「バスカムが部屋で死んでます!」
その一報を受けたアッシュは、驚愕した。
アッシュの攻撃以来、バスカムは数日部屋に閉じこもっていたのだが
不審に思った住人によって、今朝死体が発見されたという。
薬の空き瓶と、落ちていた錠剤、腕の傷といった現場の様子は
自殺だとすぐわかる状況であった。
「遺書は?」
「残っていません。」
「接触した人物は?」
「今のところ、見当たりません。」
監視部の人間とリリーがやり取りをしている横で
どうしよう、とアッシュは悩んだ。
こんな事になるんなら、反乱軍の部屋全部に盗聴器を仕掛ければ良かった
私のせい・・・、だよね、そりゃもう明らかに!
にしても、人格の全面否定は洗脳の第一歩なのに
まさか自殺するとは・・・、やりすぎたか?
てゆーか、人を殺そうと企んでいたくせに
何でそんなに打たれ弱いんだよ?
ここを乗っ取っても、そんなんじゃやっていけるわけがないだろ
まったくあいつは、とことん身の程知らずとゆーか
後先考えずっちゅーか、まあ、それは私も同じだけどよー
脳内でグルグルと余計な事までごちゃ混ぜに思考が空転し
両手を机についてうつむいて立つアッシュに、リリーが言った。
「元様からお電話です。」
ジジイのCラインだ、あいつ相変わらず耳が早い。
「書斎で取りますからー。」
事務部の人間が慌ただしく出入りする執務室では
さすがに今回の事は詳しく話せない。
もしもーし、と出たアッシュに、ジジイがいきなり叫んだ。
「あんたのせいじゃない!」
その大声に、ビクッとして受話器を落としかけるアッシュ。
改めて受話器を持ち直し、気も取り直して言った。
「いや、私のせいですー。
館で起きるすべての事は全部、現場トップである私の責任で
それを覚悟しなくちゃいけないのは、当然ですからー。
そんなんを抜きにしても、この自殺は私の責任ですー。
あんだけ、めったくそにケナしちゃったんですからー。
こうなる可能性も考慮して動くべきだったんですー。」
「ふむ、それもそうじゃな。」
あっさりと意見をひるがえしたジジイに、アッシュは逆切れした。
「ええーっ、結構ショックなんで、もちっと慰めてくださいよーっ。」
「慰労パーティーを開いてやっても良いんじゃが、コトは急を要せんか?」
「あっ、そうでしたー!
残党がヤバいですよねー、どうしましょうー?
こっち、まだ計画を立ててないんですよー。」
「そうか・・・、だったらな・・・」
アッシュとジジイがあれこれと話し合っている時に
館の隅っこでも、数人の男たちがボソボソと話し合っていた。
「バスカムは自殺なんかじゃねえ。」
「おかしいぜ、突然。」
「きっと主が自殺に見せかけて殺したのさ。」
「どうする・・・?」
「やるしかねえだろ!」
「俺はイヤだぜ!」
ひとりの男が立ち上がった。
「あの用心深いバスカムが殺られたんだぜ?
適うわけがねえじゃねえかよ。 俺は逃げる!」
立ち上がった男は、制止を振り切って足早に立ち去った。
翌日、男がまたしても池に浮かんでいるのが見つかった。
検死は泥酔しての溺死だったが、その死体はディモルであった。
その事をリリーに告げられたアッシュは、益々激しく動揺した。
“主の意思” ではなかったからである。
確かにディモルは、抹殺対象の3人の内のひとりであった。
しかしその実行は、月日を空けてするつもりで
こんなに短期間での連続殺人など、予定していなかったのだ。
アッシュは、お茶を頼んだ。
いつもアッシュのお茶を持ってくるのはデイジーである。
デイジーがお茶を運んでくると、アッシュが訊ねた。
「話す時間・・・、ありますよねー?」
「ご想像通り、ディモルを殺したのはあたしです。」
デイジーはケロリとした顔で白状した。
「夕べ、ディモルに突然呼び出されたんです。
ピンと来ました。
ディモルは、バスカムの死であたしを疑っている、と。
そこで館内はヤバいから、と池で待ち合わせたんです。」
「それでー・・・?」
デイジーは淡々と続けた。
「ところが違いました。
ディモルは、あたしと一緒に逃げるつもりだったんです。
バスカムが主様に殺られて、あたしたちもヤバいから、と。」
「言っときますけど、バスカムは本当に自殺なんですよー?」
アッシュが念を押すと、デイジーはサラッと言った。
「そんな事はどうでも良いんです。
あんなヤツ、死んで良い気味です。
むしろ主様に殺されていてほしいぐらいです!」
ついつい語気が荒くなっているのに気付いたデイジーは
少しちゅうちょした後、落ち着き直して話を再開した。
「・・・ディモルもそう。
あたしをここから連れ出そうなんて、何様なんだか!
本当に腹が立ちました。」
「それで殺したんですかー?」
「はい。 どうせ、殺すつもりでしたから。
あいつだけは主様が何と言おうと許せません!
あんなヤツ、死んで当然です!」
目を吊り上げて怒るデイジーに、アッシュは内心恐怖を感じたが
少し考えるそぶりをして、間を置いてからなだめるように語りかけた。
「そう・・・、わかりましたー。
私には、あなたを責められませんー。
あなたの気持ちがわかるからですー。」
「主様・・・。」
ちょっと感動しかけるデイジーに、水を差すかのように悲しそうに言う。
「だけど、何故まず私に相談してくれなかったのですかー?
