• ジャンル・やかた 51

    ジジイが上機嫌でホイホイと館にやってきたのは
    アッシュ直々の要望だからである。
     
    真夜中の電話に叩き起こされ、不機嫌になりかけたが
    それはアッシュからの初めてのCラインだったので
    一気に気分が高揚し、その後中々寝付けなかった。
     
    しょせんこいつも、何のかんの言っても
    館を30年余りに渡って、支配し続けてきた人間である。
    その好戦さは、アッシュにもヒケを取らなかった。
     
     
    いつものように、アッシュの演説を聴くために講堂の長い椅子に座る。
    講堂には相変わらず、住人が大勢来ている。
    「あら、元様、いらっしゃい。」
    「おお、元気じゃったか?」
    「やですよ、ついこの前もお会いしたじゃないですか。」
    そう笑われるほど、しょっちゅうこの館に来ていたのは
    ジジイが孤独老人だからではなかった。
     
    30年余の君臨のお陰で、ジジイは立派な屋敷と大勢の使用人を与えられ
    長老会では、尊敬と強力な発言力も持っていた。
    いまや、街のVIPのひとりである事は間違いなく
    それは自分の功績もあるが、何よりもアッシュの改革が大きかった。
     
    わしの人生の集大成が、こいつじゃ
    ジジイは演説するアッシュを見ては、自己満足にふけっていたのである。
     
     
    「ああーーー? また来たんかいー、ジジイーーー。」
    演説を終えて講堂を出ようとするアッシュが
    反乱グループに不審がられないために
    “いつもと変わらずに” という密約通りに振舞う。
     
    「美味いお茶が飲みたくてのお。」
    「茶ぁなら自分ちで飲めー!」
    「そう言わんでくれ、わし・・・朝飯も食っとらんのじゃー。」
     
    「おい、飯を食った事を忘れるなんて、元様・・・」
    「まさか、いよいよボケてきたとか・・・?」
    アッシュとジジイのボケ突っ込みは、恒例の演芸だったが
    遠巻きにそれを見物していた住人たちが、ザワめきたった。
     
    まったく、やり過ぎなんだよ、このクソジジイ!!!
    ついついリキが入りすぎて、演技過剰になったジジイを
    アッシュが怒りの目で睨みつける。
     
     
    「はいはーい、これは何本ー?」
    アッシュが指を3本立てる。
    「1本ー。」
    「じゃ、これはー?」
    指を1本立てる。
    「3本ー。」
     
    「はい、正常ですねー、いつものアホウなジジイですねー。
     朝飯を食っていないんなら、フルコース用意してもらいましょうねー。
     もちろん全部残さず食ってくれますよねー?」
    「すすすすいません、朝飯さっき食いました。
     どうかお茶だけお願いします。」
    安堵したのか、周囲がドッと爆笑する。
     
    執務室に入って、グリッと振り返ったアッシュの顔は般若と化していて
    生命の危険を感じたジジイは、ひたすら土下座をした。
     
     
    「で、今日までにわかっているのは、これだけです。」
    結局軽食をとるアッシュとジジイに、リリーが説明をした。
     
    反乱グループは7人で、リーダーはバスカム
    大規模な襲撃を起こすために、通信傍受機器を揃えた等。
    「通信傍受は、無線キャッチぐらいのものでした。
     つまり、ここの環境ではコードレスフォン限定ですね。」
     
    執務室のTVモニターには、電気部が反乱グループの部屋を
    調べる映像が映っていて、それをまるで映画鑑賞のように
    ポップコーンをボリボリ食いながら観るアッシュとジジイ。
     
    「格好良いと思いませんかー?
     私がデザインした電気部の工事用仕事着ー。
     メタルギアソリッドみたいでしょー?」
    「何じゃ、そりゃ?」
    「潜入ゲームのタイトルですよー。」
    「あんた、そういうの、ほんっと好きじゃな・・・。」
     
    「にしても、私、相続戦の時
     エレベーターんとこにあるらしき、妙な空間が気になってたんですよー。
     電気部の工事用の移動スペースだったんですねー。」
    「んじゃ。 加えて、天井部分にも移動スペースを取ってあるんじゃよ。
     注意深く見てみると、館の天井の高さが外観と合わないのもわかるぞ。」
    「その天井裏通路とか、誰が考えたんですかー?」
    「設計士と電気技師じゃ。」
    「ああ・・・、大阪城を建てたのは大工さん、みたいな答ですねー。」
    「それが現実じゃよ、ふぉっふぉっふぉっ」
     
     
    話が逸れまくる物見遊山気分のアッシュとジジイに構わず
    リリーが報告書をめくりつつ、解説する。
    「ただ予想外だったのが、この機械です。」
    画面を折りたたみ式の棒で指す。
     
    「おっ、女教師ー!」
    「ふぉーっ、眼福じゃのお!」
    「これで黒ブチめがねに、ひっつめ髪が王道なんですよー。」
    「うーん、リリーちゃんはヘアスタイルは派手じゃからのお。」
    「お出かけ用スーツはバッチリなんだけど
     もちっとオールドミス的味わいもほしいところですよねー。」
    「定番すぎて俗じゃが、嫌いじゃないぞ!」
     
    「そ!れ!で!!!!!」
    ふたりの雑談に、しかもその内容が自分の外見である事に
    激しくイラついて、リリーは画面を棒でビシビシ叩いた。
     
    「おおっ、たかじんー!」
    「誰じゃ? そりゃ。」
    「日本の関西の・・・」
    「こ!の!機!械!が!何だったかと言いますと!」
    その大声に、リリーの忍耐力の限界を察したふたりは雑談を止めた。
     
    「これ、盗聴受信機なんです。」
    「・・・? だから傍受機じゃろ?」
    「いや、きっと違うんですよー。
     大阪日本橋に年に1度行くか行かないか、という経歴の私が考えるに
     これは盗聴器をどっかに仕掛けてて、それ専用の受信機なんですよー。」
    「ええと、それ、どういう経歴かのお?」
    「何の知識も持ってない、って事は確かですー。」
     
     
    もう・・・。 勉強が出来ない子供の授業態度みたい・・・。
    話の進まなさに、いい加減ウンザリして
    指し棒をたたみ、デスクの椅子に座って爪をヤスリで整え始めたリリー。
     
    その怒りのオーラあふれる背中を見て、しまった、と後悔する雑談組。
    「ほんっと、ごめんー。」
    「真面目に聞くから、機嫌を直してくれ。」
     
    懇願するふたりに見向きもせず、爪を削りながら投げやりに話すリリー。
    「で、その盗聴器は、南北の住人用食堂に各1個ずつ見つかりました。
     他にもないか秘密裏に捜索中なので、引き続き警戒が必要です。」
     
    背後でアッシュとジジイがつかみ合いのケンカを始める。
    「あんたが妙な合いの手を入れるから、話が脱線するんじゃ!」
    「私のつぶやきにいちいち反応するおめえが悪いんだろー。」
    「おめえとは何じゃ! 目上に対する敬意はないんか!」
    「命汚く生き延びてるくせに、年長ヅラしてんじゃねえぞー。
     諦めてマッハで死ねー! 手伝ってやろうかー? このクソジジイー!」
    「何じゃと? やるんか? 年は取ってもまだまだ衰えとらんぞ!」
     
