• 子ども手当て

    少子化に歯止めをかけよう、という政策らしいが
    日本と事情の異なる外国で、これが上手くいったから
    うちも取り入れよう、という安易な考えにしか思えない。

    少子化の一番の鍵は誰だ?
    産めるけど産まない女性だろう。
    この産まない女性たちの中でも、更に一部の
    “経済的理由” で産まない女性たちにしか、これは有効ではないよな。

    それも、扶養者税控除などをやめて、月2万5千円の至急
    しかも中学生以下の子供に限っている。

    国家に必要なのは誰だ?
    マトモな納税者だろう?
    子供をマトモに育て上げるマトモな親なら
    この政策に危機感を抱くと思うんだが。

    今の日本に一番必要なのは、安心感である。
    国家に対して個人が望むのは、生活の保証だと思う。

    中途半端に欧米の個人主義が入ってきて
    日本特有の “家” 制度が崩れてきた今
    老後を子供に頼る事も出来なさそう
    と言うか、今の自分たちも親の面倒などみられない
    そんな自分たちが、我が子に老後の面倒を押し付けられるはずがない。

    このように、老人に対する尊敬の念がなくなったと同時に
    子供を持つ価値も薄れてきてしまったのが現状である。
    少子化問題は、裏を返せば高齢化社会への政府の対応のまずさに
    端を発しているような気がする。

    政府が今すべきは、老人の保護だと思う。
    人の本音は、未来の自分が苦労する事は避けたいからだ。
    自分が産む子供を優遇されても、自分が無碍にされるのでは意味がない。
    特にこういう狭間にいる人々は
    自分が何のために生きているのか、という結果にしたくない。
    その不安を取り除いてやらないと、子供を産む気にならないと思う。

    どうしても子ども手当てを出したいのなら
    それは現在の親に現金を支給するのではなく
    老後の年金を、子供の数に応じて増やす制度にするべきだと思う。

    子供に正しいしつけをしたり、教育を施すのは
    未来を見ているマトモな感覚の親である。
    その場しのぎしか考えない親が、ロクでもない育児をして
    育った子供が、ちゃんとした納税者になるとは思えない。
    先を読む知恵を持った親こそ、優遇すべきなのだ。

    子供がどう育つのか、など予想は出来ないけど
    そこを突っ込むのは、キレイ事だと思う。
    私の周囲では、トンビは鷹を産んではいない。
    そんな奇跡の特例話を一般に当てはめないでもらいたい。
    やはり蛙の子は蛙でしかない。

    一番良いのは、安心して迎えられる老後を保証する事だ。
    そのためだったら、今苦労する甲斐があるというもの。
    だから年金に加算する方法が良いと思う。
    これなら受け取れない人もいるだろうし、国庫にも優しいんじゃないのか?

    この子ども手当て、何でこうゴリ押しするんかな、と不思議だったが
    どうやら総支給額の3分の1ぐらいは
    パチンコに使われる算段だ、という話もある。
    某民族団体と深い関係の民主党にとっては
    どう転んでも痛みがない良い方法だという事か、なるほど。

    じゃあ、どうしても今、現金を支給しないと気が済まないのなら
    せめて日本国籍を持つ子供に限定してもらいたい。
    所得制限も、きちんと働いて納税している親に絞ってもらいたい。
    それが “平等” ってものだ。

  • ジャンル・やかた 37

    「皆さん、こんにちはー。
     今日は雨が降っていますねー。」

    アッシュは講堂で、習慣になった昼の演説をしていた。
    住人の前で初めてシュプレッヒコールを上げたのは
    2年前の主交代の式典の時で、玄関ホールに急遽作られた壇上だった。

    あの時住人たちは、疑問を投げつけられた気分になって
    全員が神妙な面持ちで、式典は終わった。

    その時から毎日昼1時になると、こうやって壇上に立って話す。
    夜勤の仕事の人もいるので、一番無難なこの時間を選んだ。
    アッシュの話はスピーカーで館敷地内全域に流れるのだが
    講堂に来て聞く者も多い。

    有名な逸話や自分の経験談を、面白おかしく語りつつも
    倫理観を練り込んでいるので、毎日聞いていると
    自然にその方向に思考が流れるようになる。
    地味で気長な洗脳である。

    2年前のあの日から、館の大改革が始まった。
    まずは、館の大掃除を命じた。
    “清潔な環境が清らかな心を育む” というスローガンでだが
    単にアッシュが潔癖症なだけだった。

    館を覆い尽くしていたガラクタは、分別され
    売れる物はすべてネットオークションに出した。
    骨董的価値があるものも多かったので、意外な収入になり
    その売り上げで、館の改修工事の費用の一部を捻出できた。

    この作業はゆうに1年以上掛かったが
    ヒマがあったら掃除に明け暮れた住人たちは
    美しくなっていく館に自分を投影し、味わった事のない達成感を得た。
    アッシュは、それを褒めて褒めて褒めまくった。

    同時にリリーの香水使いも終わった。
    「ゴミの臭いが移ったまま、外を出歩きたくなかったんです。」
    リリーは、ゴミ臭より香害を選んでいたのだった。

    情報は制限しても入ってくるものだし、自分で選んだつもりになってもらおう
    そう思って、パソコンルームも完備した。
    携帯のアンテナも設置し、電話線も引いた。
    門もドアも図書室も開放した。
    住人全員を収容できる講堂も館の西側に新たに作った。
    玄関ホールの奥から渡り廊下を通って行ける。

    自分がどこに所属しているのか、自覚を持たせるために
    全員にキレイな色の制服を支給した。
    農業は緑、工業は青、食系は黄色、清掃はオレンジ、事務は黒
    といったように、各職、色を取り揃えた。

    外装と玄関ホールは伝統を守るために、古いつくりのままにしたが
    公共の部屋は幸福感を感じるように、ポップなインテリアにし
    植物をいたるところに配置し、館の周囲にも花壇を作った。