・・・いえ、それも私が頼りないせいなんですねー・・・。
あなたにそんな重荷を負わせるなど、私は主失格ですー・・・。」
意外な言葉に、デイジーは慌てた。
「主様、それは違います! 違うんです!
あたし、今回の事は前から決めてて、それが突然だったから・・・」
必死で言うデイジーに、アッシュは目を伏せたまま無言だ。
その様子を見て、デイジーは言い訳を止めた。
「・・・主様・・・、すみませんでした。
今後は決して主様の指示なしには動きません。
必ずご相談しますから、どうかお許しください。」
とりすがるデイジーを見据えて、アッシュが言った。
「絶対にそうしてくださいねー?」
口調は優しかったが、目が冷たい光を放つ。
デイジーは一瞬ゾッとしたが、その冷淡さに魅了された。
ああ・・・、このお方はやはり “主” なのだ・・・。
デイジーが部屋を退出するのを見送りもせず
アッシュは窓際に立ち、外を眺めていた。
勝手な事をすんじゃねえよ、ボケ!
お陰で今後の予定がダダ狂いじゃねえかい、どーしてくれんだよ
てゆーか、今回の事って、最初っからおめえの暴走が原因だろ
おめえ実は私の足を引っ張りたいんじゃねえのか?
私、やたらめったら大ピーンチ!!!!!
冷静な態度とは裏腹に、腹の中でそう叫ぶアッシュは
窮地に立たされた、と思っていたが、それはまだ序章に過ぎなかった。
続く。
関連記事: ジャンル・やかた 55 10.2.16
ジャンル・やかた 57 10.2.25
ジャンル・やかた 1 09.6.15
-
ジャンル・やかた 56
-
政治家の最期
久々に政治関係ネタかと思うた人、すまん。
単なる推測の世間話なんだ。
世界政府・民主党に敗れた私は、まだ今の政治から目を背けているんだ。
できるだけ情報を入れないようにしているんで
かなり疎くなっていて、とても語れたものではないんだよ。
まあ、勉強しても、ロクでもねえ意見しか言わんが
それは突っ込まないお約束、と。
ただ、それでもニュースを点けてると、必ず政治の話題があるもので
どうしても、ちょぼちょぼ情報が入ってくる。
埋蔵金、なかったようだな。
政策が最初の話とはえらい違う方向に行ってるようで
民主党を信じて投票した人は、裏切られた気分になってるかも知れない。
良い気味だ、自業自得だろ、とは思えないよ。
裏切られる悲しさは経験してるからわかる。
と、国民には言うけど、政治家どもには言わんぞ。
おめえら、しっかりせえよ!
あれ? 思ってたのと何か違うー、って時は、素直にごめんなさい、だ。
同じ事を呼び名を替えてやったり、誤魔化したりしてんじゃねえよ。
自分の信念を後生大事にしとらんと
己を捨ててでも、信じてくれた国民に尽くせ!
ああ・・・、ちょっと吐き出してしまった。
もうしばらくは負け犬として泣き暮らすつもりだったのに
修行が足らんな、いかんいかん。
では、本題に入ろう。
小沢一郎を見ていて、ふと思い出したのが
田中角栄や金丸信。
これで名前、合ってるっけ?
彼らの時代は国政に興味がなかったんで、知識もあまりないんだ。
今も変わらず無知だが、それは良いとして、いや良くはねえが
もしかして政治家生命って、そのまま命に関わるんかな? と、思った。
政治家生命 = 健康 という意味だ。
健康に問題がない時は、自分の事務所の全体を
とりあえずは自分でチェックする馬力があったけれど
病気にかかって体がしんどくなったら、そのチェックも軽くなり
病状が重くなったら、秘書任せ、になるんじゃないだろうか。
そんで、チェックが軽くなったり、秘書全任せにした時に
アリの穴に始まったダム決壊、みたいに
ダーティー部分が漏えいしてしまい “事件” になる、と。
元気満々で自分で動けるなら、根回しして押さえられたものも
病気のせいで、気力体力知力が削がれて無理で
政治生命が断たれる、という推理である。
田中とか金丸とか、このパターンじゃなかったんだろうか。
小沢も年なんだから、持病の1個もあるだろう。
という事は、小沢は今、結構病状が悪化しているんじゃなかろうか。
TVに映っている小沢を見ても、健康そうなんで
小沢は今回の政治資金問題は、すり抜けると思う。
この推理自体が、外れているのかも知れんが。
何となく小沢の政治家としての最期は、体調が理由のような気がする。
政治家なんて、大なり小なり汚い事はやってると思う。
というか、私腹を肥やす野望を持ったヤツじゃないと
地球政府とか人権とかのキレイ事を言い出すんで、厄介だと思う。
国のために頑張るんなら、少々は儲けてもらわないと
逆にロクでもない方向に国を持っていかれる気がして、恐いんだよな。 -
ジャンル・やかた 55
バスカムはフリーズしていた。
仕事から戻ってきた自分の部屋の椅子に
アッシュが座っていたからである。
「な・・・」
「そんな事はどうでもいいですー!」
まだ口にもしていない自分の様々な疑問を
アッシュが即座に否定した事に、バスカムは益々怯えた。
「あなた、私が嫌いなんですかー? どうしてですかー?」
「い・・・いや・・・、俺はただ・・・」
「言い訳はいりませんから、あなた個人の意見を言ってくださいー。」
アッシュの直球押せ押せに、バスカムは更に混乱し
それを見たアッシュは、失望も相まって激しくイライラさせられた。
アッシュがガンガン追求したのは、生来の短気さゆえだったが
それが逆にバスカムの言い逃れを封印した。
男女間ではよくある言い争いの光景である。
「で? それが何で気に入らないんですかー?」
「だって俺は・・・」
アッシュの攻めに呑まれ、バスカムはところどころ本音を答え始める。
だって、でも、だけど、の合間合間にである。
攻防が明確なやり取りを、しばらく続けていたが
アッシュが聞こえよがしに溜め息を付いて言った。
「ああー、もういいー、よくわかりましたー。
あんたねー、それは “妬み” ですわー。」
「な・・・・・・・・」
激昂したバスカムの怒声をさえぎって、アッシュが言う。
「図星だから怒るんじゃんー。
自分が妬む側のザコサイドだって事を自覚したらー?
