• 年齢詐称

    ここ数年、自分の年齢をとても意識している。
    子供の頃 “大人” として認識していた歳に、自分がなったからである。
     
    大人とは、教養があって思慮深くて物静かな偉人だと思っていたんだが
    どう自画自賛精神で見ても、今の自分が程遠いのが不思議でならん。
     
    どこでどう間違えたんだか、とにかく軌道修正をしようと
    「大人はこんな事しない」「大人らしく」「大人だから」 等
    キーワード “立派な大人” で、自分の言動を制限している真っ最中。
     
    そこに、“老化” という要素が加わってきて
    そりゃもう、年齢に縛られまくりである。
    私ほど年齢に囚われて生きているヤツはおらん! と断言できる。
     
     
    ところが、ここで弱点が障害になる。
    20歳を過ぎてから、自分の年齢がわからなくなってきたのだ。
     
    脳の成長は20歳で止まるという、医学的見解の証明どころか
    20歳になった途端、脳が衰え始めたのを実感した。
    医学、ちょっと間違えてねえか?
    止まるんじゃなく衰退し始めたぞ、20歳。
     
    いつも年齢を書く欄でペンが止まり、「今、何年ですか?」 と人に訊く。
    現在の西暦から、自分の生まれ年を引くのだ。
    それを誰にも知られずに、しかも暗算でせにゃならんので
    これまでに計算間違いも多々あったような気がせんでもない。
     
    自分の年齢を覚えていないなど、大人として恥ずかしく
    今何年なのかを覚えられないのも、大人として恥ずかしく
    現に真面目に怒られた事もあるので
    端から見たら呆れネタだろうけど、こっちは必死なのだ。
    皆どうやって自分の年齢を記憶しているんだろう?
     
     
    普通の知能の持ち主ならせんでも良い努力を、人知れずしてきたお陰で
    ここ数年は自分の年齢を正しく把握できている、と満足だったが
    ある時TVで有名人を観て、その人が私と同年齢だったので
    世間話の最中にそれをふと思い出し、友人に言った。
     
    そしたら友人が怪訝そうに、その有名人って何歳? と訊き返す。
    「○歳だって」「・・・? あなた○歳だと思ってたけど、違うの?」
    「え?」「何年生まれ?」「○年」「・・・同い年じゃないじゃん」
     
    何故かはわからんが、自分の歳を実年齢 + 2歳で覚えていた。
    友人には、「数え年のつもり? それでも計算違うよね?」
    とか突っ込まれて、まさか記憶違いでしたなど言えずに困るし
    それにいつから + 2歳で計算してたんか、定かじゃないけど
    年齢記入欄に、例えば 「2000年○月○日生まれ (11歳)」 とか
    わけのわからん書き込みをしまくっていたはず。
    かなりショックな出来事だった。
     
     
    ババアババアと、ブログで自嘲する繊細さ?があるのに
    現実生活では、このようにありえないミスをしているのだが
    私が年齢を気にする理由はただひとつ、恥を掻かないためだけである。
     
    真っ当な大人として生きていきたいので
    世間の評価を気にするために、年齢はひとつの目安だと考えている。
    簡単に言うと、キワモノ扱いは御免こうむりたい一心なのだ。
     
    ネットでは実年齢を隠していて
    各登録も、バラバラの年齢で行なっているけど
    その理由のひとつは、引き算がしやすい生まれ年希望。
    よって、私の登録は1950年生まれの事が多い。
    これなら2000 - 50 で済むだろ。
    と思っていたら、現在が200?年かが問題になってくるんだよな。
    ちょっと失敗こいた作戦である。
     
    しかし以前に計算しやすいように、2000年生まれで登録していたら
    未成年という事で、チャットルームに参加できず
    当時所属していた集まりの会議が、私の登録し直し待ちで大幅に遅れ
    「どこまでサバ読んでるんだよ!」 と、ものすごい非難を浴びたんだ。
    だから、2000年がダメなら、1950年しかねえだろ?
    1900年は、選択項目になかったんだよ。
     
    こういう事をやっとるから、余計に混乱して年齢を覚えられないんだよ!
    と思われそうだが、覚えられんのはネットデビュー前からなので
    ここに敗因はないと思う。 多分。
     
     
    私の、“枠にハマりたい気持ち” がわかるか?
    ほら、小動物って狭い場所に入りたがるだろ、あれだよ、あれ。
     
    心の安定を図るためにも、日々あれこれと妙な画策をしているわけだが
    裏目裏目に出ているようなのが、ほんと不本意で
    こんなグチ、リアルでは言えないのも、ほんっと不便!

