皆の顔を見てオドオドするアッシュに、老紳士が声を掛けた。
「それで、もう大丈夫なのかね?」
「え? 何がですかー?」
アッシュの間抜けな聞き返しに苦笑する。
「きみの体調がだよ。」
「あっ、ああ、すいませんー。
もう気持ち的には大丈夫ですー。」
「そうかね、それは良かった。」
老紳士はそう答えたが、アッシュの右目が見えなくなっている事と
それがローズの死の真相を知ったことへのショックなのは
メンバーの全員が知っていた。
情報源は、もちろんジジイである。
「えっとー、それでですねー、言いたい事があるんですが
遠慮なく言って良いですかねー?」
ジジイが茶々を入れる。
「あんたが遠慮した事があるかいな?」
「うっせー、ジジイ、黙れー、死ねー!」
アッシュがジジイの耳元で、ドスの利いた小声で言う。
ジジイが指をくわえて気色悪くスネるのを無視して、アッシュが続けた。
「寝込んだのは申し訳なかったし、お見舞いも本当に嬉しかったのですが
皆さんがやるべき事は、他にあったんじゃないか?
と、言いたいのですー。」
「それはどういう意味だね?」
太っちょ紳士がいぶかしげに訊ねる。
「今回の事で皆わかったはずですー。 次の主を用意しとくべきだとー。
皆さんは、その人物を捜すべきだったんですー。」
メンバー全員が考え込んだ。
「確かにそれは正論だが、きみは生きてるわけだし・・・。」
「そのお気持ちは本当に嬉しいんですが、死んでからじゃ遅いんですー。
“次” を用意しとかないと、せっかくの改革が中断してしまいますー。」
「うーん、だが正直言って、きみに匹敵する人材がいないのだよ。」
太っちょ紳士の意見にリオンが賛同した。
「そうでーす、アッシュさん以外におられませーん。」
「おめえはだーっとれー!」
リオンに一喝して、アッシュは言い切った。
「いないなら作れば良いんですー。」
その言葉の意味がわからず、皆は はあ? という顔をした。
「相続戦はもうやらない事にしたでしょー?
だから、子供を連れてきて育てれば良いんですー。」
「「「どっから?」」」
数人が揃って同時に叫んだ。
「某国か某々国あたりからですよー。
そこならラクに子供をさらってこられるでしょー。」
「さらうって・・・。」
「ま、さらうってのは半分冗談ですけど
そこらへんなら子供を買えますよねー。」
半分かい、冗談は! とジジイは突っ込みたかったが
連続の死ね攻撃は老体には堪えるので、大人しく黙っていた。
「しかしそういう子は、国籍とかの面倒があるし・・・。」
メンバーの渋りに、アッシュは自分を指差した。
「「「「「え・・・・・? あっっっ!!!!!!!」」」」」
「き、きみ、国籍はどうなっとるんだね?」
ふっ・・・、とほくそ笑んで、アッシュは平然と答えた。
「パスポートはとっくに失効してるはずですよー。
私、多分、行方不明扱いですー。」
ああああああああああああああ と、全員が頭を抱えた。 リオンを除いて。
リオンは状況がわかっているのか、アッシュの妙な言動にも動じていない。
アッシュは皆 (マイナスひとり) の苦悩を、サラリと流した。
「何を悩む事があるんですー?
不祥事があったら、余計に私のせいにしやすいじゃないですかー。」
また、無謀なプラス思考を・・・と、ジジイは突っ込みたかったが
連続の死ね攻 以下略。
「ふむ・・・、きみの国籍問題は改めて考えるとして
その跡継ぎの子供というのを、どうやって選ぶんだね?」
「ダ○イラマの逆バージョンでいこうと思うんですー。
つまり、私が “導かれて” いくんですー。
今後の主交代はそれで行けば、余計な血も流れないし
子供の内から側にいたら、ラクに主のやり方を学ばせられますよー。」
「なるほど! それは良い方法かも知れない!」
威圧的な紳士が、賛同した。
まったく突飛な事を考えるものだが
だからこそ、あそこまで館を生まれ変わらせられたのかも知れない
他のメンバーもそう思った。
しばしの議論の後、出た結論は賛同だった。
「わかった。 その方法で行こう。」
メンバーの承認を得たアッシュは、早速席を立った。
「では、探しに行きますので
どこの国でも良いですから、その地元に詳しい
知的イケメンガイドをお供にひとりお願いしますー。」
「ち・・・知的イケメンじゃないとダメなのかね?」
「はい。 私の右目も知的イケメンなら見えるかもー? ってね。 あはは」
それ以上にない気まずいギャグである。
アッシュは卑怯者であった。
「ど・・・どんなタイプかね?」
おそるおそる訊くメンバーに、難題をサラリと言い放つアッシュ。
「んー、欧米人だと、私の “知的” 定義からはちと外れるけど
若い頃のジェームス・スペイダーか
少年時のエドワード・ファーロング似で何とぞー。」
「誰ですって?」
「多分ハリウッドの俳優じゃないかね?」
メンバー全員が困り果てたところに、追い討ちを掛ける。
「あっ、そうそうー、私の偽造パスポート、よろしくー。」
「「「偽造かね!」」」
「だって私が今更、日本大使館に行ったらヤバい事になるかもですよー。
それに善は急げと言うし、偽造が手っ取り早いでしょうー。」
“善” かのお、とジジイは突っ込 以下略。
「何もきみが行く必要もないんじゃないのかね?」
無個性紳士が反対した。
「この計画だと、私じゃないと真実味半減でしょーがー。
何せ、逆ダ○イラマですよー?」
「ううむ・・・、しょうがない・・・かなあ?」
無個性紳士は、あっさりと言いくるめられた。
「皆さんの地位と権力なら、ラクショーでしょー?