あんたの不遇は、私のせいじゃねーよー。」
アッシュの言い草は、人の神経を見事に逆なでするものだった。
握り締めたバスカムの拳を見逃さず、アッシュが鼻で笑いながら言う。
「へえー? 私が丸腰でひとりでここに来ていると思うんですかー?
この “私” が、ちょっとでも勝算のない戦に出るとでもー?」
そして急に笑顔をやめて、バスカムを睨んで恫喝する。
「己の力量を見誤って、私に戦いを挑もうとする、
そこで既に負ける側になってしまっているんだよっ!!!」
これはアッシュのハッタリでしかなかったが
バスカムを脅すには、充分な効果があった。
理論で武装してきたバスカムと、勢いだけでのし上がったアッシュ
考えを巡らせる時間がない一瞬の心理戦では、勝敗が決まりきっている。
激しく動揺しているバスカムに、アッシュは優しく言った。
「ここにいる限り、私とだけは仲良くしといた方が良いと思いますよー?
私はこれでも、あなたの事を評価していたんですよー?」
アッシュは椅子から立ち上がった。
ドアの前のバスカムの隣まで来て、頭をちょっと傾けて付け加える。
「ああー、でも、その評価もあなたの働き次第ですけどねー。
今後のあなたの運命は、私の胸ひとつで決まるんですよー?
あなたがどう思おうと、私がその是非を決定する立場なんですよー?
これはこの先ずっと変わらない、人生の決定事項なんですよー?
どうあらがおうが変わらない、“運命” ってあるんですよー?
そこ、きちんと理解しておいてくださいねー。」
言い終わった後に、横目でバスカムの目を無表情でジッと見つめた。
その静けさはほんの数秒だったが、バスカムには何分にも感じられた。
アッシュが出て行った後、バスカムはよろけるように床に座り込み
その頬には、涙が伝っていた。
敗北への悔しさや怒り、アッシュへの恐怖
色んな感情の入り混じった慟哭が、バスカムを襲ったのだ。
執務室に戻ったアッシュの胸元から、リリーがマイクを取り外した。
パソコンの画面の前に座ると、暗い表情のジジイが映っていた。
「どうしたんですかー?」
アッシュが普段通りの口調で訊ねた。
「あやつがちょっと気の毒になってな・・・。
あれ、自分が言われたらどんだけ落ち込むやら・・・。
あんた、人を貶すのが上手いのお・・・。」
ジジイが沈んだ様子で答えると、アッシュが心外と言った様子で言う。
「ああー? 私はあいつの俺様理論を根気強く聞いてたでしょーがー!
ほんっと、あんなに下らんヤツだとは思わんかったわー。
ガッカリさせられて気の毒なのはこっちですよー。」
「いや、あまりにも一方的な勝負じゃったんでな。」
ジジイのバスカム擁護に、アッシュは最高潮に不機嫌になった。
「全部を人のせいにするヤツなんか、タメにならんわ!」
そして、リリーの方を向いて言った。
「私、もう寝るけど、これブチ切って良いー?」
「あ、業務伝達があるんで、繋げたままにしてください。」
リリーの言葉を聞いたアッシュは、画面のジジイを睨んで怒鳴った。
「文句があるなら、いつでも来いや、こらあーーー!
棺おけに叩き込んだるわー! クソジジイー!
じゃ、おやすみー。」
アッシュがブリブリ怒って出て行った後
リリーがモニターの前に座り、業務伝達をする。
その、いつにも増して冷たい表情の意味をジジイが訊いたら
少しちゅうちょした後に、リリーが口を開いた。
「確かに主様の言いようはひどいものでしたが
彼をあそこで叩き潰しておいて正解だったと思います。
何のかの言ってても、主様は自分より館の事を優先なさいますが
彼は自分のためだけを考える人間です。
それがはっきりとわかったので、彼は館のタメにはならない
主様はそう判断なさったのではないでしょうか。」
その言葉を聞いて、しばらく腕組みをして
先ほどのやり取りを思い返していたジジイは、目を見開いた。
「そうじゃな!! あんたの言う通りじゃ!