  • 黒雪姫 8

    黒雪姫は、木の上でくつろいでいた。
    「はー、毎日平和で良いわねえ。
     庶民の暮らしも結構楽しいじゃない。」
     
    「あんた、家事はまったくせんじゃないか。
     それで庶民の暮らしを味わった気分にならんでもらいたいぞ。」
    洗濯かごを持った小人が、下を通りかかって言う。
     
    「代わりに力仕事はやってるでしょ。
     あなたたち、ちまっこいから非力だし。
     やっぱ適材適所が政治の基本だわね。」
    のほほんと答える黒雪姫に、小人が懸念する。
     
    「あんた、えらくノンビリしているけど
     あんたがいなくなって、あんたの国、どうなってるか心配じゃないんか?」
    普通に考えれば、これはおおごとな話である。
     
    「んー、まあ、クーデターとかあるし
     王国なんて永遠に繁栄はしないものよ。」
    「えっ、そんな気楽に考えて良いんか?」
     
    黒雪姫が、枝からドーンと飛び降りた。
    その振動に小人が足を取られてよろける。
     
    「チッ、おおげさな・・・。
     あなたたちといると、自分がまるで大女になった気分で不愉快だわ。」
     
    いや、人間たちの中でも、こいつは大きい部類に決まっとる。
    小人は内心そう思ったが
    頭上からゴォォォと睨む黒雪姫に、益々小さくなるしか出来ない。
     
    黒雪姫のワンパンチで、小人なぞホームラン級に
    空の彼方へ飛んでいくであろうから。
    まったく、えらいな当たり屋に遭った気分である。
     
     
    「いや、気楽には考えてない。
     うちの国は、今までは上手くいってたのよ。
     今後あの後妻が何をするかが、問題だと思うわ。」
     
    「低レベルの顔勝負で、人を殺そうとするような鬼ババじゃからのお。」
    「うん、このお返しはきっちりしないと、気が済まないわ。
     だけど今は、賢者待ちでしょ。
     情報がないと、ムダ足踏むし。」
     
    「賢者さま、中々戻ってきなさらんのお。」
    「どうせ祭に引っ掛かって、浮かれ騒いでいるんでしょ。」
     
    その予想は当たっていた。
    賢者は行く先々で歓待され、飲めや歌えやの宴会三昧で
    中々先に進まず、まだほんのそこの集落にいた。
    かなり使えんヤツである。
     
     
    「私、ひとつ疑問に思っている事があるんだけど。」
    黒雪姫が薪を割りながら言う。
    「あなたたち、定番ソング、全然歌わないのね。」
     
    「定番ソング?」
    「うん、♪ ハイホーハイホー ♪ ってやつ。
     この歌に合わせて一列になって、踊りながら行進するんじゃないの?
     こういう風に。」
     
    両手を広げながら、おどけたように足を上げて歩くそぶりをする黒雪姫を
    小人たちが怪訝そうな表情で見る。
    「肺胞?
     何でわしらが呼吸器の歌を歌いながら
     道化た歩き方をせにゃならんのだね?」
     
    「おおっと!
     意外な博識ですわね、小人さん。
     うーん、某ネズ映画に騙されてたかしら・・・。」
    黒雪姫は、珍しく自分を恥じた。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪姫 7 10.7.22
           黒雪姫 9 10.8.4
           
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           イキテレラ 1 10.5.11  
           黒雪姫 1 10.7.5  

  • 地デジ対応TV

    うちの仏壇のようなTVが、いよいよもってヤバくなってきた。
    上下左右に細かくブレて、見てると軽く酔うし
    みのの顔色がどんどん黄色くなってきている。
     
    で、世界の亀山モデルを迎え入れた。
    代わりに、諭吉たちが大勢家を出ていってしまった。
     
    まったく、うちの諭吉たちは何でこう家出しかしないのか。
    まあ、プチ家出を繰り返すバカ娘たちは
    ガキか借金しか作ってこないだろうから
    同等の価値の物品を寄越す諭吉は、律儀っちゃあ律儀なんだが。
     
     
    家電に興味の薄い私の、NEW・TVへの希望はただひとつ。
    “そんなにキレイな画面じゃない事”
     
    ええ? 何言ってんの? と、思われそうだが
    実家のTVがえれえ高画質でな
    叶姉妹の毛穴まで見えて、大ショックだったんだよー。
     
    国会議員のおっさんなんかがインタビューされてた時にゃあ
    食欲が失せて、マジで箸を置いたぜ。
    見えない方が良いものって、絶対にあると思う。
     
    それでも今のTVは、どうしてもハイビジョンになるらしく
    実家のTVほどじゃあないが、キレイな画質なんだ。
     
     
    でも、それでひとつ得たものがある。
    メイク。
     
    さすがに雑誌の修正しまくりの写真は本気にしちゃいなかったが
    TVに出る女性たちのメイクはキレイだろ?
    あれを真に受けて、何で私はキレイにメイク出来ないんだろう、って
    肌の上でファンデをこねくり回して、逆にメイクダウンしてたんだよ。
     
    あー、私って肌が汚いんだなあ、と本気で思っていた。
    周囲の人が、「肌がキレイ」 って言うのは
    度を越したお世辞だと、密かに腹を立ててすらいたんだ。
     
    ところが高画質で見ると、私以下じゃん!
    ちょ、待て、その程度の整地で良いんか!!!!!
    と、激しくくるおしく驚愕したよ。
    いや、それでも私だって決してキレイな肌じゃねえよ?
    でも下の下だと思ってたのが、並だったんだよ、中の中。
     
    なあんだ、ファンデとか、肌の上に乗せるだけで良いんじゃん
    埋めてならしてボカして重ねて、ってしないでも良いんじゃん
    と、ものすごく気がラクになったぜ。
    ヘタするとメイクに1時間近く掛けてた私は、とんだドバカだった。
     
     
    次は純粋な液晶TVの利点、これは家に置かないとわからない。
    ブラウン管ってさ、背景が映るじゃん。
    ひとりで部屋にいてTVを消してると、部屋の風景が映るだろ。
    これ、ものすごく恐くねえ?
     
