• 恐怖の民主主義

    日本は民主主義ではない。
    資本主義である。
     
    立憲君主制だと言われるが、私の考えでは
    天皇家は国家機関になっているので、“君主” とも違うと思う。
    えらい不敬な事を言っているのかもわからんけど
    歴史のある名家には、伝統的に受け継がれる宝が存在して当然なので
    天皇家は大切にし、潰してはならない、と思っている。
     
     
    こういう私は、資本主義の愛国者である。
    日本が独立していて尊重されていれば、後はどうでも良いので
    あまりアホウな事を書かないよう
    今回は感心にも、“民主主義” について予習してみた。
     
    私は今まで、民主主義は社会主義と似たようなものだと思っていた。
    私の父が真の共産主義者なので、その思想を聞いた限りでは
    真の共産主義はどの主義ともかぶらない、と解釈している。
    (ちなみに、父曰く、日本共産党は共産主義じゃないそうな。)
     
    が、どのサイトも長文で目が滑り、さっぱり理解出来なかった。
    どこよりも長文を書いているヤツが、長文を読めないなど
    このブログって、ラーメン嫌いが作るラーメンと同じで
    絶対に美味くはねえよな・・・、とちょっと落ち込んで
    時間をロスしてしもうたのは、大きな誤算である。
     
     
    民主党政権になってから、日本終わった! の絶望感で
    政治ニュースから逃げてきたわけだが
    ここにきて、やっと少しはニュースを見られるようになってきた。
    まだ、法案の詳しい内容などは知りたくないが。
     
    それほどのダメージだったのが立ち直りかけ
    少しずつニュースを直視し始めたというに
    鳩山首相の言動には参った。
    傷口に天然あら塩を塗り込まれる仕打ちを受けたよ・・・。
     
     
    私には鳩山首相は民主主義に見える。
    他の民主党の政治家は、そうでもないけど
    鳩山首相だけは、真の民主主義の信念を持っている。
    てか、鳩山首相を見ていて、民主主義を初めて目にした気がする。
     
    ・・・・・真の民主主義って、・・・電波・・・?
     
     
    さて、こっから私個人の視野狭窄なノーデータ、ノーソースの
    思い込みの偏見の誤解の勘違いな
    まったくタメにならんひとりごとを、ネットで書いてしまうけど
    頭の固い老女なんで、相手にしない方が良いです。
    ほんとすいません、孤独で不幸で貧乏で病気なんで見逃してください。
     
     
    平和とか平等とか真剣に言っている人たちって
    視点の焦点が4次元に合ってるような目をしている。
    え? あなた私の目を見てるよね?
    でも私の目に焦点が合ってない気がするのは何故? みたいな。
     
    マルチをやってる人で例えると
    儲けている人はそうでもないんだよ。
    その商品が本当に良い! と信じている末端会員が、この目なんだ。
     
    宗教でも主義でも信念でも、盲信する者特有の目ってある。
    他の可能性が入り込む余地がない、ってサインだと解釈している。
     
    ほら、ゲームだと、毒とか混乱とかのステータス異常は
    名前のとことかに印が付くじゃん。
    リアルでは、“目” が印代わりだと思うんだ。
     
    あっ、この言い方わかりやすくねえ?
    私、久々にすげえ!!!
    魔力UPの呪文でも掛かってるんだろうか?
     
     
    ま、とにかく、鳩山首相の目がそれなんだ。
    あと、前原大臣も。
    マジックで黒く塗りつぶしたかのごとく、瞳孔しかないような瞳。
     
    最初は鳩山夫人が電波だと思っていたんだけど
    あのキャラの強烈さに目をくらまされていただけで
    彼女は普通の欲深い電波ちゃんぶりっこで、真性ではない気がする。
     
     
    で、え? 鳩山首相、何の信者なの? と、疑っていたら
    どうも彼は、本当に世界を良くしたいっぽい。
     
    彼には、日本の首相なんだからまず日本の事を考えようよ とか
    “自分の事ばかりを言う” のは、通用しないと思う。
    どうやら民主主義も、かなりヤバい思想のようだ・・・。
     
     
    お金が人間を狂わせる、と言うけど
    その狂いようは、ちょっと調子こきましたー、程度のもので
    まあ、それで殺人とかやっちゃうバカモノもいるけど
    本当に人が狂うのは、理想を追う事でだとわかった。
     
    良かれと思って頑張ってるであろうに
    何でこうなっちゃうのか、人の心って本当に恐い。
     
     
    私の場合は、理想を追わないので何の心配もない。
    ああ? 理想? おめえからやって来いよ! ってなもんである。
     
    ああ、もしかして、理想を追う = 努力する って事なんかな。
    だったら努力しただけ、自分を特別扱いもしたくなるわな。
    あの眼差しって、選民意識なんだろうか?
    いや、違うな、選民意識なら誰よりも私が持ってるし。
     
    そういや、あの目さ、1枚膜が張ってる感じだよな。
    あっ、目が曇る!!! これかーーーーーーーーーーー!!!!!!!!
     