我がままで凶暴で突っ走るしかせんアホウじゃが
アッシュはあれでも館を第一に考えとる。
じゃが、バスカムには自分の欲しかなかった。
ふたりはまったく違うタイプじゃが、一番違うのはそこじゃな!」
それに気付いて、ジジイは頭を抱えた。
「あー、わし、言葉だけ印象に残ったんで、アッシュを責めてしもうた。
どうしたら良いんじゃろ・・・。」
リリーは冷たく言い放った。
「諦めて数発殴らせたら、主様のご機嫌も直るんじゃないですか?」
「年寄りにはきっつい仕置きじゃのお・・・。」
ジジイはその夜、後悔で眠れなかった。
アッシュもその夜、腹立ちで眠れなかった。
ふたりが仲直りをするのは
ジジイのこめかみに本の角が当たって流血した後である。
それはアッシュが投げつけた数々の固形物のひとつであった。
続く。
関連記事: ジャンル・やかた 54 10.2.12
ジャンル・やかた 56 10.2.18
ジャンル・やかた 1 09.6.15 -
ナイスバディの秘密
うちの主治医は、私がいくら更年期だと訴えても
「まだ早い」 と、聞く耳を持ってくれない。
その理由が、「女性ホルモンは出てると思いますよー?」 なのだ。
検査もしとらんと、何でそんな事がわかるんだよ? と思うんだが
主治医曰く、「検査してもムダだと思いますよー?」 と
やたら断言してくれる。
うーん、自分じゃまったくわからないんだが
女性ホルモン = 色気 と、素人らしく単純にとらえて
もしかして私って、実は色気ムンムンなのか? と
ものすごい自分擁護の方向で思考してみたが
どう自画自賛しても、それはない。
聖女で天才で無敵の私にも、色気だけはない。
この主治医の決め付けに、釈然としない日々を過ごしていたんだが
ある日TVを点けていたら、ある言葉が耳に入ってきた。
「女性ホルモンが多いと、ウエストがくびれているんですよ。」
そ れ か !!!!!と、謎が氷解した。
自慢なんだが、私はナイスバディである。
それも、ただ痩せているだけではない。
乳はあるし、ケツはあるし、ウエストは見事にくびれている。
主治医は私のこのナイスバディを
見て (しかも金を取って!) いるわけだから
私のツラには色気はないが、脱ぐと凄いんですよ、と知っているのだ。
そう。 書いてて判明したが、私に色気はあった!
普段は己の小汚ねえツラばっかりを注視てたから、気付かなかったよー。
ここで親切に解説するが、何故、“脱ぐと” と言っているのか。
それは、ババアのナイスバディなど何の価値もない
と知っているからだ。
よって、ブラも敏感肌用ワイヤーなしの非勝負ブラで
むしろ美乳を抑える方向だし
ボディコンシャスな服も、なるべく避けて
背後から来るヤツにいらん期待をされないよう
あえて、あ え て、ナイスバディを打ち出さない系の
ファッションをしているのである。
しょっちゅう振り向かれて、あからさまにガッカリされてみろ
誰だってそんな自分の首を絞める美は主張したくなくなるぜ。
で、ほー、ナイスバディだと女性ホルモンが豊富なんかー、と
女性ホルモンについて調べようとしてみたが
何かサイトが多すぎて、検索トップページを見ただけで挫折した。
最初は女性ホルモンについての、タメになる記事を書く予定だったんだけど
急遽タイトルも “女性ホルモン” から、ナイスバディにして
自分美賛オンリーの内容にした、っちゅう経緯である。
読まされる側にとっちゃ、正に天国から地獄、だろうが。
だけどそもそも、女性ホルモンとナイスバディの関係も不確かなんで
どう構成してもこの記事は、自分賛辞にしかならんよな。
なんせ奇跡のナイスバディだもんなー。
ここでひとつ問題がある。
更年期障害じゃないとしたら、この不調は何だよ? って話。
主治医が言うには、「自律神経が不調?みたいなー?」 だそうだが
これは困った。
更年期障害だったら、薬ガーッと飲んで抑えりゃ良いんだが
自律神経って、原因がモヤモヤしてるものじゃねえ?
安定剤とかそこらへんの対処療法ぐらいしか出来ない気がするんだが。
うちの主治医は、「更年期障害も自立神経の乱れですからー。」 と
ミソもクソも一緒のような事を言っとるんで
普段からそんなに自律神経が乱れきっとるなら
もう本当に更年期障害になっても、テケトーで良っかあ
ぐらいにしか思えなくなってしまっている。
ここ数年、更年期更年期とひとりで騒いでいたが
自分の中で、そのブームも去りつつあるし
何でも更年期のせいにするのはラクだったんだ。
だが女性ホルモン満タンそうな、このナイスバディでは
それも通用しないわけで、正直 あーあ って気分である。
ところで、私は生まれつきナイスバディなんだが
最近は寄る年波に勝てず、さすがに乳やら尻やらがタルんできている。
老化で美が失われるのが恐いかっちゅうと
何の努力もせずに持ってた才能なんで、結構どうでもいいんだ。
ダルダルバディになったら、“昔の栄光” を語りまくれば良いんだし
過去なんて、ウソ大げさまぎらわしさ満載できるじゃん。
余計に威張り放題になれるぜ。
だから、美人は老化を恐がる、というのが定説になっとるが
案外そんな事もないんじゃないかな、と思う。
周囲の不美人がそう決め付けてるだけで
美人本人は、美にそれほど執着しないんじゃないか?