    もし点いてないTVの画面の中に動くものがあったら
    それは背後に人か、息をしていない元・人がいるって事じゃん!
    それが恐くて、夜は観ていなくてもTVを点けっ放しにしてたんだ。
     
    でも液晶は画面の映り込みがまったくないんだよ!!!
    映画を観てて、シーンが暗転した時に
    ボケーと口を開けて呆けヅラをしている自分の顔が映って
    そのツラの醜さに、シートパックをし始めたりする事もない。
     
    ほんとうにあった呪いのビデオを観ている時に
    いや、そこじゃなくここ、ここにすっげえ恐い顔が映ってる!
    しかも微妙に動いている! ほんまもんだ!!!
    と、ビビり上がっていたら、それが自分の映り込みだった、とかもない。
    自分のムンク顔、悲しくなるほど恐ええええええええ!
     
    この利点は、使用するまでわからなかった。
    これだけでも、諭吉大量輸出の価値があった。
    皆、液晶、お勧めだぞ!
     
     
    ハイビジョンになってから私が最初に観たものは?
    ちょくちょくここに来ている人なら、瞬時にわかると思う。
     
    せーの、ホラー映画!
     
    ホラー映画ってさ、全体的に画面が暗いだろ。
    うちのコンテナのような中古のブラウン管TVでは
    最初から最後まで真っ暗で、何をしているのかわからん!
    という映画も数多くあった。
    声を頼りに、話の筋を推理するしかないんだ。
     
    もしかしてハイビジョンなら、この暗闇画面が見えるんかなあ
    と、薄ボンヤリ思いながら、闇夜にカラスを探すように観てたさ。
     
    もう、バッチリだったよ!
    暗いながらも、誰がいるかわかるし、背景も見えるんだ。
    今までのホラー映画のムダ観を悔やむほどだったぜ。
    これだけでも大勢の諭吉失踪の価値があった!
    ホラー映画ファン、すぐ自分んちのTVを高画質にせえーっ!
     
     
    たくさんの諭吉抹殺は痛かったが、それだけの価値はあった。
    似合わんブーツを買ってる場合じゃなかった。
     
    お陰で、買い足そうとしていた毛穴埋め下地やシミ隠しも買わずに済むし
    黒画面に映り込む自分のツラの不出来を呪う事もなくなった。
    ホラー映画は存分に楽しめるし、良い事ずくめだ。
     
    もっと良いTVもあるだろうが、無知な私には大満足だ。
    久々に良い買い物をした気分である。
     
     
    みのの顔色は赤黒かった。
    何でブラウン管では黄色く見えたんだろう?
     
    こいつのありえん顔色を見る度に、うちのTV、ヤバくねえ?
    と、とてつもなく不安にさせられていたんで
    もしかしたら、みの、陰の地デジ推進要員なのかも知れない。

  • 黒雪姫 7

    「ねえ、お風呂を沸かしてくれないかしら?」
    黒雪姫のこの要求には、小人も即座に同意した。
    「うむ、あんた、野生の動物のような臭いがするぞ。」
     
    「しょうがないんだって。
     このドレス、ひとりで脱ぎ着できないのよ。」
    「高級な布なのに、容赦なく破り裂いて・・・。」
    小人のひとりが、ドレスの端を触って嘆いた。
     
    「サバイバルにドレス、ほんっとそぐわないのよ。
     このパンプスも、最悪だったのよ。」
    黒雪姫が差し出した足を見ると
    かかと部分が無理に折られている。
     
    「ヒールが土にズブズブ埋まるっての!
     しかもこれまた高価な靴だから、妙に丈夫で
     岩の切れ目を利用して根性で折ったのよ。」
     
     
    黒雪姫の相手をしている以外の小人たちが、部屋の隅でヒソヒソとささやく。
    「この姫さん、どんどん粗野な言動になっていってないか?」
    「うむ・・・。 しかし風鈴は鳴ってない。」
    「これがこの姫の地なんだろうな。」
    「一体どういう国の姫なんやら。」
    「乱暴なブスマッチョの国・・・?」
    「何だかわからんが、そんな国、ものすごく恐いぞ。」
     
     
    「あなた布に詳しそうだから、私が入浴してる間に
     ひとりで脱ぎ着できる服を作っといてくれない?
     そこのあなた、あなたもこいつを手伝って。 下着もいるし。
     あなたとあなたは靴。
     で、あなたは風呂沸かし、あなたは洗濯
     あなたはベッドを用意して。」
     