それに私もここのパスポートがあったら
今後何かの時に助かるかも知れませんしねー。
あっ、もちろん今回の旅の後には
偽造パスポートは長老会に返しますから、悪用の心配はありませんよー。
ガイドも、私の監視役の意味も兼ねて選んでくださいねー。
知・的・イ・ケ・メ・ン をー。」
言いたい放題のあげく、ドアの手前で振り返ってまだ言う。
「それとですねー。」
まだ何かあるんか! と、全員が殺気立った。
「皆さんも跡継ぎはちゃんとしといてくださいねー。
余計なお世話でしょうけど、館の存続に大きく関わってきますからー。」
その言葉にリオンが挙手して叫んだ。
「うちはだいじょぶでーす。
跡を継ぐために、父の仕事には全部参加し始めたんでーす。」
リオンが示す人物を見て、アッシュは驚愕した。
「えっ? このダンディー紳士がおめえの父ちゃんーーー?」
そうでーす、と満面の笑みで答えるリオンの肉付きの良い肩を
ポフンポフンと叩きながら、アッシュが半笑いで言う。
「その気になりゃ、あなたの未来は明るいかも知れないんだよー?」
「はーい? 何でーすかあ???」
リオンは本当にわからないようだったが
その場の彼以外の全員が、アッシュの言葉の意味を理解していた。
続く。
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ジャンル・やかた 71
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禁煙日記
< 1日目 >
今日でタバコの買い置きがなくなる。
何の感慨もなく、普通に消費する。
やめると決めたんだから、未練はない。
最後の1本を吸い終わったら、タバコ関連グッズを全捨てした。
灰皿、ライター、フィルター。
そりゃもう、ちゅうちょなく。
正直、これが出来る自分は冷酷だと思う。
3時間は変化なし。
電子タバコもまあまあだし、楽勝だと思った。
が、その後、怒りっぽくなる。
ネガティブな事ばかり脳裏に浮かび、ひとりでイラ立つ。
まあ、こんぐらいなら耐えられない事もないんで、普通に過ごす。
どうも手持ち無沙汰で間が持たない。
DSも始めてはすぐに止め、を繰り返す。
< 2日目 >
予定より2時間も早く目覚め、眠れない。
これも別に良い事なので、さっさと起きる。
起床1時間後、喉と胸の奥がモヤモヤして、喫煙したくてたまらない。
これは無視すれば良いのだが、2時間後に倦怠感が襲ってくる。
頭の回転がものすごく鈍る。
イライラやソワソワはしない。
私の反応は、とことんダウナー方向のようである。
何もやる気がせず、誰とも話したくない。
引きこもって、ただ転がっていたい。
私の場合は、ニコチンの中毒は軽いはず、と思っていたのだけど
結構な重症かも知れない。
何? この禁断症状!!!
法も犯しとらんのに、こんな目に遭うとは。
ただ、吸いたいなー、を我慢すりゃ良いだけかと思っていたら
身体的に、こんなにも影響が出るんか。
ナメてたぜ・・・。
こんなになるようなものを、国は普通に売ってるんか。
さすがヒロポンを売ってた国だけある。
この時点で、もう電子タバコなど何の効果もない。
幻覚や幻聴がないだけまだマシ、と自分に言い聞かせて耐える。
一日中タバコタバコとそれだけしか頭になく、ほんと情けない・・・。
ここまでシャレにならんドバカだったんか、私は。
ああ・・・、思考がマイナス方面にしか行かない。
すげえ客観的に観察したけど、禁断症状は2日で消えた。
ニコチンの後遺症は、2~3日でなくなると思う。
後は 「吸いたい」「手持ち無沙汰」 という
己の純粋な欲望のみとの戦いになる。
こっからが電子タバコの出番じゃないかな。
私の場合、止めると決めたんで、電子タバコはアテにはしていない。
だから禁煙したい人は、禁断症状を緩和させるために
最初の数日間だけ、ニコチンパッドを使用しても良いと思う。
欲望と禁断症状を混同してたら、いつまでも止められないんで
ニコチンパッド系も、数日で止めるようにな。
私は今回の禁煙で、すんげえ評価が上がったよ。
“信じられない自制心の持ち主” だってさ。
「ああ? タバコの煙がイヤなら、私と会わなきゃ良いじゃん。」
「そこ禁煙? だったら行かない。」
と、はばからずに言っていた私が
30分タバコを吸えないと、イライラしていた私が
いきなり禁煙宣言をして、本当にあっさり止めたから。
しかもグチひとつ言わず。
普段なら賛辞は嬉しいのだが、今は禁煙で心がケバ立っているんで
うるせえ、そんな事より吸いてえんだよ!!!
と、周囲の評判など内心どうでもいい。
すっげえアウトローな気分。
一体いつになったら、吸いたくなくなるのかわからんけど
3ヶ月前に止めてたら、今頃はまだラクだったはず。
それがわかってるから、吸わないだけなんだ。
タバコを止めるコツは、辛さを無視する事。
「それが出来ないんだよ」 だって?
そりゃあ自分を大事にしすぎだぜ。
おめえ、普段から俺が俺が言ってねえか?