    これらの設計や配置は、住人たちの希望を取り上げ作業をさせた。
    自分たちで作り上げた、という錯覚によって
    館の維持に、義務と責任を持たせるためである。

    あー、妙な宗教や詐欺の本を読みまくっといて良かったー
    まさかそのいらん好奇心が役立つ日がこようとは
    ほんと知識にムダは何ひとつないよな。

    アッシュは自分の言動に正義など、ひとつも感じてはいなかった。
    平和 = 正義 だと思えるヤツは、最初から平和の中にいるんだよ
    平和を目指そうとしたら、どっかで手を汚さなきゃならない。
    そういう汚れた環境だからこそ、平和を目指そうと思うんだし。

    相続の最中から、この考えにブレはなかった。
    揺らいで迷って自分を責めて生きてきたアッシュが
    ブレないなど、そこがもう本来の自分ではないのだが
    そんな事に目を向けると、感情ですべてが崩れ落ちるので、しない。
    アッシュの “腹をくくる” とは、そういう事を意味していたのである。

    この強気がいつまで続くかわからんけど、とにかく出来るだけ突っ走らねば
    アッシュには、脳内チキンレース真っ最中な日々だった。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 36 09.12.14
          ジャンル・やかた 38 09.12.18

  • 新しい老後の生き方

    とか言うのでもなく、既にやってる人も多いんかも知れんけど
    意外な提案を友人からされた。
    老後に互いに夫がいなかったら一緒に暮らそう、と言われたのだ。

    その友人の実家、私の実家、関西、と、場所の選択肢もいくつかあって
    これは思ってもみなかった提案だ! と、驚いた。

    その友人は、結婚していて子供が数人いる (もちろん夫もいる) ので
    実現するのかも怪しいのだけど
    何より、この私と人生の最期を一緒に過ごしたいという
    友人が存在する事にも、ものすごく感動させられた。

    正直、きちんと地に根付いた人生ではなく
    腐乱死体で発見される結末も、考慮に入れなければならず
    深刻な意味じゃなく冷静に、“いつ死んでも良い” と覚悟していたので
    この意外な提案には、生きる希望も与えてもらった。

    やはり自分以外の人間の存在というのは
    とてつもない心の支えになるのだ、と改めて気付かされた。

    そこで、ふと考えた。
    今は未婚の人々も増えている。
    子供がいない夫婦も多い。

    そういう人々が老後一緒に暮らす
    というビジネスが成り立つのではないだろうか?
    老人ホームみたいなんとはまた別の、コミュニティのような場所。
    何かこう書くと、姥捨て山とか老人の隠れ里のような陰気臭いイメージだが
    そうじゃなく、単なる同世代の共同生活の場。

    今のネット世代が老齢化すると、もしかして今後はメル友探しじゃなく
    余生のハウスシェアの相手を探すサイトが流行るかも知れない。
    こう想像すると、年寄りの未来も案外捨てたものじゃないような気がする。

    でもここで懸念されるのが、金銭トラブルだよな。
    貯金や保険金を騙し取ろうとする、悪い輩が絶対に現れる。
    それでなくとも、遺言状での遺産の受取人の地位狙いとか
    見知らぬ他人同士だと、醜い争いが起きるかも知れない。

    そこを切り抜ける方法があれば、この老人ハウスシェアは
    今後更に肥大するであろう高齢化社会に
    希望の光を与える話じゃないだろうか。

    こう考えると高齢化社会というのは
    もっと大きく範囲を広げて、地区ひとくくりとして
    色んな事を考えていかなければいけないのかも知れない。
    行政面だけじゃなく、個人の意識面でも
    従来通りの、“血統単位” を考え直すべきかも。

    って、これじゃ共産主義っぽくなってしまうか。
    でも、“共産” ではなく、“共生” というのって
    社会が熟成していくにつれ、大事になってくるのかも知れない。

    うーん、そういう意味では、共産主義や社会主義って
    上手く築けば、理想の国家の形態なんだろうな。
    地球政府っつうのも、机上の空論でしかないけど
    そういう理想世界が絶対に不可能なのは、人間の業の深さなのかもな。

    と、えらく話を広げて、思想に結びつけてしまったが
    そうか、思想とか哲学というのは、人間のためにあるものなんだ
    と、何となく実感したよ。

    今の人間社会は、もう末期に入っているような気がしていたんだが
    皆、良かれと思って主張しているんだなあ。
    人類、まだまだ捨てたもんじゃないのかも知れない。

  • ジャンル・やかた 36

    ジジイが壇上から降りてくる。
    お疲れさん、の声と拍手が会場に響く。

    「では新しい館の管理者、アッシュ様。」
    名が呼ばれ、ゆっくりと壇上に上るアッシュ。
    うって変わって会場は静まり返った。
    アッシュは人々の顔を見渡し、口を開いた。

    「あなたたちは何のために産まれてきたんですかー?
     あなたたちは何のために生きているんですかー?」

    ハウリングが起こるほどの大声に、会場が揺れ全員の目が見開いた。
    構わずアッシュは拳を振りつつ、がなり続ける。
    「幸せって何ですかー?
     食って飲んで寝る事ですかー?」

    ジジイとリリーは、その姿を見ながら
    ここまで来るまでの経緯を思い返していた。
    長老会に出席した時も、アッシュの考えに誰もが驚いた。

    「人心を制するには、恐怖が一番なんですー。
     恐怖とは畏怖、つまり宗教ですー。
     それは、あの館の暗い歴史を悔いて罪を償う
     という風にも見られて、一石二鳥ですー。
     あの館を、贖罪の場へと生まれ変わらせるんですー。」

    「宗教も力を持ちすぎると厄介ですから、既存の宗教ではなく
     道徳という名の “信仰心” だけを養わせるんですー。」

    「館の住人たちが、道徳を、感謝の心を持てたら
     相続バトルをする必要もなくなりますー。」

    アッシュから立て続けに出てくる言葉の数々に、圧倒されつつも
    長老会メンバーが疑問を投げかける。
    「だが、きみが出来なかったら、どうするんだね?」

    「私で全然ダメだったら、別の救世主を登場させれば良いだけですー。
     もし私が良い線いってるのに、途中でコケた場合は
     都合の良い逸話をでっち上げて
     私の名前だけを残して、シンボルに仕立て上げれば良いんですよー。」