かなりの不美人の私は、ツラの皮のお手入れに必死こいとるが
ナイスバディの方には無頓着なんで
人は、ないものに固執するのかも知れんのお。
この記事内で、一体何回 “ナイスバディ” と言ってるか
数えてみたら、なんと11回書いてあった。
(12回かも知れない。 数えるのが苦手なんだ。)
我ながら、凄えな私・・・。
1月2月からこんな飛ばしてて、大丈夫なんだろうか・・・? -
ジャンル・やかた 54
多分ローズは私を守るためなら、どんな事でもするだろう
アッシュには、その確信があった。
だけど今回の事は、何故か言い出せない。
それは何かあったら、ローズは必ず助けてくれるだろうから
わざわざ言う必要もない、ってのもあるんだけど・・・
自分のちゅうちょの理由を、考え込むアッシュだったが
ジジイとリリーが無言でいる事に気付き
思考を打ち切って、慌てて言いつくろった。
「あー、えーと、ローズには言う必要はないですー。
その場その場で的確に動いてくれますんでー。
問題は、デイジーの今後だと思いますー。」
ジジイが首を捻った。
「デイジーか・・・。
死んだ恋人のために、あそこまでするもんかいのお?」
アッシュが即答した。
「私にはよくわかりませんー。」
「・・・こっちの想像をこれっぽっちも裏切らない答じゃのお。」
「でも、悲しみを怒りに変換してるんだと思いますー。
それは生きていくのには、良い方法だと思いますよー。
怒りは生のエネルギーですからねー。
私なんか、怒りを持てなくて苦労しますよー。」
ジジイは心底驚愕した。
「あんだけわしに怒鳴るくせにか?」
「“怒る” のと “怒り” は、持続性が違うでしょーがー。」
ええっ? と、納得しないジジイを置き去りに、アッシュは続けた。
「長く続く深い悲しみを、怒りに変換させるなんて難しいもんですよー。
悲しみは受動的で己の内へ内へと向かうんですー。
怒りは能動的で外へと向かうー。
自分以外を憎むから、自己嫌悪感がないんですよー。
デイジーは、生きるのにとても前向きな女性だと思いますねー。」
「ほほお、なるほど。」
ジジイが感心すると、アッシュが案の定、図に乗った。
「これはネットで調べた、“ラクチン洗脳術” とかいうやつで
人の感情というものは・・・」
「待て待て待て、そんな汚れた話は聞きとおない!」
ジジイが慌てて止めたので、アッシュはムッとした。
「私が腹黒いお陰で、あんたが安定した地位にいられるってのにー。」
「とにかくデイジーの身の振り方じゃ!」
ジジイがむりやり話を元に戻した。
「んー、表面上は “今まで通り” しかないんじゃないでしょうかー?
て言うか、こっちがさっさと動きましょうよー。
反乱グループを壊滅させたら、それで済むんじゃないですかー?」
「それもそうじゃな。」
ふたりの意見がまとまったところで、アッシュが事務的に言った。
「じゃ、私はバ・・・こいつと直接話をする事にしますんで
あんたは、こいつとこいつとこいつを殺りに行ってくださいー。」
「待て待て待てーーーーーーーーーーーっっっ!
わしかい! わしが殺るんかい!」
「うわあー、関西芸人でも中々できない瞬時の突っ込み、すげえー。
冗談ですよー。
どいつが積極的にいらん事をするか、調べてからですよー。」
アッシュが大笑いしながら言うと、今度はジジイがムッとした。
「言っとくが、わしは引退したんじゃから狩りには出んぞ!」
「わかってますってー。
でも、ジジイの勇姿、見てみたかったなあー。 あははー」
「まったく聞き流していると、何をさせられるかわからんな!」
その後、リストを見ながら3人で議論が続いた。
その間ずっと、アッシュもジジイも
お茶を飲み、駄菓子をむさぼり食っていたので
その日の夕食が食べられなかったのは
イイ大人が、どこのしつけの悪いガキだよ? という話である。
続く。
関連記事: ジャンル・やかた 53 10.2.9
ジャンル・やかた 55 10.2.16
ジャンル・やかた 1 09.6.15 -
女のバトル
おしゃれを志している女性なら皆、経験があると思うけど
道行く女性同士の一瞬のバトルっていうのがある。
相手の頭から足元まで、サッとチェックするのだ。
んで、最後に目をジッと見て、火花を散らしてすれ違う。
これは男性の色視線とも、おばさんのぶしつけな観察とも違う。
まるで面接のような、シビアな値踏みなのである。
そこに勝敗はあるけど、同時に同志のようなエールも確かに存在する。
だからこのバトルは、そう悪い事でもないと思う。
さて、私はご存知の通り、女性らしさから逸脱した人材で
こういうチェックバトルには縁がない、と思われるだろうが
いやいや、そんな事はない。
たまに女性っぽい格好をした時には、挑戦される事もあるのだ。
もちろんスタイルの良さと態度のデカさでは、追随を許さないのだが
顔と持ち物の値段で全敗しているので
総合的にはトントンかな、と思っている。
私はあまり人を見ないので、いつもは仕掛けられる側なんだが
電車の中とか、人を待ってる時とかは
ヒマを持て余し、道行く女性を観察したりしているので
その時の私の目は、挑戦者の眼差しになっているかも知れない。
だが関西に来て、益々女性らしさが失われている私なので
もうバトルからは強制引退させられた気分でいた。
ところが、ここのところ “そういう” 視線を感じるのだ。
いつもと同じ服装なので、一体どういう事かと考えたら
例のロングブーツを履いている時に
同じようにロングブーツを履いた女性から見られるのである。
ブーツ、バトルアイテムだったんか! と、驚愕したが
また女性の土俵に上げてもらって、嬉しい気もしていた。
久々の現役表明?
とか思っていたら、友人から指摘を受ける。
「春日になってるよ。」
春日の意味が最初わからず、何? と訊いたら
お笑いの春日の事だった。
ロングブーツは、久しぶりの高いヒールなんで
ハイヒール用の重心の置き方を忘れてしもうて
前につんのめると見苦しいので、かかとに重心を置いて歩いているのだ。
真っ直ぐ立っているつもりだったが、やたら胸を張っていたらしい。
あんなマウンテンゴリラのような歩き方はしてない!