大義のために己を滅する、それが日本人だろ。
こういう事を真顔で言える性格だから、タバコが止められるんだろう。
真のコツは、“己のプライドに酔う” 事だな。
まあ、そういうお遊びの心理オプションはおいといて
しない、と決めたら、しない、ただそれだけの単純な話なんだ。
そこに欲望やら感情やらをたくさん持ってくるから、ややこしくなるんだよ。
よく考えてみい、1個だけを我慢すれば良いだけなんだぞ。
「吸いたい」 という欲望、それだけを我慢すれば後は楽勝だ。
物事はシンプルに捉えるべし。
禁煙するヤツ、思考の迷宮に囚われるな。
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タバコ中毒の真相 10.4.19
電子タバコ 2 10.4.21 -
ジャンル・やかた 70
長老会会議に、アッシュが出席した。
「ブッ倒れて寝込んで、申し訳ございませんでしたー。
ちょっとヒス起こしちゃいましたー。
皆様方には、度々のお見舞い、心よりお礼を申し上げますー。
どうもありがとうございますー。」
敬礼をするアッシュに、若い太めのメンバーが嬉しそうに言った。
「おおーう、ニッポンのオジギでーすね?」
「いえ、これはサイケイレイと言いますー。
最高の敬愛を込めてするオジギですー。」
「おおおおおー、ニッポン、美しい文化でーすねえ。」
「・・・? 何かやたらニッポンを褒め上げてるようですがー?」
いぶかしがるアッシュに、ジジイが横から口を挟んだ。
「ああ、こいつはあんたの見舞いに来た時の視察で
あんたのゲームにハマってな。
ヒマさえあれば、あんたの部屋に入り浸ってたんじゃよ。」
「ちょ! 私のゲームを勝手にー? セーブデータはー?」
勢いで立ち上がったアッシュは、リアル目まいを起こした。
「ああっ、無理しないでくださーい。
だいじょぶでーすかあ? こっちはだいじょぶでーす。
私専用のメモリーカード作りまーした。」
アッシュは益々目まいがした。
「あんた専用って、どのハードのメモカをー?」
「ゲームキューブとプレステ2でーす。」
「その2個で3000円ぐらいするんだけどー・・・。」
「おーう、お金の事なら任せてくださーい。」
「私の部屋には、お金を出しても入手困難なものもあるんですよー?」
そう言って、アッシュはハッとした。
「あんた、私の寝室に勝手に入ってたんかいーーーっ!」
「あなたの部屋、素晴らしいでーす。
その価値、私にもよくわかりまーした。
これからもよろしくお願いしまーす。」
「アホかーーーっっっ! バカかーーーっっっ!
乙女の寝室にゃ出入り禁止に決まっとろうがー!」
「おーまいがっ、乙女のくだりは突っ込みませーん。
だからどうか私をゲストさせてくださーい。」
「ああーーーっ、こいつ、イライラするーーーーーーーっ!
何なのー? その喋り方ー。」
「私、ゲームラブになってから、ニッポンラブになりまーした。
今、ニッポン語勉強中でーす。
もちろん主さんもラブでーす。
どうか私を受け入れてくださーい。」
アッシュはジジイの方を向いて、質問した。
「こいつ、まさか下ネタを言ってるわけじゃないですよねー?」
ジジイは ぶはははははは と大笑いした後に答えた。
「その心配は、あんただけにゃないから安心せえ。
こやつは単純にあんたの所有するニッポンの品々に興味があるだけじゃ。」
アッシュは、ムウッとふくれっ面になったが
ピン、と悪巧みが脳裏によぎったらしく、急ににこやかな顔をした。
「えーと、何さんでしたっけー?」
「リオンでーす。」
「リオンー・・・? へえー・・・、“リオン” ねえー。
私の借金を払ってくれたら、私の部屋で自由に遊んで良いですよー。」
その提案にはさすがのリオンも渋った。
3000円どころの騒ぎじゃないからである。
そこにアッシュが背中を目一杯押す。
「あらーーー、残念ですねー。
あなたと同じ名前のキャラが登場するRPGもあるんですよねー。
しかも脇役なのに、そのゲームではそいつが一番人気と言うー。」
「ええっ、そんなゲームがあるんでーすか!
何て言うゲームでーすか?」
「さあー? 教えないー。 へっへっへー
あっ、画像だけ見せてあげるー。」
アッシュは携帯をしばらくいじっていたが、ほら、とリオンに画面を見せた。
「おおっっっ、これはっっっ!
何て素晴らしーいニッポンの黒髪の美しい少年であーる!!!!!」
自分と同じ名のキレイなマンガ絵の少年に、リオンはエキサイトした。
「・・・わかりまーした!
私もニッポンを愛する者として、あなたを助けましょーう。
幸い私は大金持ちで-す。 お金は腐るほど持ってまーす。
多少の施しもだいじょぶでーす。」
その言葉を聞き、アッシュは好感を持った。
「あんた、意外にヤな性格してるんですねー。
好きですよー、そういうヤツー。」
「アリガトゴザイマース。」
このやり取りをアッシュの後ろで聞いていたリリーは
ああ・・・また始末に困るキャラが増えた・・・、と落胆した。
ここまでに掛かった時間が30分強。
他のメンバーはジジイ以外、皆
無言でふたりの掛け合いを聞いているだけだった。
よっしゃあ! これで借金チャラ!
と、拳を握り締めたアッシュが、ふと我に返った。
今は会議の真っ最中なのだ。
つい私事にムキになった自分に、しまった、と後悔したが
何故か皆、微笑ましいとでも言いたげに、ニコニコとしている。
その様子に、アッシュはゾッとしたが
元気になったアッシュの姿を、皆、純粋に喜んでいたのである。
続く。
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ジャンル・やかた 1 09.6.15 -
ユースキンS
私はナイスバディなので、痩せていても胸はある。
(このナイスバディさ、“バディ” って相棒の事で
本当は “ナイスボディ” と言うべきじゃないか、と思うのだが
今更間違いを認めると、このブログで何十万回も繰り返し繰り返し
書いてきたのを、全部書き直しせにゃならんくなるので
このままナイスバディで通す。)
(でも、本当はどっちが正しいんだ?
知ってるヤツ、教えてください。
途中でまるで何もなかったかのように軌道修正するから。)
好みのファッションの都合上、乳に興味はないのだが
志村けん扮するストッキング乳ババアのようになりたくないので
貧困にあえいでいても、バストクリームだけは塗ってきた。
このバストクリーム、色々使ってきたのだがどれも効果がない。
十二分にナイスバディだから、これ以上ナイスにはなれないんだろう
ぐらいに思っていたんだが、あまりの無意味さに
何かもう全身ニベア1個で良くねえ?
