• 空港の変化

    土産は伊丹空港の2Fの千鳥屋で、千鳥饅頭を買って行った。
    ところが、この千鳥屋、福岡にもあるのだそうだ。
    店名も売ってるものも同じだけど、マークが違うらしい。
    天満宮関係の店じゃないか? という話だ。

    JALの再建がニュースになっているが
    今回の空の旅で、空港関係のサービスがクソだと気付いた。

    特別席とか、いつの間に出来ていたのか知らんが
    何か特別会員というのもあって、それが関係してるんか何なのか
    よく観察してみると、空港内の空気も以前と違いギスギスしているのだ。
    笑顔で応対しながらも、言ってる事がひでえ、みたいな。

    わがままな客が多いからな、と思いつつ荷物を預けに行ったら
    壊れものが入っていないか訊かれ、兄への土産の日本酒だけを出すハメになり
    化粧品とかも入っているんですが、と言ったら
    それが壊れても、被害は他にまで回らないので大丈夫だと笑顔で答えられ
    ああ、そうですか、と預けたんだが
    後でよく考えたら、他のお客に被害が及ぶのだけが困るわけで
    客の自爆は関係ない、って話だよな。

    それはそれで、ごもっとも、なんだけど
    のうのうと言うところが、ちょっと驚かされる。
    昔はああいう言い方はしていなかったと思うんだがなあ。

    そういや預ける荷物の扱いは昔っからひどくて、よく中身が壊れていた。
    今回も、案の定化粧品が壊れて液体が漏れていた。
    ジップ付き袋で全部個別包装、という慎重を期す性格が幸いして
    他への被害はなかったが、熊本からの帰りでもカップラーメンが壊れてた。

    もう二度と衣服以外の物は預けるものか、と思ったが
    今テロ対策で、液体の持ち込みは制限されているんだろ?
    化粧品とか結構な量なんだが、どうしたものやら。

    て言うか、物流のこの時代に、こんだけザツな扱いをするなど
    何か言い分があるんだろうか?
    ああっ、良い、言わんでもっ。
    色々とそっちにはそっちの都合もあるだろうから
    自衛するしかないとわかっているけど
    JALがああなったのもわからんでもない、っつううか
    空港全体、お客様満足度についてちっと考えろやー。
    応対の質がすんげえ落ちたと、空港のあちこちで感じたぞ。

    ゲートで引っ掛かった客に、何であんなに無愛想にチェックするんだ?
    恐いとすら思わせる表情で、並んでてドキドキしたよ。
    警報が鳴ったら犯罪者扱いされるんだもんなあ。
    「ご協力ありがとうございました」 という声は聴こえたけど
    鬼のような顔だったし、見てるこっちまですげえビビらされたぞ。

    空港業界って、何かあったんか?
    愛想の悪かった業種でさえ、何たらコンプライアンス?とか言うやつで
    最近はカスタマー対応とやらを勉強してるというのに
    あんだけ “特別感” を感じさせていた場所が
    この不況の中、逆に悪い印象を感じさせるなど信じられなくてなあ。

    何となくJALが潰れるのもわかる気がするぜ。

  • ジャンル・やかた 22

    アッシュはベッドの中で、天井を見つめていた。

    はあ・・・えらいな大口を叩いてしもうたが、どうすんだよ?
    守るとか戦いをやめるとか、一民間人に出来るわけがねえじゃん
    相続したら、マジどうすんだよ?
    つーか、相続できるかどうかもわからんわけじゃん
    今日殺されるかも知れないんだし
    相続後の事は、相続できてからで良いんじゃね?
    まずは生き残る事を重点に考えるべきだろ
    でも相続してからどうするか考えても遅くね?
    反乱されて即死とかシャレにならんわけだし
    今からでもボチボチ考えておいた方が良くね?
    てか、今まさに命の危機なんだから
    他の事に気を取られてる場合じゃなくね?
    ああー、ほんと何であんなデカい口を叩いたんだか
    こっちはしたくてしてるわけじゃないってのに
    人殺し人殺し連呼されて、すんげームカついたんだよな
    こういうのを墓穴を掘るっちゅーんだよー
    でも、だったらどうすれば良かったわけ?
    すいませんすいませんなわけ?
    襲ってくる方が悪くね? あの女の人も八つ当たりじゃね?
    でも親しい人が殺されたら、そりゃ怒るわな
    気持ちはわかるし
    でも戦争ってそういうもんじゃね?
    そういうのも覚悟して参加すべきじゃん
    てか、私、参加したくてしてるわけじゃねえし
    だったら、さっさと殺されれば、戦闘は終わるわけじゃん
    何でそんなんで私が死なにゃならんのだよ?
    てか、私が死んでも次の相続者が来るわけじゃん
    だったら、とっとと相続して、戦うシステムをなくせば良いんじゃん
    だからそのシステムとか、どうすんだよ、って話じゃん

