲惨な死を遂げる。
     参考文献 : 北斗の拳 )
     
    使ってる言葉も言ってる内容も、ブログとリアルでは違う。
    根本の思想を隠して、リアルではオトナな言動をしているのだ。
     
     
    ・・・最近までは、そう思っていた。
    出るとこに出りゃ、キチンとふるまっている、とな。
     
    だがな、正確な敬語が使えないどころか、日本語が不自由なあげく
    空気が読めない、根回しする知能がない私が
    それを出来るわけがなかった・・・。
     
     
    この前、ちょっとかしこまった状況になってさ
    しばらく話をしていて、打ち解けてきて
    気を抜いたつもりはなかったんだけど、つい出た語尾。
    「 ~ じゃなくないですかあ?」
     
    言った瞬間、あっっっ!!! と思ったよ。
    おめえはどこの女子高生なんだよ? と。
     
    もちろん相手はジェントルマンなんで、気にしない風に
    話を続けてくれたけど、もうこっちの心中は大パニックだよ。
    こうなると私はモロい。
    もうガラガラと崩れていったさ、大人の言葉遣い。
     
     
    久々に大恥をかいた自覚がある経験をしたが
    そこでちと考えてみた。
     
    私の年代ってさ、同じ世代でも
    何だかすごく老若が入り混じっているんだ。
    生活や感覚の幅も、えらい様々っちゅうか
    不思議なぐらいに統一感が感じられない年齢層なんだよな。
     
    それでも友人同士の会話だと、お互いに素で話せるから
    「えー、それはねえだろ、って感じじゃねえ?」
    とか、普通に喋っていられるんだけど
    これは、夫婦間とごく親しい友人ぐらいまで。
     
    それより遠い関係になると、普通の大人の言葉遣いに
    きっちり切り替えている。
    敬語に動揺するのも私ぐらいである。
     
     
    ネットで年齢極秘の理由は、ほんと書きたくないが、これなんだ。
     
    「この歳でこの言動?」 と思われるのがイヤだからである。
     
    本当なら、見てみい、この肌 このナイスバディ とか
    実年齢込みの大自慢大会を開きたいんだが
    そういうカラ威張り欲求より
    “常識” という、世間の目への恐怖の方が強い。
     
    “個人差”“個性” などというキレイ事で済まんほど
    やる事なす事、あまりにもアホ過ぎるような気がする。
    自覚はあるんだが、性格は中々直らんでなあ・・・。
     
    ババアである事は、かろうじてカミングアウトしているが
    具体的に明かせば明かすほど、非難の目も具体的になりそうで恐いのだ。
    贅沢を言うようだが、反面教師にだけはなりたくねえし。
     
     
    自分の実年齢と実情のギャップでの葛藤が激しく
    毎年更新ゆえに年齢計算に困るけど、歳を取るのは嫌いではない。
     
    またアホくせえ事を言うが、私の子供時代には
    世界は1999年7の月で終わるはずだったのだ。
    それがここまで生きている、という感動があるからである。
     
    まだ、2012年とか色んな説は残っているが
    何となく、世界の終末は個人的にしか来ない気がする。
    病弱病弱言うヤツに限って、命汚く長生きするもんだしな。

    ・・・関係ないけど、弱弱 ← この字面、腸みたいじゃねえ?
     
     
    それにな、おめえが言うな! な事をヌケヌケと言うが
    リアルでは、年齢、大事だぞーーー。
    都合の悪い事など、全部歳のせいに出来るようになるんだから。
     
    嫌われる年寄りNo.1のようなドス黒い野望だが
    何かのせいにせにゃ、やっとられん事って多いじゃん。
    他人のせいにするのは、シャレにならんので
    年齢って、丁度良い生け贄的存在なんだよな。
     
    美容マニアとしては老化は敵だが
    ロクデナシとしては絶大な切り札なんで
    天秤にかけたら、歳を取ったら年寄りブる方がラクなのである。
     
    全面的に確実にトボケを善意解釈してもらえる年齢に早くなりたい
    と願うが、それまでにちょっとでも人格を整えとかんと
    人々の許容範囲も底なしじゃないからな。
     
     
    結局、私にとって年齢がどういう位置付けなのか
    さっぱりわからん文章になってしまっとるが
    心配すな、書いた本人にもまるっきりわからん。
     
    年老いていくというのは、辛い事も多いが
    それをどう受け入れるかの一例として
    私のやり方も参考になるんかもわからんが
    ひとつだけはっきりしているのは
    マネはせん方が良い、って事かな。

  • 黒雪姫 30

    輪になって、クッキーやサンドイッチをつまんだ後
    何も食べるものがなくなっても、誰も立ち上がろうとはしなかった。
     
    ひどく疲れているのもそうだったが
    どこに行って何をすれば良いのか、見当も付かなかったからである。
     
     
    そんな中、黒雪姫はボンヤリと遠くに見える森を眺めていた。
    今座っているここは、草もまばらな小石の多い土地である。
     
    足元の土を掻いてみる。
    えらく硬い。
    作物も実りにくい、痩せた土地に見える。
     
     
    どうしようか・・・
    いや、行くしかないのはわかってるし!
     