と、思っていた矢先、どっかのサイトで
「ユースキンのハンドクリームが胸に張りが出る」
という、とても怪しい情報を見つけた。
(すまん、そのサイト、どこだか忘れてしもうた)
ニベアとユースキン、どっちも値段的にそう変わりがない。
だったらユースキンにいくべきだよな。
という事で、即刻ユースキンを買いに走ったのだが
ユースキン、いっぱい種類があるんだよ・・・。
その中の一体どれの話だったんだか、思い出せない。
棚の前で、私の生涯で今が1番悩んでいるんじゃないか?
というぐらいに、迷いに迷ったさ。
そんで、お決まりの、もうどれでもいいや、という
ものすげえ面倒くせえ気分になって
理由もなく、ユースキンSというのを買った。
すまん、値段は忘れた・・・。
数ヶ月前に買ったからではない。
昨日買ったとしても、忘れてしまっている自信がある。
これを塗り始めて2ヶ月ぐらい経った時かな。
風呂で体を洗っていて、ふと気付いたんだ。
あれ? 何か乳、デカくなってねえ? と。
天然乳っちゅうのは、歳を取るごとに乳の上の肉がなくなっていく。
それが度を過ぎると、胸の上にあばら骨が浮いて見えるようになるのだ。
私も少しそれになりかけていた。
それが、その部分がふっくらしてきているのだ。
乳用クリームをユースキンに変えた以外に、何もしていない。
体重、体調その他、特に変化は感じられない。
これはどう考えても、ユースキンの効果だよな?
ちなみに、乳マッサージは絶対にしない。
ついうっかり、しこりなんか見つけたら
逆にショック死しそうだからだ。
乳ガンとか、注意せにゃいかんとわかっていても
ほんと恐くて、乳、触りたくねえんだよ。
もちろん他人に触られるのも冗談じゃねえ。
乳を触ってきた痴漢に、「胸にしこりがありますよ」 と
いつ言われるかとヒヤヒヤしているぐらいである。
これは病的な恐怖なので、正論で諭しにこないでもらいたい。
結論として、ユースキン、乳に良いような気がする。
確かに微妙に張りも出てきている。
老化にどこまで対抗できるかはわからんが
正直、今まで使ったどのクリームよりも効果を感じた。
まったく、意外なとこに伏兵っているんだなあ。
壁に耳あり障子に目あり、天井裏には忍者おり。
床下? うちの犬がそこでよく仔犬を産んでたよ。
次は他の種類のユースキンも、乳に塗ったくってみようと思っている。
ユースキンは、私の中では乳専用に認定された!
余談だが、乳を揉むと大きくなる、って言うよな。
これ、ウソだと思う。
だったら何で、痩身エステで “揉み出し” があるんだよ?
乳、脂身だぞ?
腹肉も脂身だぞ?
揉んだら小さくなるんじゃねえの?
これと同様に、ブラジャーの意義、これもウソだと思う。
ブラジャーをしないと乳がタレる、っていうやつ。
私は締め付けるのが嫌いで、ブラはあまりしない。
冬場はコートをダシに、ノーブラでブラブラするし (高度なダジャレだ)
夏場はタンクトップにパッドがついたのを着る事もある。
体のラインがくっきり出る服の時以外は、基本ノーブラである。
もちろん家でもノーブラ。
私にとって、ブラはでっかいニプレスのような存在でしかない。
こういう習慣なので、タレまくるだろうな、と覚悟していた。
案の定タレの兆候は、20代終わりぐらいにきた。
あーらら、と思いつつ、放置した。
性格がザツなゆえ、全体の雰囲気がナイスバディなら
些細な部分にはこだわらないのだ。
だが、そのタレ、何かあまり進行しないんだよ。
態度から言っても、年齢から言っても
もう背中によいしょと回せるぐらいに
ビローンとタレていても良いはずなのに。
すんげえ厳しい目でチェックしたけれど
乳のタレ、そんなに進んでいないんだ。
よって私の結論は、ブラはタレ防止にはならない、だ。
骨格とか体質とかもあるだろうけど、私の場合はそういう経験をしている。
どうも美容に関する事って、ウソが多いような気がする。
“個人差” で済ませられない範囲なんで
ものすげえ “裏” を勘ぐってしまうなあ。
努力するのは良いけど、商売のために騙されるのはイヤだよな。
あれ? と思ったヤツが、問題提起をしていかないと
後世の娘さんたちが、間違った常識に振り回されて
大変な思いをする事もあるだろう。
だから自分の経験は積極的に語っていくべきだと思う。
私はナイスバディだ。 (そっちの経験談かい!!!)関連記事: ユースキンA 10.10.28
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ジャンル・やかた 69
「どこにも異常は見られません。」
「じゃが、確かに右目は見えていないんじゃろ?」
病院長の言葉に、ジジイが確認し直す。
「はい。 おそらく心因によるものかと思われます。」
そこまでなってしまったか・・・。
「わかった。 わしが説明する。」
ジジイは病室に入った。
「異常はどこにも見られないそうじゃぞ。 良かったのお。」
ジジイの、とてつもない簡略な説明に
アッシュが小声ながら、久しぶりにまともに喋った。
「では・・右目が・・・見えないと・・いうのは・・・・・
精神的な・・もの・・・ですか・・?」
「・・・そうじゃな。」
ジジイの苦悩した様子の答に、しばらく考え込んでいた様子のアッシュが
ふふふ と笑った。
その反応を見てジジイは、ああ、ショックでとうとう頭まで・・・
と、絶望的な気分になった。
ところが意に反して、アッシュは息も絶え絶えに言った。
「じゃあ・・・・・私は・・・許さ・・れる・・って・・・
事・・じゃ・・・な・・いです・・・か・・・・・?
目が・・見えなく・・・なる・・・って・・・
片目・・・でも・・大変・・・な・・罰・・・ですよ・・・ね・・?