     
    ああ・・・、久々に素晴らしい結論を得た気分ー。
     
    ・・・って、我が国のトップがそれで良いんかよ・・・。

  • イキテレラ 8

    城に着く頃には、イキテレラは叫び疲れて大人しくなっていた。
    つぎはぎだらけのみすぼらしい服を脱がされ
    大勢の女性たちにかしづかれて、入浴をさせられた。
     
    その間中、イキテレラは涙を流していた。
    他人の手が気持ち悪くてしょうがない。
    何故自分がこんな目に遭わなくてはならないのか。
    その嘆きようは、侍女たちも気の毒に思うほどであった。
     
     
    美しく着飾らせられたイキテレラは
    王の前へと連れていかれた。
     
    涙を流しながら震える小さい女性を、王妃は哀れんだ。
    「仮にも貴族の娘ですのに
     何故このような乱暴な事をなさるのです?」
     
    「い、いや、わしはそういう命令は出しておらんぞ。
     王子が先走って・・・。」
    慌てる王を無視して、王妃はイキテレラに近寄った。
    「小さいお方、さぞ恐かったことでしょう、お可哀想に。
     もう大丈夫ですよ、わたくしは王妃です。」
     
    イキテレラが、泣きながらも礼儀正しくお辞儀をして
    挨拶の言葉を述べようとした。
    「~~~~~~・・・・・!!!!!」
     
    イキテレラは驚いて喉を押さえた。
    声が出ないのである。
    拉致の際のあまりの絶叫に、イキテレラの喉は潰れていた。
    王は激怒し、兵たちを死刑に、王子を謹慎にした。
     
     
    イキテレラは、しばらく湖のほとりの城で静養をする事になった。
    すべてが自分の意思以外のところで動いている。
    毎日毎日を、ただ嘆いて暮らした。
     
    その頃、城ではイラ立つ王子がウロウロと歩き回っていた。
    段取りを無視して、無理強いをした罰として
    イキテレラに会わせてすらもらえないからである。
     
    書庫では、司書たちがイキテレラの家系を調べていた。
    「イキテレラさまの、曽祖父の従兄弟の叔母の長女が
     当時の公爵家の次男に嫁いでいらっしゃいました。」
     
    「では、姫は公爵家ゆかりの由緒正しい血筋、という事になるな?」
    「それで差し支えないかと。」
    「よし、王さまにご報告を!」
     
     
    イキテレラは城に連れ戻された。
    王と王妃の横に立っているのが、王子らしい。
     
    舞踏会の夜の男性など、顔も見ていないイキテレラには
    初めて会うも同然である。
    しかし想像以上に、背が高くガッチリとしたその体型に
    イキテレラは愕然とした。
     
    この男性が、ここ何週間かの恐怖の元凶で
    その上にイキテレラの最も苦手なタイプだ。
    イキテレラは、思わず目を背けた。
    王子を直視できないほどのトラウマを抱えてしまったのである。
     
     
    「姫、あなたに再び会える日をどれだけ待ったか・・・。」
    王子は “待て” をくらったせいで、喜びを抑えられず
    イキテレラの元に駆け寄り、抱きついてきた。
     
    イキテレラは、きゃあああああ! と叫んで、王子の腕を振り払い
    この突然の無体に、しゃがみこんでワナワナと体を震わせた。
    何なの? この人、暴漢なの?
     

    「遊び女とは違いますのよ、王子。
     あなたの正妃となる血筋正しい女性には
     もう少し理性的に接しなさい。」
    王妃が呆れたように、冷たく言い放った。
     
    正妃? わたくしが?
    何故そのような事に?
     
    イキテレラは、目の前が真っ暗になり
    次の瞬間、床に倒れた。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 7 10.5.27
           イキテレラ 9 10.6.2
           
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  • 危険なバラの香り

    このわたくしが、人様に褒められる数少ない行いのひとつが
    香水の付け方である。
     
    普通にしていても香らないのに
    30cm以内に接近した時のみ、微かに香るそうな。
     
    これは、他人にそう香るように付けているわけではなく
    自分がその香りを楽しみたいがためだけの付け方なのである。
    自分のためだけにやってる事が、他人に褒められるなど
    まったく、どう転んでも幸運にしかならない恵まれた人生だ。
     
     
    で、それはどういう付け方か、っちゅうと
    まず、香水はパフューム、パルファム、香水、これらの名称で
    とにかく、濃度の一番濃い15ml数万の液体しか使わない。
    コロンやトワレは避ける。
     
    昨今は、いわゆる “香水” は減少し
    オー・ド・パルファムとかいう軽めのやつばかりになってしまい
    とても嘆かわしい。
     
    この理由は、コロンやトワレはアルコールが多く使われていて
    付けてからかなりの時間が経たないと、アルコール臭が取れないからである。
    コロンやトワレのラストノートの、あのフワッとした柔らかい匂い
    これを最初から楽しむには、濃度の濃いパルファムが一番なのだ。
     
     
    香水の使い方は、胸元のみにチョンチョンとつける。
    自分だけに匂うようにしとけば、周囲にも時折香るわけだ。
     
    そう、これが私の香水の使い方なのである。
    スプレータイプでも、胸元にだけひと噴き。
    匂い立つのを全部自分の鼻で吸う気構えで。
     
     
    そもそも香水というのは、好みが大きく分かれる。
    そんで、嫌いな香りほど嗅ぎわけられる。
    まさに “鼻につく” のである。
     
    コロンどころか、トワレも全身にまとう鼻腐れがおるが
    こういう事をやっとるから、“香害” という言葉が生まれるのだ。
    他人によく思われたい、と思ってやってるんだろうが
    周囲からは、「ああ、あの臭い人ね。」 と言われてるだろうよ。
     
     
    ところで、私は今ほとんど香水をつけない。
    ああーーー? 理由を訊くのか?
    たかだか15mlで数万円、と上に書いたよな?
    貧乏だからに決まってるだろうが、バカモノ!
     
    娯楽でそんな散財は出来んし、元々体臭がないので必要性もない。
    香水なんざ、生存率確保の優先度では最後尾だぜ。
     
    そして、これから香水の付け方なんざ、まるで関係ない話になる。
    おいおい、ちっとは話題を統一してくれよ、とイラ付くだろうが
    こっからの話題では、自画自賛できる箇所が1個もねえんだよ!
     
