• 電話の受け答え

    以前、ある生命会社に電話した。
    保険の契約が進行していて、連絡をひんぱんに取る必要があった時期の事で
    その日も担当者に電話をする約束をしていたのである。

    知らない女性が出たので、こちらの名前を告げ
    担当者をお願いすると外出中だった。
    担当者からは、外回りが多いけど会社のこの番号に電話をしたら
    会社から自分の携帯に知らせてもらえるので、すぐに連絡が付く
    という話を聞かされていた。

    そういう話だったので、連絡を取ってもらうようお願いすると
    どういうご用件ですか? と、訊かれた。
    客用番号だったので、ちょっと驚いたけど
    こうこうこういう用件です、と答えると
    「ああー、じゃあ絶対にAと話したいという事ですね?」
    と言われ、はあ??? と、更に驚いた。

    別にこっちは何が何でも担当者じゃなきゃいけないわけじゃないぞ
    でもおめえんちが、そういうシステムを取ってるんだろ
    私との保険契約はAさん担当の仕事だろ
    どういう意図があるにせよ、その言い方は何なんだよ?
    せめて、「ではAと直接話す必要があるんですね」 とか
    他にもっと言いようがあるだろ
    てか、客専用番号に掛けて最初にAさんを指名していて
    おめえんちの会社は保険の仕事なんだから
    電話口で根掘り葉掘り訊く必要があるのか?

    一瞬でこんだけの事をズラズラ思ったが
    向こうには向こうの都合ってもんがあるんだろうから
    「申し訳ないですけど、Aさんに連絡をお願いできますか?」
    と、穏やかに丁寧に言った。

    すると、外出中だから連絡が付かない場合もある、と言われる。
    そんなん普通にわかるって。
    おめえ、電話を望んだAさんの立場まで落としてるぞ
    もうそれ以上いらん事を言わん方がいいぞ
    と、思いつつ、では私から連絡があった事をお伝えください
    と言って、電話を切った。

    Aさんから、その後すぐに電話があったが
    会社の電話に出た女性の事は、何も言わず
    契約の話だけをして、Aさんとのやり取りはとどこおりなく終わった。

    私は、この電話に出た女性の受け答えは、とても失礼だと思う。
    これでも昔からある、超有名な会社なんだ。
    電話応対など普通業務だろうに
    なのに何で? と、不思議でしょうがない。

    最近それこそ保険会社のCMで、電話応対のシーンがある。
    それを見た時に、何て無礼な口を利くんだろう、と思った。
    あれは会社から掛けた勧誘電話なのか、客が掛けてきたのか?
    あの手の保険会社を、“通販保険” というらしいが
    フレンドリーに慣れ慣れしく話すのがコツなのか?

    私は、“お客様は神様” じゃなく、五分五分の商取引だと思っているが
    だからこそ友達じゃなく、取り引き相手として
    双方ともに最低限の節度と礼儀を持つ事を望んでいる。
    だからCMのああいう電話の応対は、イライラさせられる。

    あの電話、初対面なんだろ?
    それであのやり取りは、会社も客もどっちもねえよ、と思うんだが
    私の頭が固いんだろうか?
    時代はもう、ああいう流れになっているんだろうか?
    それなら、それに慣れるように努力するが
    私の周囲でああいう無礼な会話をする商売人は
    上記の保険会社の電話に出た女性ぐらいだぞ。

    あのCMで、あんなやり取りがデフォだ、という流れにしよう
    という思惑があるんだったら、ものすごく反対したい。

  • ジャンル・やかた 9

    「ちょっとあんた、ひとりでそれ以上行くんじゃないよ!」
    ローズが背後から叫んだ瞬間、アッシュは察知した。

    ああ、そうか、ローズは私の見張り役でもあるんだ。
    いやローズだけではない。
    この館にいる人全員が、自分を見張っているんだ・・・。

    ちょっと気落ちしかけたが、考え直す。
    もし私が主だったら、同じようにした。
    これはゲームではないのだ。 挑戦者が対等になれるわけがない。
    味方をつけてくれるだけでも、主側には温情があると言えよう。
    私が主だったら、ひとりvs大勢でフクロのなぶり殺しだね。

    あれ? アッシュは考え込んだ。
    “相続” って、主が在任している以上、“交代” だよね?
    交代するメリットって、主側にあるのか?
    もしかして、“主” の立場自体がデメリットがあるんか?
    でも挑戦者の多さは、主になりたいヤツが大勢いる、って事だよね。

    てか、私は実の兄からだから、“相続” だけど
    兄は誰から相続されたんだ?

    考え込むアッシュに、隣でワアワア怒鳴っているローズ。
    そのローズを顔を見つめて、アッシュは思った。
    この状況には、わからない事が多すぎる。
    多分、最後までわからないんだろう。
    言葉の意味について迷うより
    実際にある事のみを見た方が良いような気がする。

    手摺りに捕まって、上半身を上下させ
    玄関ドアの上のガラス窓の向こうを見ようとするアッシュ。

    よくは見えないけど、きっと敷地内の電線は地中を通っている。
    と言う事は、地下室があるって事か。
    でも主の交代は、ローズの記憶にはないようだ。
    普通ならそんな長期間、地下で暮らしたくはない。
    主は絶対に、地上のどっかの部屋にいるはず。
    そんでモニタールームってのがあって、その近くにその部屋はある!