罰・・・が・・与え・・・られる・・・って事・・・は・・・・
償う・・機会を・・貰・・・った・・・
って・・事・・・・です・・よね・・・?」
ジジイは、その言葉に驚愕した。
こやつは何ちゅうプラス思考なんじゃ!!!
感心して良いのか、呆れるべきなのか、迷っているジジイにアッシュが言う。
「喋・・・る・・のも・・・す・・んげえ・・・
体・・・力・・・・・が・・いり・・ます・・・ね・・・・・。
リ・・ハビ・・リ・・・おお・・ごと・・・かも・・・。」
その言葉に我に返ったジジイが、アッシュに確認した。
「リハビリはここでするかね? 館に帰るかね?」
「こ・・こ・・・どこ・・で・・すかあ・・・?」
「何じゃ、そんな事もわからんかったんか?」
「す・・・い・・ませ・・ん・・・
何・・せ・・トチ・・狂って・・・たん・・で・・・・・。」
「ここは長老会管轄の街の病院じゃ。
警備的には館の方が安全じゃが、どうするかね?」
「こ・・こ・・・に・・・しま・・・す・・・。
住・・・人・・たち・・・に・・・
こんな・・・姿・・・見せ・・られ・・・ない・・です・・・。」
「そうじゃな、じゃあ、そう長老会に報告しとくわい。」
「gome・・atoyoro・・・otsu・・・・・。」
「???」
ジジイにはアッシュの最後の言葉は理解できなかったが
『ごめんね、後の事はよろしくお願いします、お疲れ様ですー。』
という意味の日本語であった。
久しぶりに喋って、気力体力を使い果たしたんで
最後は投げやりになったのだ。
続く。
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ジャンル・やかた 70 10.4.12
ジャンル・やかた 1 09.6.15 -
NTT光の営業
10.3.19 訪問販売 の記事で、“某企業” と書いた。
私にしては配慮した書き方だったんだけど、実名を出す。
と言うのもな、また来やがったんだ!!!
光の営業ーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
そりゃ昼間いないからとか、しょうがないかも知れんが
女性ひとりだと、暗くなってからの予定にないピンポンは
もんのすごーーーーーく恐いんだぞ。
いっつもおそるおそるインターホンに出るんだが
また、「NTTですがお知らせがあるので出てきてください。」 だ。
どういったご用件でしょう? と問うと
「おたくは光に入ってますか?」 なんだよ。
もう、わけがわからんだろ?
どういうお知らせですか? にも、あいまいな事しか言わず
じゃあチラシをポストに入れておいてください、にも
「ポストにですかあーーー?」 だよ、これが大人の対応かよ?
仕事で接してくれる人には丁重に接する、という信念を持っているが
さすがにこいつにはブチ切れたよ。
うちは5年ぐらい前から、フレッツ光を契約している事
それなのに何度も、既に入っている契約を契約しろと言ってきている事
契約時にはマンションタイプには入れなかった事
今改めてマンションタイプに入る場合
現在の契約を解除し、なおかつ工事代2万なんぼを払わされる事
(最初の契約時に、無料で工事をしているので
もう無料工事はしてもらえないそうだ)
それで月々の使用料が500円割り引きになるだけ
長期利用者割り引きが消えるのに、工事代2万なんぼなのに。
だからNTTに電話して、うちはもうマンションタイプには入らないので
無意味な営業に来ないように、という話になっているんですが
と、長々と説明したんだ、インターホン越しに。
それで向こうがどう答えたかと言うとな
「とにかく出てきてください。」
・・・・・・・・・・・・・・・
まさか日本で日本語が通じない、という経験をするとは・・・。
もう、こいつはダメだ、と感じたんで
申し訳ありませんが、お断りさせていただきます どうもお疲れ様です
と言っていたら、どうもお疲れの部分で帰りやがった。
無言で!!!!!!!!!!
足音でわかるんだよ、インターホン越しでも!
何という無礼なヤツなんだ!!!
翌日NTTに電話して説明して、どういう事かと訊いたさ。
そしたらな、NTTには直営の営業店の他
星の数ほど、代理店があるんだと。
直営には苦情は通達できるけど
個人情報保護法があるんで、それ以外の営業店にはできないそうな。
うちにしつこく来ているのは、直営じゃない代理店だろう、って話。
代理店でもNTTの関係じゃないか、と突っ込んだら
直営の営業員の教育は徹底している
(うちに来た) その営業は、営業としてありえない態度だ
そもそも 「NTTです。」 とだけ言うのは禁止している
「NTTテレポケットの○○社です。」 と言わなければならない
それをしなかっただけでも、代理店解除の対象になる。
こう言われた。
だから、NTTの営業が来た時には
「NTTテレポケットのどこの会社ですか?」 と訊け、と。
それをNTTの方に伝えてもらえれば、対処できるという事だ。
些細な事だとは、自分でも思っている。
だけどな、何度も何度も意味のない営業に来られるのは
やられている側としては、ほんとうっとうしいんだよ。
営業としては当然の行為なんだろうけど
こっちが気を遣っているのに、押せ押せで空気を読んでくれず
しつこく粘られ、断ると気を悪くされ
こっちが頼んで来てもらってるわけじゃねえのによ!!!!!
今度から社名を訊くよ、インターホン越しに。
そんで、「うちはNTTさんと直接話をつけていますので。」
で、終わらせる事にする。
えらい弱腰な対応に思われるかも知れんけど
他人の職を脅かすような事はしたくないんだ。
一応はマルチとかじゃなく、普通の業種だからな。
それに正直、逆恨みも恐い。
電話勧誘や訪問販売の対応の失敗での嫌がらせ、ってよく聞くから。
どんなに顔や根性が悪かろうが、とりあえず私はか弱き女性だし
ほんっと、招かざる客ってのは恐く感じるんだ。
チキンな私以外にも、訪問販売に困っている人
NTTの場合は、こういう事情だから参考にしてくれ。
なお、テレポケットについて調べてみたら
“正規代理店” と書いてある。
・・・? 正規なんじゃん???