    必ず、自分偉い! を随所に盛り込みたいから
    話の流れにしわ寄せがいくのはしょうがねえだろ!
     
     
    で、ノー香水でウロついとったわけだが
    ある時、自分からババア臭がするのに気が付いた。
     
    自分には良いとこがひとつもない、と嘆き悲しんでいたけど
    どうも嗅覚だけはマトモなようで、自分の体臭の変化がわかるのだ。
     
    ちちちちちちょ、ついにババア臭が!!!
    と、目まいやら耳鳴りやら動悸やら
    色んなショック反応を起こしながら、風呂にダイブしたが
    そこで偶然にも、ババア臭の源が判明した。
     
    貰い物の安物のボディソープの人工香料である!
     
    (貰い物を “安物” とか、ほんと失礼な言い草だが
     お中元か何かで貰ったのを 使わない、と回してくれたので
     くれたヤツの評価も同じだと思う。)
     
    何だ? このボディソープは
    “ババアの香り” とでもいう種類なんか?
    と、容器を見ると、フローラルの香りだと言い張ってある。
     
     
    このボディソープは、とりあえず使い切った。
    もったいないからである!!!
     
    ババアからババア臭がしても、不自然じゃねえし!
    と、自分に言い聞かせながら使ったさ。
    もう、こうなると、女性どころか人間としても末期である。
     
    そんで私の凄いところは、この記事のために
    別の、“安物” のボディソープを買ったとこ。
    それも普段は石鹸使いで、ボディソ-プは嫌いなのに、だ。
    この姿勢は、手放しで褒め称えられるべきだと思う。
     
     
    ボディソープだけじゃなく、ボディクリームとかも
    意識して使ってみた結果、判明した。
     
    どうやら、“バラ” の香りにヤバいのがある!
     
    その違いがわからないんだけど
    安物に限らず、オーガニックの純粋なバラでも
    ババアチックなものがあるんだよ。
     
    もちろん、ババア臭じゃないバラの香りもある。
    買う前にこの区別は出来ない。
    もう、実際に使ってみるまでわからない、という
    一番困る、“人それぞれ“ 状態なんだ。
     
     
    加齢だけど華麗なババアの匂いは、バラの香りと紙一重!
     
    私はそう結論付けた。
    なのに周囲のヤツには、まったく同意を得られなかった。
    だが、凡人にはわかるまい、と無視する。
    私のこの脳内の警報は、ただごとではないからだ。
     
    だから、今回は商品名は一切出さない。
    根拠が私の嗅覚のみなので。
     
    バラの匂い、好きだけど、今後は控えようと思う。
     
     
    ちなみに、若いもんには関係ない話かも知れない。
    若いヤツが使っても良い香りだけど
    ババアと混ぜるな危険! という場合もあるからだ。
     
    あと、もしかして私特有の現象である可能性も否定できない。
    私の加齢臭がバラの香りと相性が悪い、とか。
     
    バラの香りは女性ホルモンを活性化させる効果がある、とか言うけど
    生きてきて女性ホルモンを活用した記憶がないので
    私の女性ホルモンは、年代物の腐りかけで
    それがバラの香りで発酵するんかもな。 あはは
     
    って、笑い事じゃねえだろ!

  • イキテレラ 7

    昼食の用意をしていると、玄関のドアが激しく叩かれた。
    台所の窓から覗くと、家の前の通りに馬が何頭も繋がれている。
     
    どうやら父親がドアを開けたようである。
    家の中に大勢の人間が入り込む気配がする。
     
    「どの娘だ?」
    「違う、こっちじゃない。」
    響き渡る大声に、料理の手も止まり怯えるイキテレラ。
     
     
    台所のドアが勢い良く開き、羽付きハットをかぶった制服の男が入ってきた。
    「おーい、こっちにひとりいるぞー。」
     
    逃げようとしたけど数人の男たちに押さえつけられ、足を掴まれた。
    「いやあああああああああああああああ」
    叫ぶイキテレラの足先に固く冷たいものが当たる。
     
    ふと見ると、あのガラスの靴を履かされていた。
    割れていない。
    ヒビひとつも入っていない。
     
    どういう事?
     
    イキテレラはパニックを起こした。
     
     
    城にひとりの男がやってきた。
    「あの貼り紙の靴に心当たりがあるんすけど・・・。」
    男がバッグから出したものは、ガラスの靴だった。
     
    男はイキテレラの家の近所に住むガラス職人だった。
    男はミニっ娘萌えであった。
    しかも足フェチであった。
     
    イキテレラの古靴を盗み、その足型に合わせてガラスで
    輝く美しい靴を作った。
    魔女が言った “あんたの靴” とは、この事だったのである。
     
     
    男は報奨金目当てに名乗り出た。
    自室にあるはずの、自作の靴が片方なくなっていて
    それが城にある理由は、男には皆目見当も付かなかったが
    持ってきた靴と、城にある砕けた靴が一致した事から
    男の話が真実だと判明した。
     
    しかし男は報奨金を受け取れなかった。
     
    「それではおまえは、貴族の姫の足にハアハアしていたんだな?」
    そう追求されて、男は打ち首となった。
     
    報奨金は、男の年老いた母親へと贈られた。
    母親は、その金で風光明媚な保養地に家を買った。
     
     
    そして、イキテレラの家に兵が派遣された。
    イキテレラは、必死に抵抗をした。
     
    「お父さま、助けて、お父さまーーーーーっ!!!」
    娘の悲鳴に、父親はオロオロするだけだった。
     
    「姫さま、どうかお気を静めてください。」
    兵たちのなだめる言葉も、イキテレラの耳には入らず
    イキテレラは泣き喚きながら、3人がかりで抱えられて馬車に乗せられた。
     