     
    リリーが椅子をグルリと回転させ、振り向いて静かに言った。
    「わたくしの話を真面目に聞けないのなら、もう無視しますよ?」
     
    アッシュとジジイは、即座に取っ組み合いを止め、土下座した。
    「ほんっっっと、すみませんでしたーーーっ。」
    「どうか、無視だけはご勘弁をーーー。」
     
    米つきバッタのように、ジタバタしているふたりを
    冷酷な瞳で見下ろしつつ、リリーはあくまで無表情だった。
     
     
    続く。
     
     
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          ジャンル・やかた 1 09.6.15

  • 人生相談  19 恋のライバル

     <質問>
     
    好きな人がいるのですが、ライバルが邪魔をしてきてウンザリです。
    私はライバルは放っておいて、なるべく気にしないようにしてるのですが、
    向こうは何かと気にしてるようで。
    これからも邪魔をされると思うとゲンナリ。
     
    邪魔されない方法とかってありますか?
    気にしないようにしてても、彼との接点を少なくされるのは嫌なので。。
     
     
    具体的には、私は二人にならないようにされてる感じ。
    敵は二人になろうとしてる感じですね。
    気のせいといえばそれまでですが。
     
    グループで一緒に海に行こうとしてたら、
    「私たちはちょっと用事があるから、
     先に他の人達と一緒にいったほうがいいよ~」
    って男の人がいないとこで言われて。。
    実際に用事があるのは彼本人だけで彼女はついていくだけ。
    他にも友達連れてってたけど、キューピッドなのか、
    海に来た時は二人できていた。。。(男も男ですが。。)
     
    他はみんなでごはんに行ったら、
    最初から最後まで彼にべったりくっついて、離れない。
    (個人的に視界にいれたくないから、近づきたくない。。)
     
     
    向こうは私を意識してるのかしてないのかわかりませんが、
    彼との接点が少なくなるのはいやなんで。。どうにかならないものかなと。
     
    個人的には、人の邪魔してチャンスをgetとかしたくなくて、
    マイペースでいきたいのですが、
    もっと自分の存在を強くしないといけないのかなぁと思って。
     
    何か方法があればお願いします!!
     
     
     <回答>
     
    腐りも腐って乾きかけのババアだと言うとんのに、また恋愛相談か!!

    しかも今回は具体的な質問だ・・・。
    恋愛 = 下僕作り だった元女性としては
    これほど難解な問題もねえよ・・・。
     
     
    わからんので何度も何度も読み返していて、ひとつ思った事がある。
    相談とはまったく関係なく、しかも根本からとてもすまん事を言うが
    その彼、ちょっと問題ねえか?
     
    ライバルと彼は、まだ恋人同士じゃねえんだよな?
    彼女でもない女性を周囲にはべらせているって
    「ぼくちんモテるのお」 と、つんのぼせている王様か
    皆仲良いお友達、というチーチーパッパのどっちかじゃねえのか?
     
    彼とライバルが付き合っていたとしても
    何で陰でコソコソやっとんのだ? と、益々不審に思うぞ。
     
    いずれにしても、彼がおめえの気持ちに気付いていたら、余計に最悪だな。
    自分からは何のアクションもせずに
    女の戦いを楽しんでいるコロッセオ観戦貴族もどきだぜ。
     
     
    私なら、相談者のような状況になった時点で戦線離脱する。
    彼氏にするなら、私の事を第一に考えてくれる人を望むからだ。
     
    恋人同士になれたとしても、空気読めずの八方美人の彼氏だったら
    付き合ってる最中も、私の気持ちを二の次にして
    自分の外ヅラの良さばかり気にされて、良い事なさそうだぜ。
     
     
    と、見ず知らずのお方の悪口を、よくもここまで、というほど言って
    まことにすみませんでした。
     
    それさ、ライバルを気にせずに、さっさと告白した方が良くねえか?
    駆け引き、どうも通用しない男性のようだし。
     
    何より長引かせると、ライバルの手段がもっとひどくなるかも知れんぞ。
    おめえの悪口を、ある事ない事周囲に言いふらす、とかさ。
    他の人たちとも、仲間ですらいられなくなるかも。
     
    もし告白してダメだったら、「気の迷いだった」 で良いじゃん。
    ヘンなコブ (ライバル) 付きの男に長期間振り回されるなんて
    貴重な若さの無駄遣いだぜ。
     
     
    てかさ、晴れて付き合えるようになったとしても
    そんなにロコツに牽制するような女性なんだから
    どう転んでも、憎まれる対象になる気がする。
     
    すんなり引いてくれれば良いけど
    もしかしたら彼以前に、そういうバトルを好むタイプの厄介な女性かもな。
     
    誰に相談されても私的には、やめた方が良くない? って必ず言うと思う。
    彼にもライバルにも、マイ危険センサーが鳴り響くもん。
    関わらない方が良い人種のような気がするがなあ。
     
     
    えーと、相談者が真に考えてほしい肝心の “方法” に関して
    1個も答えておりません。
     
    麻雀もUNOもダウトも苦手とするわたくしといたしましては
    情けない事に、そういう駆け引きが大の苦手であります。
    悪項目はともかくも、善項目では穏便に済ませる事が出来ません。
    相手も自分も周囲もボロボロになるほど
    おおごとに発展させる自信ならあります。
     
    よって通りすがった人で案がある方は、ぜひコメントをお願いします。
    役立たずで、ほんとすみません。
     
     
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     
    人生相談は、あまり受付ておりませんが
    ご相談はメールでお願いいたします。
    アドレスはプロフィールにあります。
    件名に、「人生相談」 と入れてください。
    でないと、迷惑メールに紛れる可能性がありますので。
     
    匿名で結構です。
    いらん個人情報ばかり書いてこないで
    肝心の相談内容の情報の方にこそ気を遣ってください。
     
    相談内容によっては、相談した事自体を怒りだす可能性もあります。
     
    相談後の意見、返事、報告等がありましたら
    出来れば記事のコメント欄に書いていただけたら、ありがたいです。
    通りすがりの人も、結果が気になると思いますので。
     
     
    ※ 相談内容を転記の際、状況によって
      伏字、改行、修正などをさせていただく場合があります。
     
    ※ 精神的に打たれ弱い方はご遠慮ください。

  • ジャンル・やかた 50

    「もういい!」
    バスカムは、あまり期待をしていなかったので
    この女の土産なしには、そう落胆はしていなかった。
     
    しかし1ヶ月掛かって成果なしとは、この女は使えない。
    アッシュの思惑通りにそう判断したバスカムは、女に帰っていいと告げる。
    ディモルに女から目を離さずにいろ、と命じたのは念のためである。
     
    この処置は、主に恋人を殺された女に対しては、ごく普通の事である。
    むしろそんな女を身近に置いている主の方がおかしい。
    バスカムには、アッシュが考えなしの大バカに思えていた。
    これはごく正しい評価であった。
     
     
    デイジーが集会部屋から出てきて
    自分の部屋に戻ったのを確認したアッシュ一同は、安堵の溜め息を付いた。
    引き続きの厳重な監視を頼み、アッシュとリリーは地下通路に下りた。
     