と思うのだが、確かに姿勢、特に胸元の処理が出来ていない気がする。
どや顔で歩いているように思われているんだろうか?
この歩き方に関しては、どうにか改良するとして
あの視線は、「何だ? こいつ」 だったのかも知れない。
いや、確かに値踏み視線をされていたと思うんだが
判定は、・・・想像したくもねえ。
高いヒール、足の妙なとこが筋肉痛になるし背中も痛い。
こんなにもコツを忘れるとは、予想外だった。
健康的にはあまり良くないハイヒールだが、女性の必須アイテムだと思う。
現役でいたいのならな。
何となく、ちょっと女性っぽい服とか買おうかな、とか思っちゃってるし
メイクにも気合いが入っているし、良い傾向?
今度から買う靴の条件には、ハイヒールって項目も入れとこうっと。
いつまでこのテンションが続くかわからんが
靴一足で、こんだけ気持ちが切り替わるんだから
あまり似合わなくとも、ロングブーツ、良い買い物だったかも。
と、今日もどや顔の春日歩きで闊歩しとるのさ。 -
ジャンル・やかた 53
館内でのアッシュの警護を担当していて、それは熱心にやっていたけど
館の運営に対しては、まるで無関心なローズであった。
バイオラが死んでからも、その姿勢は変わらなかった。
ただ、余暇には自分の名前でもあるバラの栽培や
ハーブを抽出して作ったアロマオイルなど
元々持っていたメルヘンな趣味を、更に広げていった。
アッシュの寝室には、常にバラの生花が飾られ
バラのドライフラワーもいたるところに吊るされ
何の魔よけだ? と、無機質趣味のアッシュをウンザリさせていた。
アッシュがいる時は、決して部屋には入らなかったが
アッシュが戻ると、テーブルの上にはローズお手製のクッキーが置かれ
ベッドからは、ローズのオリジナルレシピのアロマオイルの匂いが
プンプンと漂い、ローズが来た事を物語っていた。
草だの花だのに興味のないアッシュは以前、無神経にも
「バラの匂いって、うんこの匂いと同系列なんだってよー。」
とナチュラルに暴言を吐いて、しばきあげられた事もある。
そんなローズが常に気にしていたのが、アッシュの精神状態であった。
あの子はリラックスってものをしないから、弱いんだよ
そう思っていたので、アッシュの寝室は “安らげる空間” を演出した。
ローズのコーディネートを元に、多少はアッシュの嗜好も考慮して
シンプルながらも女性らしい彩りにし
バラの香りが基調のアロマオイルを、毎日アッシュのベッドに振りまいた。
バイオラの死後、業務事項以外はほとんど口を利かないふたりだったが
館内を移動するアッシュの背後には、必ずローズがいた。
周囲にはその姿が正に、“アッシュの影” と映り
ローズがいる限り、誰もアッシュに傷を付けられないだろう、と思われた。
それはアッシュの皮膚にだけではない。
心にも、だった。
アッシュは、いつも不機嫌そうだったが
それはアッシュの普段の表情で
言動は常に、良い意味で言うと “自由奔放” だったので
誰もその心の疲れには気付かなかった。 本人ですらも。
だけどそんなアッシュでも、時々わめき狂って
窓から飛び降りたくなる衝動に駆られる時があった。
そういう時にアッシュは、真夜中にドアにもたれて座る。
ローズの寝室へと通じているドアである。
以前はそのドアを開けて、寝ているローズのベッドの横に座って
ローズご自慢のラグのフチをむしって、眠れない夜を過ごしていたが
もうそれをしてはいけない。
だからアッシュはドアにもたれて座るのだ。
そうやって座り込んで、窓の外に広がる夜の空を眺めていると
ドアの向こうにかすかに気配を感じる。
ローズも、ドアの向こうで座っているような気がするのである。
アッシュはドアに耳をくっつけて、目を閉じる。
まるで母親の胎内にいるような、そんな不思議な錯覚を感じつつ
いつしかウトウトと浅い眠りに陥る。
それがアッシュが感じ取れる唯一の、“安らぎ” という感覚であった。
そうして朝が来ると、またウリャウリャ言いながら寝室を出て行く。
部屋を出て今日一日を突っ走って、再びここに戻ってくるのだ。
戻ってきた時には、必ずローズの痕跡があるはずだから
それを確かめるために。
続く。
関連記事: ジャンル・やかた 52 10.2.5
ジャンル・やかた 54 10.2.12
ジャンル・やかた 1 09.6.15 -
朝青龍引退
様々なトラブルを起こしていたので
なるべくしてなった、という結果である。
日本の神事である相撲に関わっているのに
敬意をはらっているとは、とても思えない言動で
この横綱が嫌いだったのだが
朝青龍を潰したのは、高砂親方と相撲協会だと思っている。
力士になりたがる日本人が減ってきたせいで
神事に外国人を入門させるようになったのも解せないが
そうしないとやっていけないのなら、教育をきちんとすべきである。
日本人にも難しいのに、外国人には余計に大変だろうけど
どんな世界でも、そういう心構えがないなら無理である。
度重なる朝青龍の問題に対しての、“処分” の甘さは
相撲協会には何の権限もないらしい事からきているようだが
ここにも疑問がある。
相撲で儲けてるくせに、力士に対して権限がないとはどういう事なんだか。
権限がない = 責任がない って事で、ラクをしてるんじゃないのか?
相撲には興味がないので、単に漠然とこういう事を思っていたんだが
今回の朝青龍 (いや、夜青龍か?) の
暴行事件への反応を見て、考えが変わった。
相撲協会や親方である元力士たち
こいつらも似たような事をやっていたんじゃないのかよ?