    長老会の議論が、思いのほか短かったのは
    誰もがあの館の姿にウンザリしていたせいだが
    アッシュの不思議な押しの強さも影響している、とリリーは感じていた。

    東洋人独特の無表情さで、物静かな印象を与え
    しかも喋り方もゆっくりで間延びをしているのに
    話す内容は、歯に衣着せぬ表現でダイレクトに伝わる。
    このストレートな物言いが、吉と出るか凶と出るか。

    アッシュの存在が、この計画の鍵になる事を全員が危惧していた。
    誰よりも、発案者であるアッシュ自身もである。

    とにかく、勢いで突っ走るしかない。
    大声は出したもん勝ちなんだよ!!!

    アッシュは、大きく腕を振り回しながら叫び続けた。
    「それで良いのか、自分自身に問うのですー!!!」

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 35 09.12.10
          ジャンル・やかた 37 09.12.16

  • 脱毛

    毛は生息地帯によって差別される、ほんと “髪一重” な一生を送る。
    (念のために注意書きをしておくけど、“紙一重” だからな。)
    頭部や眉の一部、一部の人のヒゲともみ上げ以外は
    有無を言わせず、ムダ扱いなのだ。

    (一部の人の陰毛あたりは、一部の人々に逆にありがたがられるので
     正に危機一髪で、邪魔物にはなっていない場合もあり。)

    こうやって考えると、髪って入る言葉って多いよな。
    “間髪入れず” とか、“後ろ髪をひく” とか。

    そんな事はどうでもよろしい。
    上で哀れむような事を言っておきながら、その舌の根も乾かない内に
    特定の部位に生えている毛を、ムダ呼ばわりするが
    皆、ムダ毛ってどう処理しているか?

    私はもう、こういう事 “だけ” は、ほんとラッキーなんだが
    頭部以外の毛が薄いんで、せいぜい美容シェーバーでたまに剃るぐらい。
    もちろん冬場は放置である。
    だって寒いだろ、ショボい毛でもあるとないとでは、耐寒度が違う気が
    ・・・・・・しません。 すいません、単に面倒なだけです。

    こういう、毛に対してはズサンな態度を誇る私であるが
    ピッチピチの若い女の子だった何百年か前には
    周囲の女子たちに誘発されて、一通りの脱毛法を試したこともある。
    女子校だったから、教室で手足の脱毛を皆で試したりしてたんだよな。

    その当時の脱毛テープは、取れないので使えん筆頭だった。
    あれさ、抜きたい毛のところに貼って
    一気に毛の向きと逆方向にベリッッッ! と剥がすんだけど
    これがまた痛くて痛くて、こんなに痛いのに数本しか抜けずで
    あまりの痛さに途中で断念して、ゆっくり剥がそうにも痛くて
    一体、何のワナかと、ほぼ全員が思ったさ。

    その後、ガムテープでするツワモノにも出会ったが、ガムテも抜けないよな?
    毛にも抜け癖があって、それが付いた毛なら抜けるんかな、と推察している。

    このガムテ脱毛なんだけど、男性に足の毛の脱毛の助言を頼まれた事がある。
    ボウボウなんで、海に行く時とか恥ずかしい、と。
    で、Tカミソリで剃っても、長い毛はすぐ刃にかんでキリがないらしい。

    じゃ、一旦ハサミで短く切ったら? と言ったら
    ハサミで切ると、切った毛が部屋中に落ちて掃除が大変らしい。
    そこで私が考えたのが、毛にガムテを貼って
    そのガムテのとこをハサミでチョキチョキしたら
    部屋を汚さずに、毛を短く出来るんじゃないか? と。

    これを、「言う方も考えなしだが、やる方も考えなし」
    だと即座に気付いたヤツは、非常に聡明なヤツだと思う。

    ガムテにくっ付く毛の長さは統一されてないんだよ。
    根元付近からくっ付いた毛は、ハサミが入らないそうだ。

    もう、死に物狂いでガムテを排除したらしいが
    前髪を自分で切るテクニックに、このガムテ利用法があったんで
    前髪と足毛は違うなど、一切考慮せずに
    軽い気持ちで、更に悪い事に “名案” だと威張って
    アドバイスしたんだが、今は反省している。

    良い子はこういうアホウな事を真似しないから、良い子なんだろうから
    悪い子は真似しないでください。

    で、他の脱毛法を書いていくと、まず脱色。
    あれ、脱色した途端、健在アピールでもしたいんか
    根元がコンマ数mmぐらい地毛色が出てくるんだが、どういう事だ?
    脱色剤を塗った時って、毛穴が縮んで毛がちょっと引っ込むんかな?

    上手く脱色出来たとしても、遠目に目立たないだけで
    近くで見ると、薬剤で傷んで細くなった毛が
    ソヨソヨと風になびくのが丸わかりだし、意味が薄い脱毛法だと思う。

    除毛タイプは、時間が掛かる割に結構しぶとく残る毛もあるし
    軽く拭いただけじゃ、毛は取れないよな?

    毛先が溶けて丸くなるから、チクチクしないのがウリらしいけど
    塗ってしばらく置いて拭き取って洗い流す、面倒くささ
    ところどころに残る、妙に丈夫な毛
    そしてこれまた何故か、速攻でコンマ数mm伸びてくれる。

    除毛タイプの進化はまったく知らないが
    数年前に使った時も、まだこの調子だったんで
    除毛タイプは私的にはナシだな。

    とすると、脱毛エステと脱毛器具等、線香で焼く、っちゅうのは未経験なので
    うそへったくろ書くわけにもいかず、残るは剃るか抜くかになる。

    剃るのは、一番手軽で私の定番である。
    が、15年ぐらい愛用してきたナショナルの電気シェーバーが壊れ
    新しく1000円台のを買ったんだけど、これが剃れない剃れない。
    これぞ、安物買いの銭失い、ってやつだぜ。
    と同時に、ナショナルの美容機器の凄さを再認識させられたぞ。
    さすがキレイなおねえさん製造メーカー!