ここらへんがよくわからないんだけど
“直営” と “正規代理店” の違いとはいっても
NTTが認めているんだから、責任は発生するよな。
個人情報保護法の都合の良い利用にもピクッときたが
こっちの質問にも、微妙にズレた返答をしているし
NTT、単に保身しているだけかも知れん。
ちなみに、ここ1ヶ月で2回留守電に無言の着信があった。
普通なら、こちらから折り返し電話をするけど
0120で始まる番号なんで、絶対に勧誘だと無視してたんだ。
そしたら夕べ電話がきてさ、それがその2回と同一番号でさ
今回は在宅してたんで出たら、「NTTですが」。
また言うたな? NTTです、と。 また言うたな!!!!!
それでも愛想良く、はいはい返事してたら
「今、“フレッツ光” というサービスがございまして」
私はフレッツ光の存在も知らない人認定かよ!!!!!
うちはもう光ですけど、と答えたら
「ああ、そうでしたか、失礼いたしました。」 ガチャ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
NTTは、取引相手の管理も出来ない企業のようだ。
その名の下に、たくさんのドグラ会社が
当たり屋まがいの商法をやっとるっちゅうに。
と言うか、NTT光に入っていない人、勧誘攻撃が大変だろうなあ。
私の場合既に完璧な契約をしてるから、まだマシかも知れん。
と、思わせたいんじゃないだろうか???
私、マジでそう感じたから。
はあ・・・、電電公社で何様対応をやってて
民間に解体されたら、お役所仕事はそのままに押し売り商法かよ?
何故か今ふと、エコってウソじゃねえ? と思ったよ。
ゴミのリサイクルって、結局はムダなんじゃねえの?
いや、NTTとはまったく関係ない話だけどな。
ゴミはゴミのまま葬るのが一番最善だという気がする。
いや、まったく関係ない話をしてすまんけどな。 -
ジャンル・やかた 68
ジジイに呼ばれた医者に鎮静剤を打たれて、アッシュは再び眠りに落ちた。
「しばらくは、様子次第で鎮静剤を頼む。」
そう医者に告げて、部屋を退出したジジイにデイジーが食って掛かった。
「主様に何をしたんですか!!!!!」
ジジイは、丁度良かった、と思いつつデイジーに命じた。
「この部屋は、医師と看護士のみの待機にする。
あんたは用事がある時以外はこの部屋に来るでない。」
何故ですか! と、激怒するデイジーにジジイは怒鳴った。
「主代行の命令に質問をするとは何事じゃ!
聞けぬなら、あんたを世話係から外すぞ!!!」
ジジイの剣幕に、デイジーは黙りこくった。
構わずジジイは背を向けて去った。
主としてしか見ないヤツは、今のアッシュには酷じゃからの。
目を覚ましては泣きじゃくるアッシュに、再び鎮静剤が投与される。
もう数週間もアッシュはベッドから出ていなかった。
鎮静剤のせいで、常にもうろうとした状態になっていた。
それでも朝になると、看護士がカーテンを開ける。
ある日、ふとつぶやいた。
「あら、今日は良い天気になりそうね。」
その言葉に、アッシュが目だけを窓に動かした。
ローズが必ず天気の話をしていたからだ。
今日は雷がきそうだね、重そうな雲がやってきてるよ
乾いた空気だね、ハーブに水を多めにやっとかないとね
今日は暑くなりそうだね、帽子を持っていきな
そろそろ寒くなりそうだね、空があんなに高くなっちゃったよ
今日は良い天気だね、鳥の声がよく響いているよ
以前はローズの事を思い出すのさえ封印していた。
だが今は、毎日毎分毎秒ローズの事しか考えられない。
ローズが恋しい ローズに会いたい
そう思ってしまう自分を止められないでいた。
しかしアッシュが今死のうと、ローズには決して会えないのだ。
それどころか自分が死を選ぶ事は、ローズを2度裏切る事になる。
1度目は、ローズに隠れて殺人を繰り返した事。
ローズに罪をかぶせたのは、裏切りではない。
あの時はローズの自殺に怒り狂って
仕返しのつもりで、その死にすべてをかぶせたのだが
ローズはそれを望んでいた、と今のアッシュにははっきりとわかっていた。
「あんたを守る」
この言葉は、アッシュを疑いから逃そうとするだけではなく
アッシュが死なないようにするためでもあった。
ローズの自殺によって、アッシュは現世に縛られる事になったのだ。
アッシュはそう考えると確信しての事である。
ローズは確実にアッシュを守った。
命だけは。
ローズの誤算は、自分のカルテが診療所に残されており
それをアッシュに見られるなど、予想もしていなかった事だった。
アッシュが微かに喋った。
「・・・窓・・・・・が・・・遠・・い・・・?」
看護士がそのか細い言葉にハッとし、アッシュの方を振り返る。
アッシュは、目を開けたり閉じたりしていた。
「何をなさっているんですか?」
看護士がアッシュの横にひざまずいて訊ねる。
「・・・右・・目が・・・見・・え・・ない・・・・・。」
「えっ?」
看護士の聞き返しに、アッシュは答えずに口を閉じた。
医師が看護士の連絡で大慌てでやってきて、アッシュの目を検査した。
右目が確かに見えていないらしい。
アッシュは再び街の病院に搬送された。
続く。
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ジャンル・やかた 69 10.4.8
ジャンル・やかた 1 09.6.15 -
禁煙宣言
もう、これを言うと、絶対に説教されるとわかっているので
人にも問診表でも、正直に告白した事は1度もないが
初カミングアウトをすると、私の喫煙本数は1日3箱ちょいである。
何でここまで本数が増えたのか、心当たりがまったくないが
ブレーキを掛けようとしないと度を越す性格、って事なんだろう。
今までに禁煙をしようと思った事はない。
節煙を1度試みたけどすぐ挫折したので
はなから諦めて、やめようなど思いもしなかった。
だけど、禁煙をする事にした。
理由はただひとつ。
“健康のため” ではない。
売国奴政府に、もう余分な税を払いたくない!