    アッシュは、勢いに任せて振るった熱弁を、早々に悔いたせいで
    てか、でも、だって、と思考を空転させまくって
    一睡も出来ずに、一晩中悶々としていたのである。

    しかも食堂の方では、夜遅くまでザワついていた。
    自分が言った事に住人たちが反応してるんじゃないか、と思うと
    恐ろしくて、部屋の外に出る気になれない。

    ああ・・・何であんな事を言っちゃったんだろーーー
    アッシュは布団をかぶって、ジタバタもだえ苦しんだ。

    アッシュの想像通り、住人たちの話題はあの事一色だった。
    アッシュが出て行った後の食堂は、しばらく静まり返っていた。
    最初に口を開いたのは、ローズであった。

    「あんたの彼氏を殺したのはあたしだよ、アッシュじゃない。
     恨むんなら、あたしを恨みな。
     だけどね、戦うヤツらは皆、覚悟してやってんだよ。
     自分で決めてやってるんだよ、強制じゃない。
     ま、あんたの気持ちもわかるから
     カタキをとりたいんなら、いつでも受けて立つよ。」

    ローズは立ちすくむ人々を前に、堂々と声を張り上げた。
    「来たいヤツは来ればいいさ。 返り討ちにしてやるよ!
     それがあたしの役目なんだ。」

    再び沈黙の時間が流れた。
    次に口を開いたのは、屈強そうな男だった。
    「そうさ。 それが俺たちの役目だろう。
     恨まれるなんて、筋違いじゃねえか?」
    それが開始の合図であるかのように、人々から次々に言葉がこぼれる。
    「でもやっぱり知り合いが死ぬのは気分の良いもんじゃないだろ。」
    「自分で決めたんだろ。」
    「死ぬつもりでやってるわけじゃねえよ。」
    「死ぬ可能性が充分にあると普通わかるだろう
     そんな事も考えずにやってるなんて、おまえバカか?」
    「何だと、この野郎!」
    「やるんかよ、このクソ野郎が!」

    つかみ合いが始まり場が騒然となった時に、甲高い女性の声が響いた。
    「でも!」
    声の主は、まだ10代らしき可愛い女の子だった。
    「でも、あの人は皆を守る、って言ってました。
     戦わなくて済むようにする、って。」

    「そんなの出来るわけがないだろ。」
    中年女性が失笑しながら、吐き捨てるように言った。
    「まったくガキは夢見がちで目出度いさね。
     ここはずーーーっと、こういうしきたりなんだよ。
     ずーーーーーっと、そうやってやってきたんだ。
     それを変えるなんて、何も知らないよそ者のたわごとさね。」

    「そうじゃ。 ここはずっとそれでやってきた。」
    老人が部屋の中央に進み出た。
    「主は全員よそ者じゃったのに、変えるなんて言ったヤツはおらんよ。」

    老人のその言葉は、賛同とも批判とも取れるので
    全員が次の言葉が見つからず、黙りこくってしまった。
    食堂の中はおろか、廊下にまで人が溢れていた。
    騒ぎを聞きつけて、南館からも住人が集まってきていたのだ。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 21 09.10.29
          ジャンル・やかた 23 09.11.5

  • ブログという舞台

    他のブログを読む機会がない私にとっては
    34歳結婚詐欺女の事件をTVで報道してくれるのは、とても勉強になる。
    ブログというのはこういう風に書くんだな、と、わかるからである。

    と言うか、この事件の報道を観たババアどもは (私を筆頭に)
    女であるだけで、こんなに稼げるんかあああああああああっっっ
    と、己の過去を後悔したに違いない。

    いや、どういう風に稼いでいたのかはわからん。
    ヘルパーとか言ってるから、さぞかし尽くしていたんか、とも思うが
    一番わからないのが、お金の引っ張り方である。

    お金ちょーだい でホイホイ貰えるわけがないし
    その理由を考えるだけで面倒くせえ。
    そんで返さずにいるのも、根性がいると思うんだ。

    結局、借金というのは才能のひとつなわけで
    詐欺ってのは、マメなヤツのする犯罪なんだな。

    この事件は中々興味深くニュースを観ているが
    ひとつ、すげえ迷惑な事がある。
    ネットがこれでまた、悪の温床のように思われる事だ。

    リアルでの私の周囲はネットをしない人が多いので、浮かないように
    ネットショッピングぐらいしかしていないように振舞っているが
    よく考えると、私は紛れもなく “ブロガー” なのである。

    何かもう “一般人” の間では、ブロガーなど
    頭がおかしいヤツがやっているように思われていて
    真っ先におかしいヤツである私には
    ブログに対する世間の偏見を、訂正できず情けない。

    そんでTVで、「わざわざ書かなくても」 と言っていたが
    そんなん言われたら、私もそうで
    てか、私なんか、“わざわざ” を除いたら何ひとつ残らない。
    突き詰めれば、わざわざ生きていなくても良い、って事になるんだよー。