    「ローズさん、この館に電気屋さんっていますよねー?」
    「電気屋? 電気技師ならいるよ。」
    「その人に会いたいんですけど、どこにいますかー?」
    「仕事場は地下だね。」
    「そこ、危険ですよねー? 行けると思いますかー?」
    「行ってどうするんだい? 敵だったら殺しにかかってくるよ。」
    「あっ!!! そうか! それはしまった・・・。
     私、その人に話が訊きたいんですがー・・・。」
    「だったら食堂で待つしかないね。 で、どいつに会いたいんだい?」
    「あっっっ・・・・・、何人いるんですかー? 電気技師さんってー。」
    「んーーー、5人? 6人?」

    やっぱ、この館すげえ、とアッシュは思った。
    普通なら、館の管理に何人もの技師はいらないはず。
    この館は電気制御されているのだ。

    「ここ、地下何階ですかー?」
    「さあね。」
    「あなたは一緒に考えてはくれないんですよねえー?」
    「あたしは護衛だからね。」
    あー、私の知能じゃ限界があるー!!!
    アッシュは自分が理系じゃなかった事を、激しく後悔した。

    いや、ローズとの会話は端々にヒントが隠れている。
    それを積み重ねれば、真実が見えてくるはず。
    やっぱりこまめな質問は必要だ。
    詐欺系の名にかけて! って、違うわ!

    脳内ひとりボケ突っ込みに、アッシュは微笑し
    それをローズはまだ慣れていないのか、目をそらした。

    「じゃ、行きましょうかー?」
    アッシュがそう声を掛けると、ローズは嬉しそうに応えた。
    「おっ、やっと出陣かい、どこにだい?」
    「だーかーらー、地下にですってばー。」
    ヘラヘラ言うアッシュに、ローズは軽蔑の目を向けた。
    「地下は関係者以外、立ち入り禁止だよ。」
    「えっっっ!」

    そりゃそうだよな、言わば館の要によそ者を出入りさせるわけがない。
    だけどこれで、地下に電気系統の何かがあるのは確実。
    5~6人の技師・・・、24時間体制であろう。

    アッシュはまたローズの顔を見つめた。
    ローズに自分の思惑を言うべきか言わざるべきか。
    たとえ何も助言を貰えなくても、“同意” は必要なんじゃないのか?
    義務での護衛より、自分に感情移入をしてもらった方が
    後々やりやすいのではないだろうか?

    でも、ローズからこっちの情報が漏れたら・・・?
    アッシュは両こめかみを指で押さえながら、うなった。

    いや、どうせ主側が有利なのは変わらない。
    だったらローズの “肩入れ” に期待する方が、可能性がある。
    意を決したアッシュは、ローズの目を見据えて訊いた。

    「あなたには私の情報を誰かに伝える役目もあるんですかー?」
    アッシュの真剣な目に、ローズはとまどった。
    「そういう役目はない。 あくまで護衛なんだ。」
    「攻略に関するヒントもくれない代わりに
     周囲にも私の事を何も言わない、という事ですかー?」
    「そうだよ。 そんなコウモリのような事はしないよ。」
    「わかりました。 信じます。 来てください。」

    アッシュはローズを促し、自分の部屋に戻った。
    部屋の中央に立ったアッシュは、振り返ってローズに語り始めた。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた  8 09.9.15
          ジャンル・やかた 10 09.9.24

  • ジャンル・やかた 8

    アッシュはパソコンと格闘していた。
    スレイプニールまでは期待していなかったけど
    インターネットエクスプローラーってのがない!!! 何で???

    こんな時は、スタートから・・・で、どこだっけ
    英語だからよくわからーーーーーーーーーん!!!
    確かここを見れば、ソフト?とかあるはず。
    一番下の緑の矢印のところをクリックした。

    eマークは全世界共通だよね?
    あ、あった、クリッククリックーーーと。
    ウィンドウが開くも、何かが書いてあるだけのページしかない。
    こっからヤフーとか、どう開くんだろ?

    アウトルックは?
    スタートから、プログラムで・・・・・
    あ、あった、クリッククリックーーーと。
    ウィンドウが開くも、これまた白紙のページ。
    メールは1通もなく、送受信も利いてないようだ。

    えーとえーとと言う事はーーーーーー
    モデムとか言う箱! 何か、ないような気がするーーーーーーー
    これはインターネッツには繋がっていないという事ですかーーーーーー?
    ええっ? じゃあ、このパソコン、単なるワープロ?
    何てこったい!

    あっっっ、じゃあ、携帯のネットは?
    ーーーーーーーーーーー 圏外だから繋がるわけがねーーーーーーっ!
    電話! 電話は? 電話のモジュラー何たらはあるんか?