    黒雪姫は、自分に活を入れるように両頬を叩いた。
    そのバシバシという音に、一同はビクッとさせられた。
    「よっしゃあ! 行くかー!」
     
    すっくと立ち上がった黒雪姫に、小人が訴えた。
    「なあ、あんたは何をしたいんじゃ?
     何もわからずに付いて行くのは、倍疲れるんじゃよ。
     わしらにも作戦を話してくれんかのお。」
     
     
    黒雪姫は、しばし考え込んだ後にうなずいた。
    「うん、そうね、ごめんなさい。
     こういう場合は、南の方へ行くべきだと思うのね。
     温かい方が生き残れる確率が高いでしょ?
     だから私はこっちに行きたいのよ。」
     
    「そんだけの理由かい!」
    呆れる小人に、黒雪姫はムッとする。
    「サバイバル、大変なのよ?」
     
    「まあ、そりゃそうじゃな。
     じゃあ、夜になる前になるべく南下しとこうかの。」
    小人たちが次々に腰を上げる。
     
    黒雪姫は、勘のみで動いていたが
    南の森林が、どうも気になってしょうがなかったのである。
    まさかとは思うけど、見覚えがあるのよねえ・・・。
     
     
    「じゃが、今までに会ったヤツは、皆北に向かってたろう?
     北の方向に何かがあるんじゃないのか?」
    「あったとしても、それは良いものじゃない気がするんじゃが・・・。」
    「そんな事を言っとたら、解決せんじゃろう。」
     
    小人たちの議論を、黒雪姫はうんこ座りで眺めている。
    「何じゃ?」
    「いや、あなたたちが意見をどうまとめるのか、興味があって。」
     
    「多数決じゃ。」
    「・・・何だ、結局エセ民主主義なわけね。」
     
    「いるよな、こういう、平等を嫌うひねくれ者。」
    「うんうん、絶対に自分が少数派になるもんで、歪むんじゃ。」
     
    「何ですってーーー?」
    小人たちの図星に、暴力で済ませようとする黒雪姫。
    「あんたはケダモノか!」
    キャアキャア逃げ回りながら、罵倒する小人たち。
    それを あはは とノンキに見物している王子。
    ひとりで黙々と後片付けをする執事。
     
     
    突然空間にキラキラした光の渦が現われた、と思ったら
    全員を再び飲み込んだ。
    「何じゃ? こりゃあ」
    「うおっ、吸い込まれる???」
     
    「強制移動はもう嫌じゃあーーーっ」
    「じゃあーーーっ」
    「ゃあーーーっ」
    「あーーーっ」
    「ーーーっ」
     
    誰もいなくなった荒野には、小人の叫びがこだましていた。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪姫 29 10.10.1
           黒雪姫 31 10.10.7
           
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           黒雪姫 1 10.7.5  

  • ヴェリマ

    案の定のドイツのオーガニックメーカー。
    信念は、「肌をふさいどらんか~? 顔を洗いすぎとらんか~?
    振って泡立つ化粧水は合成界面活性剤てんこもりだぞ~」 他。
     
    試したのは、スターターキット アンチエイジング ¥2100
    ( ) 内は、通常品の容量と価格。
     ローズローション 15ml × 2 (100ml ¥4725)
     ハーモニークレンジングミルク 4ml × 2
                       (100ml ¥4620)
     ハーモニークリーム 4ml (45ml ¥5775)
     
    写真は・・・ない。
    真の理由は、“撮り忘れた” だが
    あんな暗くて焦点の合ってない写真なんか
    あっても意味なし、と投げやった気持ちも確かにある。
     
    まったくもって、レポータ-失格だが
    肝心の内容の方も、焦点のズレたレポばっかりやっとるので
    お似合いだよね、と、これまた
    わけわからん捨て鉢な気分になっとるわけだ。
     
     
    “フラワーウォーター” とか言うんで
    オーガニック化粧水は、水で良いんだろうけど
    肌に乗せても上滑りするだけで、まったくなじまないし
    塗っても塗ってもシットリしない。
    ほんと、これで使う意味があるんかのお?
     