    「どうしますー? もう一気に全員殺っちゃいますー?」
    アッシュが歩きつつ、ヘラヘラと笑って言う。
    まったく、冗談なのか本気なのかわからない。
     
    アッシュが手の平を壁の装置に当てると、数m先のドアがシュッと開いた。
    全ドアでこれが出来るのは、アッシュ以外はジジイとリリーだけである。
    働いている者たちは、外部への個別通路のみしか開けられない。
     
    「SFですよねー ♪」
    アッシュはこういうのが大好きで、これがしたいがためだけに
    “見回り” と称して、意味もなく地下通路をウロついていた。
    薄暗い地下をフラフラ徘徊するババアなぞ
    不気味以外の何者でもないのに。
     
     
    「ところで、事務部に反抗的思想の人はいませんよねー?」
    アッシュが立ち止まり、リリーに訊く。
    「それは大丈夫です。
     何重にもチェックを入れてますし、全員わたくしが掌握しております。」
    「おおーーーーーっ、女王様ーーーーーーっ!!!」
    アッシュが両手を合わせてウルウルと見つめるのを、リリーは無視した。
     
    「長老会への報告はどういたしますか?」
    「んー、私としては、こういう事態は内部で収めてからの
     事後報告の方が、スムーズにコトが進むと思うんだけどー。」
     
    「では、長老会へは通常報告のみで。
     ただ元主様へは、協力を仰いだ方が良いと思いますが。」
    「あっ、ジジイには言っておかないとヒガむもんねー。
     ジジイが次に来そうな日はいつかなー。」
    「いつものサイクルですと、多分、来週初めあたりになると思います。」
    「うーん、来週じゃ先過ぎるなあー。
     明日だとあからさまだから、あさってあたりが好ましいんだけどー。
     よし、Cラインを使おうー!」
     
    Cラインとはアッシュ-ジジイ間の直通電話の事で、盗聴の心配がない。
    秘密のsecretは、日本語でsiikurettoと読むから
    siiでシーで “C” だとアッシュが言い張って、この名になった。
    アッシュはこういうスパイごっこが本気で好きだった。
     
     
    再び通路を行き、パネルに手をかざしドアを開けて入ったのは
    館内の電気関係をすべて司っている部屋で
    その広さは、館の北館2個分にも匹敵する広大さである。
     
    地下があるとは思っていたけど、こんなに広いとはねー
    だよねー、地上と地下は同じ面積である必要なんてないもんね。
    アッシュは、ここも好きだった。
    というより、こういう迷路のような地下自体が好きだった。
     
    オカルトに地下は付き物じゃん
    薄暗さにビクビクしながらも、妙に興奮するんだよなあ
    これぞ、“吊り橋効果” だな!
    アッシュは自分の異常嗜好を、大間違いな理論で納得していた。
     
     
    アッシュが電気部屋と呼ぶその部屋は
    地下鉄の制御室のような様相である。
    「おおおーっ、これぞ陰謀のエレクトリカルパレードやーーーっ!」
    両手を広げて大声で叫ぶアッシュに、誰も反応しない。
    この部屋に入る度に、同じセリフを繰り返していたからである。
     
    「さ、主様のいつもの呪文も唱え終わったし
     昼間お願いした電気量のデータは抽出できてる?」
    リリーが声を掛けた職員が、誘導する。
    「はい、ここに。」
    積み上げられた膨大な枚数の紙が、アッシュの目まいを誘う。
     
     
    「で、これを誰が見るんかなー?」
    職員の両頬を指で摘まむアッシュに、摘ままれた職員が答える。
    「うぉうわたふぃがうんせきしわした (もう私が分析しました)」
    「うーん、気が利いてるーっ!」
    ここぞとばかりに抱きついて、理系男子にセクハラをするアッシュ。
     
    異様にはしゃぐアッシュを、リリーは冷静に見ていた。
    いつも地下に来ると、どっかのネジが飛ぶようだけど
    今回のこの舞い上がりっぷりは、ただ事ではない。
    このお方は結局、戦いが好きなんじゃないかしら?
     
     
    「うーん、やっぱりバ・・・何とかの部屋の電気使用量は
     他の住人の部屋より微妙に多いっぽいかもー。」
    「いい加減、名前を覚えてください。 バスカムです。」
     
    覚える努力をする気がさらさらないのか、アッシュが無視して続ける。
    「でも、こんな差じゃわかりにくいですよねー。
     これはチェック漏れとは言えないなあー。
     まさか住人が通信傍受機器とかを置いてるとは思わなかったしねー。」
     
    デイジーがディモルから聞き出した話によると
    リーダーが盗聴機器類を揃えているらしく
    それを重く見たアッシュとリリーは
    電気部にその情報の裏付けを取るために
    各部屋の電気使用量の調査を命じていたのであった。
     
     
    データを見つつアッシュと話し合う職員に、リリーが訊ねる。
    「長老会との電話も受信されていた可能性はあるのかしら?」
    「それは実際に機器を見てみないと何とも・・・。」
    「事務部の通話内容の確認はした?」
    「はい。 なにぶん急なお話で、時間が掛けられず
     完全に確認できたのは、まだここ1ヶ月のものだけですが
     その期間は、特に大した情報はありませんでした。」
    「主様の会話は?」
    「・・・「ほー」「へー」、もしくは怒号ぐらいで・・・。」
    「ああ・・・そう・・・。 まあ、それなら良かった・・・わ・・・?」
     
    色んな事で落胆するリリーと、申し訳なさそうにする職員に
    隣でのんきに書類を読んでいたアッシュが指示を出す。
    「じゃあ、明日、反乱軍の各部屋をチェックに行ってくださいー。
     怪しまれるとマズいんで、モニター部と連携してくださいねー。
     で、今回は確認のみで、一切手を加えないようにー。
     確認の様子はビデオに撮ってきてくださいねー。」
    「はい、わかりました。」
     
    「じゃ、その他の事はリリーさん、お願いしますねー。
     私はジジイにCラインかまして寝ますからー。」
    「はい、お疲れ様でした。」
     
    リリーがそう答えると、すべての職員が立ち上がってアッシュを見送った。
    アッシュは、敬礼をしてから部屋を出たが
    ふっふっふっ、ものすごい上官気分ーーー、と内心ホクホクだった。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 49 10.1.28
          ジャンル・やかた 51 10.2.3
          
          ジャンル・やかた 1 09.6.15

  • マウス壊れる

    “マウス” で、まず “ネズミ” を思い浮かべたヤツ
    目の前の精密機械をドブに捨てろ。
     
    あっ、そうか、今はパソコンじゃなくて
    携帯でネットをしている人も多いんか。
    うあー、鬼の首を取ったつもりが、自分の時代遅れを晒してしもうたぞー。
     
     
    で、マウス。
    ちょうど1年ぐらい前から、どうも不調になった。
    ドラッグ & ・・・何だっけ?
    とにかく、そのファイル? を他のフォルダ?に移動しにくくなったのだ。
    あっ、ドラッグ & ドロップだっけ?
     