    パソコンから出ているコードを辿って行くと
    壁にあったのは、差込口が2個の普通のコンセントだけであった。
    電話をつける余地すらない作りなんだ・・・。
    じゃあ、ここの住人は電話は使わないんか?

    アッシュはローズの部屋に駆け込んだ。
    「あんたねえ、ノックぐらいしなよ。」
    ごく当然の激怒をするローズに、アッシュは
    ほんとすいませんほんとすいません、とペコペコする。

    「で、今度は何だい?」
    「電話はどっかにありますかー?」
    「あるけど、あんたは掛けられないよ。」
    「携帯電話って知ってますかー?」
    「知ってるよ! 持ってるヤツもいるけど、私には必要ないね。
     ここら一体は圏外だろ、持ってても意味ないからね。」
    「電話、私は何故掛けられないんですかー?」
    「・・・あんたの話は前後するねえ。
     あんたが外に話を漏らすと困るからだろ。」
    「じゃなくてー、えーと、ここの電話は相手先に直通なんですかー?
     それとも交換手がいるんですかー?」
    「交換手・・・? うーん、聞いた事がないねえ。
     でも掛けたら相手にすぐ繋がるよ。」

    うーん、よくわからない。
    自分の疑問もよくわからない。
    何を考えてたんだっけ?
    にしても、走ったからゼイゼイだわ、あっつい。 あれ?

    「・・・・・・今、3月ですよねえー?
     ここらへんの気候って、今ぐらいはもう暖かいんですかー?」
    「いや、4月半ばまではまだまだ冷えるねえ。
     丘の方は雪も残ってるよ、ここいらは寒い地方なんだ。」
    「でも、あったかいですよねえー?」
    「セントラルエアコンとかいうやつだからね。
     1年中適温に設定されてて、館内は快適だよ。」

    そうなんだ!
    この館は外見は古いけど、中は最新設備が整ってるんだ!
    「ローズさん、“指示” って言ってましたけど
     それってどうやって受けるんですかー?
     上の人みたいなんとは、どうやって連絡を取るんですかー?」
    「ああ、そこの内部専用電話でだよ。
     あんたの部屋は、相続者専用だからないだろうけどね。」

    ローズが指を差した方を見ると、ファックス付き電話機が置いてあった。
    どうやら他の住人の部屋にも、これで電話を出来るようだ。
    館内には、外部に繋がる電話機自体がないのかも知れない。

    改めて部屋を見回すと、ローズの部屋は寝室が別になっている。
    このリビングには、TVに冷蔵庫、電子レンジも置いてある。
    ドアの真上を見ると、ブレーカーが4個並んでいた。
    見取り図はない代わりに、空調パネルがある。

    アッシュは窓に駆け寄り、向かいの建物の屋上を見上げた。
    アンテナなどは見当たらない。

    廊下に出て、窓の外を見る。
    こっちは裏側のようで、草原が広がっていて
    見える範囲の正面奥と左手に丘陵地帯、正面の丘の向こうは山
    右手範囲は森が続いていて、その先は開けているようだが見えない。

    食堂に駆け込み、窓を開けて上下左右を見回す。
    右側は他の住人の部屋が並んでいるんで確認が出来ない。
    だからここで出来る限り見ないと。
    アッシュは身を乗り出して、右手側を覗き込んだ。

    「おいおい、危ないよ、お嬢ちゃん。」
    じいさんがオロオロして、アッシュのジーンズのベルトを握る。
    アッシュが遠くに見たのは、鉄塔だった。
    ダメだ、こっちからでは見えない。

    じゃあ、真下だ!
    「ごめんねー、ありがとうーーー。」
    と、じいさんに叫びながら、アッシュは食堂を飛び出して行った。
    じいさんは、あうあう言いながら、アッシュの背中を見送った。

    真下、つまり東西南北を書いていない見取り図で言うフロアの南
    居住区のその部分に来たアッシュは、激しく動揺していた。
    ここに部屋はなく、壁もまたなく、あったのは手摺りである。

    見下ろすと、昨日入って来た玄関ホールがある。
    そのホールをはさんで真向かいには、また別の建物が続いていた。
    ここまで大きい建物だったとは・・・。
    アッシュは愕然とした。

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 7 09.9.10
          ジャンル・やかた 9 09.9.16

  • 検索ちゃん

    ちょい前に大騒ぎしていた、TVデビュー
    録画して貰ったのを観た。

    この番組、関西では放送していないんだけど
    以前に観た覚えがあるんだよ。
    最初は関西でも放送してたんじゃないんか?
    それも8chの夜11時ぐらいから。
    なーんか、そういう記憶があるんだよなあ。

    で、肝心のこのブログの記念すべきTVデビュー
     ↓ 5秒もない、この一瞬だった。

    えれえ観にくい画面ですまんけど
    PC画面の撮影は、私には無謀だった、っちゅう事でひとつ何とぞー。

    ボーッと観てて、あまりにもボーッと観すぎてて
    ついついブログの事を忘れて、最後まで観て
    終わった後に、あれっ? と
    私は何でこの番組を観てたんだっけ? と。