    欧米と日本の “化粧水” は役目が違う、って話を聞いた事がある。
    (これはケミカルメーカーの場合の話で聞いたんで
     自然派メーカーにこの法則が当てはまるんかはわからんけど。)
     
    欧米で売られている化粧水は、“トナー” と表記している。
    ひきしめ用の収れん化粧水の一種かと思いきや、拭き取り用だそうだ。
    硬水である欧米では、水で顔を洗うお手入れ法は向いてなく
    クレンジングミルク後、トナーで拭き取るらしい。
     
    それなら確かに、水洗顔の日本式ではトナーの必要性を感じない。
    大手の化粧品メーカーは
    日本売りの商品は、日本用仕様をあえて作っているけど
    オーガニックメーカーは、まだそこまでやっていない。
    そもそもオーガニックの理論も、どうも
    “水が良くないとこ” での美容法のような気がせんでもない。
     
    日本人は水に恵まれてるのが逆に災いして
    洗いすぎによる肌荒れが問題になっているけど
    どうしても、“水で洗い流す” という行為の爽快感が捨てがたい。
    “拭き取るだけ” って事への不安感も克服しにくい。
    ここらへんが輸入美容のジレンマだよな。
     
     
    で、ここのローズローションも、水だった。
    何度も重ね塗りしたけど、ほんとサラッサラ。
     
    クレンジングは時間を掛けてやれ、だそうで
    クソ高いローズローションでの拭き取りや、蒸しタオルの使用が
    説明書に書いてあったけど、そんな事やっとられるか!
    と、普通に使ったら、普通のクレンジングミルクだった。
    伸びがちょっと悪いけど、匂いも少なく、ロゴナのより刺激もなし。
     
    フラワーウォーターとクレンジング、この2つのアイテムは
    比較的、メーカーによる違いがあまり出ない。
    正直、どこのでも良いぞ。
    真に個性を発揮するのは、クリーム類のような気がする。
     
     
    ハーモニークリームは、昼用の保護クリーム。
    匂いはちょっとキツいけど、万人向けの花の匂い。
    特筆すべきは、開けてビックリの、ドオレンジ色!
     
    カロチンによる色だから心配ないよー、と書いてあるけど
    塗ったら、顔全体がミカンを食べ過ぎた人色に。
    この上にいつものメイクをして出掛けたら
    「顔、黒いよ」 と、人に言われる始末。
     
    でも、この色って、青黒い顔色の補正に良いんじゃなかろうか。
    ヒゲ剃り跡の青々隠しとか。
    ニューハーフや、女装趣味の人にお勧め。
    すんげえ保湿力で、日焼け止めのキシキシ感を防いでくれるし。
     
     
    このメーカー、何か惹かれるものがあるんだけど
    どの商品も価格お高め。
    ハーモニークリームもメイク前の保湿要員として欲しいけど
    使用期限が短そうで、すぐ腐れそう。
     
    目元用美容液など、30ml ¥8925 と、ランコム並。
    平民には、たまにスターターキットを買うぐらいかなあ。

  • 黒雪姫 29

    ひと段落ついたと思ったら、すぐにスタスタと歩き始める黒雪姫。
    「姫、ウサギも駒も皆あちらの方に走って行ったのに
     何故にこちらへ行くんです?」
    王子が質問をする。
     
    「んー、気分?」
    上の空で答える黒雪姫。
     
    「それよりさあ、私の真後ろを歩かないでくれる?」
    「何故ですか?」
    王子が、そのままの位置を動かずに訊く。
     
    「あなた、剣持ってるでしょ。
     そういう人に後ろにいてほしくないのね、私ゴルゴ系だから。」
    「は?」
    「いいから!」
     
     
    執事が見かねて王子に進言する。
    「王子、武器を持ってるのは我々だけですし
     確かに気持ちの良いものではないでしょう。
     我々は少し離れて歩きましょう。」
     
    「む、そういうものか?
     しかしそれでは姫を守れぬではないか。」
     
    「王子、この姫はそういう事を言うと怒るタイプに見えます。
     どうか、じいの言う事を信じてください。」
    執事が王子の耳元でささやき、王子は仕方なく黒雪姫から離れた。
     
    「あんた、誰に対しても平等にひどいのお。」
     
    「いちいちそういう事を言いに来るのは
     自分にもひどい事をしてほしい、って意味よね?」
    黒雪姫の眼球がゆっくりと小人の方を向く。
    小人は慌ててすっこんだ。
     
     
    10人もいるのに、無言のまま通夜のように進んでいたのだが
    王子が遠慮なく声を上げた。
    「お腹が空きませんか?」
     
    「おお、そういえば腹が減ったのお。」
    「ちょっと一服するか。」
    無言だったが、黒雪姫も立ち止まった。
     
     
    お茶会の残り物を皆で食べていると、黒雪姫が王子に話しかけた。
    「武器は何を持っているの?」
    「私は長剣と短剣、じいは鞭と調理道具ぐらいですかね。」
    王子は剣とナイフを抜いて見せた。
     