    ちなみにカミソリは、負けるんで避けている。
    ・・・わかるだろ? ゆっくり丁寧にコトを運べない私のザツ剃り。

    初めて手足の毛を剃ったのは、友人たちとワイワイとだったが
    その全員が、剃った部分が毛深くなったので
    “剃ると濃くなる” の都市伝説は、事実だと思う。

    たとえそれが思春期の毛の発達期だったとしても
    全員が、だし、剃った部分が特に、だし、何もこんな時に、だし
    うちら仲間は皆、あの時の毛剃りパーティーを後悔しとるよ。

    最後が、“抜く”。
    これにも色々あって、双頭はローラー回転式とコイル振動式。
    私の愛用はローラー回転式のソイエ。
    これも10年以上使っているんで、やっぱりナショナル凄え!

    機械でブチブチ抜くなどさぞかし痛いだろう、と思われるだろうが
    どっかのエロセリフじゃねえが、痛いのはマジで最初の1~2回なんだ。
    やっぱり抜け癖が付くんかなあ?

    だけど今では抜くのは、やっていない。
    ババアの毛がどういう状態だろうが社会には何の影響もない、ってのもあるが
    抜いていた部分の毛穴が、開いた上に色素沈着してるのだ。

    たまーーーに、気が向いたら使う程度だったのに
    年を取るにつれて、毛より毛穴の方が目立つようになっちゃって
    この経験から、「一度傷めた細胞は老後に浮き出る」 という
    私の美容上の理論の裏付けのひとつになっている。

    もちろん体質もあるので、支障が出ない人は
    抜くのが、一番の脱毛法だと思う。

    けど、この問題は、最善の解決法が見出せないうちに
    毛より自分自身の存在の方がムダだろ、という年齢になっちゃったんで
    研究は後進に任せて、私はナチュラルに自然体で (物は言いようだな)
    生きていく事にするよ。
    あと、よろ。

  • ジャンル・やかた 35

    「私の計画を、長老会に提出しようと思いますが
     通りそうですかー?」
    「うーん、長老会もここの事は悩ましい問題じゃからのお。
     持っていき方次第じゃろうな。」

    「では、リリーさんにだけは協力を仰ぎましょうよー。」
    「ん・・・、それが良いじゃろうな。
     じゃあ、リリーを呼ぼう。」
    ジジイは、電話を取った。

    ジジイがかじりかけのハンバーガーに、ピクルスをはさみ直して食っていると
    程なくして、リリーがやってきた。
    「あっ、ほら、人が来た!
     さっさと食って食って。」

    せかすアッシュに、ジジイは喉を詰まらせつつ
    紅茶でハンバーガーを丸呑みする。

    ほ・・・ほんとに死ぬっちゅうに!
    顔を真っ赤にして胸をドンドン叩くジジイを、いぶかしげに見ながら
    リリーは、ふたりにお辞儀をした。
    「主様、お疲れ様でした。
     そして新しい主様、おめでとうございます。」

    「ゴホッ うむ。 ゲホッ そなたも長年ご苦労じゃった。
     今後は新しい主をよろしく頼む。 ゲホゲホゲホゲホ」
    ジジイが咳き込みながらも、何とか体裁を保とうとする。

    「よろしくお願いいたしますー。」
    アッシュがブリつつ頭を下げると、リリーも頭を下げた。
    「こうなったのも、私のせいだと申し訳なく思っております。
     精一杯仕えさせていただきますので
     こちらこそよろしくお願いいたします。」

    リリーが椅子に座って、バッグを開けた。
    「では、今後の引継ぎの予定ですが
     まずは長老会へおふたり揃ってご出席いただいて
     承認されたら、この館での交代の式典になる、という事です。」

    書類を次々に出しながら言うリリーを、ジジイがさえぎった。
    「その前にな、嬢ちゃんの話を聞いてほしいんじゃ。」
    「・・・? はい、何でしょう。」
    「えーと、この館の今後の運営方針ですけどー・・・。」

    話を聞き終わったリリーは、あっけに取られていた。
    この兄妹、やっぱり似ていないわ・・・、そう思えて
    妹を推したグレーの真意がどこにあったのか、わからなくなった。

    相続中の言動を見ていても、“変わっている” 以外の
    何の感想もなく、主の資質の片鱗さえ見い出せなかったのに
    まさかこんな筋書きを立てていたとは。

    この計画に加担しても良いものだろうか・・・
    リリーは激しく混乱し、迷っていた。

    「兄は遺言状を頼んだ時、何て言っていましたー?」
    アッシュのふいの問いかけに、リリーは慌てて
    つい一番印象に残っている言葉を言ってしまった。

    「『俺がダメでも、妹がやるだろう。』 と・・・。」
    しばらく考え込んでいたアッシュだったが、テーブルにダラーッと伏せた。
    「あー、そうですかー。 なるほどー、そうだったんですかー。」

    「どうしたんじゃね? 何かガッカリしとるようだが。」
    「もーーーーー、果てしなくガッカリですよーーー。」
    テーブルに伏せたまま、顔だけジジイの方に向けて怒る。

    「私は今まで、兄が私に相続させたかったんだと思ってたんですー。
     いくら音信不通でも、兄妹ですからねー。
     私のために何かを残したい、って気持ちはあったんだな、とー。」
    「ん? そういう事じゃろ?」

    「いえ、違ったんですー。
     兄の性格から言っても、この館の人たちを助けるなんていう
     ボランティア精神など、微塵も持ち合わせていないはずなんですー。
     他人は他人、という冷淡なヤツですからねー。
     でも一応私は妹だから、ちっとは気遣ってはくれてたんですよー。
     迷惑は掛けないように、程度ですがね-。
     なのに、こんなデス・ゲームに私まで巻き込もうとしたのはー」
    アッシュはジジイとリリーを順番に指差した。
    「兄はあなたたちを助けたかったんですねー。」