    TVや周囲の詐欺女に対するコメントが、胸にグッサグサ突き刺さって
    他人と自分の温度差に気付かされた事件である。

    詐欺女にもいっちょ文句を言いたいんだ。
    ブログを詐欺の道具に使っていたんかも知れんが
    嘘ばっかり書かないでほしかった。

    今更こういう事を訴えてもしょうがないし
    ブログなんて自己表現の場なんで、妄想もアリなんだろうけど
    何ちゅうか、同じ舞台に立っていて、こっちが真面目な話をしてるのに
    隣でいきなり脱がれて裸踊りをされる気分になる。

    ひとことで言えば、ブログを書く気分が萎える。
    嘘つきの道具で、必死こいて主張してるのがアホらしくなるんだ。
    私には関係ないから、これからも変わらずにやっていくつもりだが
    嘘つきと接点を持つと、ほんとテンションが下がるぜ。
    いい迷惑だよな。

    でも学んだ点もあって、ブログってのは
    こういう風に、しっとりと書くべきなんかな、っていうのと
    そこまで深読みされるんか! ってとこ。

    しっとり、は性格的に無理なんで、さっさと諦めるとしても
    何でもない文章を、自慢として取られかねない危険性もある
    っていう事が、よくわかった。

    私的には、エルメスやらベンツやらを好むなど
    頭を使ってない、としか思えないんだが
    それが世間的にはステータスなんだな。

    ここらへんを考えても、もう基本からズレている気がするが
    私も誤解されないように・・・・・
    とか言ったら、自画自賛が出来なくなるんで
    態度を改める代わりに、土下座の準備をしつつ書きまくるさ。

    ナイスバディを自慢したくてしょうがなくてな。
    リアルじゃ、「いえ、そんな事は おほほ」 と言っとかないと
    ほんと、何様? になるだろ。
    私もこれでいて、ちょこちょこと気を遣ってはいるのさ。

    って、これじゃ学んだ事にはならないか・・・。

  • ジャンル・やかた 21

    目が覚めた時は、もう昼だった。
    着の身着のままで寝ていた自分に、激しく驚いた。
    普段のアッシュなら、どんなに疲れていても絶対にしない
    いや、出来ない行為である。
    着替えずに寝るなど、気持ち悪くて逆に眠れない。
    それがここ数日で、2度もやっているのである。

    ああ・・・、何か私の中で色々と芽生えてる気がする・・・。
    いつもの型通りの自分の殻を打ち破った気分になり
    ちょっと嬉しかったりするが、とりあえず風呂に駆け込んだ。

    お手入れしまくって、クリーム塗りたくりの
    ツヤツヤを通り越してテラテラの顔で、アッシュは食堂にいた。
    夕食に近い時間の朝食なので、結構混んでいるのに
    アッシュの周りだけ空間が出来ていた。

    ここではいつもこんな調子で、遠巻きにされているのだが
    それをアッシュ自身が好んでいた。

    覇者は孤高でないと!
    そう思いつつ、ボロボロ食いこぼしているアッシュの前に
    若い女性がツカツカと一直線に歩み寄ってきた。

    「・・・が死んだわ。」
    え? 誰? と、肝心な部分を聞き逃した間の悪いアッシュは
    目を丸くして、女性の顔を見つめたまま固まった。

    「あんたのせいよ、この人殺し!!!」
    その言葉を聞き、戦った相手の中にこの女性の親しい誰かがいて
    その人がその傷が元で死んだのだ、とアッシュは悟った。

    女性は涙をボロボロこぼしながら、悲鳴に近い声を上げた。
    「相続者なんて言っても、結局人殺しじゃないの!
     人を殺してまで、この館が欲しいの? この人殺し!!!」

    女性の語尾が響くような凍った景色のごとく静まり返った中で
    しばらく女性を凝視していたアッシュが、ゆっくりと立ち上がった。

    アッシュが低音で話し始めた。
    「まずは、お知り合いのご冥福をお祈り申し上げますー。」
    女性がカッと顔を赤らめて、怒鳴った。
    「だったら何故こんな」

    その声をさえぎる大声で、アッシュは続けた。
    「この度は! 本当に! 残念な事だと思いますー!」

    そこまで言うと、また声を抑えて語るように話し始めた。
    「私にとっても今起こっている出来事は、非常に不本意ですー。
     あなたと同じように、私もまた “何故こんな” と思っていますー。
     本当に戦いたくなどありませんー。
     だけど、ひとつだけ言える事がありますー。
     私は自分を守るために、襲ってくる人には今後も立ち向かいますー。
     そして私の大切な人も、何をしても守りますー。」

    アッシュは、周囲を見回しひとりひとりの顔を見つめた。
    「あなたは私を襲ってきますかー? それとも助けてくれますかー?
     もし助けてくれるのなら、あなたは私の大切な人になりますー。
     私もこの命を投げ出してでも守りますー。」