    「では、そのナイフを私に貸してくれる?」
    「これをですか?」
    「そう、そのダガー。」
     
    「しかし、か弱い女性が刃物など持たずとも
     私がお守りしてさしあげ・・・。」
     
    王子が渋って中々渡さないので、黒雪姫が切れる。
    「うっさい!
     できるなら大ナタぐらい欲しいとこなのよ、こっちは!
     いいから、さっさと貸せ!」
     
     
    ビビッた王子の手からダガーナイフを奪い取ると
    腰に挿しながら言った。
    「返せなかったらごめんねー?」
     
    「あーあ、ありゃ返す気サラサラないぞ。」
    「とうとう刃物を持たせたか・・・。」
     
    小人たちが背後でささやいた。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪姫 28 10.9.29
           黒雪姫 30 10.10.5
           
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           黒雪姫 1 10.7.5    

  • 尖閣諸島衝突問題

    中国の気持ち、私にはよくわかる。
    ボスは下の者に、自分が上だと
    たまに思い知らせないといけない。
     
    じゃないと、どこまでなら許される? と
    逆に試されるんだよ。
    犬を飼っていた時の経験だ。
     
     
    日本は犬ではない。
    でも中国は日本を手下だと思っている。
    兄弟の中でも、言う事を聞かない
    デキの悪い子供のようなものだ。
     
    だから “念押し” をしているのだ。
    おまえはうちの属国なんだよ、と。
     
     
    理由は上記だけど、必要以上に中国が
    ギャアギャア言う事になった、真の原因は
    小沢が、総理になれなかったからだと思う。
     
    中国マンセーの小沢が総理になれば
    やりやすい事この上ないからである。
     
    ニュースでは、意識的にか無意識にか
    “管総理、外交問題で初めての難題”、とか言ってるけど
    本当に管総理は嫌がらせをされているわけだ。
     
     
    この問題の対応を誤れば、進退問題にも発展しかねないが
    管総理は強く出られるわけがない。
    何故ならば、管総理は韓国寄りだからだ。
     
    韓国の事大主義では、中国 > 韓国 > 日本 である。
    これは、地理的に優劣が決まるらしい。
    中国に近いほど偉いんだそうだ。
     
    この説が、果たして本当なのかはわからんけど
    東京周囲の都会争いを見てると
    偉いものに近いほど偉い、という感覚も
    アリなのかも知れない。
     
    だから自分 (韓国) も大人しくしてるのに
    自分より下の小日本が中国に逆らうなど、ありえない
    というのが、韓国の言い分なので
    管総理はその意に反する事はしないであろう。
     
     
    この尖閣諸島の衝突問題は、小沢が動いて収まると予想する。
    いずれにしても、管内閣は支持を失い短命で終わる。
     
    党首選挙で負けた小沢は、政治生命も危ぶまれていたけど
    こういう隠し玉を持っていたわけだ。
     
    所属党を潰してまでも、自分の思い通りに事を動かす、
    この野心は、一国の総理として必要な心意気だけど
    中国の犬にしか思えないので、支持は出来ない。
     
     
    と言うか、民主党は一枚岩じゃないと言われるけど
    中国寄りか韓国寄りかの違いなだけで
    私からしたら、全員売国奴にしか見えない。
     
    何故、愛国心のある政治家が育たないのか
    敗戦というのは、こういうものなのか
    情報操作を軽んじる国は、こういう目に遭うのか
    本当にニュースを見ると落ち込む。
     
     
    で、この問題、どう対応すれば良いか、と言うと
    もう船長を釈放しちゃったので、後は無視しかない。
     
    だけど尖閣諸島に自衛隊を配備する
    絶好のチャンスだと思うんだ。
     
    私的には、工場その他は中国に作るより
    東南アジアに移すべきだと思っているので
    これも良い機会である。
     
    取引相手の比重を1国に偏らせるのが
    どんなに危険な事か、これでよくわかっただろう。
    しかもその相手は、技術も知識も遅れているくせに
    自分の方が上だと言い張る、わけわからん相手なのだ。
     
    何事も、リスクを減らしたいのなら
    重量を何箇所にも分散すべきである。
     
     
    これで無視 & 自衛隊配置 & 工場移転 とか
    ケンカを売ってるようにしか思われないだろうけど
    ここで日米安保条約がどう機能するか、確認できる。
     
    黙って奴隷になり下がりたくないのなら
    いつかは通らなければならない道である。
    我々国民は、政府がどう動くのか見守って
     
    ・・・・・いきたくない。
    ニュースを見ると落ち込むばかりで、寿命に悪いんだ・・・。

  • 黒雪姫 28

    ありがとうございますありがとうございます、と頭を下げる元女王を
    良いからさっさとどっか行け、と追い払った黒雪姫は
    「これ、結構重いわねえ。」
    と言いながら、まるで帽子置きに置くように何気なく
    王冠を小人の頭にポンと乗せた。
     