    あまりの騒動に、家の周りには人垣が出来ていた。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 6 10.5.25
           イキテレラ 8 10.5.31
           
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  • エコ

    この言葉に疑問を持ったのが、“ゴミを減らそう” 運動である。
    うん、それは減らせば良い。
     
    でもさ、以前、電力会社関係の人に聞いたんだけど
    夜間電力って安くなるだろ
    夜、皆家に帰って電気を使うのに、何でその稼ぎ時に安くするの?
    と聞いたら、真の電力の稼ぎ時は、多くの企業が動いている昼間なんだと。
    一般家庭なんか、客とは言えないぐらいに細い商売相手なんだとさ。
     
    私がこれを聞いたのは、かなりな大昔なんで
    電力会社の今の意識はどうかわからんけど
    国は人ではなく企業で動いているんだ、と思ったきっかけの話なんだ。
     
     
    だからゴミも減らしたければ、企業が動くしかないと思う。
    ごく一部のドグラを除いて、ムチャをする個人はいない。
    こうしろ、って言われたら、ああ、はい、って素直に従う。
     
    ゴミ問題は、家庭の問題じゃなく、企業の問題である。
    本当に解決したいなら、製品作りから変えなきゃならない。
    それにはコストが掛かるので、製造業はそんな事をしない。
     
    それをあたかも個人個人の我がままで環境が悪くなったようにあおって
    不必要なほどの、ゴミの分別をさせる。
    スーパーも乗っかって、レジ袋有料
    アパレル系はエコバッグ売り出し。
     
    レジ袋って、よく燃えるんで良い燃料なんだと。
    でもエコバッグでレジ袋ゴミが減って
    燃焼が落ちたゴミ焼却炉も多く、余計に石油がいる
    って話を聞いたけど、エコ?
     
    んで、エコバッグ、レジ袋より作るのも捨てるのも
    洗ったりして維持するのも手間が掛かりそうだけど、エコ?
     
     
    うちの自治体さ、ゴミ分別に厳しくなっちゃって
    もう、かなり面倒くさくて
    物を買うのに、捨てるのに手間がいるかいらないか
    それで判断するようになったんだ。
     
    何かそうやってると、買い物も減ったよ。
    クソ貧乏なんで、思わぬ節約になって良いんだけど
    メーカー、この時代に何でこの素材で容器を作ってんの?
    とか、店頭で商品を見てはイラつく。
     
     
    自分のこういう感覚の変化で気付いたんだけど
    分別の面倒さで、買い控えをする人も多いと思う。
    これが不況の原因の一端を担っていると思うんだけど
    一般家庭の買い控えなど、不況に繋がらないんかのお。
     
    でも、定額給付金とかやってるとこを見ると
    景気回復のためには、消費してほしいようだ。
     
    だけど死体とかさ、簡単に処分出来ないから
    おちおち殺人も出来んわけじゃん。
    このように、始末に困る物を買え、って言われてもねえ。
     
    それにさ、便利な暮らしをしていると責められてる気にならん?
    余った廃材で作る割り箸が環境破壊の原因にされたり
    ラップじゃなく蓋を使え、マイ箸を持ち歩けったって
    それを洗う洗剤や水が余分にいるんで
    どっちもどっちだと思うんだけどなあ。
     
     
    余談だけど、マイ箸さ、飯屋には迷惑なんじゃないんかな。
    あれ、一日持ち歩くわけじゃん。
    中にはいい加減に洗ってる人もいるかも知れない。
    で、箸で繁殖した菌で食中毒とか起こされたら
    その人が食べてた飯屋も疑われるわけだろ。
     
    エコバッグで万引き被害が増えて困ってるスーパーの話も聞いたけど
    エコだから、止めてくれとも言えないし
    何だか人権屋のようなイメージだ、エコ実践者。
    どっちも家でひとりでするんなら構わんのだけどなあ。
     
     
    二酸化炭素排出権、ってあるじゃん。
    あれさ、中国とアメリカは反対してるだろ。
    国土が広いからなんだと。
     
    そもそもこの話は、EUから出た話で
    小さい国がゴチャゴチャあるヨーロッパは
    もう発展の見込みのある産業は頭打ちになっているそうな。
     
    そこで考え付いたのが、エコを盾に取った排出権商法。
    二酸化炭素を多く出すのが工場で
    ヨーロッパにはもう、工場はそんなに作れないんで
    排出権が余り、それを他国に売れるって腹積もりらしい。
     
    これ、どっかのサイトで見つけたんだけど
    あっちこっちに書かれているから、詳しくはうち以外を読め。
     
     
    これと似たような話で、これは私の妄想なんだけど
    過剰な分別、何でせにゃならんの?
    容器の解体なんて、老人には辛いぞ。

     
    リサイクル、リサイクル、って言うけどさ
    それ、ちゃんと業者がいるわけじゃん。
    それでお金を稼いでるヤツがさ。
    缶とか、リサイクルせずに他国に売ってると思うぞ。
     
    他の業種の仕事の手伝いを、無償でする事はないのに
    何でゴミだけ、そこまで手伝うんだ?
    回収業者、自治体から認可を得た一般企業も多いんだぞ。
    いや、一般企業どころじゃなく、凄い利ゲホゴホゴホゲホ
     