今から日本は、移民の国の道を辿るだろう。
私は日本人のための日本の、最後の世代になるような気がする。
もう安全に暮らせる国じゃなくなるだろうから、本当に後世に申し訳ない。
だからせめて、現政権に協力をしないようにする。
日本のためなら、バカにされながら金を取られても良いんだが
他国のためにそれは、プライドが許さない。
その内、日本にいながら 「日本人だ」 と差別される時代になるぞ。
アメリカだって先住民は、迫害どころか虐殺されたしな。
“人権” は日本人以外のためにあるのだと気付け。
何ちゅう理由だ、と思われそうだけど
元々貧乏なところに、タバコ税値上げの話になって
その理由が、「国民の健康を守るため」 とかで
ウソつけ!!! と、ブチーーーッときてな。
どうせ子供手当ての財源の一部にするくせに
いかにも日本国民の事を考えて、という言い草が許せないんだよ。
タバコをやめるのが、効果的な反抗とは思えないけど
私は私で、地道な抵抗をしていくだけだ。
周囲には禁煙理由を、経済的苦難のため、とする。
憂国者だと知られたら、リアルでは生きにくくなりそうだからだ。
だが本当は、願掛けみたいな部分もあるんだよっ!
日本を守ってください、と。
あー、エコやら平和やらには、ほんとイライラさせられる!!!
それで禁煙を決心し、どうやって達成しようか思案していた。
私は普段から呼吸が浅いので、タバコもほぼ空ぶかしになっている。
ニコチンの中毒はそんなにないと思うんだ。
つまり、タバコを吸うという行為に依存しているわけだから
他の依存先を見つければ良いわけだ。
えれえロクでもねえ考えだが、これが近道だろ。
スッパリ依存を断ち切ろうとするから挫折するんだよ。
どっかで逃げ道を残しておかないと、悪循環になると思う。
依存と言えば薬物やアルコールだが、それは論外。
タバコより金が掛かる上に、廃仕様の人生になる。
コーヒー、コーラ等は、歯に悪いし
他に良い依存先、良い依存先・・・。
そんな時に、電子たばこのTV通販を見た。
以前にもここのコメントで、誰かに教えてもらった記憶があるが
これがあったか!!!
これなら、“吸う” という行為を続けられるし
禁煙パイポ系は、どうも物足りない予感がして除外してたが
電子たばこなら煙も出るから、臨場感も増すってもんだ。
という事で、私は電子たばこで禁煙を始める。
電子たばこも、色んな種類があるらしいから
物色している最中である。
買ってしばらく使ってみて、レポする。
これでダメなら、ニコチンパッドみたいなんも併用するとしよう。
二段構えでダメでも、やめにゃしょうがねえしな。
後は根性のみだが、薬中とかアル中とか何でやめられないの?
と常々思っていたんだが、いざ自分の番になると、ほんと不安。
自分を制御できんと、人生破滅なんで
あちこちで禁煙宣言をして、追い込みを掛けるさ。
私は他人を容赦なく追い詰めるけど、自分もとことん追い込むぜ!
よって、しばらくの間、イライラしとるだろうが
それは依存症の更生のせい、という事で
ニヤニヤして見物しといてくれ。
更年期更年期言うて、荒れ狂っていたのを反省したかと思えば
次は禁煙で荒れ狂うんかよ、という意見、ごもっともです。
ほんとすいませんほんとすいません。
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ジャンル・やかた 67
点滴だけでは体力が持たないので、鎮静剤を減らしていったある日
アッシュは薄っすらと目を開けた。
デイジーが大声で呼び掛けた。
「主様、主様、あたしがわかりますか?」
アッシュは無反応だった。
またすぐ目を閉じて、眠りに入った。
デイジーは思わず泣いてしまい、看護士が慰めた。
館には、長老会のメンバーが代わる代わる見舞いに訪れていた。
その度にアッシュの無反応に落胆して帰って行く。
こんな事になるぐらいなら、あの生意気で何様な主のままで良かったのに。
誰もがそう思ったのは、館の変貌ぶりを見てである。
人も建物もゴミだった、あの近寄りたくない館だった頃とはうって変わって
今では壁も廊下もピカピカで、庭も秩序正しく花が咲き誇り
ベンチが連なり、東屋まである池には水鳥が優雅に泳いでいる。
広大な畑には、キレイに畝が作られ作物が生い茂っている。
牧場は鶏が走り回り、羊や牛がのんびりと草を食み
馬に乗って見回りに行く飼育係の姿が見られる。
何より、清潔な制服を着た住人たちが、すれ違う度に挨拶をしてきて
活気に溢れる、理想とも思える集団生活の場になっていた。
画像で観てはいたのだが、実際に現場に来てみないと
漂う空気の清浄さまでは実感できなかった。
あの汚れた館が、まさかここまで変わるとは信じられない。
それだけに、この改革をした主があんな状態なのが悔やまれる。
我々は主に何をしてあげただろう
そう嘆くメンバーもひとりふたりではなかった。
住人たちは、館に来る長老会メンバーに驚いていた。
大きな花束や、美しいリボンで飾られた箱を手にして
黒塗りのリムジンでやってくる、身なりの良い紳士たち。
挨拶をすれば、こんな自分にも微笑んで丁寧に返してくれる。
そのお偉いさんたちは皆、俺たちの主様のお見舞いなのである。
住人たちは、主を誇りに感じるようになっていた。
これで主様が元気になれば・・・・・
長老会も住人も想いは一緒だった。
そんな中、ひとりだけ絶望を感じていた人物がいた。
とうとうアッシュの面会謝絶を命じたジジイである。
2週間が過ぎた頃から、アッシュは時々目を開けるようになった。
ただでさえ貧血に栄養失調があるので