    その当時、専サポに他の案件で相談した時に
    何かマウスの調子が悪い、と訴えたんだけど
    うちのマウス、いつもいつも安定して調子が悪いわけではない上に
    偉いヤツの前では良い子ぶるような、姑息なマネをしやがり
    そうですかあ? で流された。
     
    それで純真で素直なわたくしは、きっと自分の操作がヘタなんだろう
    と思い込み、調子が悪い時は、クリック位置を変えたりして
    力ずくで押さえたりして、この1年をやり過ごしてきた。
     
     
    そんで、これも古い話になってしもうたが、年末と言えば年賀状。
    非常識で社会性のないわたくしは、年賀状は出さんのだが
    年賀状の作成で追い詰められてる専サポに
    ここぞとばかりに、年賀状の作成ぐらい屁でもねえわ
    誰に物を言ってるんだよ? 私は年賀状の天才だぞ?
    と、えれえフテえ事をフカして、あざ笑ってしもうた。
     
    当然、「じゃあお願いしますよ?」 になるよな。
    いい加減、自分の墓穴を掘り飽きてほしいものだが
    今回のこの大言壮語は、墓穴ではない。
    以前にも知人の年賀状のデザインをして、好評だったのだ。
     
    ただし、時期が年末、というのが大誤算!
    このクソ忙しい時に、何を余分な仕事を入れてんのやら。
    そういや私が年賀状を出さなくなったのは、正にそういう理由からだった!
     
    だが、いっつもご迷惑をお掛けしている専サポに、恩を売る良い機会だ
    (素でそう思っとって、書いてる今になって気付いたけど
     恩を売る = ×  恩を返す = ◎ だよな・・・。
     ほんっと、とことん恩知らずだわ。)
    と、ただそれのみの一心で、この爆裂年末の中、デザインしたよ。
     
     
    もちろんデキは好評で、ちょっと株を上げたんだが
    その時にうちのマウスをいじくった専サポが
    何じゃ こりゃあ!!!!! と、なった。
     
    「何で初めからダブルクリックになるんですか!」 と、怒るんで
    だから1年前から言うとろうに、と言ってるのに
    よくこんなんで操作できるわ 普通買い替えますよ 信じられない
    みたいに、年賀状の功績そっちのけで罵倒された・・・。
     
     
    めげずに、マウスを分解して掃除してくれんかのお? とお願いしたら
    なお一層、火に油だったようで
    マウスはこうなると “壊れた” と言うんです! だそうだ。
     
    だったら、壊れたマウスを1年も駆使してきた自分を褒め称えたいんだが
    パソコン業界的には、単なるアホウでしかないようである。
     
    そして、マウスだけ買い直す私の予定を批判して
    このマウスは、キーボードとセットの無線式なんで
    キーボードも一緒に変えろ、という命令と共に
    私渾身の装飾のキーボードカバーも、激しく罵られる。
    それこそ、鬼の首取り級に責め立てられた。
     
    良いじゃん、私の使い方にはこのカバーが最適なんだから、という言い分も
    指1本打法の否定へと繋げられ、もうヤブヘビもいいとこである。
     
     
    キーボードは壊れてないのに、何で買い替えなきゃならないんだよ?
    私はドデカいマウスが好みなのに、最近は小型が主流のようで
    キーボードセットのやつは、皆ちっこいマウスなんだよ。
     
    そうやってムダな買い替えをするから、地球が泣くんだよ。
    私の財布も号泣させる気かい。
    似合わんブーツを買う金はあっても
    壊れていないキーボードを買い換える銭は一銭も持っとらんわ!
     
     
    と、とことん逆らって、マウスのみを買い換えた。
    思いがけずもキーボードと別メーカーのを。
    メーカーまで覚えとらんかったんだ・・・。
    そこ、大事なとこだったんか? 試験に出るんか?
     
    更に悪い事に、USB?でのレーザー無線?とかいうやつで
    いっつもパソコン本体の蓋?を開けていたくないなら
    別売りのUSB?ケーブルを買って、本体裏から出さにゃならんそうな。
     
    しかもキーボードのプログラムが優先されるので
    マウスの特殊な機能は一切使えないんだと。
     
    別に意地を張ってるわけじゃなく、色んな機能はいらなく
    大きさがドブネズミレベルにデカけりゃ、何でも良いんだが
    この感覚がムダ使いだと、更に罵られつつ設置をしてもらった。
     
     
    まったく、新年早々専サポに手痛い敗北をくらったわけだが
    私が勝利できる日がくる気が一切しない・・・。
     
    でも何のかんの言っても、面倒を見てくれるので感謝しているし
    新しいマウスの握り心地が、とても良いので嬉しい。
     
    ドラッグ & ドロップも何度もトライせずに一発でできるし
    文章の選択?もスムーズに出来るし
    マウスの仕事っちゅうのは、こういう事だったんだな
    と、久々に思い出したよ。
     
    でもやっぱり、壊れたマウスを使いこなしていた自分、凄え!

  • ジャンル・やかた 49

    “主様” に反感を持つ人間は、この2件の死亡に動揺した。
    「主に殺されたんだ」
    全員がそう思った。
     
    アッシュたちの読み通り、確かに最初は個々がバラバラだった。
    会えば酒を酌み交わし文句を言う、ただそれだけの関係だったのだ。
     
    しかしその内のひとりが、襲撃事件を起こした。
    死んだのは主の護衛の姉で、主も親しくしていた人物である。
    「主が復讐のために、反抗的な輩をひとりひとり殺しに掛かっている」
    自分の境遇への不満をすべて他人のせいにしグチを言う
    そんな単細胞たちが、そう考えるのも自然の流れである。
     
     
    そうは考えない人間がいた。
    バスカムである。
     
    あの女が他人のために復讐などするわけがない
    バスカムのこの考えは、今回の件に限っては結果だけ見ると正解なのだが
    彼は主の姿を大きく見誤っていた。
     
     
    バスカムはこの館に、と言うよりは長老会に不満を持っていた。
    それは恵まれた境遇の人間に対する憎悪であった。
    いわゆる反社会的な思想であり、この館がどうであろうと
    結局は必ず持つであろう、不毛な怒りを抱えていたのである。
     
    彼には、この館自体が嫌悪の対象であり
    主が替わろうと替わるまいと、壊したかったのである。
    彼はいずれは館を逃げ出すつもりであった。
    どこへ行っても、彼のこの不満グセは変わらないであろうに。
     
     
    そんな妄想の中、館では新しい主が誕生した。
    外国でヌクヌクと生まれ育ち、何も知らずに来たのに
    相続を達成したばかりか、改革までしようとしている。
     
    彼女の最初の演説を聴いたときには、憤死するかと思った。
    今までに経験した事のない激しい怒りが、足元から湧き上がり
    心臓を強く殴られたような衝撃だった。
     
    この世界のすべてを見抜いているのは俺ひとりなのに
    あの無知な女に、頭上から幸運が降り注いでいる。
    バスカムには絶対に自覚してはならない事だったが
    これは嫉妬というものであった。
     
    バスカムは単に、どこかの頂点に立ちたかっただけなのである。
    自分がなれるはずのない者に、アッシュが安々となり
    知った風な口を叩いている。
    その存在が、バスカムにはとてつもなく目障りだった。
    このまま許しておけば、自分が崩壊してしまう。
     