暴行などした事もない人間なら、今回の事件はすんげえおおごとである。
ちょ、犯罪じゃん! と思ってしまう。
示談にしたから、とか、それで済む問題ではない。
この件は、逮捕されるべき事案だと有識者がしきりに言ってるので
ここではそれに関しては省くが
なのに、“厳重注意” という軽い処分にするのは
相撲協会の権限以前に、こいつらが皆、同じ感覚なんだと思ってしまう。
だから朝青龍にも何も言えないんだよ。
私から見たら、そういう評価になる。
罪人を罰しないのは、罪人だから。
態度が悪いとかそういう最初の段階で、懲りるような処分をしていたら
朝青龍は引退せずに済んだような気がする。
もちろん良い大人なんだから、本人が一番悪いんだが
止められなかった周囲が悪い。
諌められない相撲の世界が腐って見えた。 -
ジャンル・やかた 52
「ふうむ、まさか反乱グループができとるとはのお。」
「今までが何もなさすぎだったんですよー。
てゆーか、何かヌルくないですかー?
盗聴だの通話傍受だの、悠長ってゆーかー意味ないってゆーかー。」
「うーん、この若造、バスカム? わし知っとるぞ。
同じ反抗的でも、前はもちっと活発だったと記憶しとるが
えらい引きこもりになっとるのお。」
ジジイがバスカムを知っていた事に驚くアッシュ。
「えっ? 何か活発に反抗されたんですかー?」
「うん、廊下で会うと、ツンとそっぽを向かれたり。」
「・・・えらい躍動的な反抗ですねー・・・。」
「そうは言うが、されると悲しいもんなんじゃぞ?」
ヘッとバカにした笑いをするアッシュに、ジジイが訊いた。
「で、どうするんじゃ? 皆殺しか?」
ふたりで顔をつき合わせてケッケッケと笑う姿に
リリーは首を振って溜め息を付いた。
「にしても、このふたつの死亡案件、何故誰も気付かなかったんじゃ?」
ジジイの責めに、アッシュが反省もなく答える。
「これは普通、見落とすでしょうー。」
まあ、そうじゃな、と思いつつ、リリーに念を押す。
「この反抗者リストは確かなんかい?」
「はい。 それは確定済みです。」
「他にも小さい不満を持っているヤツはいるだろうけど
どうこうしよう、というほどの気合いはない、って事で
放置で良いですよねー?」
「個々の不満なんて、拾い上げてたらキリがないからな。」
「という感覚で、ジジイがノビノビと放置したタンツボを
私が始末せにゃならん、ってわけですねー。」
「それが後釜の定めじゃな。」
「ヌケヌケと、よくもー・・・。」
ジジイとアッシュの漫談は続く。
「しかし、盗聴など始めたからには放ってはおけんじゃろう。
頭と、勢いのあるのを殺れば、大人しくなるんじゃないのか?」
「ええーーー、頭、殺っちゃうんですかー? もったいねーーーっ。」
「何じゃ? あんたこういうのが好みなんか?」
「私、こういう知的イケメンビジュアルがタイプなんですよー。」
「言ってくれれば、本部から何人でも寄越すぞ?」
「・・・いや、いいですー。 もう性欲、ないもんでー。」
ああ・・・と、ジジイが同意した。
「わかるぞ、その気持ち。
わしも昔はリリーちゃんの黒下着チラ見えに癒されたものじゃが
最近は見ても、全然心が動かんようになってしもうて・・・。」
「はあ?????????」
リリーが珍しく大声で叫んだ。
「ほら、リリーさんがドン引きしてるー。 これだから男ってのはー。
ジジイ、私のパンツならいくらでも見せたるから
インテリ美女へのセクハラは止めとけー。」
「あんたのは下着じゃなくて、“肌着” じゃもんなあ・・・。」
「既にチェック済みかいーーーーーっっっ!」
アッシュとリリーはふたり引き潮に乗り、海の彼方へと流されて行った。
「とてつもない後味の悪い嫌悪感をジジイがかもし出したところで
とりあえず、このバ・・・と一度話がしてみたいですねー。」
遠海から何とか生還したアッシュが、まとめに入った。
「んで、洗脳するんかい?」
と、ジジイの入れる茶々に、アッシュがまた乗っかる。
「そりゃもう、口八丁手八丁でー。」
「そう上手くいくなら良いんじゃがな・・・。」
「いかなかったら、おつー、あとよろー、ですよー。」
「あんたの話はよくわからん!」
ジジイの一括で、チャンチャン、と幕を下ろすアッシュ劇場であった。
「この事態を知っとるのは誰じゃ?」
「ここにいる以外は、当事者のデイジーと電気部、監視部ですわね。」
「デイジーはどうするんじゃ?」
「んー、また反乱軍に万引きを命じられたら
毎回、無理! じゃ通らないでしょうから
これを渡すように言おうかとー。」
アッシュは1枚のディスクを取り出した。
「何じゃね? それは。」
「これはですねー、相続戦の時に私が時々PCで書いてた日記ですよー。」
「何でそんな事をしとったんじゃ?」
「いや、ブログにアップしようかと思ってー。
“実録! 呪われた館の惨劇 血にまみれた相続争い!!!”