    黒雪姫は、次々に小人を指差して命令した。
    「さあ、ちゃっちゃと動いて動いて
     ヘイ! ムーブムーブムーブムーブ!」
     
    手をパンパン叩いて、追い立てた後
    自分は椅子にドッカリと座った。
     
    「あんたは何もせんのかね?」
    「姫ですもの。」
    と言った途端、椅子がバキッと音を立てて割れた。
     
     
    「あなたたちも私を暗殺するつもり?
     まさか鬼ババの手先とか?」
    床にもんどりうった黒雪姫が、怒る怒る。

    「と、とんでもない!」
    必死に冤罪を訴える小人たちをなぎ倒し
    壊れた椅子を手に、黒雪姫が立ち上がった。

    「何なの? このヌルい作りは!
     どっかの国なんか、象いないのに
     象が踏んでも壊れない筆箱を作ってるというのに!」
     
    玄関を出ようとした瞬間
    黒雪姫の頭頂部がドアの枠に当たり、壁がバキッと割れた。
     
     
    更なる激怒の予感に、小人たちが手を握り合って震えていると
    黒雪姫が叫んだ。
    「入り口も狭い!」
     
    ふんっ と鼻息と共に、ドアに肩をブチ当て
    黒雪姫は裏庭へと出た。
    ドアの上の蝶番がひん曲がってしまっている。
     
    「おらーーーっ、板を持ってきてー!
     風呂に入る前にひと汗かくわよ!」
    持っていた椅子を地面に叩き付けて怒鳴る。
     
     
    「お姫さまっちゅうのは、大工仕事も出来るんか?」
    「うちの国は山賊あがりの野蛮な国だから、力仕事は得意なのよ。
     逆に裁縫とかの細かい手作業は苦手だけど。」
     
    髪を振り乱して、かなづちをドッカンドッカン振るう黒雪姫に
    小人たちは、破壊的な番犬が出来たような気分にもなっていた。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : 黒雪姫 6 10.7.20
           黒雪姫 8 10.7.26
           
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  • 男の裸

    何のCMだったか、女の子が男の子のはだけた胸だっけ?
    それを見て恥らう、というのをやっていたが
    私から言わせれば、その女の子はとてつもないドスケベだ。
     
    男の子の裸を、しかも胸だけを見て
    何を想像したら恥ずかしいんだよ?
    おめえ、その歳で裸を見てセックスを想像しとんのか?
    と、泣くまで問い詰めたいのは、ババア根性だろうか。
     
     
    女性は、男性の裸を見ても何も感じない、が大多数だと思う。
    男性ストリップバーとかに行った時には
    その場のノリでキャアキャア言うだろうけど
    男性の裸に価値はない、と断言する。
     
    女性にとって意味があるのは、好きな男性の裸だけだ
    と、砂漠性欲の私は言い張りたい。
     
     
    でもこう思っているのは、立ち枯れな私だけではないはず。
    中学の時に、男子の裸を見て反応する女子はほとんどいなかった。
     
    唯一、「いやーん」 とか言ってた女子がいたが
    男子の裸を見て何がいやんなのか訊いたら
    「サービスよ。」 と、とても計算高い答が返ってきた。
     
    これはこれで、アリだと納得させられたよ。
    男子とて、自分の裸に価値ゼロだなんて
    いちいち言われたくはないわな。
    ボディビルにハマる男性も多いんで
    無反応というのは、やはり虚しいものであろう。
     
     
    まあ、広い肩幅とかにキュンとくるのは理解できないでもない。
    私的には、手のキレイな男性にはピクッとくる。
     
    ・・・が、これは自分の手がキレイなので
    ライバル視しているだけかも知れない。
    えーと、広い肩幅・・・、私も結構肩幅があるんだ。
    後はどこだっけ?
     
    まあ、私が怒とうのナイスバディなので
    他人の裸体には何の要望もせんだけさ。
    愛しい人の体なら、良いな、と思える部分ってのも
    どこかしら出てくるんだろう。
    でもそれを見て恥らうってのは、ありえないけどな。
     
     
    逆に問うよ。
    男性の裸を見て、何が恥ずかしいんだ?
    性器丸出しでも恥ずかしくはないだろ
    うわ、きったない、としか思わない。
    差別じゃないぞ、女性の性器も同様に思うから。
     
    (性器、何であんなにグロなんだろうな?
     何かの踏み絵か?
     あれを喜ぶ選ばれし人間のみが、恩恵を受けられるんか?)
     
    女性は視覚による性的興奮は、あまり発達していない。
    単なる裸体からは、性的興奮は起こりにくい。
    だから男性の裸を見て恥らう女性はビッチだ、と私は認定している。
     
    裸は、見られたら恥ずかしいだけだ。
    見せられても恥ずかしくはない。
     
    あ、裸で歩いている女性を見たら、恥ずかしいと感じるかも。
    でもその “恥ずかしい” の意味は、哀れみである。
    「いやーん」 ではない。
     
     
    この意見は、機会があるたびに人に訊いているのだけど
    今のところ、異論は聞いた事がない。
     
    そりゃ、「裸を見て反応するとビッチ」 とか言ってるヤツに
    「いや、反応するわよ」 とは反論しにくいだろう。
    けど自分のこの感覚が普通なのか、とても不安なのだ。
    私は保守派だから、性も伝統的じゃないとイヤ。
    どうも想像力が足らんのかな、と自問自答している。
     
    ・・・・・・あ!!!!!
    もしかして想像力が発揮されるのが、“得意分野” という事か?
    だったら性は私の苦手分野なんで、想像力に乏しいのは当然。
    よって、それに関して偉そうにビッチとか言うな、って話になるよな。
     