     
    もう、天国からの勢いで上から目線で言うけどな
    自分たちの居場所を大事にしよう、というのは当たり前の事だろ。
    普通に暮らしてたら、そこまで地球に厳しくねえよ、人間は。
     
    んで、またこういう善良な人々が率先して騙されるわけだ。
    真に反省して、態度を改めにゃならんヤツらは
    人類ヒエラルキーの頂点にいる0.0何%なのにな。
     
    エコもリサイクルも、利権であり商法だと思う。
    エコを否定すると、すげえ弾圧されるところが一種の宗教じみている。

  • イキテレラ 6

    「嫌なのかい?
     街中の娘が憧れる王子との結婚だよ?」
     
    「皇太子妃なんて、滅相もございませんわ。
     わたくしは、平穏を望みますのよ。」
    「今のその生活が平穏かねえ?」
     
    「わたくしはこの家のただひとりの直系ですのよ。
     姉ふたりは、いずれ嫁に出ます。
     わたくしは婿を取って、この家を守る予定ですの。」
     
    「それで、婿さんが放蕩者だった、というオチかい?」
    意地悪く笑う魔女に、イキテレラは平然と答えた。
    「貧乏貴族に婿に来る男性など、その程度のものですわ。」
     
     
    「うーん、あんたの性格がイマイチよくわからないねえ。」
    「多くは望まないだけですわ。
     さ、もうお帰りになって。」
     
    イキテレラに押し出されながら、魔女は言った。
    「あの靴は、本当にあんたのものなんだよ。」
    「もう関係ありませんわ。」
     
    イキテレラは木戸を閉めた。
    さあ、忘却して、通常の日々に戻ろう。
     
     
    ところが、“通常の日々” は遠かった。
    靴の試着に行った義姉ふたりが、大ケガをして帰ってきたのである。
     
    靴はガラスで出来ていたので、割れたのを接着剤でくっつけてあった。
    そこに何人もの女性が、無理矢理足を突っ込もうとしたので
    ヒビがどんどん広がり、試した女性は皆、足を切ったのだ。
     
    腱が切れて、歩けなくなった女性もいたらしい。
    そしてとうとう、靴は砕け散ってしまった。
     
     
    翌日、掲示板の紙が貼りかえられた。
     
    『 この靴の持ち主を知っている人に
      5000万ゴールドを褒美として取らせる 』
     
    実物大の靴の絵と、説明が書いてあった。
     
     
    「あんたに5000万の値が付いたねえ。」
    キッチンの窓から覗き込む魔女を見もせずに
    皿を洗うイキテレラが言い放つ。
    「何の話かわかりませんわ。」
     
    「ねえ、本音を教えておくれよ
     気になってしょうがないんだよ。
     教えてくれたら、もうここには来ないからさ。」
     
    その言葉が信じられず、イキテレラは魔女を睨んだ。
    魔女の目からは、いつもの薄ら笑いが消えていた。
     
    イキテレラは、少し諦めた表情になり
    洗濯物が積み上げられたカゴを持って、庭に出てきた。
     
     
    シーツを洗いながら、イキテレラが話し始めた。
    「わたくし、王子さまが嫌いですの。」
    その目は、洗濯物だけを見ていた。
    「正確に言いますと、わたくしはわたくしを好む男性が嫌いですの。」
     
    「どういう事だい?」
    「わたくし、生まれてすぐに母を亡くし
     お父さまは、ああでしょう?
     子供の頃から満足に食べさせてもらえずに
     栄養失調できちんと体が発達できなかったんですの。」
     
    魔女はイキテレラの体格をジロジロと見た。
    確かに同年代の女性と比べると、一回り小さい。
     
     
    「ところが世の中には、小さい女性を好む男性というのが結構いるらしく
     わたくしも、そのような方々に随分つきまとわれましたわ。
     そういう嗜好の方々って、何故か自分たちは逆に
     人一倍、体が大きい場合が多いんですのよね。
     おかげで恐ろしい思いも何度もいたしましたわ。」
     
    イキテレラは、布に怒りをぶつけるかのように
    ゴシゴシとこすり始めた。
     
    「わたくしの不幸の証しであるこの体型を、“好み” だなど
     何と、おぞましい!!!」
     
     
    なるほどねえ、魔女は納得した。
    「うん、よくわかったよ。
     言いにくい事を言わせてすまなかった。
     もう、あんたの邪魔はしないからね。
     元気でおやり。」
     
    魔女は立ち上がった。
    イキテレラは、ようやく魔女の顔を見て少し笑った。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 5 10.5.21
           イキテレラ 7 10.5.27
           
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  • 職務質問

    警察関係を見るとドキッとするヤツ
    おめえは絶対に後ろめたい事をしている!
    何故ならば、私がそうだったからだ。
     
     
    元彼のドレスアップカーに同乗していた時は
    遠くに赤色灯を確認したら、即脇道に逃げていた。
    “整備不良” という切符を切られるからである。
     
    そういう、いかにも怪しい態度を取っていると、逆に目立つのか
    何度も何度も追い回されては、職務質問をされていて
    ドライブをしていても、いつもビクビクさせられ
    真っ当に生きてきた私が、何でこんなに警察に怯えにゃならんのか
    こんなチャラい車に乗ってるこいつのせいで・・・
    と、内心怒りを抱いていたもんだった。
     
     
    愛車・レビンに乗るようになってからも、このビクビクは続いた。
    パッと見はわかりにくいけど、足回りを固めていたからである。
    言っとくが、暴走族とか走り屋とかじゃないぞ。
    私はひとりで夜中に峠を走るのが好きだったんだ。
     