    小人の服が、ポンッと赤いドレスになった。
    「きゃああああああっっっ!!!」
    慌てる女王小人に、うろたえる6人の小人。
     
     
    「何じゃ、これ、取れんぞ?」
    パニックになって、ワアワア泣き喚く女王小人の王冠を
    全員でどうにか取ろうとするが、取れない。
     
    「うーん、呪いの王冠かもね。」
    サラリと言う黒雪姫に、小人たちが抗議する。
    「あんたのする事は、考えられんぐらいにひどすぎるぞ!!!」
     
    小人たちの心の底からの怒りも
    黒雪姫に取っては、下僕の不平不満でしかない。
     
    チェスの勝負をし直して、黒雪姫が女王になるべきだ
    という意見も、ひと睨みで一蹴された。
     
     
    「大丈夫。 ここの親玉を倒せば呪いも解けるでしょ。
     てか、あなた、その駒たちの主人になったのよ。
     家来がいっぱいできて良かったじゃない。」
     
    黒雪姫の能天気な言葉につられて
    女王小人もあさってなグチを言う。
    「でも、ここで待たなきゃいけないんじゃろ?」
     
    「誰がそんな事を決めたの?
     駒にボードを持たせて移動すりゃ良いんじゃん。」
     
    「え? そうなんか?」
    「ルールも決められないなど、女王さまとは言えないでしょうー。
     気合いで頑張れ!」
     
     
    「よ、よし、あんたら、わしの後について来い。」
    女王小人が、かなり虚勢を張って命令すると
    駒たちは、ゾロゾロと女王小人の後ろについてきた。
     
    「ボード、いらないみたいじゃな。」
    「だったら無敵ね!」
    黒雪姫は、アハハと笑った。
     
    男なのに、赤いドレスを着せられて・・・?
    と、その場の全員が思ったが
    言ってもムダのような気がしたので、全員が沈黙した。
     
     
    「ねえ、女王、ちょっとこの馬に
     かぶりものを脱いでみるよう命令してみてよ。」
    「おお、駒も呪われてるかも知れんしな。」
     
    黒雪姫の無神経な言い方と
    それを注意もしない仲間に、女王小人は心底失望した。
    「マジで気が滅入っているのに
     女王とか呼ばんでくれんかのお・・・。」
     
    言った後に、やはり自分も気になるので
    とりあえず “命令” してみた。
    「ま、あんた、その馬、取ってみい。」
     
    女王小人が命令すると、馬が馬を取った。
    中から出てきたのは、色白の・・・・・
    普通のオヤジであった。
    何故かかなりガッカリする一同。
     
    「馬を取ったら、体が人間で顔だけ馬、ってのが
     出てきたら面白かったのにねえ。
     かぶりもの、必要ないじゃん! って感じで。」
     
    相変わらず、言ってはならない事を平気で言う黒雪姫を
    小人たちが無言で蹴る。
     
     
    「いつの間にか、こんな物をかぶせられて・・・。」
    「ああ、ああ、もういいから帰ってくれ。」
     
    投げやりに返事をする女王小人に
    ありがとうございますありがとうございます、と言いながら
    馬オヤジはどこかへと走って行った。
     
    ルークもありがとうございますありがとうございます、と言い略
    ポーンもありがとうございますありが略
    ビショップもありがとうご略
    以下、全員略。
    ちなみに全員、不思議なぐらいにオヤジ揃いであった。
     
     
    「・・・何だったんじゃろう?」
    「さあ? でも “駒が足りない” って言ってたじゃん。
     だから逃げる事が出来た人がいるのかな、と思ったのよ。
     と言う事は、駒自体を倒せば代わりがいなくなるんじゃない?
     って事で、暴れてみたのよね。」
     
    「ほお。」
    感心する小人たちに向かって、真面目な表情で語る黒雪姫。
    「いずれにしても人を駒にするなんて、鬼畜の所業よねっ。」
     
    「「「 あんたが言うな!!! 」」」
    7人全員がハモった。
     
     
    「てか家来もなしで、何でわしだけこのまま・・・?」
    泣きそうな顔で、女王小人がつぶやく。
     
    「ほんと、大変よねえー。」
    上っ面だけ同情する黒雪姫に、小人たちの蹴りが入る。
     
    「「「 あんたが言うな!!! 」」」
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪姫 27 10.9.27
           黒雪姫 29 10.10.1
           
           カテゴリー 小説・黒雪姫シリーズ
           
           黒雪姫 1 10.7.5  

  • 訊ねられる人

    私の外見の印象目標は “COOL” である。
     
    何でもかんでも、「かわいい~」 で済ませる
    女子高生ノリと同じようなアメリカ人の
    言う 「COOL」 ではなく
    触れなば切れん、といった冷たい印象を心掛けている。
     
    何故? って?
    私的には、それが格好良いと思うからだ!
     