    もう、ほんと相変わらずの忘却っぷりで
    最初から探し直して、ストップして携帯で撮ったぜ。
    この番組、面白いよな。
    関西はメイド刑事をやっとる場合じゃないぞ。

    なお、この録画が観たい人は
    ぷらちッに言えば送ってくれるそうです。

    にしても、この一瞬、なくても良いんじゃないのか?
    今回のシャンプーの話、私の記事とまったく関係ない気がするんだが
    何でこの記事を映そうと思ったんだか
    この一瞬のために、わざわざメールで了解を取って
    しかも私にわけわからん返事をされて
    番組制作って大変なんだな、と思った。

    ちなみに、“モテるシャンプー” とは
    イタリア人男性のフェロモン入りだと。

    匂い、やめといた方が良いぞーーー。
    良い匂いと臭い、紙一重だぞーーー。

    たとえば、オリエンタル系って一歩間違うと線香臭くなるじゃん
    それが歳を取ると、更に振り幅がデカくなって
    いまや、ヘタなローズの匂いのボディミルクなんか付けると
    老人臭のごとき酸っぱい匂いが漂うようになってきてよー。
    もう、薔薇の貴婦人と自称するには、ほど遠くなっちゃったぜ。

    あれって、何の匂いが悪さしてるんだろうなあ。
    自分の皮膚に付くと変化する香りがあるんだよな。
    とにかく年齢とともに、NG香りが増えてくるんだ。

    と、ここまで悪態ついておいて今更だが
    フェロモンって匂いじゃない、って聞いた事がある。
    フェロモンには匂いなどないんだと。

    調べてみたけど、よくわからんだった。
    ほんと、ここまで言っといて投げ出してすまんこったが
    シャンプーとか香水とか、必ず他人に感想を確認しながら使うようにな
    という逃げのまとめで良いか?

    ちゅーか、次の放送、稲川順二の恐い話だったんじゃん!
    ちょ、そっちの方が私の専門 ( ← ? ) じゃーん!
    ホラー、心霊、私に語らせてくれよーーー!!!
    あああああああああああああああああああああ、観たかったーーー!

  • 麺のコシ

    何をどう勘違いされとんのか
    周囲からは、“味にうるさいヤツ” だと思われてる私だが
    これはある意味、当たっている。

    味にうるさい = グルメ ではないからだ。
    単に自分の好みがはっきりしているだけだ。

    そんな私が今回カミングアウトするのは、麺のコシ。
    麺と言っても、色々な種類があるが
    偏食の私でも、嫌いな麺類は不思議とない。
    問題は、麺のコシなのだ。

    こっから真っ当な事を言い連ねると思ったら、大間違い。
    上に “カミングアウト” と書いとろうが。
    案の定、ロクでもねえ好み披露なんだよっ。

    まず、スパゲティとそうめんとラーメン、これは固めが好き。
    インスタントラーメンなど、バキボキレベルが望ましい。
    逆にうどんとソバは、柔らかめ希望。

    そして私が普通と違う好みなのは
    麺 に コ シ が あ っ た ら イ ヤ なのだ。
    中でもうどんとソバは、箸で引っ張るとブチブチ切れるような麺が良い。

    これを言うと、ほぼ全員が驚く。
    特に関西はうどん好きが多いらしく
    それもコシの強い讃岐うどんを好んで食べるので
    私のこの邪道麺は、絶対に理解されない。

    TVでイタリアの女優がスパゲティを食ってて
    「美味しいけど、これはアルデンテではない」
    と、やたら厳しい事を言っていたけど、ものすごく共感できた。
    ただし主張の内容は正反対だけどな。

    コシのある麺も美味しいけど、食いにくいのである。
    たとえば、ソバはあまり噛まずにツルツル飲む
    とか言うのが、正式な食い方らしいが
    ほんとすいません、それは出来ません、と土下座したい。
    麺もとことん噛み砕かないと、飲み込めない。

    コシがある麺は、噛み砕きがとても面倒くさい。
    これが寿司とか刺身のイカやタコなら
    おかずの一部で量が少ないので、まだ根気も続くけど
    麺は主食だろ、主食が粉砕しづらいと辛くねえかあ?

    だからコシのある麺は、途中で食うのに疲れて残してしまう。
    もしかして、“コシ麺ダイエット” とか
    成り立つんじゃないか、とすら思う。

    さて、コシのある麺が苦手な理由を、とうとうと述べたが
    本当の原因は、実はそういう事ではないと思う。

    真実は、育ちにあるような気がする。
    山奥のド田舎で、場所的にも時代的にも
    良い物が入手できない環境に育ったので
    “本物” に触れる機会が少なかった、という事であろう。

    そして昔から知ってて、慣れ親しんでいるものは
    途中で方向修正が利きにくいんだと思う。

    和食は幸いにも母親が料理好きだったので
    何とか平均的な味覚を持てたけど
    その母親も、うどんをこねてまでは作らなかったので
    パウチに入ったインスタントものが、私の世界のうどんなのだ。