    パトカーを見ると、「このショックとサスは車検通ったっけ?」
    「タイヤはどうだったっけ?」 と、オドオドし
    かなりの挙動不審者的反応を示していた。
     
    車検は車検屋さんに丸投げだったので、誰にも何も注意されず
    どこまでが許されるのかを知らなかったんだが
    今になってよく考えると、替えた部分は全アウトだったと思う。
     
     
    ドノーマルのセリカにしてからは、何の咎もないので
    警察に対しても、逆に 「かかってこんかい!」 と
    挑発的な気分で車を乗り回していた。
    ちょっとした逆恨みである。
     
    要するに、人間、ロクでもねえ事をやってて、足を洗ったとしても
    その後数年間はドグラ気分が抜けない、ってこった。
     
    セリカでノーマルっちゅうのが、若い衆にはありえん話だろうけど
    周囲に 「2ドアなんて」 と、車の形状からして全否定されていると
    どんどん車なんて、どうでも良くなってくるんだ。
     
    何のためにセリカを選んだのか、
    ここの時期はほんと無意味なマイ車歴だった。
     
     
    ローバーになると、何を疲れ果てたんか
    ノーマルどころか、制限時速までキッチリ守るようになった。
     
    警察を見ると、「お勤めお疲れ様です、ガンガン取り締まってね。」
    と、心の中でエールを送るまでになった。
    己がドグラだった過去を棚に上げた、
    かなりイヤな大人の出来上がりである。
     
     
    職質と言えば、東京にいた頃は週に1度は遭っていた。
    夜遅くに、駅から自転車で帰る時である。
    毎回毎回、どこに住んでるの名前は生年月日は自転車の登録は
    と、同じ事を聞かれ、自宅への道のりの結構な障害になっていた。
     
    あまりに度々警察にとめられるので、どんだけ自分が怪しく見えてるんか
    こんなん親が知ったら首を吊られかねん、と逆に質問してみた。
    しょっちゅうとめられるんですけど、私何か不審ですか? と。
     
    そしたら、そこら一帯は高級住宅地で
    某政治家だの有名人だのが多数居住している場所なんだと。
     
    だからここは東京で一番警備が厳しく安全なんですよ
    と威張りに回られたので、そうなんですか、すごいですね、と同調したら
    そのお巡りさん、あそこは○○邸、あそこには誰々が住んでる、と
    いらん観光案内を始めて、当時は個人情報保護法はなかったが
    防犯的には、とても危険な言動じゃないか? と思った。
    が、とにかく媚へつらっておいた。
     
     
    ご近所事情もわかったので、そういう事なら早めに帰宅しよう、ではなく
    遅くなったらタクシーで帰ろう、になったのは
    我ながらロクデナシだったな、とシミジミ思う。
     
    東京の住まいは兄が用意したもので、ボロアパートだったけど
    渋谷まで激近かったので、兄貴やるじゃん! 程度に感謝してたのだが
    兄の妹を心配する気持ちだったわけだ。
     
    とか、キレイにまとめたかったが
    兄のアパ-トは中目黒だったんで、単に飲み屋街に近いって事で
    選んだ場所だったのかも知れない。
     
     
    話がかなり逸れたが、私が警察を恐れたのは
    車をいじくってた数年間のみである。
    趣味だろうが、国家権力を敵に回すような、いたらん事はせんに限るな。
     
    私もいまや警察を見たら、「何?何?」 と野次馬になっている。
    善良な一般市民ヅラをできるのは、ものすごい開放感がある。
     
    職務質問とか、孤独ババアには人と話せるありがたい機会なんで
    インタビューと勘違いしている勢いで
    「何でも訊いて! 何でも喋るから!」 と、待ち構えているが
    善良に生きていると、警官には見向きもされない。
    警官、やっぱプロだと思う。
     
     
    東京ん時の職質の日々は何だよ? と、問われたら
    あの時の私は若かったからだ! と答えさせてもらおう。

    ・・・いや、警官もたまには初々しい娘さんと話したかろう? と。

  • イキテレラ 5

    翌日のイキテレラは、グッタリだった。
    途中で魔法が解け、重いカボチャを抱えて歩くハメになったのだ。
    貧乏なので、1個の野菜もムダにしたくない。
    家に着いた時には、もう朝方の4時を回っていた。
     
    義姉たちの社交界デビューの準備で、いつもよりも仕事が増え
    飯も食えずに踊らされ、歩いて帰らされ、寝る時間もなく
    おまけに今日の義姉たちの機嫌は最悪である。
    舞踏会で誰にも相手にされなかったのだろう。
     
    それでもわたくしよりはマシよ。
    イキテレラには、魔女の “奇跡” は大迷惑にしかならなかった。
     
     
    長い一日がやっと終わり、イキテレラが自室に戻ると
    窓の外には魔女が立っていた。
     
    「ああ、どうも・・・。」
    イキテレラは億劫そうな表情で、魔女に靴を返した。
    「片方だけかい?」
     
    「すみません、もう片方はなくしてしまいましたの。」
    「ううむ・・・、それはマズいねえ・・・。
     でもまあ、しょうがないか。」
     
    「では、ごきげんよう。」
    イキテレラが窓を閉めようとするのを、魔女が止める。
    「ちょっ、ちょっと、それだけかい?」
     
    「ああ・・・、お心遣い本当にありがとうございました。
     魔女さまのご健勝をお祈り申し上げておりますわ。
     では、所用がございますので、これにて。」
     