    よって街を歩く時は、周囲の人全部を見下すかのような
    高飛車な表情で、ツンケンして気取って闊歩している。
    たとえて言えば、「見ろ、人がゴミのようだ」 byラピュタ。
     
    えらいケッタイなひとり芝居をしているわけだが
    これが楽しくてしょうがないんだよっ。
     
     
    日頃のこういう努力 (?) のお陰で
    妙な勧誘には一切声を掛けられず、風俗のお誘いもゼロになって
    (後半はちょっと物悲しいものもあるかも知れないけど)
    快適に道を歩けているのだが、ひとつ解せない事がある。
     
    善良な市民に、声を掛けられるのである!!!
     
    ナンパ自慢?(笑) と思ったヤツ、よく読め!
    “善良な” と書いてあるだろうが!
    そもそも私はナンパ経験は、ほぼ皆無なんだよ。
    痴漢、それもそういう単語が可愛いぐらいの変質者と遭遇する方が多い
    という悲しい人生だったさ!
     
     
    と、いらん過去の傷をえぐっとらんと、本題に入るけど
    ここで何故この人数の中から私を選ぶ?
    という状況で、声を掛けられる事が多いんだ。
     
    梅田で時間を訊かれたり
    奈良公園で道を訊かれたり
    駅で乗り継ぎを訊かれたり
    モールで公衆電話の場所を訊かれたり
     
    選挙の出口調査では、人ごみをかきわけてまで逃げに逃げたのに
    全力で追ってこられて捕まったよ。
    お互いにゼイゼイ言ってたさ。
    何故そこまでして私に?
     
    目も合ってないのに、突然声を掛けられる。
    それも、私に答えられた事が1回もない。
    時計は持ってないし、携帯電話は携帯し忘れてるし
    地元民じゃないので、道も電車も公衆電話もわからん。
     
    出口調査は、朝○新聞にはガッカリな答をガシガシ書いてあげたさ。
    いや、嫌がらせじゃなく、本音で。
    おにいさん、あ然としていた。
    自由平等を愛してそうに見えるだろうけど (どんな見え方だ?)
    私はリベラルではないんだよ、保守だよ、それもガッチガチの。
     
     
    道端で困った時に、どんな人に助けを求めるか?
    私だったら、絶対に優しそうな人だ。
    ほとんどの人が、そうだと思う。
     
    何で、寄るな触るな、と歩いている私に訊くんだろうか???
    ほんと、自分のCOOL演出が効いてないんか、と落ち込むわ。
     
    で、もしかして私って、優しそうな印象があるんだろうか?
    と思うのは当然だよな。
    友人知人に訊いてみたさ。
    「私って、パッと見、優しそうに見える?」
     
    も の す ご く 困 ら れ た よ !!!
     
    こいつは何でいつも答に困る質問ばかりしてくるんだ・・・
    と、心の声まで聴こえたよ。
    悪いのは私かよ?
    空気を読んでない迷子たちの方だろうが!
     
    ・・・ああ・・・、でも “子供っぽい” の例もあるし
    また私、何か勘違いをしてるんかも・・・。
     
    最近、ほんっと自分がわからんわ。
    以前からあまり自分を知らない気はしてたけど
    自分、誰よりもわかりにくいよ!
     
     
    もう、ほんと訊かれたくないんで、バリアを張りたいんだが
    てか、張ってるつもりなんだが、破られまくりだ・・・。
     
    せめて私にわかる質問をしてくれよー。
    毎回毎回、「あー・・・、すいません、地元じゃないもので、すいません」
    と、詫びに詫びてるよ、何もしてないのに!
    てか、ウソだよ、もう長年住んでるから地元も同然だよ
    ほんとすいません、だよ!
     
     
    にしても、歩いてるだけで謝らにゃならん人生って、どうなんだよ?
    ひとこと喋るだけで、納得されるのもムカつくんだよ。
    九州弁丸出しだからな。
    額に “九州” と書けってか?
    九州人に怒られるだろうが!
    (九州の人、同郷ですまん。 九州も結構広いよな。)
     
    はっ、まさか田舎者に見えるから、とかじゃないよな?
    田舎者に都会の地理なぞ訊かないものな。
    それに田舎者、勧誘の良いカモだよな。
    勧誘、一切来ないから、そこは安心していいよな?
     
     
    声を掛けられずに済むには、どうしたら良いんだろうか?
    人格を疑われない範囲で、対策ってないかな。
     
    考えてみると、この現象は関西に来てから起こり始めたんだ。
    東京や九州にいた時は、こんな事はなかった。
    そこも不思議。
    関西人は、私の中に何を見ているんだろうか?
     