    だけど苦手なだけに、真の多数意見が知りたいんだよなあ。

  • 黒雪姫 6

    「それは、わしだ。」
    「と、フクロウが言った。 ・・・って、鳥じゃん!」
     
    「ただの鳥ではない。 猛禽類だぞ。」
    賢者はふふんと笑った。
     
    「まあ! さすが役職が付いてるだけあって
     こいつら (小人) と違って、人間的余裕がありますのねえ。
     人間でもなく、鷲 (わし) でもなく、フクロウだったけど。」
     
    「ほお、なかなかウイットに富んだ人間だの。」
    「ええ、高貴な血筋には知性も必要で。」
    賢者と黒雪姫は、ふぉっふぉっふぉっ ほほほ と笑い合った。
     
    「この森もどんどん汚れていってる気がするのお。」
    小人たちが嘆く。
     
     
    「で、何故人間が入り込んだのか、賢者さまにもわからんそうな。」
    「信じがたくて見に来たんだが、本当だったな。
     わしのところにも、何も情報は入ってきとらんのだよ。」
     
    「賢者、まさかの役立たず・・・。」
    暴言を吐く黒雪姫を小人たち全員が蹴った。
    とことんローキックである。
     
    「しかし妖精王さまが、この事態を知らぬわけはない。
     きっと何か理由があるのだ。
     おまえたち、しばらくこの娘を預かりなさい。」
     
    これには小人たちからブーイングが噴出した。
    「ええー、何でわしらがー?」
     
    「しょうがないだろう!
     この娘が妖精の森を我が物顔で闊歩したら、どうなる事やら。
     被害は最小限に抑えねば。」
     
    「じゃ、賢者さまが預かってくださいよー。」
    「もちろん、そうしたいのは山々だが」
    と言った途端、風鈴がヂリヂリ鳴り始めた。
     
     
    「わ、わしはこれから、妖精王さまを探しに行ってくるので忙しいのだ。
     よって、分業、という事で、よっ、よろしく頼むぞ。」
    賢者は慌てて飛び去った。
     
    「賢者って、知恵を武器にした詐欺師みたいなものなのね。」
    黒雪姫の素直な感想に、小人たちは内心思った。
    それを言っちゃおしまいじゃろう・・・。
    だが、風鈴は鳴らなかった。
     
     
    「何? 妖精王って普段どこにいるか決まってないの?」
    「いや、大抵は妖精城にいらっしゃるのじゃが
     今は実りの季節で、あちこちで祭が行われているじゃろ。」
     
    「ああ、稼ぎ時のドサ回り中ね。」
    小人たちが黒雪姫を蹴る。
    「妖精王さまは劇団じゃない!」
     
    「人間界にも来てるの?」
    「いや、人間界は神界の管轄なんで
     妖精界からの介入は出来ない決まりなんじゃ。」
     
     
    この言葉には、黒雪姫も驚いた。
    「神、いるの?????」
     
    「ありゃ? 人間界は儀式とかする、と聞いたが。」
    「いえ、するけど、あんなん単なる行事だと思ってたし。」
    「そういう不信心じゃから、こういう目に遭っとるんじゃないんか?」
     
    「うわあ・・・、かも知れない・・・。
     神様、ごめんなさいーーーーー!」
    黒雪姫は、ひざまずいてブツブツと祈りだした。
     
    「届けば良いのお、その祈り。」
    「届いてもらわんと、わしらが困るしのお。」
    小人たちも、ほとほと困り果てているようである。
     
     
     続く
     
     
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           イキテレラ 1 10.5.11  
           黒雪姫 1 10.7.5  

  • 漢萌

    かんもえーーー? と、勝手に妄想笑いをしてたら
    かんぽう という読みだった。
    汚したようで、ほんとすいません。
     
     
    この化粧品は、平安時代のレシピをよみがえらせたんだと。
    すんげえ長期間の熟成が自慢だそうだ。
     
    お試しセットを2種類使用した。
    ( ) は現品の容量と値段。
    ここのは大抵のアイテムに、大サイズと小サイズがあって
    もちろん大の方がお得。
     
    こういうmlあたりいくら、の計算は、親切でしてると思われるだろうが
    もちろん自分のために必死で算数しているのだ。
    じゃないと、しねえよ、こんな計算。
    ml ÷ 円 だか、円 ÷ ml だか
    そっからして混乱させられるんだよ!
     
     
    「乾燥肌 & 普通肌 スターターキット」 ¥2100
     
    美容水 いぶき 10ml (120ml ¥3150)
    明 10ml (120ml ¥1250)
    幽玄麗 2m (30ml ¥6300)
    彩 1.4g (18g ¥3990)
     
     
     
    大サイズで計算してみると、¥1692.88
    小サイズだと、¥2006.7 分のセット。
     
     
    「敏感肌 トライアルセット」 ¥2100
     
    美容水 いぶき 10ml (同上)
    しなやかオイル 3ml (30ml ¥3150)
    祥 2g (27g¥16800)
     
     
     
    大サイズで計算してみると、¥2084.4
    小サイズだと、¥2257.5 分のセット。
     
    どうやらこのメーカーは、小サイズでセット価格を設定しているらしい。
     
     
     <全成分>
     
    美容水 いぶき (化粧水) 水・ジュウヤクエキス・甘草エキス・
                  クリノハエキス・ハブソウエキス・
                  ニワトコエキス
     