    イキテレラは、棒読みを終えて窓を閉めた。
    魔女は首をかしげつつ、帰って行った。
     
     
    いつもの日々が戻ってきた。
    何事もないのが一番だわ、そう思いつつ
    イキテレラが草むしりをしていると、辻の方が騒がしい。
     
    何かしら? と、顔を覗かせると
    辻に立っている掲示板に張り紙がしてあった。
     
     
    『先日の舞踏会にて、靴をお忘れの姫君
     預かっていますので、取りにおいでください。
                       王子 』
     
    張り紙を読んで、ギョッとした。
    あのしつこい男性は、この国の王子さまだったらしい。
     
    証拠は靴しかないし、バレないわよね
    にしても、何故こうトラブル続きなのかしら・・・
    イキテレラは溜め息を付いた。
     
     
    街中が、また浮き足立った。
     
    「王子が靴の持ち主を探している」
        ↓
    「王子が靴の持ち主に恋をしたらしい」
        ↓
    「靴の持ち主は王子と結婚できるらしい」
        ↓
    「靴が足に合えば王子と結婚できるらしい」
     
    噂が、アホウ参加の伝言ゲームのように形を変え
    街中の娘が、連日城に押し寄せていた。
     
     
    何をどう考えたら、話がそうなるのかしら?
    私はあの時、王子の言葉に返事もせず目も合わせず
    イヤそうに踊ったあげくに、むこうずねにケリを入れて
    おまけに靴を投げつけたのよね。
    あの張り紙は、罠よ。
    ノコノコ行ったら、不敬罪で捕えられて禁固刑、いえ、死刑だわ。
     
    おお、いやだいやだ、恐ろしい
    ビクビクするイキテレラの後ろで
    義姉たちが靴合わせにチャレンジする、と張り切っている。
     
     
    義姉たちを見送り、振り向いたイキテレラの鼻先に魔女の顔があった。
    不意打ちに声も出ないほど驚くイキテレラに、魔女が言う。
    「義姉たちの靴じゃないのに、止めないのかい?」
    「心配しなくても、あの靴は普通の女性には入りませんわ。」
     
    「名乗り出ないのかい?」
    「申し訳ないとは思っているけど、あれは事故だったのよ。」
    「・・・? あんた、一体何をしてきたんだね?」
     
     
    イキテレラは、舞踏会での一部始終を魔女に打ち明けた。
    魔女は大笑いをしながら言った。
    「だから、あんた、機嫌が悪かったんだねえ。」
     
    「ええ、もう忘れたいの。
     だからわたくしの前に現われないでくださる?」
    イキテレラは、申し訳なさそうに魔女にお願いした。
     
    「ん、まあ、別に良いけどね。
     王子は本当にあんたと結婚したがっているようだよ。」
     
    「ええええええええっっっ?」
    イキテレラが、イヤそうに叫んだ。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 4 10.5.19
           イキテレラ 6 10.5.25
           
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  • 古臭いメイク

    猟奇殺人者には、悪魔がささやいて犯罪を起こすヤツもいるが
    ババアにも、悪魔がささやく瞬間がある。
     
    「そんなに気を遣ったって、どうせ誰も気にしやしない。」
     
    メイクが乗らず、アラが上手く隠せず
    塗って重ねて塗って重ねて、と苦労している時に
    よくこの声が脳裏に響く。
     
    確かにそうではある。
    若い娘さんのメイクとババアのメイクでは
    同じ 「キレイになりたい」 でも、大きく意味が変わってくる。
     
    娘さんの美が、周囲に愛を分け与える献血ならば
    ババアの美は、己が生き延びるための輸血である。
     
    何を言ってるのか、自分でもまったくわからんが
    それぐらい必死度が違う、余裕がない、っちゅう事。
     
     
    世の中には、ただメイクをすれば身だしなみ、と
    勘違いしているババアがチラホラいる。
    しかし、それは大きな間違いである。
     
    若い頃と同じ要領でメイクをしても
    肌も顔形も、若い頃とは全然違うので
    そのチクハグに浮いたメイクを見せられる方は
    心に地味にダメージを受ける。
     
    黒ずくめの呪術ババアや、全身原色のハレーションババア
    豹柄の肉食ババアは、特別指定区分に入るので除外するとして
    白塗りババア、ニュートラババア、バブルババアが
    代表的な絶滅推奨種族である。
     
    ファンデと口紅だけの、やる気なしメイクはともかくも
    微妙な古臭さがにじみ出るメイクだけは避けてほしい。
     
     
    流行を追っていたら、ダンボール何箱ものメイクアイテムが
    部屋にあふれかえってしまう。
    粉系色物は、通常使いでも1個5年ぐらいは持つ量で
    しかもそれ1個だけを毎日使うわけではないからである。
     
    物を気楽に捨てられない習性が標準装備のババアとしては
    10年20年前のアイシャドウなどの粉物は
    腐ったようには見えないので、何かの行事でもないと中々捨てられない。
     
    よってババアは、無闇やたらに流行を追わない方が良い。
    それでどうやって今風のメイクにするかというと
    最低限、これだけ取り入れたら流行っぽくなる
    という部分が、眉の形と口紅の色である。
     
    この2箇所を押さえていれば、出血も最小限。
    眉の太さと長さの調整が大事なのだから
    髪の色に合ってるなら、減らないアイブロウを買い換えなくても済むし
    口紅は捨てられずに持っていても、腐るので
    結局はこまめに買い換える必要があるアイテムである。
     
     
    もちろん他がノーマルなテクを持ってる場合の話だぞ。
    デーモンチーク、ロボットノーズシャドウ
    ヌリ壁ファンデ、スケキヨパウダー、ファラオアイラインなど論外ね。
     