短期間の絶食でも、全身の肉が削げ落ちて筋肉も衰えてしまい
点滴のみの栄養補給では限界だと医師が感じ、鎮静剤を減らしたのである。
目を開けても、誰の呼びかけにも無反応で
ただ涙ばかりがこめかみへと伝い続ける。
このような姿を、皆には見せられない。
たとえ長老会のメンバーであろうとも。
さすがのアッシュびいきのジジイも
これはもうダメかも、と思い始めていた。
ローズの存在が、それほどアッシュにとって大きかったとは・・・。
今更ながらじゃが、ローズ、自殺したあんたを恨むぞ。
ジジイは看護士もデイジーも部屋から追い出し
寝ているか起きているかわからないアッシュに語り始めた。
ローズはガンだった。
診療所に行った後に、街の病院で検査をして
そのまま館に帰ってきて、診療所には鎮痛剤を貰いに行っていた。
進行は遅いけど、ガン細胞が転移した後で手術も望み薄な状態だったからだ。
「ローズは入院して余命を伸ばすより
あんたの側にいる事を望んだのじゃよ。
最初の兆候は、バイオラが亡くなるちょっと前の事らしいんじゃ。
あんたが襲撃された時に、バイオラが側にいたのは偶然じゃなく
バイオラに後を託そうとしたんかも知れんなあ。」
ジジイがひとり語りのように、そうつぶやいた時にアッシュが叫び出した。
「ああああああああああああああああああ」
だが、久しぶりに出したせいか、かすれた小声である。
身をよじりながら泣くアッシュを
ジジイが背をポンポンと叩きながら言った。
「もう良いんじゃよ、あんたは頑張りすぎた。
後の事は全部わしに任せて、あんたはゆっくり休むんじゃ。」
背中をさすりながら、アッシュに未来を思い出させようと優しく語るジジイ。
「どこがええかのお。
あんたはもう、主の年金受給資格も持っておる。
好き放題暮らせるんじゃぞ?
ゲームし放題じゃぞ?」
ヒックヒックとしゃくりあげるアッシュに、ジジイは続ける。
「おお、あんた、前に海辺で暮らしたいと言っておったな。
ここから一番近いのは、西のカルミア地方じゃ。
あそこは温暖で良い土地じゃ。
長老会の管轄内じゃし、わしもちょくちょく行ける距離じゃ。
いや、管轄外であっても、誰も否とは言わんじゃろう。
あんたは皆に愛されとるんじゃよ。
だから、あんたにはもう誰も何も押し付けんよ。
したいようにしておくれ。」
今のアッシュには自分の事など、どうでも良かった。
自分はローズの死を穢したのである。
私が殺してあげるべきだったのに・・・・・
アッシュには、ローズの後を追う資格もなく
どうやって息をすれば良いのかすら、わからない状態だった。
続く。
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ジャンル・やかた 68 10.4.6
ジャンル・やかた 1 09.6.15 -
無人島に持っていくもの
ひとつだけ、とか条件を付けられて、この質問をされるが
「何でも出来て丈夫で長生きする下僕」 という答は
“もの” じゃないから、却下だそうだ。
この答は、ほんと人間性を見られるから、良い子の皆はしないように。
災害に備えて、水だ携帯食料だ救急キットだ、と備蓄をするくせに
何でこういう質問をするかなー、と思わんでもないが
この問いには、結構考えさせられる。
と言うか、かなり達観しないと答が出せない。
“もの” を1個だけ・・・。
ランプからマッチョおやじが出てきての、3つの願いでも
「何度でも願いを叶えられるようにして」 は、ダメだそうで
そのルールは誰が決めたんだよ! と、怒り心頭だが
そんなルールは、叶えるヤツが決めて良いに決まっとる。
けど、欲を刺激されると、ゴネ始めるのが人情である。
ちなみに私の3つ願いは
「心身ともの健康」「不自由しない金」「不自由しない人間関係」
年を取るとなあ、3つの願いとかのメルヘンなんか言っとる場合じゃなく
現実面で、そこらへんの欲が厳選されていくんだよな。
こう、両手にいっぱい物を抱えているのに
更にどんどん荷物が到着してくる。
若い頃は体力と勢いで欲張って、それらを一気にかつぐ事が出来たけれど
老いてくると、腰は痛いし足はむくむし息切れはするし
どれかを受け取るには、どれかを諦める、どころじゃなく
更に手持ちのものまで捨てなきゃいけない、って状態になるんだ。
何ちゅうか、倍捨て? 結果、手荷物目減り?
これをしないと、押し潰されて身動きが取れなくなり
精神的に持たなくなると思う。
だからこの問いは、年寄りほど即答できる気がする。
捨てさせられる事に慣れているから。
私はまだまだ未熟なのか、えれえ考え込んだよ。
現実生活に絶対に必要なもので、消耗品じゃないやつ。
どう考えても、刃物セット (注: 砥石付き) なんだ。
“切る” って行為だけは、自然じゃ無理っぽくねえ?
石を削って槍にする、とかよく言うけど
それ、ほんとーーーーーに出来るかあ?
ここらへんの自信がないから、私はとにかく刃物でいいよ。
でも、無人島でひとりきりで生きなきゃならん
なんて事になったら、正直生きる気がなくなると思う。
てかさ、この問いって大昔からあるよな。
アラジンのランプとかが元凶だと思うんだが
何のためにこういう質問があるのか、不思議だと思わんか?
もしかして、生きる意欲を試している、とか
隠された深い意図があるのかも知れん。
こんな禅問答みたいな事を、何日も真剣に考えてるのは
切羽詰ってると思ってた自分の生活が
実はえれえ余裕があるんじゃないか? と思ってみたりもする。
貧乏ヒマなし、と言うけれど、現代の貧乏はヒマなんかも。
だとしたら、日本ってやっぱ、やっただけ返ってくる良い社会なんだな。