     
    てかさ、人ごみで知らない人からいきなり声を掛けられるって
    何度されても慣れないものなんだ。
    すんげえビックリする。
    多分、顔に出てると思う。 驚きが。
    そんで答えられないから、その後の歩く方向が同じだとほんと気まずい。
     
    人が少ないところだったら、まだ覚悟ができてるんだよ。
    大勢人がいる中で、ってのが驚愕ポイントだと思う。
    それも、よりによってこの中で一番答えられないであろう私を
    ピンポイントで選ぶのも凄い確率で、それにも愕然だ・・・。
     
     
    最近、外を歩くのが恐くなってきたぜ。

  • 黒雪姫 27

    約10m四方の盤に、デカい駒が並び
    両陣営には高い審判台のような椅子に座った女王と小人がいる。
    この2人が駒の行く先を指示し
    駒はそこへとノタノタ歩くのである。
     
    黒雪姫と小人4人以外の駒は、駒の形のかぶりものをしている。
    2本の足が見えているので、中身は人間のようである。
     
     
    「ポーン、d3へ。」
    「ポーン、e6へ。」
     
    ゲームが始まったが、盆提灯みたいな形のやつばかりが動き
    ルールを知らない黒雪姫は
    ただ立っている事に、早くもイライラしてきた。
     
    「ね、このゲームって、どのぐらい時間掛かるの?」
    ナイトの位置にいる小人に訊く。
    「さあて、早くて数十分じゃないかのお?」
     
    その返事に予想通りブチ切れる黒雪姫。
    「ええーーー、その間立ちっ放し? 冗談じゃないわ!」
     
     
    黒雪姫は目の前の味方の提灯を突き飛ばし
    相手の陣地に、ドドドドドと走って行った。
     
    「提灯ゲーット!」
    叫んだ途端、黒雪姫が飛ぶ。
    そして提灯の腹に蹴りを入れた。
     
    「おおっ! 飛び蹴りじゃ!」
    「飛び蹴り、リアルで初めて見たぞ。」
    「本当に出来る技なんじゃなあ。」
     
    小人たちは、ヘンなところに感動している。
    黒雪姫と一緒にいて、感性が鈍ったのかも知れない。
     
     
    「塔も排除!」
    相手ルークの頭部を掴んで、自分の膝にブチ当てた。
    ポーンとルークは、数歩フラついて前のめりに倒れた。
     
    「な、何をしておる! やめぬか!!!」
    怒る女王を見上げて、黒雪姫が不敵な笑みで叫ぶ。
     
    「生きてる駒は、言う通りに動かない事も多々あるのよ!
     そんな事も知らずに、気軽に人を動かそうなど
     女王の心得を一から学び直してこい!
     つい最近まで帝王学を学んでいた私に勝とうなど、10年遅いわ!」
     
     
    おりゃ、馬ダウン! タージマハ-ル (ビショップの事らしい) 死刑!
    と周囲を襲う黒雪姫に、女王が肩を落として言った。
    「参った・・・。 私の負けじゃ。」
     
    「参ったんかい!」
    うなだれた女王を見て、小人たち全員が驚く。
     
     
    「まあ、参るかもなあ・・・。」
    盤上の惨劇の跡を見て、納得もする。
     
    黒雪姫はキングを掴んで、タコ殴りにしている真っ最中であった。
    周囲は、阿鼻叫喚の地獄絵さながらに
    駒がうめきながらゴロゴロ転がっている。
    恐ろしい事に、敵味方両方が・・・。
     
     
    「で? 勝った私へのご褒美は?」
    汚いマネをしておきながら
    大威張りで報酬を要求する黒雪姫。
     
    「女王・・・」
    「にはならなくて良いから、他の!」
     
    「・・・・・・・・・」
    女王は無言で目を泳がせる。
     
     
    「女王になるメリットとデメリットは?」
    黒雪姫の執拗な追求に、女王が吐く。
    「メリットは、この駒を動かせる。
     デメリットは次の人が来るまで女王を辞められない。」
     
    げっ、そんな役目を私に押し付けようとしてたわけ?
    と、黒雪姫は少し立腹したが
    すっかり落ち込んだ女王に、小人たちが口々に同情の意を表する。

    「自由にならんのか。」
    「・・・可哀想じゃのお・・・。」
    「どうにかしてやれんかのお。」
     
    ほんと、こいつら甘いんだから、と思ったが
    女性がショゲてるのは、ほんの少し気の毒なような
    そんな感じも、しないでもない。
     
     
    「わかった。 女王の任を解いてやる。
     あなたは好きなところに行けば良い。」
    黒雪姫は、女王の頭から王冠を取った。
     
    その瞬間、女王の赤いドレスはポンッと地味な服へと変わった。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪姫 26 10.9.22
           黒雪姫 28 10.9.29
           