    本当なら、粉物の質感やファンデの乗り方なんかも
    時代時代で微妙に変わっているけど
    正直、化粧乗りの悪いババアの肌の上では
    繊細な質感の違いなど、焼け石に水なんだよ。
    そこはもう、「誰もそんなに見ていない」 っちゅう事で。
     
     
    ただしババアには、流行の範囲内でもひと工夫がいる。
    シアーな口紅が主流でも、ちょっと赤みに頼る、とか
    太眉流行でも、モサくならないようフレームを整える、とか
    老けた顔のメイクには、隠れ鉄則というのが存在するので
    流行をそのまま取り入れたら、単なる必死若作りになってしまうのだ。
    正直、流行の対象年齢は30代前半まで。
     
    だったら流行無視の自分流を貫き通せば良い、と思いたくなるが
    昔の写真の顔で、街を歩けるか?
    シワが増えてようが、タルミがきてようが
    今現在の顔が一番垢抜けてねえ?
     
    ほんの一部分でも、流行というライトに照らされてないと
    街では、違和感がある風貌になってしまうんだよな。
     
     
    男性は、“顔が履歴書” とか言いつつ
    汚れを積み重ねられてほんと羨ましいよ。
    女性の顔は、脳みそステータス表示板なんだよな。
    取捨選択をいかに効率良く出来ているかが、瞬時に表示される。
     
    そこが面白いとこでもあるけど
    アホウで不器用な私には苦労が多すぎる。
    足りない部分は、有無を言わせぬ勢いでゴリ押ししているけど
    これも、やりすぎると人格に関わるしのお。

  • イキテレラ 4

    イキテレラが会場に着くと、あたりにどよめきが起こった。
    「あの美しいお嬢さんはどちらの方かしら?」
    誰も街の端っこの貧乏貴族の娘だとは気付かない。
     
    皆の注目をよそに、イキテレラはテーブルへと真っ直ぐに向かった。
    テーブルの上には、ナビスコリッツパーティーレベルのおつまみしかない。
    給仕係が、ショートグラスの乗ったトレイを差し出してくる。
     
    空腹にアルコールなんて、冗談じゃないわ
    イキテレラは手を振って断った。
     
     
    舞踏会は晩餐会とは違うのね・・・。
    ガックリしたイキテレラが、とにかくクラッカーでもいいから
    腹に入れよう、と伸ばしたその腕を掴まれた。
     
    「私と踊っていただけますか?」
    「あ、いいえ、わたくしあまり踊れませんの。」
    男性の顔も見なかったのは、面倒くさかったからである。
     
    「どうか断らないでください。」
    懇願している口調とは裏腹に
    男性はイキテレラを強引にホールの中央に連れて行く。
    イキテレラは、空腹の上に運動までせねばならない事に
    果てしなく落胆した。
     
     
    しょうがないわ、適当に踊ったらさっさと切り上げましょう
    そう思うのだが、男性が手を離してくれない。
     
    空腹と疲労で注意力が散漫になっているせいか
    気付かなかったのだが、かなり背が高い男性で
    イキテレラはほぼ抱えられる形で振り回されていた。
     
    男性がしきりに何かをささやきかけるが
    イキテレラの神経は、テーブルの上のカナッペに注がれていた。
    ああ・・・、どんどん食い散らかされていく・・・。
     
     
    「あの、どうかもうこのへんで・・・。」
    「ダメですよ、私は今宵あなたに魅了されたのですから。」
     
    何なの? この人、色キチガイなの?
    変質者に捕まってしまったのかしら・・・
    イキテレラは自分の運のなさに、悲しくなってきた。
     
    「あなたに一体何があったのです?
     その憂いを秘めた瞳が私を捉えて離しません。」
     
    離さないのはあなたの方でしょう
    わたくしはお腹が空いて欝ってるのです!!!
    メルヘンはどっかよそでやってくださいーーーーー (泣)
    イキテレラは、目でリッツをずっと追っていた。
     
     
    時計の音が響いた。
    イキテレラはハッとした。
    「今、何時ですの?」
    「時間などふたりには関係ないでしょう?」
     
    時刻すら答えられないとは
    この人は、どこまで能無しの役立たずなのかしら?
    イキテレラはグルグルとタ-ンをされながら、時計を探した。
     
    あ、あった、さっきのは11時の時報だわ
    家からここまで馬車で1時間は掛かった。
    もう帰らないと、途中で魔法が解けてしまう。
     
    イキテレラは、男性のスネを思いっきり蹴った。
    男性がうっ、と怯んだ瞬間、出口へと走り出した。
     
     
    階段を駆け下りるイキテレラの背後で声がした。
    「待ってください、姫!」
     
    信じられない、思いっきり蹴ったのに!
    わけのわからない執着心といい、この人、人間なの?
    イキテレラはケダモノに襲われる恐怖に駆られた。
    その瞬間、高いヒールが傾いた。
     
     
    転んだイキテレラに、男性が迫る。
    「大丈夫ですか? 姫」
     
    いやああああああああ、来ないでえええええええ
     
    イキテレラは思わず、靴を男性に投げつけた。
     
    パリーンと割れる音が聞こえたけど、構わずに馬車へと急ぐ。
    「猫に言葉が通じるかわからないけど、急いで帰って!」
    馬車に乗り込んだイキテレラは、御者に叫んだ。
     
     
    走り出した馬車の中から振り返ると、階段に人が群がっていて
    その中心に倒れているであろう男性の足が見えた。
     
    ごめんなさいね、イキテレラは心の中で謝った。
    でも、しつこいあなたがいけないのよ。
     
     
     続く
     
     
    関連記事 : イキテレラ 3 10.5.17
           イキテレラ 5 10.5.21
           
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