    ジジイとリリーは、あまりの驚きに言葉も出せなかったが
    アッシュは構わずに嘆き続けた。
    「はあー、おかしいと思ったんですよー。
     あの兄が私に何かを残そうとするなんてー。
     んで、蓋を開けたら、バトルでしょー?
     もう何なのか、さっぱりわからなかったんですが
     おまえ、あとよろー、って事だったんですねー。
     『俺に頼るな』 と常々言っていたくせに
     最後の最後にそういう自分が、私に頼ってきやがったんですよー。
     持てるコマはすべて使おうとねー。
     ああー、すんげえ腹立つけど、やっと謎が解けてスッキリー。
     でも、やっぱムカつくーーー!」

    アッシュがテーブルに突っ伏してブツブツ言ってる側で
    ジジイとリリーは背を向けて、悟られないようソッと目を拭った。

    それを目ざとく見つけたアッシュは、容赦なく突付いた。
    「あんたらは良いですよねー、思いやってもらってー。
     私なんか実の妹なのに、問答無用で命を賭けさせられて
     もう血の絆って何なのか、ほんと人間不信になっちゃいますよー。」

    ジジイとリリーが慌てて慰める。
    「そんな事ないですよー、グレーは常々あなたの事を言ってましたもん。」
    「そうじゃそうじゃ、わしも聞いた。」
    「ほお? 何てー?」

    ジジイとリリーが、ウッと詰まって
    おまえが言え、いやおまえが言え、という風に目で押し付けあう。
    「えっと、『可愛い妹だ』 みたいに?」
    「そうじゃそうじゃ、褒めとったよな?」

    「う そ で す ねーーーーーーーーーーーーっっっ!」
    アッシュの大声断定 (しかも図星) に、ふたり揃って黙り込む。
    「もう良いですよー、人生なんてこんなもんですー。
     はあー・・・、ほんと情けなー・・・。」

    「でも、グレーにとっては、あんたが最後の切り札じゃったんじゃろ?
     実力を認められていた、って事じゃないのかね?」
    その言葉を、アッシュは鼻で笑った。

    「そんなんねー、長子のヒガミ発端ですよー。
     可愛がられる末っ子を、こいつは運が良いとか
     努力しなくても皆に好かれるとか、錯覚してただけですよー。」
    「あんた、ムチャクチャ言いよるな。」

    「末っ子は末っ子なりに大変なんですよー?
     お兄ちゃんがひとりっ子じゃ寂しいだろうからあなたを作った、とか
     お兄ちゃんはもっと出来が良かった、とか言われてー。
     まったく親の不用意な言葉って、どんだけ子供の心に傷を残すかー。」

    「う・・・、まあ、誰しもそれぞれ事情はあるわな。」
    ジジイはヤブを突付いて大蛇を出すようなマネはやめた。

    「で? 私への惜しみない協力、もちろんしてくれるんでしょうねー?」
    「もちろんです!」
    「命をかけてサポートするぞい!」

    「あんたら、腹くくってくださいねー。」
    アッシュは静かな口調だったが、それが逆に凄みを増した。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 34 09.12.8
          ジャンル・やかた 36 09.12.14

  • 経済大国と流行

    日本が現実的にどんだけの経済大国か、今はもう怪しいもんだが
    GNPだのGDPだのBCGだのTBZだの
    そういう常識的な内容をまったく抜きにして、私の勘のみで話をする。

    妙な映画は観るくせに、芸能事情にはとんと乏しい私だが
    日本人スターと他のアジア人スターを見分ける事が結構出来る。
    それには、肌の質感が一番わかりやすい。

    同じ黄色人種でも、日本人は透明感があるのである。
    これは褒めているわけではない。
    他のアジア人の方が、色が白く均一な肌色だからである。
    何ちゅうか日本人の肌色は、色白でも皮膚が薄い感じなんだな。

    ここでわかるのが、白は透明感がない色だという事。
    そういや、絵の下塗りに白をベタ塗りする事もあるよな。

    まあ、これは美容に血道を上げる私の余談なんだが
    これだけでも結構、見分けが付くぞ。

    そして次からが本題なんだが、見分ける第一は垢抜け。
    どうも日本人の方が、垢抜けているのである。

    何か書いてて、差別的だ、と取られる不安もちょっとあるんだけど
    これは決して、他アジア人をバカにしているわけではない。
    ここから、今日のタイトルが絡んでくるのだ。

    大抵の芸能人は、大なり小なり “お直し” をしている気がするんだけど
    同じ美容整形外科医のとこですると、似たよう顔になるのはしょうがないが
    違うところでやっても、これまた似たような顔になる。
    いわば、“その時の顔” になるのである。
    美容整形にも流行があるのである。

    その時の最先端の技術を使うから、というせいもあるんだろうが
    “時代の顔” というのが、明らかに設定されている気がするのである。
    それは、誰に、何によって決められるのかは、定かではないんだが
    一番わかりやすいのが、ファッションショーである。

    衣服と言うのは、多種にわたる業種から成り立っている。
    生地の原料、染料、デザイン、問屋、マスコミ、他もろもろ。

    生地の材料は農産物も多いので、天候も関係してくるし
    デザインは1個だけで、はい終わり、じゃなく
    何種も何種もデザインし、その中の1個が決まっても
    今度は何だっけ? 型紙をおこす?時にも何度も試作を重ねて
    それを布で仮縫い?する段階でも、試作を繰り返すらしい。

    ファッション業界は、大げさに言えば数年後の事を
    今やってるような、そんな感じだと思うんだ。
    土壇場になって 「やっぱ流行違いましたー」 とかなったら、たまらんから
    流行はあらかじめ決められているんだと思う。
    もちろん世の動きによって、多少の軌道修正はあるだろうけど
    何年も前から、○年はこの路線で行きますよー、みたいな感じで。