アクセス稼いで、アフィリでウッホウホー!」
「アホか!!!」
ジジイが、アッシュの脳天をパカーンと殴った。
「何を書いたんか、ちょっと見せてみい。」
ジジイがリリーにディスクを渡す。
パソコンのモニターを見たジジイとリリーは、ウッと言葉に詰まった。
「・・・これは何語かね?」
「日本語のローマ字打ちですー。
書いた本人も解読しにくいんで、誰が見ても大丈夫でしょー。」
「こんなものは、こうじゃ!」
ジジイが取り出したディスクをパキッと折った。
「あああああああああああああああああああーーーっっっ!!!」
ヘタリ込むアッシュに、更にジジイが説教をたれる。
「外部には秘密厳守だと言うとろーが!
あんたは主の自覚が足らんぞ!
まったく、漏れる前に気付いて、本当に良かった良かった。」
あー、このド腐れジジイには、私のデータをことごとく破壊されとる・・・。
アッシュがフテ腐れてソファーに倒れたら、今度はリリーが訊いてきた。
「ローズにはどうします?」
「え・・・?」
「ローズはあなたの護衛でしょうに、まだ話してもいませんよね?」
その問いかけに、アッシュの表情が曇ったのを見て
リリーは話を続けるのを止めた。
ジジイは爪楊枝で歯をほじくりながら思った。
ローズの話は、アッシュの地雷じゃな。
続く。
関連記事: ジャンル・やかた 51 10.2.3
ジャンル・やかた 53 10.2.9
ジャンル・やかた 1 09.6.15 -
ババア宣言
読んでくれている人から不評の、自分をババア呼ばわり。
これについて、とりあえずの結論が出た。
私はババアの道を歩みたい。
そもそも、最初にババアと自称し始めたのは
自分の年齢をすぐ忘れるからである。
これ、服を選ぶ時とか、ものすごく支障が出るんだよ。
ついロックテイストの服を手に取ったりとかするんだ。
だから、現在自分が何歳か瞬時に思い浮かばないけど
とにかくババアなんだから、と自分を戒めたのが最初だった。
戒める必要があるのか? と、問われると
私に関しては、「ある!」 と即答する。
親もない、知恵もない、恥もない私は
放置しとくと、どこまでも自由なんだ。
自分を縛るものは、自分しかいない。
人間、カセがないと堕落すると思う。
何を堕落かと言うと、それまた禅問答のようになるんだが
私的には、“社会の中で違和感がある存在” の事を言うんだ。
私のこの感覚は、幼い頃から 「変わっている」 と言われていて
その意味が、別に悪い事ではないんだけど・・・
という非難の言葉だと知っていたので
“普通” でいたい、と強く願うようになったんだと分析している。
更にその延長で、枠に収まる、型にはまる、等にものすごく憧れる。
“社会の歯車” に、完璧な正義を感じるのである。
とんだ変態のような事を言っとる気もせんでもないが
自分の中では、秩序の美学みたいなものがあって
それを目指しているのである。
まだまだ到達できていないのは、このブログを読んで丸わかりだろうが。
そして、ここ数年、自分の中でボンヤリと思っていたのが
ババアで何が悪いんだろう? という疑問。
見た目年齢 の記事で書いたんだが、それではっきりわかった。
私は自分を見失っていた。
去年は大きく体調を崩して、ちょいウツ気味にもなり
やたら弱気になっていたんだよな。
これは思春期のグレのようなもんで、まだまだ揺れ動くとは思うけど
ここにきて皆から助言を貰い、グダグダ考えて答が出た。
私はインテリ上品ババアになりたいんだ!
これは外見上であって、中身はどうしようもないドアホウなんだが
そんなん、付き合わないとバレないじゃん。
パッと見だけでも、お固くて厳しい女教師風なのになりたいんだ。
MじゃなくてS、菩薩じゃなくて鬼
フレアスカートじゃなくタイトスカート、肩出しじゃなく詰め襟
ドレスじゃなく軍服、湯じゃなく水、玉砂利じゃなく岩石
何を言うとんのかわからんだろうが、心配すな。
私も書いててどんどん混乱しとるから。
とにかく私は、ババアと自称したい。
もちろん他の人の事を同列視するつもりはない。
基準なんて個人差がものすごくあるし。
最初は戒めのみのつもりだったけど
途中から何だかそれがどんどん楽しくなってきてな。
どうも脳内で、自分の老化を乗り切るための妙な正当化変換をしたようだ。何か、いかにも地獄に堕ちそうな思考の移り変わりで
自分の死後の世界に恐怖を感じるんだが
「自分で自分をババアと笑える心の広い わ・た・く・し (はぁと)
他人に言われたら、そりゃあ烈火のごとく怒るけどね ふっふっふ」
と、他人が実に対応に困る、ハタ迷惑な自己満足をしたいんだ。
そんでビジュアルの目指すところも、何となくわかったから
このブログではその理想像を基準に、ババアで何が悪い、と恫喝しつつ
ババアに何が良いか悪いかを、自己判断で書くので
他の人にはこれは当てはまらないのを前提として、読んでもらいたい。
肉食猛獣系を目指すも良し、おっとり良家夫人を目指すも良し
そういう自分のコンセプトがある場合、それを伝えて話してくれれば
より話が発展しやすくなると思う。
しかし、ここで障害になるのが、嗜好なんだよな。
なりたいものと、好きなものが違うんだ。
お固い上品とロック系、かみ合わないだろ?
何でこう趣味と違う理想を持つんだか、よくわからんのだが
この趣味のせいで、まだまだ失敗を繰り返しそうな気がする。
ロングブーツ、失敗だったしなあ・・・。
まあ、その試行錯誤も経過のひとつなんで
迷いまくっとるなあ、とか笑いつつ観察してほしい。
結構、滑稽な様相を披露しまくっていくような気がするんでさ。