     
    だがアッシュという人間は、バスカムにとって初めて出会う人種で
    その得体の知れなさに尻込みせざるを得なかった。
    そう感じたのは、アッシュを目の当たりにした時であった。
     
    1度目は、アッシュが玄関ホールで二人目の敵を滅多打ちにした時
    2度目は、アッシュが食堂でニタニタと笑って食事をしてた時である。
     
    こいつに関わっちゃいけない、頭の中にそう警鐘が鳴り響いたが
    3度目に前方から走ってくる、怒り全開のアッシュとすれ違った瞬間に
    その確信は、バスカムの心に固定された。
     
     
    この3度目の遭遇の時のアッシュの怒りには、ある事情があった。
    アッシュが主就任後の忙しい合間を縫って
    コツコツとLV上げをしていたゲームがあった。
     
    時々その姿を見掛けては気になっていたジジイが
    やめときゃいいものを、好奇心に逆らえずに
    アッシュが席を外した隙に、ちょちょっといじってしまったのである。
     
    ゲームは日本語で何が何やらさっぱりだったが、さすがのジジイにも
    画面に映し出された NO DATA の意味はわかった。
    ジジイは後悔よりも先に、すさまじい恐怖に駆られて
    ムンクの叫びのような顔になりつつ遁走し
    戻ってきたアッシュが、それに気付くのに時間は掛からなかった。
     
    実にくだらん話だが、ゲーマーならば
    この時のアッシュの心情をわかってもらえるであろう。
    こういう時のアッシュの怒りは
    巨大龍の怒りにも匹敵する、正に “逆鱗” であり
    修羅のごとき形相で髪を振り乱して、ジジイを探し回った。
     
    それを目撃した人は、運が悪かったとしか言い様がないが
    バスカムの心にも、大きなトラウマを刻み込んだのである。
     
    ちなみにジジイは、飼料を置く納屋のひとつに隠れていたところを
    養豚係によって通報され、アッシュにはちくり回された。
     
     
    さて、単純バカどもが騒いでいる。
    どうせ大した事は出来ないんだから、大人しくしてろ
    それでなくとも主の後ろには、歴戦のつわもの、あのローズがいるというのに
    どんな思考をしたら、直接対決など考えつくのか。
     
    どうしたものか、とバスカムが煮え切らない思案をしている内に
    普段偉そうな事を言ってたせいもあり
    単細胞たちが周囲に集まるようになってしまった。
     
    今にも主に殴り込みを掛けそうな勢いに不安を感じたバスカムは
    腹をくくってグループのリーダーになった。
    自分の周囲をウロつく彼らがまた余計な事をすれば
    こっちにも火の粉が掛かる可能性があるからである。
     
    どうせ、いつかは主と対峙しなければならない。
    あの不気味な女を抹殺しないと、自分の心に平穏はこないのだ。
     
     
    バスカムはせかす仲間を押しとどめつつ、機器類を揃えていった。
    万が一にも失敗があってはならない、と言いつくろってはいたが
    その意味のない機器類を見ると、決戦の先延ばしをしていた観も拭えない。
     
    腹をくくったつもりでも、ダラダラとしていたバスカムのビビりが
    デイジーに、引いてはアッシュにつけいる隙を与えてしまったのである。
    リーダーは独裁の猪突猛進型が一番成功に近い、という証明にも思える。
     
     
    そんな中、メンバーのひとりの恋人が主の近くで仕えている、と知る。
    しかもその女は内心、主を憎んでいるらしい。
    バスカムはメンバーを通じて、その女に
    主の部屋から、“何か” を盗ってくるよう命じた。
     
    何か、は何でも良かった。
    まずはその女がどこまで役に立つのかを知るのが目的だったし
    上手くいけば、主討伐のヒントになるかも知れない。
     
    そのぐらいの目論見だったが、難題に焦ったデイジーによって
    グループの存在が、主の知るところになったのは
    バスカムの不運、いや甘さだったと言えよう。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 48 10.1.26
          ジャンル・やかた 50 10.2.1
          
          ジャンル・やかた 1 09.6.15

  • 人生相談 18 留学

     <質問>
     
    こんにちは。
    就職や将来のことですごく不安でウツに片足突っ込んでるっぽいです。
    というのも、今まで一回も正社員として働いたことがないのです。
    今26歳ですが、希望としては30歳までにお金を貯めて
    英語を覚えるため留学を考えていますが
    ホントにこんなんで大丈夫なのかと不安でいっぱいです。
    その不安からまたパニックを再発するんじゃないかなどと考えてしまいます。
    あしゅらさんの考えを聞かせて下さい。
     
     
     <回答>
     
    もし、留学希望が、「出来たら良いな」 で
    留学以外の気持ちもあるのなら
    日本の会社で頑張って別の道をも探る、という選択肢もある。
     
    そうすると、多分留学への願いは日々に忙殺されるような気がする。
    勤務と留学は、両立はまず出来ないのが現実じゃないかな。
     
    留学を夢で置いといても良いのなら、正社員を目指す方が良いと思うぞ。
    そうする場合は、日本に根付くつもりでな。
     
     
    自分でその留学希望が堅固なものだと感じるのならば
    正社員になるのはやめた方が良いと思う。
    絶対に辞める予定の者を雇うのは、会社にとって不利益だからだ。
     
    会社は雇ってから1から仕事を覚えさせる。
    その期間は新入社員に投資するわけだ。
    やっとモノになってきた頃に辞められるのは、損害なんだ。
     
    よって、留学希望のおめえが正社員になってないのは正解だと思う。
    てか、そもそも外国に行くつもりなのだから
    日本の企業で正社員をする経験など、必要なくないか?
    “正社員” にこだわる理由は何もないと思うがな。
     
    まあ、“正社員にもなった事がない自分” に
    不甲斐なさを感じる気持ちはわかるが
    おめえには留学という目標があるわけだろ?
    外国に行く予定のヤツが、日本の常識に囚われてどうするよ?
     
    いずれ日本に帰ってくるにしても
    帰国子女っちゅうのは、特別枠で見られるから
    少々感覚がズレてても、万年日本暮らしよりは
    温かい目で見てもらえるものなんで、大丈夫だろ。
     
     
    ちゅうか、そんな無用の心配をして自分を痛めつけてるヒマがあったら
    とっとと金を貯めろ。
    あの指名手配犯ですら、逃亡資金稼ぎに
    建設現場で労働して100万貯めとるんだし
    肉体労働をいとわなければ、仕事はある。
     
    いや、むしろ肉体労働、お勧めだ。
    体を動かしていれば、いらん悩みも出てこないし
    外国に渡るのに、体を鍛えておくのは必須だ。
     
    今後の自分のする事すべてを、留学にプラスになるように心掛けて
    いわば “留学のプロ” になるように徹しろ。
    その気合いが運命の分かれ道だと思って頑張れ。

    あ、そうそう、留学サポート会社みたいなんがあるそうだが
    悪徳業者も多いと聞くんで、ネットとかで充分に情報を集めて
    騙されんように防御するのも忘れるなよ。
     