    明 (化粧水) 水・エタノール(天然酒精)・コメヌカエキス・
            甘草エキス・オウバクエキス・ドクダミ・
            ケツメイシエキス・トウキエキス・レモンエキス
     
    幽玄麗 (美容液) 黒砂糖・ハチミツ・水・コメヌカエキス・
             エタノール(酒精)・ヨクイニンエキス・
             オウバクエキス・甘草エキス・ドクダミエキス・
             トウキエキス・ケツメイシエキス・ニワトコエキス
     
    彩 (バーム?) ゴマ油・ミツロウ・ホホバ油・トコフェロール・
              トウキエキス・シコンエキス
     
    しなやかオイル (オイル) ゴマ油・ホホバ油・
                  トコフェロール(小麦胚芽油)・
                  トウキエキス・シコンエキス
     
    祥 (クリーム?) ハチミツ・黒砂糖・コメヌカ・ヨクイニン・水・
              オウバク・甘草・ニワトコ・トウキ・ケツメイシ・
              ドクダミ・カミツレ・コメヌカエキス・
              オウバクエキス・甘草エキス・ドクダミエキス・
              ケツメイシエキス・トウキエキス・
              ヨクイニンエキス・カミツレエキス
     
     
    ここの化粧品の使い方って、化粧水を撫でるように塗ってから
    その後に美容液やらクリーム? に化粧水を混ぜて塗るんだ。
    何にでも化粧水を混ぜるみたいで、それが楽しい。
     
    と言うか、化粧水で薄めんと、油っぽすぎるんだ。
    そんで価格的にも、原液で使えるかい! という値段なんだ。 私には。
     
    化粧水は、オーガニックコスメの化粧水よりは、まだ潤う。
    私の肌にはエタノールがダメなんで、明はともかくも
    いぶきは、誰にとっても支障ゼロだと思う。
    効果は、お試しセットなんでよくわからん。
    (いつもこの調子のレポで、ほんとすいません)
     
     
    匂いもそんなにひどくない。
    ただし幽玄麗と彩の匂いは凄いぞーーーーーー。
     
    幽玄麗は漢方薬っぽい。
    しっとりは・・・よく覚えてない、すまん。
    薬みたいなもんだと思えば納得できるような
    不思議な雰囲気の化粧品なんだ。
     
    彩は紫雲膏って知ってるか? 字が間違ってるかもだが
    ゴマ油がベースの漢方の傷薬なんだ。
    匂いも色も塗り心地もあれにそっくりで、ニキビが出来てしもうた。
    ゴマ油も私のツラにはダメなんかいのお・・・。
     
     
    えーと、いつもいつもわからんわからんしか書かないレポで
    何のために存在するのかわからん、私のコスメ記事で
    まことに申し訳ないので、ちょっと趣向を凝らしてみる。
     
    使ってて楽しかったか? ☆☆☆☆☆
    経済制裁のない生活だったら、また買いたいか? ☆☆☆☆
    じっくり使えば、効果を期待できるか? 年単位でなら☆☆☆☆☆
    人にお勧めできるか? ☆☆
     
    自分一問一答、やってみた。
    ☆は5個が満タン。
     
    人にお勧めが低いのは、マニアックすぎるかも、と思ったから。
    効果は5年10年と使って合えば、飛びぬけて美しくなれる気がする。
    何その長期戦、って感じだけど
    美しいおばあさまが使っている、というイメージなんだ。
     
     
    化粧品好きには、ねえねえちょっと使ってみて、と
    ささやきたい、珍味的なジャンル。
    だけど和の化粧品なので、私的には信頼度は抜群にある。
     
    あっ、季節を選んで試してみてくれ。
    使い心地は、不器用な化粧品たちだから。

  • 黒雪姫 5

    「まあ、今までのいきさつはわかった。」
    「気の毒な境遇で、大変じゃったの。」
    小人たちが、黒雪姫をねぎらう。
     
    「しかし、何故窓ガラスが割れておるのじゃ?」
    「家の中に入るために、やむを得ず・・・」
    「ドアに鍵は掛かっとらんのにか?」
    「ええええええええっ、そんな無用心な!」
     
    「ここいらには、通常は侵入者はおらんのじゃよ。
     と言うか、ドアに鍵を何個かけようが
     窓を割って入ってこられたら一緒じゃろ。」

    小人があごで割れた窓を指し示したので
    バツが悪そうに黒雪姫が目を逸らした。
    「・・・まあね。」
     
     
    「で、何でわしらの家に入って来たんじゃ?」
    「火を点けっ放しで、火事になると大変だと思って・・・。」
    チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン
     
    「鍋のシチューが5分の1に減っておるが?」
    「火にかけっ放しで、蒸発したんじゃないでしょうか?」
    チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン
     
     
    「・・・・・すいません、腹が減って盗み食いいたしました・・・。」
     
    「最初からそう言えば良いんじゃ。
     妖精族は親切なヤツが多いんじゃから、咎めはせんよ。
     そ れ ほ ど は な。」
    黒雪姫は正座させられて、この後30分ほどネチネチと説教された。
     
     
    「にしても、人間が妖精の国に紛れ込めるとは不思議じゃのお。」
    「うむうむ、妖精王さまが守っておられるはずなのに。」
    「この娘をどうしたものかのお。」
     