    誰がこれを決めてるのかはわからんけど
    売られている服は、流行と流行じゃないのと分かれていて
    衣服業界は、大まかに二分されているようで
    比較的、値段が高いのが流行の本筋を先導している気がする。

    そして、これに合わせて化粧品業界もマスコミも動いているんで
    服飾業界ってのは、ものすごく大きな産業だと言える。
    こんな儲け話を、個々のデザイナーのその時の感性のみで
    左右できるはずがない、と思うのだ。
    その証拠に流行って何故か各ブランド、足並みが揃っているし。

    で、経済大国だが、この服飾業界に絡めるのが経済大国。
    服など、衣食住と言えども、最後の項目だろ?
    食が安定して住が整って、なおかつ余力が出来てこその “衣” じゃん。

    そんでそこに “流行” などという、余裕のある遊びを入れられるなど
    どんだけ豊かなんだよ? と思わんか?
    現にズッポリ貧乏にはまっている私なんか
    なるべく流行に左右されない型の服ばかりを選んでいるし
    何年も同じ服を大事に着ているんだぞ。

    よって、大多数の国民が流行を追える国が、経済大国!
    これが私思考で出た答である。

    んで、“垢抜け” な。
    流行を長年追ってこれた国って、慣れ感があるんだよ。
    何というか、こなれてる?
    どんなんが来ても、着こなせるっちゅうか。

    日本と他のアジアでは、流行を追ってきた歴史の長さが違う。
    だから、そこで自然に違和感の有無が発生するんだと思う。
    流行の最先端にいるであろう芸能人でも
    日本人と他アジア人と見分けが付くのは、そこだと思うんだ。

    どだ? 今日は全部のキーワードをきっちりまとめられただろ
    私の記事にしては、これはとても珍しい事である。
    ミラクル!!!

  • ジャンル・やかた 34

    「こりゃ、起きるんじゃ!」
    「んー、長考終わりですかー?」
    「うむ。」

    アッシュがアクビをしながら起き上がると、ジジイが早速話し始めた。
    「予定外じゃったが、あんたにだけは本当の事を話そう。
     ここでの話は、お互いに他言無用なのはわかっとるな?」
    秘密の多いジジイだな、と思いつつアッシュがうなずく。

    「グレーは本当に偶然にここに来たんじゃ。
     そして早々とわしが主だと気付き、部屋の場所も言い当てた。
     グレーとは、一緒に飲むうちに気が合ってな。
     わしはグレーに相続させるつもりじゃった。
     グレーとわしの、この館のシステムを変えたい想いが
     同じじゃったからじゃ。
     じゃが何度話し合っても、相続後の良いやり方が思いつかなかった。
     改革方法が定まらん内に相続しても、危険なだけじゃからな。
     だからグレーはあんだけ時間が掛かったんじゃ。」

    「それはリリーさんやローズさんも知ってたんですか-?」
    「いや、グレーとわし、ふたりだけの秘密じゃった。
     ・・・と、わしは思っておった。
     グレーとリリーが仲良くなってたのは知ってたが
     まさか付き合ってるとまでは思わなんじゃ。」
    ジジイは、ちょっと怒ったような顔になった。

    「わしがふたりの関係を知ったのは、グレーがあんな事故で死んだ後じゃ。
     その時に、遺言書の存在をリリーから知らされた。」
    心情を悟られたくないのか、両手で顔を覆って溜め息をついた。

    「『私とグレーは愛し合っていました。
     グレーは万が一の時のために遺言状を作っていました。
     作成したのは私です。 グレーの願いを叶えたいんです。
     私はこれを長老会でお願いしようと思うんです。』 とな。
     んで、近年の応募者が少ないもんで、通ってしもうた。」

    あらら、ジジイ、肝心なとこで仲間外れかい、とアッシュは同情した。
    「正直に言うが、わしは怒っとったよ。
     グレーにもリリーにも。 そしてあんたにもな。」
    「ええーーーっ、私、あおりをくらってるんですかー?」
    「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、ってもんじゃ。」

    「ズバリ聞きますけど、私をマジで殺そうと思ってましたよねー?」
    「うむ!」
    「『うむ!』 じゃねえーーーーーーーーっ!」
    アッシュはいきなり立ち上がって、ジジイの頭をパコーンとはたいた。

    「あああああんたっ! 目上の人に対して何ちゅう・・・」
    頭を抑えて目をパチクリさせるジジイを、アッシュが一喝した。
    「命を狙うヤツは目上じゃありませんーっ!」

    「・・・すまんじゃったのお・・・。
     実はあんたが部屋を見つけても、絶対に殺すつもりじゃったんじゃ。
     じゃがあんたの入り方が、あまりにも意外すぎたし
     あの裂け目から出た鬼のような形相に、心底恐怖を感じてのお
     つい思わず花火ボタンを押しちゃって、相続達成、じゃったんじゃよ。」

    「じゃあ、今も殺すモード全開ですかあー?」
    「あんたとグレーは実の兄妹なんじゃよな?」
    「はい、これ以上にないぐらい兄妹ですー。」
    「しかし、あんたはグレーと全然違うな?」

    アッシュはその言葉に軽く目まいがした。
    「・・・ジジイーーー・・・、勘弁してくださいよおー。
     怒りに目がくらんで、ミソもクソも同じ見えるかも知れんけど
     その歳でそんな中学生みたいな事を言っててどうすんですかー。
     脳みそが1個ありゃ個人なんですよー。
     脳みそ2個だと、それはもう別人ですよー。」