     
    今の時代、職や未来への不安は誰もが持っている。
    皆、“安泰” など想像も出来ないぐらいに、社会が混沌としている。
     
    不安で当たり前なんだ。
    脳みそのあるヤツなら、不安は必ず感じている。
    不安なんてない、などと言ってるヤツは、頭が足りないだけだ。
     
    だからその不安は、一般人の標準装備だと思え。
    おめえだけじゃない、すべての人間が恐がっている時代なんだよ。
    皆一緒、という平等思想を、ここで利用せんとどうする。
    自分だけじゃない、と思って、ちょっとでも安心しとけ。
     
     
    パニック障害やウツ、経験した事があるなら
    その影に怯えるのも当然だ。
    だけどそこでビビっているだけで終わらせるな。
    その、したくなかった経験をも利用せえ。
     
    何も知らない人だったら、見過ごして
    気付いた時にはドツボにハマっている、という場合でも
    経験者はサインに気付いて、寸止め出来る。
    逆に重体にならないわけで、ラッキーだろ。
     
    だから異変を感じたら、即座に対処せえ。
    ウツウツしてるっぽい? な、今がその時だ。
    突っ込んだ足を引き抜く事に専念せえ。
     
    病歴っちゅうのは、そういう風に使うんだよ。
    タダで痛い目にだけ遭っとるな。
    きっちり元を取らんかい。
     
     
    脳内であれこれ考えても、動くとまた違う局面も出てくるもんだ。
    とにかく、今すべき事、出来る事をやってみい。
    ダメだったとしても、得るものは必ずあるはずだから。
     
    正社員でも留学でも、したい事に向かって頑張れよー。
     
     
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     
    人生相談は、あまり受付ておりませんが
    ご相談はメールでお願いいたします。
    アドレスはプロフィールにあります。
    件名に、「人生相談」 と入れてください。
    でないと、迷惑メールに紛れる可能性がありますので。
     
    匿名で結構です。
    いらん個人情報ばかり書いてこないで
    肝心の相談内容の情報の方にこそ気を遣ってください。
     
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    ※ 相談内容を転記の際、状況によって
      伏字、改行、修正などをさせていただく場合があります。
     
    ※ 精神的に打たれ弱い方はご遠慮ください。

  • ジャンル・やかた 48

    デイジーは、ディモルと親しくなるのに充分に時間を掛けるつもりだった。
    軽い女じゃない、と思わせないと。
    そう企むデイジーは、本当に一途な女だった。
     
    「そろそろ良いじゃねえかよ
     あんたはまだ若いんだし、ヤツもあの世で納得してるさ。」
     
    ディモルが誘う言葉の端々に、サカリの付いた男特有の無神経さがあり
    マティスに対する冒涜を感じて、頭に血が上る事が度々あったが
    その怒りを上手く変換して、ディモルを操った。
    「あたしゃ、マティスを殺したあの主が許せないんだよ!
     こんな気持ちじゃ、あんたにも申し訳ないんだよ。」
     
     
    「俺も主を憎んでいる。」
    そうディモルが言い出すまでには、時間は掛からなかった。
    志を同じくする仲間がいるらしき事も、すぐに告白した。
     
    チャラい男だわね
    デイジーはより一層ディモルを軽蔑し、亡きマティスへの愛を深めた。
    この事により、デイジーは何でも出来る決心が付いた。
    心がなければ、それはただの行為である。
     
    この悟りは、セックスだけではなく殺人にまで適用される。
    奇しくも、産まれ出す行為と死の行為、相反するふたつの事柄に、である。
     
     
    アリッサがデイジーに耳打ちをした後に事は起こる。
    医療室で、ひとりの患者が死んだ。
     
    重病や複雑な治療が必要な者は、長老会管轄の街の病院に送られるが
    それでも館の医療室は、診療所クラスの設備が整っていた。
     
    死んだ患者は、深酒が過ぎて少し肝臓を患っただけで
    入院はしてても、命に関わる事態ではなかった。
    しかし館の医師は、深く追求もせず事務部に報告し
    事務部も何の疑問も抱かずに、長老会へと上げた。
    その流れの途中に、アッシュもリリーも関わっていた。
     
    この館の住人の命が軽かったわけではなく
    病院で死ねば病死、その一般的な感覚が全員の目を曇らせたのである。
     
     
    デイジーはアッシュに助けを求めた時に
    この一件は自分が点滴にとある物を少量混ぜた、と告白したが
    解剖もされなかった遺体は、死因の特定もされず
    報告書には “心不全” と書かれていただけであった。
     
    デイジーの告白を聞いた時に、アッシュは自分の父親の事を思い出した。
    アッシュの父親も、ある朝突然息絶えていて
    死因が心不全、と言われたのである。
     
    そんな物を摂取するだけで、普通っぽく死ねるなんて・・・。
    アッシュはデイジーの話を聞いて驚いた。
    それは子供に舐めないように注意をするだけの
    どこにでもある生活に密着した成分であった。
     
     
    葬式の時の墓地の前で、再び握り拳を振るわせるディモルの隣で
    そっとその握った手に自分の手を重ねつつ、デイジーはほくそ笑んだ。
    あんたの言動を見てれば、誰が仲間なのかすぐわかるのよ。
     
    高笑いをしたくなるような気持ちを抑え
    デイジーはディモルの顔を見つめて、背中を優しくさすった。
     
    「親しい人だったの?」
    「ああ・・・、仲間だった・・・。」
    ディモルはデイジーを抱きしめた。
     
    安酒の匂いに、デイジーは吐き気を覚えた。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 47 10.1.22
          ジャンル・やかた 49 10.1.28
         
          ジャンル・やかた 1 09.6.15

  • ひとり

    人はひとりぼっちである
    人に自分の痛みなどわからない
     
    えらく殺伐とした意見に思えるだろうが
    これは私が人生で学んだものの中でも、最重要の位置にくる感覚である。
     
     
    人には自分の苦しみなどわからない。
    自分にも人の苦悩はわからない。
     
    「わかる」 などと言うのは、思いあがりである。
    生まれた境遇、育った環境、性格、細胞、全部違うのだから
    たとえ同じ経験をしても、その人その人によって
    感じ方がまったく変わって当然である。
     
    人と人とは、完全にはわかり合えないものなのだ。
    これを確実に自覚した時には、大きな絶望感が襲ってきたけど
    同時に心が軽くなるのを感じた。
     
    いつも “根拠のない” と自称している私の不必要な自信の源は
    自分がいつまでもどこまでもひとりである事を
    知っている事からくるのかも知れない。
     
     
    そこで、“ひとり” である事の素晴らしさを力説しよう。
     
    もし、人と痛みを共有できるとしたら、こんな辛い話はない。
    人が風邪の時に、自分にもそれが移るんだぞ。
    ちょ、おめえは酔っくろうて道端で寝て自業自得だろうけど
    何で私までそれで苦しまにゃならんのだ?
    というような事例が続発したら、たまったもんじゃないだろ。
     
    その具体例が、小学校の時に習った理不尽な連帯責任。
    たったひとりのドバカのせいで、何で私まで?
    と、社会主義もどきの妙な教育を呪った経験はないか?
     