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           黒雪姫 1 10.7.5  

  • コメント

    このサイトを作った頃は、管理人ぷらちッは
    私をネットアイドルにしよう、という野望があったらしい。
     
    ところが、言動が “これ” だし
    何より手に負えんドブサイクなんで
    機転が利くぷらちッは、さっさと諦めて放置に回った。
     
    ほんと、騙したようで、すまんだった。
    今後もその忍耐と諦めで頼む。
     
    ・・・と、これが今までのあらすじだ。
     
     
    顔も悪いが頭も悪い私は、長文が読めないので
    よそ様のブログとか、見に行かないんだけど
    先日、ネットで調べ物をしていて
    サイト運営に挫折した人の話を見つけた。
     
    カウンターは回るんだけど、反応がひとつもない。
    趣味でやってるんだから、好きでやってるんだから
    自分のためにやってるんだから、人は関係ないから
    そう自分に言い聞かせて、頑張って更新してきたけど
    ある日、この絶望的な孤独感は
    サイトをやってるせいで生じているんだ、と気付く。
     
    その人はサイトを閉じた。
    でも頑張ってきたものを消すのは、どうしても出来ず
    そのまま何ヶ月も放置していた。
     
    サイトの事も忘れかけていたある日
    孤独も薄れたので、ちゃんと削除しようと
    そのサイトを開いた。
    コメント欄に書き込みがいくつか来ていた。
     
    「どうして更新しなくなったんですか?」
    「陰ながら楽しみにしていました」
    「再開してください」
     
    何故、何故やっている時に言ってくれなかったんだ?
    ひとことでもあったら、頑張れたのに。
    今の自分には、あの孤独を繰り返す勇気はない。
    もう二度とサイトは作らない。
     
    サイトは消去された。
     
     
    このような感じの内容だった。
    通りがかった人に、「何か言え」 など、どんだけ図々しいんだよ。
    自分が好きでやってるくせに
    その上に人の評価を欲しがるなど、何様なんだ?
     
    ・・・これが正論、と言うか答なんだけど
    私には、これは言えない。
     
     
    ここに書き始めた頃は、コメントがない日が
    何週間も続く時もザラだった。
     
    私の場合は、文章を書くのは脳の整理のためなんだが
    何をするにも、誰かにちょっかいを掛けにゃ気が済まん性格なんで
    ネット上にアップしているのだ。
     
    ネットゲーム時代の仲間もいるんだけど
    コメントしづらい事ばっかり書きたれているんで
    無言もそりゃあしょうがないよな、と納得できていた。
     
    何より、私自身がよそのブログに行かないので
    うちに来て構ってくれ、など言うのは
    我ままも大概にせえ、っちゅう話だ。
     

    こう割り切っていたけれど、意外だったのが
    コメントが来た時の嬉しさなんだ。
    あまりに反応がない頃なんか、荒らしですら嬉しかったんだよ。
    あっ、誰か来て書いてくれてるーーー! って。
     
    “ジャンル・やかた” は、「続きは?」 の声がなかったら
    あのまま途中で放置していた。
    ジャンル・やかたを書き終える事で、小説を書く喜びが出来て
    今じゃ1回おきに小説をアップしている。
     
    あの 「続きは?」 のコメントには
    新しい趣味を貰ったも同然で、本当に感謝をしている。
     
    そして意見や感想、マジでやる気が出る。
    人がいるのが、その人がこっちを見ているのがわかって
    私らしくなく 「頑張ろう!」 と思える。
     
    リアルの付き合いじゃ気付かなかったけど
    人の反応って、本当に本当に嬉しいんだ。
     
     
    あっ、誤解せんでくれよ。
    コメントを書け、って言ってるんじゃないんだ。
     
    私の記事は、マジで返事に困る内容ばかりだし
    小説も読んでも、いちいち感想を言うのも億劫だろうし
    私だって本を読んで感想なんか言わないよ。
     
    だから無言で来て、無言で去って良いんだよ。
    というか、ここは元々そういう場所なんだから
    好きなように振舞ってほしい。
     
     
    だけど、上記のサイト経験者の話を読んで
    どうしても、ひとこと言いたかったんだ。
     
    私はここに、心を散らかしているだけだった。
    だけど思いがけずに、その心を拾ってくれる人がいて
    代わりに色んなものを置いて行ってくれる。
     
    それがこんなにも私にとって、“意味” を持つとは。
     
     
    皆、どうもありがとう。
     
     
     
    えーと、これは夜中に書いた恋文のようなもんだ。
    普通は朝になって読み返して
    自分の痛さに赤面して、破り捨てるものだが
    まだ目が覚めてなくて、ついやっちまう事もあるさ。