    どうですか? と、確認するかのように人々の目を見る。
    誰ひとり口を開く者はいず、身動きひとつ取れない雰囲気が漂う。

    「そして、もし私が相続できたとしたら
     もう二度とこんな残酷な方法は取りませんー。
     この館の住人全員が、私の大切な人になるからですー。
     大切な人を、もう失いたくはありませんー。
     もう二度と彼女のような “被害者” も出したくないのですー。」

    あなたも同じ気持ちだと思います、と
    泣き続ける女性を見つめて、アッシュは言った。

    「本当に申し訳ありませんでしたー。
     心からお悔やみを申し上げますー。」
    深々と一礼した後、女性の反応も確かめずアッシュは食堂を出た。
    立ち去るときに、集まってきた群衆の中にローズを見つけたけど
    一瞥しただけで、無言ですれ違った。

    言いたい事を上手く言えなかっただけじゃなく
    焦って妙な約束まで持ち出した自分が腹立たしく
    自分の部屋へと、足早に歩き続けた。

    食堂の中がまだ静まり返っているのを、背後で感じながら。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 20 09.10.27
          ジャンル・やかた 22 09.11.2

  • 割り箸女

    今うちに割り箸が何膳あるだろう?

    割り箸で飯を食うと食欲がなくなる、と気付いてから
    実にどうでもいい作業に、ポンポン使い捨てて
    地球にも自分の体にも、とても厳しい行為をしているようで
    環境破壊の人類代表になった気分で消費してきて
    ああ・・・やっと先が見えてきた・・・、とホッとしていたのに
    今回の帰省で、何か知らんが以前以上に目の前に割り箸が積み重なっている。
    これをどこに収納するかが、うちの今後の課題である。

    こういう事態になったのは、まだかあちゃんが存命中。
    「ちゃんと食べなさい」「もっと食べなさい」 の攻撃に
    つい、「箸を洗うのも面倒くさい」 と反抗した事が発端である。

    誰でもあるだろ?
    心がすさんでいる時期とか
    つい言っちゃった、ついやっちゃった、みたいな事が。

    誰にでもあるのに、ほんの逃げ口上だったのに
    私はその一瞬の報いを、10年以上受けているんだよー。

    この私の言葉で、かあちゃん、「あら・・・」 となっちゃって
    それから私のために、割り箸を取っておくようになって
    それは私が関西に引っ越してからも変わらず
    しょっちゅう届く小包みの中には、毎回大量の割り箸が。

    どんなに 「ちゃんとお箸を洗って使ってるから」「やってるから」
    と言っても、子を想う親心は一度ヒートアップしたら止まらず
    更にうちのかあちゃんの恐ろしいところは
    親戚に言っちゃうんだよ、こういう事をー。
    悪気なく、後先考えずーーーーー。

    もう、ほんっとそういう逸話がどんだけ私の評価を下げてるのか
    ちっとは計算してもらいたいんだが、また親戚たちも真に受けるんだよー。

    にっこり笑って、ほら、あしゅちゃんのために取っといたのよ
    と、親切そうに割り箸の束を差し出されて、断る事が出来るか?
    普通、ありがとう、と受け取るしかねえだろー。

    そんで受け取ったら、喜ばれていると勘違いされて次も溜める、私のために。
    それを見た親戚たちも、何だどうしたんだ、と言う事で
    事情を知り、私のために割り箸を溜め始める。

    どんなに上品ぶっていようが、輪ゴムでくくった大量の割り箸を渡され
    周囲から、「あらー、良かったねー」 とか言われ
    今回はあまりの量に宅配で送ったから良いようなものの
    手持ちで空港のX線でもあてられたら
    こいつ一体どういう素性なんだ? と疑われる事は間違いない。

    何より、こいつら割り箸を見ると、私の事を思い出すんだろうな、と
    よりによって割り箸かよ! と、果てしなくガックリするが
    親切だから! 善意だから! 愛だから! ムゲに出来ないーーー!!!

    ふと、こういう親族たちならマルチも楽勝かも、と思ったりするが
    いらないものだから溜めておいてくれるんだろうし
    にしても、何故もちっと高価な物に設定されなかったんだか
    ほんと、10年以上に渡って、罰を受けてる気分なんだ・・・。

    て言うか、おめえら割り箸を貰いすぎ!
    店屋物取りすぎ! コンビニ行きすぎ!

    と叫びたいが、何せ3年ぶりだし、そりゃ割り箸も溜まるか・・・。

  • ジャンル・やかた 20

    よく推理小説なんかで、ダイイングメッセージとかあるけど
    何でわざわざわかりにくくするんやら。
    兄の残した1枚の写真を眺めながら、アッシュはイラ立っていた。

    答、それは明らかにわかりやすいと、証拠隠滅されるからでーす。
    って言うけど、現実問題、わかりにくいなら意味なくね?