    安物食いだとしょっちゅう嘆かれたが
    私の成長過程で、どう本場の味を知れというのか
    そんなに言うのなら、幼児期に美味いメロンを毎日食わせとけ。
    夏場の楽しみなおやつだったスイカには小躍りするけど
    よく知らんメロンには、人見知りして心が動かないんだよっ。

    味覚の傾向は3歳だか5歳だかで決まる、とか聞いたけど
    それは結構正しいような気がする。
    大人にならないと理解できない味があるように
    子供の頃の記憶に支配される味もあるという事だ。

    あの添加物バリバリの駄菓子が忘れられないぜ。

  • ジャンル・やかた 7

    両手で顔を覆ったままのアッシュの肩が、ブルブル震え始めた。
    無理ないよね、肉親の死の詳細を聞かされたんだから。
    ローズは黙って見守ろうと、紅茶をひと口飲んだ。

    「ふ・・・ふ・・・」
    アッシュの口から、嗚咽が漏れ始める。
    泣くだけ泣きゃ良いさ、とローズが言おうとした瞬間
    「ぶぅわっはっはっはっは」
    と、アッシュが大笑いをし始めた。

    目を丸くして固まるローズに、アッシュが爆笑しながら話す。
    「すっ、すいま・・・あーっはっはっはっは
     わら・・・ちゃいけ・・・ない・・・はははははは
     思う・・・けど・・・・、あはははははは」

    かなりの時間ソファーの上で、腹を抱えてのたうち回った後
    アッシュがちょっと落ち着いて続ける。
    「だって、この状況って簡単に殺されるわけでしょうー?
     それを・・・わざわざ何でそんな意外な死に方・・・ブブッ を
     しかもよりによって、何でそんな ハハハハ それ以上ないぐらい
     情けな・・・ アーーーーーーーーッハッハッハッハ」

    再びアッシュは爆笑し始め、意図を理解したローズもつられて笑う。
    「だよねえ? あたし、絶対口にしなかったんだけど
     情けないよねえ? あーーーーーーっはっはっはっはっは」
    「不謹慎だけど・・・あははははははは、ありえねえーーーーっ」

    ふたりで、ひとしきり大笑いした後、食欲が出たのか
    アッシュは、あー腹痛え、と言いつつ、涙を拭きながら
    卵サンドをモソモソ頬張った。

    トレイの上の食料を平らげた後、ローズが切り出した。
    「で、あんたこれから何をするんだい?」
    「あ、ひとつ質問があるんですがー。」
    「また質問かい? あたしゃ武闘派なんだよ。
     あれこれ喋るヒマがあったら、とっとと動きたいねえ。」

    「ローズさん、気持ちはわかるんで、ほんと申し訳ないんですけどー
     私はわかってて来た人たちより、状況的に厳しいと思うんですー。
     死なないための、最低限の情報が欲しいんですー。」
    「まあ、そうだろうね。
     わかったよ、知ってる事は答えると言ったし、何だい?」

    「敵と味方と中立の人の見分け方は何ですかー?」
    「ああ、それは私にもわからない。
     志願もあるけど、主の指示で決まるようだね。」
    「途中で役目が変わる事はあるんですかー?」
    「さあ? よくわからないね。
     ただ住居区では、敵も味方も普通に応対する決まりだよ。」
    「あっ、ここ3階ですよねー? 他の階は何があるんですかー?
     見取り図ありますかー?」
    「ごめん、正直に言うけど、それは言っちゃいけないんだ。」

    あー、やっぱダンジョン攻略のカギはマップだよな。
    ローズは掃除係、館内のつくりが頭に入っていないわけがない。
    逆に言えば、ローズ攻略が出来るかがカギ、って事か?
    アッシュは考え込んだ。

    「ローズさん、もし万が一私が主に会えたとして
     その時のあなたのメリットって何なんですかー?」
    「館内での地位が上がるらしいんだ。」
    「らしいー? 噂ですかー?」
    「あたしがここに来てから、主に会えたヤツがいないからさあ。」
    「え? 今までに相続者って何人ぐらい見ましたー?」
    「えーと、記憶にあるのは・・・、護衛をした時だけだねえ
     他はよくわかんないねえ、関わってない時も多かったからねえ。」
    「去年は何人来ましたー?」
    「3人? 4人? 本当にわかんないよ。
     去年は1度しか参加してないしさ。」

    「ローズさん、ここに来て何年ですかー?」
    「うーん、あたしが来たのは何歳の時だったかねえ?
     子供の頃の記憶はないんだよ。」
    「子供の頃・・・ですかー・・・。」

    こ・・・これは思ってたよりも遥かに難関な気がする!
    と、アッシュは青ざめた。
    何も知らない自分には、攻略はほぼ不可能だとしか思えない。

    「敵味方、平均何人ですかー?」
    「あのさ、そういうのは知らされていないんだ。
     味方は私ひとりだと思って良い。 多分、他にはいないはず。
     ただ敵は、あんたを居住区以外で見かけたら、殺しに来る。
     私を狙うんじゃなく、あんたを狙うんだ。
     それだけは頭に入れときな。」