    ジジイが深くうなずいて、つぶやいた。
    「あんたのその明快さが、わしの閉ざされた心を開いたんじゃ。」
    その言葉に、アッシュが爆発した。

    「いかにも良い事を言ってるつもりでしょうけど、とんだ花畑脳ですよー?
     何のフラワーガーデンフェスティバル開催中ですかー?
     はっきり指摘しちゃりますよー。
     あんた、親友と側近にハブられて、スネて
     関係ない私にまで害を及ぼそうとしただけなんですよー?
     ハナから私も同類だと決め付けてねー。
     あんたも、いたらん人間関係で悲劇でしょうけど
     私もチャンガラな身内を持って、ほんとマジもんの惨劇ですよー。
     これってお互い、同じような境遇なんじゃないですかー?」

    アッシュの怒りにおされつつ、固まっていたジジイだったが
    希望に燃えた瞳を熱く輝かせて、叫んだ。
    「よし、わかった! あんたを信じて賭けるとしよう!」
    「信じんで良しー!」
    「えええー? 今更拒否るんかい!」

    「人をパッカンパッカン殺しといて、何が信じる信じられるですかいー!
     いい加減、そういうフツーの人間っぽいフリはやめましょうやー。
     私たちは罪人なんですよー?
     私はこれからその贖罪で、この館のために手を汚しますー。
     あんたの償いは、私を助ける事ですー。
     自分の正義や感情を大事にしてる場合じゃないんですよー。」

    「わしたちは罪人か・・・。」
    ジジイはアッシュの目を見据えた。
    「それが現実なんですー。
     いい加減、目を覚ませ、ジジイー。」
    アッシュはジジイの目を見返して、言い捨てた。

    ジジイは、一番言われたくない言葉を聞いた気がした。
    あまりにも長い間、ここに居すぎたせいか
    そんな事を考えた事もなかったのだ。

    わしも潮時というやつなのか・・・。
    “跡を継ぐ” その意味をわかってて、この嬢ちゃんは言っている。
    グレーがこの妹を寄越してくれた事は
    結局はわしの救いにもなるんかも知れんな。

    嬢ちゃん、頼むな。
    ジジイは心の中でそうつぶやくと、再びアッシュの顔を見て
    ゆっくりと深くうなずき合おう・・・としたが
    アッシュはハムサンドのハムを、必死に抜き出してる最中だった。

    「・・・あんたと親交を深めるのは、中々難しそうじゃな・・・。」
    ジジイが嘆くと、具なしサンドをくわえたアッシュが
    またバーサク状態になった。

    「そのペースの遅さには、こっちが文句を言いたいですよー。
     まったく年寄りってやつは、いちいち感慨にふけらにゃ気が済まんし
     すぐ電池切れを起こすし、ほんとイライラさせられますよー。
     全力疾走し続けるか死ぬか、どっちかにしてくださいよー。
     あっ、この食い残しのハンバーガー、食べといてくださいねー。
     このピクルスとハムもー。
     次の主が行儀が悪いなんて、示しがつかないですからねー。
     協力、よろー。」

    ダメ出しにつぐダメ出しの上に、残飯処理係任命で
    ジジイの心は張り裂けそうだった。

    年寄りには刺激の強すぎる急展開の連続である、

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 33 09.12.4
          ジャンル・やかた 35 09.12.10

  • ブログ移転の予告

    週末は風邪でグッタリだったよ・・・。
    今の時期の病院はいかんな!
    風邪っぴきがウヨウヨしとる。
    いらん病気を余分に貰いに行くようなもんだ。

    ここ数ヶ月、頭は回らんは、落ち込んどるは、食欲はないは
    ひそかに老人性ウツか? とか思っておった。
    楽しいのなんて、心霊ビデオを観ている時ぐらいだ。

    あっ、最近のお勧め心霊物は、“めちゃ怖” だ。
    何かよく知らんのだが、“天然コケッコー” ? の監督がホラーに挑戦
    とかいう触れ込みのやつ。

    この監督が 「幽霊なんて信じない」 と言う割にはヘタレでさ
    すげえ笑えて楽しい作りになっとるぞ。
    心霊物は、こうあるべきだ。

    桜金造の新作はつまらんかった。
    呪い場? とかは面白かったんだけど、語りだけのは面白くない。
    やっぱり心霊物は、現地調査に行ってなんぼだぜ。

    って、どこが落ち込んどるのか、さっぱりわからんだろうが
    とにかく風邪まで引いて、私終わった・・・な気分だったんだ。
    それが管理人ぷらちッのメールで、奮起させられた。

    ブログの移転は、正月休みに実行するらしい。
    それだけでも、結構面倒くせえ作業であろうに
    その上に、このブログのとてつもない量の記事を全部移転するそうな。

    それって、もんのすげえ大変な事だと思うんだよ。
    ヘビーコレクターのリアル引越しレベルで、おおごとのような気がする。
    こんな駄記事群を、ほんと申し訳ない・・・と
    もんのすげえ感謝させられたさ。

    私がここでダラダラと書いていられるのも
    管理人ぷらちッや、来てくれる人の支えがあってこそなんだよな。
    それをダラけてるなど、ほんと天罰もんだぜ。

    何か、改めて初心に戻った、っちゅうか、反省させられた、っちゅうか
    落ち込んどる時は、仲間の存在が何よりの薬なんだな。
    私も甘えとらんと、頑張るぜ!

    にしても、よく思うんだが、理系のヤツらって
    マジカルステッキか何かを持ってるんか?
    私が 「しろ」 と言われたら、5年ぐらい掛かるような事を
    ササッとやっちゃうんだよな。
    何か人間業じゃねえよ。
    ていうか、私の人生のお世話係になってもらいたいぐらいだ。

    今回の移転についても、私の作業は何もない。
    新しいブログに慣れる事だけらしい。

    そんなん、むちゃくちゃやっとりゃ、いつの間にか出来るさ
    とか、タカをくくっていたんだが
    ぷらちッがあまりに心配するので、先手を打っておく。

    新しいブログになってから、混乱するかも知れないが
     例: 記事がアップされない
        コメントにレスできない
        改行がおかしくなる
        句読点の位置がおかしい
        日本語の使い方が間違っている
        記事の内容がつまらない
        何が言いたいのかわからない
        バカな事しか言わない
        何度も同じ内容を繰り返す
        体のあちこちに不調をきたす
        孤独死して、しばらく発見されない 等

    とにかく、皆慣れてくれ。
    私が慣れるより先に慣れてくれ。
    そんで私をホットな目で見守りつつ、フォローしてくれ。

    わかったな?
    よし、根回し完璧!