    横から黒雪姫が口を挟む。
    「ちょっとー、娘娘言わないでくださいません? 無礼者さんたち。
     私の事は “黒雪姫様” とお呼び。」
     
    「うむ、わかった。
     それで黒雪をどうするか、ちょっくら賢者さまに訊いてくるかの。」
    「黒雪 “姫” ! 姫!! ひ・め !!!」
    黒雪姫の怒りをよそに、小人のひとりがさっさと家を出て行った。
     
     
    「よーし、わかった!
     あなたたちがその気なら、私にも考えがあるわ。
     さあ、あなたたち、自己紹介なさい。」
    仁王立ちの黒雪姫の前に、残りの小人6人が並ばされる。
     
    「わしはアレクサンデル」
    「わしはハドリアヌス」
    「わしはクレメンス」
    「わしはユリウス」
    「わしはニコラウス」
    「わしはマルティヌスで、今出て行ったのがベネディクトゥスじゃ。」
     
    「・・・・・・・・・・・・
     何かその名前群、こんな話で気軽に使うのはヤバい気がするわー。
     テキトーに縮めたイヤなあだ名をつけようと思ってたんだけど
     絶対にどっかの良識筋からクレームが来ると思う。
     しかも正式に。」
     
     
    黒雪姫は、しばらく頭を指で突付いて悩んでいた。
    「よし、しょうがないわね。
     あなたたちの名前は、“おい”“ちょっと”“そこの” 等
     男尊女卑の夫が妻を呼ぶような、芸のない言い方にするから。
     呼ばれたら、そこらへんにいる一番近くの者が対応するように。
     どうせ7人もいたら、個性なんかこっちには関係ないしね。」
     
    そんなひどい、何て事じゃ、あんまりじゃないか
    と口々に文句を言う小人たちを無視して、黒雪姫は話題を変えた。
     
    「ところで、賢者さまって誰なの?」
     
     
     続く
     
     
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  • オードリー ローズヒップ

     オードリー ローズヒップ 10.7.14
    オーガニックコスメは、ほとんどがヨーロッパ製である。
    たまにオーストラリア、アメリカを見かけるぐらい。
    そこに、日本製の “自然化粧品” を発見。
    意外にも、日本にもオーガニックコスメメーカーが結構あるみたいだ。
     
    オードリー・インターナショナルという会社の、ローズヒップシリーズ。
    山形で作られている無農薬のローズヒップを配合した天然コスメ。
    水分はすべて白樺樹液で、水は1滴も使ってないそうだ。
    ローズヒップは肌のハリに効果があるので、興味を持った。
     
     
     
    お試しセット ¥840
     
    ローズヒップの石鹸 15g (70g ¥1260)
    ローズヒップの化粧水 10ml (100ml ¥3990)
    ローズヒップのクリ-ム 3g (30g ¥4830)
     
     
     
    ¥578円分だから、ここのセットはかなりの割高。
     
     <全成分>
     
    石鹸 : 石鹸素地、シラカバ樹液、ローズヒップエキス
     
    化粧水 : 白樺樹液、セリシン、ローズヒップエキス
          黄カラスウリ完熟果肉エキス、ローズ油、ゼラニウム
     
    クリーム : ホホバ油、ミツロウ、セリシン、白樺樹液、
           ローズヒップエキス、ローズ油、ゼラニウム
     
     
    クリームがニキビができてダメだった。
    私にはどうもミツロウがニキビの元になるらしい。
    ミツロウだけじゃなく、シアバターとか
    植物性ワックスは、私の顔の皮膚との相性が悪いんで
    ほんとオーガニックコスメのクリーム系を探すのに苦労している。
     
    ザラザラした感触なので、手の平でよく練らないと塗りにくいけど
    ベタベタした使い心地で、翌朝もしっとりしている。
    乾燥肌の人には向いてるような気がする。
     
    使い心地は、ちょっとタウトロッフェンの
    サンドロンバームを思い出した。
     
     
    化粧水は、・・・割に水・・・。
    でも匂いがすっごく良い。 すぐとぶけど。
    他のオーガニックコスメの化粧水よりは潤いがある。
    すぐ乾燥するけど。
     
     
    石鹸は、何かものすごくしっとりする。
    匂いはよくある無添加石鹸の匂い。
    油っぽいあまり良い匂いじゃない、あれ。
    泡立ちは、普通 ~ 良い の部類。
     
    石鹸の表面がデコボコで、手作り感のやり過ぎ演出だと思うんだが
    冬に向けてなら、この石鹸は良い、と思う。
     
     
    この化粧品を試したのが暑い時期だったのが、もったいなかった。
    オーガニック系は、涼しい時期に試すべきだという気がする。
    暑くもなく寒くもない時期。
     
    何? その都合の良い季節限定は、と思われるだろうけど
    正味な話、オーガニックコスメはな、理想的な湿度と気温の時じゃないと
    使 い 心 地 が 悪 く て た ま ら ん のだよーーー!
     
    国産だろうが外国製だろうが、自然派コスメっちゅうのは
    暑い時期はベタつくし、寒い時期はパサつくし
    ほんと、己の肌の機能に大部分を期待、みたいな作りなんだ。
     
    これはもう、しょうがない事として割り切って
    創意工夫で乗り切るしかないのだろう。
     
    ちなみに私の場合、普通の化粧品では冬は楽勝だったけども
    夏場のお手入れは、やっぱり苦痛だったな。
    日本の夏というのは、どんな化粧品も邪魔になるもんさ。
     
     
    で、この化粧品、お勧めか?
     