    ダメだ、私には無理すぎる。
    アッシュはそう確信したが、諦めを口にするのは
    このたったひとりの味方すら失う事になる。
    何とか表面だけでも取り繕わねば、半年の寿命が分単位になってしまう。

    寿命・・・、最長半年の寿命って、言われると結構キツいな・・・。
    アッシュは引きつりながらも、笑みを浮かべた。
    その姿は、ローズには余裕の表われに見えた。

    「わかりましたー。
     ちょっと調べ物をしますので、また何かあったら訊きに来ますー。
     動くのは、早くても明日以降になると思いますので
     もう少し待っててくださいねー。」
    立ち上がるアッシュに、ローズは頼もしさすら感じたのは
    アッシュの無表情さと、場にそぐわない笑みのせいであろう。

    アッシュは無言で、ローズのトレイも一緒に持って部屋を出た。
    食堂までの廊下を、視点を真っ直ぐに保ち
    目の端だけでカメラの存在を確認していく。

    カメラはひと部屋おきに、方向を逆に左右に1台ずつ設置してある。
    食堂のカメラは確認できるだけでも6台、厨房にもあるだろう。

    カウンターのトレイ返却場にトレイを置いたあと
    食事をしている数人をチラッと見た。
    成人の男女で、全員が労働者風である。

    「あっっっ!」
    アッシュの大声で、食事をしている者全員がビクッとした。
    厨房にいる中年女性に向かって、アッシュが訊ねた。
    「すいませーん、ここ、ご飯出ないんですかあー?」
    「ご飯?」
    「お米ですー。 ライスー、パンじゃなくライスー。」
    「ああ、米ならサラダでたまに出すよ。」
    「ダメです! それは本来の食べ方じゃない!
     お米は主食なんですよー。 私、ないと、ほんと辛いんですー。
     お米、パンと別個に出してくださいーーー!」

    アッシュの勢いに押され、女性が当たり障りなく終わらせようとする。
    「あ・・・ああ、じゃあ訊いとくよ。」
    「絶対ですよー? プロミスですからねーーー。」
    アッシュが小指を立てながら食堂を出て行った後
    しばらくあたりは静寂に包まれた。

    誰からともなく、口を開く。
    「よくわからんが・・・。」
    「何となく不気味だね・・・。」

    続く。

    関連記事: ジャンル・やかた 6 09.9.9
          ジャンル・やかた 8 09.9.15

  • ジャンル・やかた 6

    アッシュはベッドの上で、ボーッとしていた。
    夕べ、あまり眠れなかったのである。

    いくら愚鈍なアッシュでも、ただでさえ不眠気味のとこに
    人が首を斬られて倒れーの、ケイレンしーの
    血ぃ噴き出しーの、その血が掛かりーの
    自分が他人を滅多打ちしーのしたら
    その音と感触が残り、グッスリ安眠など出来はしない。
    殺される前に気が狂うかも・・・と、ひどくネガティブ思考になっていた。

    こういう時は、とりあえず風呂である。
    その後、コーヒーでも飲みに行こう。
    能天気な顔で。

    そう言えば・・・
    バスタオルを干しながら思った。
    ここは安全だと言うけれど、このゲームの期限はあるんだろうか?
    食って寝て食って寝て、で良いなら
    ここってほんと、引きこもりには天国じゃん。

    あっ、ダメだーーー、ゲーム機がない!
    あ、でも、ネットなら通販可能じゃん。
    てか、ここの住人、収入どうしてんの?

    「ん? 皆、仕事を持ってるよ。
     相続者は別だけど、一応ここには家賃っちゅうもんがあるんだよ。
     私は今回の守護者だから休暇を取ってるけど、本来は掃除担当なんだ。」
    ローズがドアにもたれかかって答えた。

    ほほお、じゃ、あなたが休んでいるから
    この館はこんなに汚いんですねー?
    と、茶化したら、ローズは怒り出した。

    「掃除人は私だけじゃないよ!
     だけど、そこらのガラクタはしょうがないんだよ。
     何百年にも渡って、人が出入りする度に物が増えてさ。
     特別な指示もないから、皆、放っているのさ。」

    じゃあ、ここの主は家賃収入でやっていってるんだ?
    でも管理は行き届いてないよね。
    ・・・・・・管理?

    アッシュはうつむいたまま、目だけを動かした。
    あった、カメラ。
    廊下にはあるけど、部屋には?

    「すいませんー、ローズさん、部屋を覗いて良いですかー?」
    「ん? ああ、構わないよ、入りな。」
    ローズの部屋は、キレイに片付いていた。
    窓にはレースの白いカーテン、テーブルの上には毛糸のカゴ
    ソファーは、赤いギンガムチェックのカバーが掛けられ
    クッションは色違いの黄色いチェックである。
    メ・・・メルヘン!!!