    気を取り直して、アッシュは推理に入った。
    何で写真の裏に日本語で書き残したか?
    私に宛ててだからだろうけど、そんなヒント、見つかったら没収だよね。
    と言う事は、やっぱりこの写真自体が、重要なヒントなんだ。
    裏に何を書き残そうが、即没収クラスの。

    でも、そしたら詳しく書いても良いはず。
    うーん、ギリオッケーみたいなライン?

    アッシュは改めて写真の館を見つめた。
    これ、この館に似てるけど違う建物だよね。
    この写真の館は、2階建てだし小さい。
    あっ、もしや、敷地内に別建物があって、そこに主がいる?

    うわあーーーーー、それは反則だろーーーーーーーー。
    アッシュはバッタリとベッドに倒れこんだ。
    しかし、頭の中ではグルグルと考えが渦を巻いている。

    ・・・・・・・・・もしかして、こっから見えない角度に
    この写真の建物があって、通路で繋がってるとか?
    だったら、それがあるのは北側じゃないよね?
    死角の南側で、南館のどっかから行けるんじゃないの?
    それじゃあ、北館に滞在すると激しく不利になるんだけど・・・。

    でも、この言葉はどういう意味?
    歴史と伝統
    確かにここらへんの人、重要視してるよね、歴史と伝統。
    で、それが何なんだ?

    うーん、答、出ないっぽいー。
    とりあえず今日からは南に集中するか。
    考えようによっちゃ、候補が半分に絞られたわけだし
    お兄ちゃんありがとう、だよ。

    でも私なら、もちっとわかりやすく残すけどね、ふん。
    アッシュは、よっこらしょ、と起き上がった。

    探すべきは、南館の1F、2F、5F、6F
    の、一番南側の壁及び部屋。

    「ローズさん、明日は南館の2Fにレッツゴーですわよーーー!」
    アッシュはローズの部屋のドアを勢いよく開けて叫んだ。
    日本人にはノックの習性はない。 ふすま、紙だし。

    数時間後、ベッドに突っ伏したアッシュは溜め息を付いた。

    今日の南館2階は、敵の出が激しかった。
    そのせいで奥まで行かない内に、ローズの鋏が壊れ
    不本意でも、引き返さざるを得なかった。
    それも、かなりの危機一髪で。

    あんだけ敵が出るってのは、本丸に近いって証拠のようなもんだよな。
    もう一度、南館の2階の残りに行かなければ。
    鋏の修理は、バイオラが張り切っていたし
    もし何とかいう兄ちゃんが三節棍を持ってきたら
    バトルマスター・ローズに使いこなしてもらおう。

    アッシュは人の名前と顔を、まったく覚えられないので注釈するが
    “何とかいう兄ちゃん” とは、ラムズの事である。

    アッシュは、あまりの疲労にそのままベッドで爆睡した。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 19 09.10.21
          ジャンル・やかた 21 09.10.29

  • 死の集まり

    遠距離に住んでいると、親族が集まるのは冠婚葬祭ぐらいである。

    私の場合は、よほどのおおごとじゃないと耳にも入ってこない。
    「あしゅちゃんには言いなさんな。」
    が、親族間での合言葉だと、今回初めて知った。
    “悪気のない” 兄の会話から。

    どうやら親族間には、私には余計な気を遣わせたくない
    という雰囲気があるようで、その空気が生まれた理由は
    ひとつの事件で心当たりがあるが、それはまたの機会っちゅう事で
    今回珍しく帰省したのは、自分ちの行事だったからである。

    それも、別にパスしても構わない法事なんだが
    実家に置いてあるものを取りに行きたかったのと
    うちがゴミ屋敷になっていないか、不安で眠れない夜もあるので
    (TVでゴミ屋敷の映像を観たら、そうなる。)
    確認、というか、いい加減、現実を直視して
    その現実具合によっては対決せにゃならん、と腹をくくったからだ。

    結果、庭はものすごいジャングルだった。
    兄は 「苺を栽培している」 とか言いおったが
    よく聞くと、いつの間にか庭に生えていた身元不明の苺が
    どんどんと生い茂っていっただけらしい。

    知らない内にどっかからやってきて、居ついて
    あの魔の繁殖力を誇る芝生を差し置いて増えまくる果物など
    植物世界のゴキブリのようなものだと思うんだが
    それは良いよ、突っ込まない。

    だが、何かを育てているつもりなら、二毛作せえ!!!
    春の実が枯れてる時期は、秋の実を栽培せんか!