    ・・・うーん、妙な期待感はある。
    寒くなったら、また買ってしまうかも。
     
    化粧品って、ほぼ8割が夢で出来ている、というのが
    コスメマニアのなれの果ての私の結論なので
    そういう意味では、オードリー、上出来だと思うんだ。
     
    メーカーも、こんな感覚の持ち主には何の評価もされたくないだろうけど
    ほんとすいません。

  • 黒雪姫 4

    「あの・・・、もし、起きてくださらんかな?」
    「んあ?」
    体を揺さぶられた黒雪姫は、目を覚ました。
     
    あら、いけない、満腹になったらつい寝てしまったようですわ。
    「って、ええっっっ?」
     
     
    目の前にズラリと並ぶ小人たちに、動揺させられる。
    「ああ・・・、疲れてるのかしら?
     物が何重にも見える・・・。」
     
    目頭を押さえる黒雪姫に、小人が優しく答える。
    「いいや、わしらは7人いるんじゃ。
     ほれ、ちゃんと服の色も違うじゃろ?」
     
    「あら、それは失礼いたしました。」
    改めて小人たちを見回す黒雪姫。
     
     
    「・・・えっと、皆さん、児童じゃないですよね?
     白髪だし、シワだらけだし、肝斑あるし
     もしかして、人権に守られてる人たちですか?」
     
    「問題発言はやめてくださらんかのお。
     わしらは妖精じゃ。」
    「あっ・・・、そっち系でしたか・・・。
     どうもすいませんでした、では私はこれでおいとまを・・・。」
     
    ヘコヘコと頭を下げながら、中腰で出て行こうとする黒雪姫を
    小人のひとりが止めた。
    「待たんか!
     おまえさん、ここにいて何を言うとるんじゃ?」
     
    「はいいいいいい?」
    「ここは妖精の森じゃぞ?
     ここにいるという事は、おまえさんも妖精だという事じゃ。」
     
    「いいえ、とんでもない、私は正常・・・ゴホッ いえいえ、人間です。」
    「人間? 嘘付け!
     そのキングコングのような風情
     どう見ても野人じゃないか!」
     
     
    や・・・野人・・・・・・・?
     
    この言葉に黒雪姫がブチ切れた。
    「あーーーーーーーっ、もうーーーーーーーーっっっ!!!!!
     殺されかけて国を追われて何日もさまよって
     あげくが人外扱いかいーーーーーーーーーっ!」
     
    ドカッと殴った壁にボッコリ穴が空いてしまったので、小人たちが慌てた。
    「ち、ちょっと、落ち着いてくれ。
     人間だと言うのなら
     何故おまえさんがここにいるのか説明してくれんか?」
     
    黒雪姫は、止める小人たちを両腕にぶら下げたまま話し始めた。
     
     
    「私は東国の王のひとり娘でした。
     ああ、別に姫という事で、身分の差など気にする必要はありませんのよ。
     己の分をわきまえて接していただければ、それで充分ですわ。
     ほほほ。」
     
    小人たちがドン引きしている空気も読めず
    黒雪姫は、一通りの説明をした。
     
     
    「うーむ、どうにも解せんのお。
     あんたが国一番の美女だって?」
     
    「ええ、まあしょうがないのですわ、そこは。
     うち、山岳民族の国で、ゴツい女が多くって。
     そんな中でも、権力で美姫を嫁に貰える王のもとに生まれた娘が
     とりあえず一番マシなツラになるのは当然でしょう?」
     
    「マッチョブス揃いの国、っちゅう事じゃな?」
    「ま、平たく言えば。」
    黒雪姫は、あっさり認めた。
     
    「そこに、えらく美醜にこだわる後妻がおいでになりやがって、もう・・・。
     少々美人だったとしても、30代と10代とじゃ話にならないでしょ?
     それを 『小娘には負けない!』 とか、周囲を威嚇しまくって
     “あえての” だの、“まさかの” だの、いらんオーラむんむん放出で
     ほんと肉食系熟女って、手に追えませんのよ。」
     
     
    「ふむ、皆、この娘は嘘はついてないようじゃ。」
    「じゃあ、本当にこの娘は人間なのか?」
    「うむ、風鈴が鳴っていない。」
     
    「風鈴?」
    小人は窓の上に掛けてある風鈴を指差した。
    「あの風鈴は、風によって鳴るのではなく
     誰かが嘘を付くと鳴るのじゃよ。」
     
    黒雪姫は妖精界の不条理に目まいがした。
    「・・・そんなもの置いといても、誰も損しかしないような・・・。」
     
     
    しかし少しだけ誘惑に駆られ、風鈴の側に何気なくブラブラと近付いた。
    そして誰にも聴こえないような小声でつぶやいた。
    「・・・・・・・・ 私は美人。」
     
    チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン
     
    「おおっ? 凄い勢いで風鈴が鳴っておるぞ!」
    「誰かとんでもない大嘘を付いたのか?」
     
    小人たちが大騒ぎする中、黒雪姫は険しい表情でその場を離れた。
     
     
     続く
     
     
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