    この鎌ババアなら、頭蓋骨にロウソクを立てても不思議じゃないのに!
    と、心の底から驚愕しているアッシュの横で
    「どうだい、可愛い部屋だろ?」
    と、鎌ババアが大威張りで鼻を鳴らした。

    「はいー、すごいキレイですねえー。」
    と、棒読みで答えつつ、天井の四隅を見るがカメラはない。

    「か・・・ローズさん、廊下に監視カメラがありますよねー?
     部屋にはないんですかー?」
    「あんた、今 “か” って言ったろ?」
    「ほんと、すいませんー、もう言いませんー。 ほんと失礼しましたー。」
    上体を90度に下げるアッシュに、ローズは困惑した。
    「まあ、良いけど、カメラが何だって?
     そんなの個人の部屋にあるわけないじゃないか。」

    「じゃ、廊下のは監視用ですよねー? 誰が見ているんですかー?」
    「さあ、聞いた事ないねえ。」
    「じゃ、もうひとつー、兄はどのぐらいの期間、ここにいましたかー?」
    「えーと、数ヶ月・・・? 半年はいなかったねえ。」
    「その前の人はー?」
    「担当外だったから、覚えてないねえ。」

    話が進まない、と感じたアッシュは腹をくくった。
    「てゆーか、直に訊きますけどー、私の立場って期限はあるんですかー?」
    「さあ? わかんないねえ。」
    「たとえばですよー、私がここで部屋と食堂の往復で
     一生を過ごす事は可能ですかー?」

    「ああーーー、なるほど、質問の意味がわかったよ。
     だけど、そういう例はないからねえ。
     ここに来るヤツは目的を持って来てるんだよ。
     だから今までにそんな事をしたヤツは聞いた事がない。
     大抵が、数週間単位でカタが付いてるんじゃないかねえ。
     グレーの時に、“長すぎる” と感じたからね。
     でも、あんたをタダで養うほど、主は甘くないと思うよ。」
    「その目的とは、ここの相続ですよねー?
     それは、ここの管理権を貰うって事ですよねー?」
    「さあ、そうなるんかねえ?」

    ああ・・・さっぱりわからない。
    アッシュはこめかみに人差し指を当ててうなった。
    とりあえず、半年ぐらいはいられるんだ。
    多分やる気を見せないとダメっぽいけど。

    でも何か引っ掛かってる、何か見逃している、それが何かがわからない。
    ドアの前でうなるアッシュの横で、ローズは困っていた。
    自分の役目はアッシュを助ける事だが
    アッシュの質問が、自分が役立つ範ちゅうじゃないのだ。
    何を知りたいのかすら、伝わってこない。

    「ねえ、食堂に行かないかい? あたしゃ昼飯がまだなんだよ。」
    ああ、飯ね、と思いつつ、不機嫌そうについて来るアッシュ。
    この兄妹はほんとやりにくいね、ローズは疲れ果てていた。

    「ここのこれが美味いんだよ。」
    カウンターでチキンサンドを勧めるローズに、アッシュは言い捨てた。
    「私、鶏肉嫌いなんですー。 前世が鳥だったのかもー。」
    「・・・?・・・」
    混乱するローズの顔を、気の毒そうにチラ見するウェイトレス。

    「あ、そう、そうかい。 だったら他のを食べな。
     チキン以外も美味いよ。」
    「チキンー?」
    「うん、チキンカツ。」
    「あっっっ!!!!!!」

    その場にいた、ひとり残らずがビクッとした。
    そう! これだったんだよ、引っ掛かってたのは!!!
    周囲の動揺など目に入らず、ガッツポーズをするアッシュ。
    ウェイトレスが視線でローズに 「何?」 と訊き
    ローズは肩をすくめて首を横に振ったその時、アッシュが叫んだ。
    「ローズさん、チキンサンドお持ち帰りして、部屋で食べましょうー!
     あ、私コーヒーと卵サンドでいきますー。」

    問答無用でローズの部屋に取って返したアッシュは
    テーブルにトレイを置くなり、まくしたてた。
    「一番の疑問はこれだったんですー!」
    アッシュはローズのトレイのチキンサンドを指差した。

    「そう! あの歯医者さえビビって行かないチキンな兄が
     何故このようなデスゲームに参加したのか、って疑問ですー!」
    やれやれ、実の兄を言いたい放題だね、ローズは気が抜ける思いだった。
    「このゲームには、どんなメリットがあるんですかー?」
    「ゲームじゃないんだけど・・・、ここの相続だろ?」
    「本当にそれだけなんですかー?」
    「あたしはそれしか知らない。」

    「そう・・・ですかー・・・。
     じゃあ、兄はここでどんな事をしてたんですかー?」
    この質問で、ローズのどっかのスイッチが入った。

    「グレーは、あんたの兄ちゃんはそりゃもう人使いが荒くてね。
     しかも自分じゃ何もしないんだ。
     あたしの役目がそれだから、まあしょうがないけど
     あれしろこれしろうるさくて、自分じゃ一度も戦った事すらない。
     あげくが、『自分が動くのはバカげている
     人に指図して動かすのが一番だ』 などと、のうのうと言って
     ほんと仕えている人間にとってはイヤなヤツだったよ!
     それに一日の感覚がおかしいんだよ。
     明け方まで酒を飲んで、朝方から寝て夕方起きてきて
     チョロチョロしたかと思えば、また酒を飲み始める。」