    と言いたかったが、これも良いよ、突っ込まない。
    何故ならば、家の中がキレイに片付いていたからだ。

    そりゃ、ところどころに新聞の山やらが出来ていて
    触るもの皆、手がホコリだらけになるは、水周りはカビだらけだは
    でも、何も言わない。 突っ込まない。

    今回帰省してみて、あらためて実家のムダな広さに気付いたからだ。
    ここでも6LDKーーー? と、突っ込まれたが
    それプラス、トイレ洗面所が3箇所あるんだよー。
    ピアノが置ける縁側まであるんだよー。
    こりゃ確かに “豪邸” だな、と思ったわな。
    売っても、関西の3LDKのマンション1室ぐらいの価値しかないがな。

    私だって、こんな意味もなく広い家は管理できん。
    片付けただけマシだよ。
    頑張ったんだね、お兄ちゃん、どうもありがとう。

    そんな兄にインタビューしてみたが
    ゴミ屋敷、あれ信じられないんだそうだ。
    あんなん病気だろ、と憤る兄に、内心 「おまえもな!」 と
    言いたかったが、それもしなかった。

    だって寝る場所が出来ていたんだから、他に何を望むよ?
    こっちは夜ごとに、ゴミ屋敷の恐怖にうなされる日々だったんだし
    それがなかっただけでも、ありがたいと思えるよー。

    まあ、汚屋敷には違いないんだが
    男のひとり暮らしにしては、上出来だと思う。
    あんな家をきっちり管理しようと思ったら
    毎日掃除に明け暮れる日々になるぜ。

    で、実家のゴミ疑惑は半分払拭されて目出度かったんだが、法事が辛かった。
    今回は短期帰省なんで、最初から最後までバタバタさせられて
    疲れ過ぎてて眠れず、睡眠時間が1日2時間という、恐ろしい日もあった。
    法事の後の、“せっかくの集まり” の観光も、予定に入っていたので良い。

    だが、“帰るついで” に阿蘇の外輪山1周はないわーーーーー。
    全然別方向で、わざわざ出向く距離なのに、何が “ついで” だよ?
    そんで、どんだけそれに時間が掛かると思っているんだよ?

    デス・フラグが立った気がしたので、思わず織田裕二?風に
    「イベントは1日2回までにしてくださいーーーっ」
    と、叫んだら、さすがジジババの集団
    「何?」「イベントって何?」 と、? の嵐だったので
    大人しくバッグに隠し持ってたドリンク剤を一気飲みしたよ。

    いやあ、もう疲れた。
    色々と疲れたが、何に一番HPをそぎ落とされたかっちゅうと
    大人の集まりのあの独特のまとまりのなさ!
    気を遣いあって物事ひとつ決めるのに、えれえな時間が掛かる。

    特に久々の再開なんで、最初にあっちこっちで挨拶が始まり
    それが終わると、都合を聞き合い遠慮で変更
    この繰り返しで進んでいくもんで、進行がすっげー遅えの。

    あー、もう、機械的にチャッチャとやってくれ!
    と、イライラさせられるが、こんな事を思うから
    私は “半人前”“子供”“わがまま” 扱いなんであって
    うちの親族たちは皆、私に “合わせてやっている” という
    空気になってしまっているのである。

    だっておめえら、野放しにしてたら何時まで経ってもまとまらないだろうが!
    私があえての汚れ役を引き受けているんだよー。
    こう訴えたいけど、私のやり方も悪いし
    今回も親族たちの愛を感じたんで、何も言わない。

    何も言わない何も言わない、と無言の行をしてきたように思えるかも知れんが
    それは “私” にしては、なので、私の評価は相変わらずだと思う。

    面白い話もあれこれあったような気がするが
    あまりの疲労に、よく思い出せない。
    思い出したら端々に書いていくよ。

    何はともあれ、ただいま。
    またいつもの日常が戻ってきた。
    ・・・風邪気味なのを除いて・・・。

    やっべー、親族全員に、「寝込まないように」 と口々に言われて
    一体私を何だと思ってんだよ? と、逆切れしてきたのに
    マジで寝込むハメになるんか?

    頑張れ私! 予言を的中させるな!

  • 上海出張日記・慣れないもの

    今回3回目の中国出張ですが、
    なかなか慣れないのは「空気とお水としゃべり方と、運転」。

    黄砂で知られる中国ですが、空気が少しホコリっぽく感じます。
    一緒に行った人たちの中には、ホテルで窓をあけているだけでくしゃみが止まらない人も。。。
    走っている車は砂まみれだし、ホテルの窓も砂のあとが、、。
    下水も整備されていないところが多いのか、街中を歩いていると臭うところもあちこちにあります。

    次にお水は、東京の水ってみんなが言っているほど不味いか?と激しく音痴な俺ですら、これは飲んだらおなか壊しそうと思うほど。
    ホテルの洗面所で水を溜めてみたら、臭いもきついし、白く濁っていました。
    どうするかというと、毎朝無料のペットボトル水が補充されているので、その水でうがいをしたりします。
    (もったいないなと思っていましたが、ペットボトルのお水にすると、大事に使うのでめっちゃ節約している自分がいることに気がつきました)
    お邪魔していた会社や、ホテルのバーには、(最近日本でも歯医者とかにおいてあるのをよく見かける)
    大きなペットボトルみたいなのが逆さまにして入れてある給水機がありました。