    まあ、その “たったひとりのドバカ” の位置には
    大抵私が鎮座していたんで、「おめえが言うな!」 だが
    被害に遭った人々は、私よりもその制度を恨んでいたはずだ。
     
    これは学校教育の最大の間違いだと思う。
    人はひとりであるゆえに、自業自得を体感できる。
    罪をきっちり清算できるわけだ。
    その無常を容赦なく教え込まないから
    社会のせいにして、無差別殺人を起こすような輩が出るのである。
     
     
    こういう感覚だから、私は常に孤独を感じている。
    どんなに大勢に囲まれていても、拭えない虚しさがある。
    心の中には常に、荒地にひとり立つ自分がいる。
     
    だけどこんな私でも、相手の事を考えようとする。
    わかり合えないとわかっているけど、“想い” がムダだとは思わない。
    普段は結果重視の合理主義だが、人との付き合いに関してだけは
    わかろうとする過程が大切だと思っている。
     
    真にはわからないかも知れないけど
    何とか少しでも相手の気持ちに近付きたい
    人はそう想い合って、支え合って生きていくのだ。
     
    孤独癖のある私でも、人と付き合うのが好きなのは
    わからないからこそ逆に価値があるもの、だからなのだろう。
     
     
    そしてその葛藤の最中に生まれてくるのが、“共感” である。
    これを得たら、相手と自分が一体化したような安心感がある。
     
    理解出来ずとも、共感できる場合もある。
    理解は愛に関係ないが、共感もまた理解とは別だと思う。
    これを出来るのが、人間の素晴らしさのような気がする。
     
     
    だから、怒られるのも同情されるのも嬉しい。
    どっちも相手が自分の事を気にしている証拠だからだ。
    怒られる喜びについては、何度も書いているので
    今回は同情される喜びについて書く。
     
    同情は見下している気持ちだと解釈して、嫌う人もいるが
    “可哀想” という気持ちがなかったら、世界はどうなるんだ?
     
    確かに同情してくれる人の心理は、様々で複雑なんだろうけど
    いずれにしても、その人は “同情” という形式で
    自分の事を想ってくれている事は間違いないんじゃないか?
     
    たとえ相手の脳内で、密かに見下しされていたとしても
    可哀想だというのも確かに思っているであろう相手の気持ち、
    そしてそう思われる事によって、もたらされる親切の方が
    はるかに重要だと思わないか?
     
    このように、怒られるのも同情されるのも
    自分が “ひとり” だとわかっているからこそ
    相手の思惑にとらわれる必要もなく
    ただ素直に授かる恩恵だけを喜んでいられるのだ。
     
     
    長々と書いたけど、“ひとり” 自覚の最大の利点は
    人に期待をしなくなる事なのである。
     
    それは投げやりな孤立感ではなく、自己責任みたいなものの芽生えで
    とりあえず自分でどうにかしよう、と人に甘えなくなるのだ。
    そうしてると、人が不思議と助けてくれるようになる。
     
    いや、人に期待をしないでいると
    人の厚意が、逆にはっきりと見えるようになるのかも知れない。
    だから余計に人の助けをありがたく感じるようになるのだ。
    私の場合は、まだまだ甘えている性格なんだけど
    初手から人頼りしまくってた時より、良い循環をしている気がする。
     
     
    人は皆ひとりである。
    これを実感すると、自分が世界でたったひとつの存在だとわかる。
    そこに価値を感じようと感じまいと、自分は無二の存在なのだ。
    そしてまた、他人も同様にたったひとりの人間なのだ。
     
    そう気付いたら、どっちも尊重せずにはいられない。
    他人も自分の事も、理解する事が大事なのではない。
    そのたったひとつのものに、愛を感じられるか否だ。
     
     
    余談だが、ヴェルタースオリジナルキャンディ、あれ、美味いなあ。
    最近、あのロコツな甘さにハマっているんだ。
     
    ・・・最後の最後に、熱弁全部を台無しにしたか?

  • ジャンル・やかた 47

    リハビリ部のアリッサの整体室には常連が多い。
    アリッサは主に整体を担当していて、何でもニコニコと聞いてくれるが
    ちょっと頭が弱く、聞いた話をすぐ忘れるのを、皆よく知っていた。
     
    肩が凝った腰が痛い寝違えたなどの、ちょっとした事で立ち寄っては
    リラックスして世間話をしていく者が多いのである。
    この館で、アリッサのマッサージを受けた事がない者は少ない。
     
     
    デイジーはマティスを失ってから、泣き暮らしていた。
    そんなデイジーに何かと世話を焼いたのが、アリッサである。
    ふたりが急速に親密になった事を、皆は気付かずにいた。
    それは正にアッシュの相続真っ最中の時期で
    館全部がアッシュの動向にのみ注目していたからである。
     
    それをデイジーは利用した。
    アリッサの背後にデイジーがいるなど、誰も想像はしないだろう。
     
    アリッサは聞いた話を忘れているわけではなく
    伝達する意志も技術もないだけなのだ。
    ちゃんと事細かく指令を与えれば、言われた通りに動いてくれる。
     
    デイジーの、アリッサに対する友情は深かったが
    今はとにかく主様命で、アリッサも同じ気持ちだと信じていた。
    何よりも主様を優先しなくちゃ・・・
    デイジーはこの強固な決意を、アリッサにも無意識に植えつけていた。
     
     
    デイジーのアリッサへの情報収集は、アッシュの鼻先で行われていた。
    アッシュのその日のマッサージ時間の予定を伝えに行くのは
    デイジーの仕事のひとつになっていたのである。
     
    送り迎えは、館内護衛のローズが付いてくるが
    リハビリ部のアリッサの整体室には、基本的に患者ひとり以外は入らない。
    デイジーがアリッサに連絡に行き、アッシュが行く直前になって
    またデイジーが、不都合がないように整体室を整えに行くのだ。
     
    準備が終わると、ローズに連絡を入れ
    アッシュがやってきたら、デイジーは整体係の控え室に行く。
    ローズはアッシュが整体を受けている間、ドアの前で待つ。
     
    アッシュがローズと帰っていったら、整体室の片付けを手伝った後に
    世話係の控え室に戻っていくのである。
    アッシュは結構VIPな待遇を受けているわけだ。
    そのアッシュの整体の前後に、デイジーとアリッサは密談をしていた。
     
     
    そんなある日、アリッサがデイジーに言った。
    「主様のわるぐちばかりいうヤツがいるだよ。」
    「それは誰?」
    アリッサはデイジーに耳打ちした。
     
    数日後、館の敷地内の池に男性が浮いているのが発見された。
    池の周囲には人だかりが出来、遺体の引き上げを見守っていた。
     
    デイジーもその場で、いかにも恐がってるような素振りで見物をしていたが
    握った拳を振るわせる男を、群集の中に発見する。
     
     
    酔っての溺死だと館の医師が判断し、ほとんどの者はそれを信じた。
    「そんなわけあるかい!」
    深夜の食堂で酔い潰れて、クダを巻く男にデイジーが近寄った。
    「あんた、こんなとこで寝ちゃ風邪引くよ。」
     