    てか、こういう恫喝まがいのお願いに力を注がんと
    もっと他に努力すべき部分がたくさんあるような気もするが
    とりあえず、いかに責められないで済むかに血道をあげたいんだ。
    まずは保身だろ! ああー?

    そんでな、ブログのURLは変わらないらしい。
    他には・・・、えーと、詳しく聞いたんだが忘れてしもうた。

    大まかに説明すると、12月の29日から1月3日の間に
    ぷらちッが作業をするらしいんで
    その期間は、バグるとか繋がりにくいとかあるかも知れんそうな。

    よって私の正月休みも、29日から3日までにする。
    そんで1月4日から、通常通りにブログ再開・・・出来たら良いな、と。

    もし再開されていなかったら、それはまず100%
    私が新ブログを操作できていないっちゅう話なので
    関西方面に向かって、祈ってくれ。

    こんだけ言っても、どこぞのババアのように
    聞いていない、すぐ忘れる、等、たわけるヤツがいるかも知れんので
    12月28日の記事で、再び念押しをするがな。

    何だか、ぷらちッの心配が移って、どんどん不安になってきとるが
    万が一はほんとすいません、と、このひとことで
    何もなかったように振舞わせてもらう事も、予定に入れておいてくれ。

    しっかし、出来ないかも知れない宣言を
    よくもここまで高慢な態度で出来るな、と自分でも思うぜ・・・。
    この私が我が身を振り返るなぞ、ほんと情けない。
    来年はもっと自信満々に高飛車る事を目標に頑張ろう!
    (どうやら、“謙虚になる” という選択肢はないらしい。)

  • ジャンル・やかた 33

    「で、リリーさんと付き合うと、何で遺言できるんですかー?」
    「それはな、リリーが弁護士だからじゃ。」
    「え? 秘書じゃないんですかー?
     てゆーか、元犯罪者なのに弁護士になれるんですかー?」

    「秘書みたいなもんじゃが、正式には弁護士なんじゃ。
     元犯罪者でも弁護士資格は取れるが、リリーは犯罪者ではない。
     ・・・ここには何人か、長老会から派遣されて来ている者がいるんじゃ。」
    ジジイは、アッシュに顔を近づけて声をひそめた。

    「ああー、そうですよねー。
     元犯罪者の集団と、関係ない一攫千金狙いのよそ者だけに
     街のおおごとな恥部を任せられませんもんねー。」
    「・・・あんた、言いにくい事をサラリと言いよるな・・・。」
    「だってどう表現しようと、汚物はしょせん汚物でしょー。
     キレイ事でまとめるには、ここは黒すぎますよー。」

    無表情で答えるアッシュに、ジジイがうなだれる。
    「そうなんじゃよ・・・。
     ここは色々とありすぎた・・・。」

    「んで、遺言書の話の続きはー?」
    「あんた、わしの苦悩を無視かい?」
    「あ、それについては、後でじっくり責めてあげますからー。」
    「え? わし、まだイジメられるの?」

    その言葉にアッシュは、獲物発見! と言わんばかりに
    目をイキイキと輝かせた。
    「ほおー、まだ被害者ヅラできる立場だと思っているようですねー。
     これは念入りに責め上げてさしあげないといけないようですねえー。」

    泣きそうになっているジジイに、アッシュはまくしたてた。
    「で、兄はリリーさんに協力してもらって、遺言書を作ったんですねー?
     それ、違反行為になりませんかー?
     しかも街からの監視者のリリーさんが、そんな事に協力しますかねー?
     その話、何かおかしくないですかー?」

    「・・・・・・・・・」

    ジジイは、黙り込んでしまった。
    アッシュは、そんなジジイの様子を気にするともなく紅茶を飲み
    皿から取ったハンバーガーを開き
    ピクルスをつまみ出してペッと皿に投げ捨ててから、かじりついた。

    「ピクルス、嫌いかね?」
    「自分が不味いと感じるものは嫌いですねー。」
    「明快じゃな。」
    ジジイは再び無言になった。

    どれだけの時間が経っただろう。
    ジジイがようやく意を決したように、アッシュの方を向いたら
    アッシュは椅子の背もたれにもたれかかって、大口を開けて寝ていた。
    しかも、よだれまで垂らしている。

    ジジイの堪忍袋の緒がブチッと切れた。
    「こらっ! 起きんかい!
     何じゃ、そのだらけた態度は!
     今わしがどんだけ悩んでいたと思ってるんじゃ!」

    アッシュがムニャムニャと寝呆けながら言う。
    「えー・・・、寝せてくださいよー。
     私には、もう二度と安らかに眠れる日は来ないかも知れないのにー。」

    アッシュが何気なく発したその言葉が、ジジイに突き刺さった。
    「・・・あんた、バカなのか利口なのか、どっちなんじゃね?」

    「もちろん、どっからどう見てもバカなのには異存はないでしょうけど
     実は超ド級クラスの大バカだった! という救えんオチでしょうよー。
     特に私がこれからしようとしている事を考えるとー。」
    ヘラヘラ笑うアッシュに、ジジイが険しい表情で問う。
    「一体、何をしようと思っとるんじゃ?」

    「んーとですねー。」
    アッシュが説明するのを、ジッと聞いていたジジイだったが
    話が終わると、再び頭を抱えてしまった。

    アッシュはそれを見て、ヤレヤレと
    今度は椅子を3つ並べて、その上に横になってグウグウ寝始めた。
    ジジイは立ち上がり、窓際に立って空を仰いだ。

    この館の運命の歯車が、突然回り始めた気がするのお・・・。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 32 09.12.2
          ジャンル・やかた 34 09.12.8