    しゃべり方。
    言い方きついし、声大きいし、いつも怒っているようで怖かったのですが、
    どうやら言語的なもので、息を抜く音や破裂音を発音するために、腹筋に力がいるようです。
    とはいえ、映画を見てると、奇麗な女優さんの口調は美しく思いますが、
    バイアスがかかっているのでしょうか、、、(笑)

    最後は運転。
    移動は基本的にタクシーなんですが、これはもう「天に任せるしかない!」っていうぐらい怖い。
    一言でいえば運転が荒いのでしょうけど、中国の交通ルールにもあるんじゃないかなと思います。
    信号が赤でも右折はできるし、シートベルトはしなくていいし、
    バイクはヘルメットかぶっていないし、どこでUターンしてもいいし。
    歩行者やチャリんこの信号無視はしょっちゅう。警察の目の前でやっていても注意なしなところをみると、ルールは無いのかも。
    たちの悪いのが「電気バイク」。その名の通り電気で動くエコバイクで、チャリとバイクの中間のような乗り物。
    乗り物が中間なだけにルールも中間で、スピードはバイクなみに出るのに、交通ルールの守り方はチャリと同じ(個人的見解)。
    なので歩道の上とかどこでも走っているし、あちこちで逆流してるし、、。
    そんな中を車が運転するもんだから「ぶつかったらお前が悪い」「そこどけ、そこどけ」。
    この先も出張が続くことが確定しているのなら、ぶつかっても強そうなバスや、事故が少なそうな電車を利用したいと思います。

    と、そんなイメージが悪くなりそうなことばかり書きましたが、知ってから行くことで、

    「面白くないと誰かが言っていた映画は面白い」

    効果が発動すると思います。

    中国の方々はとても人情のある人たちです。仲良くなるまでは怖いかもしれませんが、仲良くなるとすごく良くしてくれます。なんせ食べ物は美味しいので、ぜひ遊びに行ってみて下さい。
    おなかを壊さないように「水、氷、野菜、生もの」には注意して下さいね。

  • 上海出張日記・日本にもある食べ物と飲み物

    ●コカコーラZEROとペプシNEX。
    日本ではゼロカロリーものが流行っていますが、
    中国ではあまり流行ってません。そんな中、ZEROとNEXを飲み比べてみました。
    まず、中国では名前が違います。
    NEX → MAX、ZERO → 零
    値段は両方とも2元(500ml)程度。
    どちらも炭酸のパンチが弱い。とくにZEROは弱い。
    ZEROは炭酸が弱い分、甘さを強く感じました。

    ●スターバックス
    特に変わりはなく、飲み物も食べ物もアメリカスタイルで日本と同じようなものでした。
    ある意味、高い品質を保っているともいえます。ただ店員を除いては・・。

    ●吉野家
    味はおいしかったです。日本では、煮込みすぎて美味しくなくなっていることが多いのが個人的なイメージですが、ちょうどいい煮込み具合でした。
    また、海鮮丼、豚のステーキ丼がトップメニューとして牛丼と並んでいます。
    今回は、牛丼しか食べませんでしたが機会があれば挑戦してみようと思います。
    値段は出前のお弁当と比べるとわかりやすいのですが、

    お弁当が5元~8元
    スタバ30元~45元
    吉野家40元

    日本で食べるのと同じぐらいかなと思っていますが、お弁当5個以上の値段です。

    ●マクドナルド
    ポテトまずい・・・冷凍をチンしたやつか?と思うほど。
    指さして頼んだので名前は覚えていませんが、
    日本では見たことのないハンバーガーを頼んだら「激しく辛い!!」
    値段はセットで40元ぐらいでしたが、ボリュームもけっこうあり、個人的には満足でした。

    ●ケンタッキー
    メニューは、独自メニューになっています。
    メインとなるチキンが2種類になっていて、1つはオーソドックスなものなのですが、
    もう一方は、衣が無く、手羽先みたいな感じでした。

    そして、食べたら「激辛」という罠・・・
    日本では辛いものが得意な方の俺でも、これは辛すぎると思うほど。
    値段は、こちらもセットで40元ぐらいとけっこう高めですが、
    現地の職場の方に聞いてみたところ、けっこう人気があるようです。

    旅行や仕事でおなかを壊しやすい方は、
    日本でみたことあるお店に行ってみるのもいいかもしれません。
    ただ、、、激辛な確率が高いことは覚えておいて下さい(笑)

    —————–
    おまけ
    タクシーの初乗りが値上がっていました。
    11元(9月)→12元(10月)