    「ん・・・? おめえは・・・誰だったっけ・・・?」
    「あたしはデイジー。 主様の明日の食事の打ち合わせさ。
     今日は仕事が立て込んじゃって、こんな時間だよ。
     まったく人使いが荒いったらありゃしない。」
     
    イラ立った口調のデイジーに、男はつい口を滑らせた。
    「ん、ああ、まったく何様だっつんだよ、あいつはよー。
     おめえ、一杯付き合えよ。」
    「あたしゃまだ仕事が残ってんだよ。」
    「そうか、おめえも大変だな、俺はディモルっつんだ。
     夜は大抵ここで飲んでるから、おめえも来いよ。」
    「ディモル、ね。 またね。」
     
    デイジーは食堂を悠々と出て行ったが、動かす足のその膝は震えていた。
     
     
    続く。
     
     
    関連記事: ジャンル・やかた 46 10.1.20
          ジャンル・やかた 48 10.1.26

  • ロングブーツ

    夢を見た。
    梅田でサイハイブーツを買っている夢。
     
    サーモンピンクのニットに、ライダースジャケット
    超ショートパンツに、そのサイハイブーツを履く。
    一瞬、この年でこんな格好をしても良いものだろうか、と
    ちゅうちょしたが、あまりにも似合っていたんで
    そのまま電車に乗ろうとした。
     
    そしたら電車カードに残高がなく、財布を見たら小銭しかない。
    その小銭を全部チャージしたら、2000円ちょいになった。
     
    駅構内をガッコンガッコン歩いてて (厚底ハイヒールブーツなんで)
    あれ? お金を全部カードに入れたけど
    明日からの生活をどないせえっちゅうんだろう、と
    えらくボンヤリした事を考えていたら
    ホームへの階段がなく、何とはしごで下りなきゃならない。
     
    こ、この厚底ハイヒールブーツで???
    と、すんげえビビりながらはしごを下りている最中に目が覚めた。
     
     
    起きてから、私そんなにブーツが欲しいんだろうか、と、しばし考えた。
    と言うか上の夢って、恥はねえは金はねえは危険だはで
    やたら不吉くせえ夢で、そこを心配せえ、っちゅう話だが
    己の心からの訴えらしきものに逆らえず、また靴屋に行ってしもうた。
     
    そしたら悪い事に、セール中。
    前の記事で、自称ババアにニーハイサイハイはダメ! とか書いたんで
    とりあえずは、つつましくロングブーツを試着してみる。
     
    そしたらな、入らないんだよーーー!
    何かそこの店のブーツって、SMLでサイズが分かれているんだ。
    ブーツってそういうもんか?
     
    そんで、ちょっと厚手の靴下を履いていたせいもあると思うんだが
    Lでも入らないんだ、かかとが。
    入るのって、LL以上なんだよ。
    パンプスなら23.5cm、その他なら24cmで、そう大足でもないのに。
     
     
    ちょ、この基準、何人サイズ? とか思いながらも
    妙に勢いが付いて、次々に試着をしていってしまい
    ブーツを棚に戻す時に、ザツな事をしたつもりはないんだが
    隣のブーツについ当たってしまい
    なんと、その棚に並んでいるブーツたちが
    まさにドミノのように、パタパタと順序良く倒れていってな。
     
    しかもその棚の前にいた数人の客、それを見た途端
    全員スーッとよそに消えていったんだ!!!
     
    えええええっ、信じらんねえ! 私なら多少なりとも助けるぞ?
    と、混雑した店内の一角に、ひとり取り残されて
    自業自得と諸行無常を嘆きつつ、1個1個ブーツを立て直したよ・・・。
     
    今、書いてて思ったんだが、そういや店員、どうしてたんだろう?
    誰ひとり救いの手を差し伸べてくれず
    ひとりで10数足のブーツを並べ直して、結構な時間が掛かったんだが。
     
     
    で、勢い余って買ってしまったよ、ロングブーツ・・・。
    “買う体勢” になってしまう、っちゅうのは恐いのお。
     
    それでも自分の信念として、これはアリだろうか? と
    店内でものすごく自問自答して、迷いに迷っていたんだが
    私よりご年配な女性が買ってたんで、アリか? アリなんだな? と
    その背中に問いかけつつ、それでも遠慮があって
    ごくシンプルなデザインの黒、という無難なやつを
    本当なら、バックルやチェーンがジャラジャラ付いたやつが好みなんだが
    そんな私欲を抑えに抑えて、ノーマルで無難なやつを。
     
    でもヒールは高いのを選んだ。
    熊本では運転するから、ヒールありは履けなかったんだ。
    (運転用靴への履き替えも邪魔くさいんで)
     
    それを履くと、何だかやたらデカいババアになってしもうとるが
    とにかくヒールありが履きたいので、しょうがない。
     
     
    ちなみに値段は・・・、えーといくらだったっけ? 6~7000円?
    どうしても1万円以上は出したくなかったんだ。
     
    と言うのも、意外だったんだが、何かパッとしないんだ。
    おお、すげえ! とは、ならねえんだよ。
     
    試着の時は、ストレートのジーンズをブーツインして見たんで
    スリムジーンズだったらイケる、と判断したんだが
    それでも、どうも足元がモタついて見える。
    どうやら私の美しい足をブーツで隠すのが敗因っぽい。
     
     
    ともあれ、知人にフテえ事を言うてしもうたんで
    すいませんでした、言うほど似合いませんでした、と素直に詫びたら
    ええ? すごく似合ってるよ、と慰められた。
     
    確かにフツーには似合うけど、目を見張るほどじゃないんで
    私的にはガックリの結果だったんだ。
    こんだけナイスバディを自慢している身としては
    すごい! カッコ良い! レベルの似合い方じゃないと、立つ瀬がない。
     
    ほんと、心の底からの叫びとして、そう力説したかったが
    謝罪に行っといて自画自賛をするのも、とてつもねえロクデナシなんで
    お口に厳重に蓋をして、しおらしくしといた。
     
     
    ああ・・・、とうとうナイスバディ神話も崩落しかけているのか?
    と、ものすごく落ち込んだ買い物だった。
    ふくらはぎが温いんで履くけどな。
     
    あっ、そうそう。
    もひとつ意外だったのが、ブーツでも足先は冷えるんだよ。
    冷え性だからだろうか?
    足先の保温は、ブーツも普通の革靴も変わらないみたいだ。
     
     
    んで、意外っちゅうか、計算外だったのが脱ぐ苦労!
    履くのは、立ったまますんなりと履けるんだが
    帰ってきて脱ごうとすると、足がムクんでるのか中々脱げない。
     
    うちの玄関と廊下はほとんど段差がないので
    1日中履いていた時など、廊下を転げ回って
    うーーーーーーーーーーー、おりゃあ! と、ブーツを抜いているよ。
    もう、自分でも、何をやっとるんだ、と情けない格好でさ・・・。
     
    玄関用椅子の存在価値が、ようやく理解できたぜ。
    もちろん、そんな物を置くスペースはないが。
     
    しかし足がムクむなど、まったく実感がなかったんだが
    結構ムクんでいるもんなんだな、とビックリしたぜ。
     
     
    ちなみに、懸案だった収納場所だが
    やはりトール物は置く場所に困り、寝室に置いている・・・。