    また、メータは「1元/2.5km」ということがわかりました。
    値上がりしても安い…

  • ジャンル・やかた 19

    昨日は、やたら敵が多かったよなあ。
    あんなん続くんなら、ほんと死ぬぜ。

    あの後、北館2階を一周したのだが、敵が3回も出没したのである。
    宣言通り、アッシュはキャーキャー言って逃げ回り
    ローズがひとりで戦って、無事に生還できたわけだ。

    ローズさん、すげえつえー。
    ローズが守護者になった自分は、激しく運が良かった事に気付いた。

    どんなに横柄でも、あんだけ強けりゃオッケーだよね。
    問題は私の方なんだよねー、足手まといになってるだけでさー。
    平安京エイリアンだって、時間が経つと敵大量投入されるし
    こんなんじゃ、マジで寿命カウントダウン始まっちゃってるよー。

    結果が出せないと、どんどんマイナス思考になっていく。
    今日、何をすれば良いのかも思いつかず、体が動かない。

    その時、ベッドに寝転んでいたアッシュの目に
    ふと足元側に積み上げられている雑誌や本の山が映った。

    書籍類は床に直置きされていて、それが1mぐらいの高さになっている。
    中学ん時、布団の足元に本棚を置いといたら
    それが寝てる時に倒れてきたんだよなあ。
    冬で布団の重ね掛けをしてたから、ケガこそなかったものの
    あれはスーパービックリ アーンド激痛だったよなあ。
    これ、よく倒れないよな、危ないよなあ。

    書籍の山をボンヤリ見上げていた目を、ふと下ろした瞬間
    見覚えのある背表紙が目に飛び込んできた。

    「レ、ペ・・・ペ・・・ペチット プ・・・プリンス!」

    この読み方、絶対に違うと思うけど、これ、“星の王子さま” だよね?
    この本、私が子供の頃読んで、何か知らんが悲しくて悲しくて泣いて
    何でこんな内容で泣くの? 頭がおかしいんじゃない? って
    家族全員にバカにされて笑われた本じゃん。
    あの当時の私は、ほんとわけわからん心の機微を持ってたよなあ。

    じゃなくて!
    この本、ここに寝転ばないと気付かないんじゃねえ?
    しかも (イヤな) 思い出の本。
    これは次に必ず来るであろう私に兄が残したものじゃねえ?
    うわ、よりによって何でこの本をーーー、じゃなくて!

    そうか、これがあるからローズさんに私の護衛を頼んだんだ。
    このフロアにローズさんの部屋がある限り
    次の私も絶対にこの部屋を割り当てられるから。
    すげえぜ、兄貴、やっぱり考えてたんじゃん!

    アッシュは力任せに、本を山から引き抜こうとした。
    そんなザツな事をしたら、ザツな結果になるわけで
    本は将棋崩しの駒のように崩れ落ち、アッシュに降り注いだ。

    本のカドが当たると、とても痛い。 雑誌でもとても痛い。
    しかもそれの連続攻撃に、アッシュは兄を目一杯恨んだ。

    アッシュの真の敗因は、将棋崩しとか、砂山の棒倒しとか
    そういう慎重な動作を要求されるゲームは
    大の苦手で、勝ち知らずなところにあったのに。 じゃなくて!

    “激痛にのたうち回る”
    アッシュの人生では幾度となく繰り返される光景だ。
    昨日の警棒の跡も、ひどく腫れている。

    あーもう、いっつもいつも!
    いい加減、学習してくれよ、私の衝動はよー!!!
    書籍類を積み重ねたヤツのせいにしないところは、割と正義。

    痛みが治まると、アッシュは散らばった本を片付け始めた。
    おいおい、それよりさっさと肝心の本を見た方が良いんじゃないのか?
    と突っ込みたくなるが、アッシュの性格はこうなのだ。

    サイズに合わせて、積み直された本を満足気に見たのち
    ようやくアッシュは、問題の本をめくった。

    ・・・中、全部英語・・・。
    イヤミなとこがある兄貴だったもんなあ。
    はあ・・・と落胆しながらも、メモなどがないか
    パラパラとページをめくる。

    と、途中のページに写真が挟まっている。
    セピア色になった古い白黒写真である。

    写真は、野原に建つ1軒の館だった。
    これ、この館・・・?
    でも何か違うような・・・???

    写真の裏を見ると、歴史と伝統 と万年筆で書いてある。
    その極太の線は、兄が好んで使用していた万年筆で
    特徴のある字体も、間違いなく兄の筆跡である。

    ああ、やっぱり、この本は兄貴セッティングだー!!!
    アッシュの心臓がドクンと一度高鳴り
    頭のてっぺんに体中の何かが集まる感覚がして、涙が出そうになった。

    色々と言葉が脳裏をよぎったが、それを確認すると
    感情が爆発して崩れ落ちそうになるので
    あえて無視をし、冷静に分析をする事を選ぶ。

    が、アッシュは頭を抱えた。

    続く。

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          ジャンル・やかた 20 09.10.27