    ああーーー、そういうヤツでしたー。
    アッシュは何度も何度も深く頷きながら聞いていた。
    「で、兄はどうなったんですかー? 殺されたんですかー?」
    「あたしが付いてて、そんな事させるもんか!
     グレーはね、深酒しすぎて、起きた時に酔いが醒めてなくて
     そこの階段から転げ落ちて、頭を打って死んだんだよ!」

    ああ・・・何て悲しい最後だったの、お兄ちゃん・・・
    アッシュは思わず、両手で顔を覆った。

    「それで・・・兄の遺体はどこに・・・?」
    「この館の敷地内の墓地に眠っているよ。」
    「あ・・・、一応埋葬はされたんですか・・・?」
    「当たり前だよ! 死人は皆墓地に葬るもんだよ。」

    「・・・まあ・・・、それは何より・・・。」
    そう応えはしたが、兄のあまりの死に様に
    やはりかなりのショックを受けているようだ。

    関連記事: ジャンル・やかた 5 09.7.15
          ジャンル・やかた 7 09.9.10

  • 味付け

    自分で料理をしていると、どんどん薄味になってくる。
    それは、ビビるからである。

    アホウなので、昔は調味料の意味がわからず
    「みりんー? 省いてもいいだろ」 とか、やってたのだが
    どうも敗因はそこにあるんじゃないか、と考えて
    真面目にきちんとすると、きちんとした味に仕上がる事に気付いた。

    どうした薄らバカか、と思われそうな事を正直に書くが
    煮物をダシとしょうゆだけで作ろうとすると
    汁が茶色くなるまで、しょうゆを入れないと味がない。
    しかし、そうすると、とてつもなく辛い。
    そこに軽視していた料理酒やみりんを入れると
    しょうゆが少なくても、しっかりした味になるのだ。

    もう、なりふり構わず言い訳させてもらいたいが
    育ちが悪いもんで (まず、親のせいに、と。)
    マイクッキングは、ほぼ独学だったんだよ。
    そんで私の事だから、そこに “独創” っちゅうのが入るわけで
    こんなんでも、普通に近い味を出してた私、ちょっと凄いぐらいだぜー。

    何はともあれ、そういう料理の基本中の基本に気付いたら
    気になってくるのが調味料の量である。
    煮汁がこげ茶色になるまでしょうゆを入れてたヤツが何を言う、って話だが
    料理本通りの調味料は、ものすげえ大量なのだ。

    そこで思い出したのが、まだ私が女性だった頃
    (女性でなければ今は何なんだ? と問われるかも知れんが答えたくない)
    ケーキやクッキーを作った事もあったんだ。

    バカ女っちゅうのは、我が飯もよお作れんくせに
    洋菓子作成などに手を付け、ラブリーな自分を演出したがるものだが
    その例に漏れず、私も料理の前に菓子作りを体験してしもうた。
    ただし、作った菓子は全部ひとりで食ったあたりに
    こんにちのわたくしの片鱗が垣間見える。

    その時はさすがに本を睨み、レシピ通りにやったのだが
    ケーキやクッキーに使う砂糖とバターの量が、ものすげえんだよ。
    この通りに作ったら、油砂糖の塊になるんじゃないか、とビビったが
    かあちゃんが 「そんなものよ」 と、あっさり言うので
    そんなものかい、とマニュアルに従って作ったさ。
    出来た菓子類は、普通に売られているケーキと同じような味だった。
    と言う事は、菓子系は油砂糖で決定だよな。 恐ろしやー。

    菓子作りをさっさと止めたのは、あの手間を掛けるなら
    菓子屋で買った方が、早くて安上がりだと悟ったからである。
    菓子の材料、むっちゃ高いんだ。
    出来る味も、手作りも菓子屋のも変わらんなら
    菓子作りは定年オヤジのソバ打ちと同列に考えて良くねえか?
    うん、美味いけどわざわざ手間ヒマ掛けるようなもんでも・・・って感じ。

    そういや、飯屋や惣菜なんかも、しっかりした味だが
    あれもどんだけ調味料を入れてるんやら。
    確かに濃い味の方が美味いんだよなー。
    でも、飯屋の裏方事情は知りたくない。

    とにかく歳も歳だし、塩分糖分油分は控えめぐらいで良いだろう
    と、また勝手な差し引きをするので、割に不味い出来上がりになるんだが
    そこで気になるのが、自分の腕は棚に上げておいて、素材の不味さである。
    (何事もまず、自分以外のもののせいにせんとな。)

    肉は外国臭えし、野菜は薬品臭い。
    むちゃくちゃ言っとるが、安物はほんと妙な味がするんだ。
    食ってて体に悪そう、みたいな
    こんなんなら栄養はサプリに頼ったが、まだマシ、みたいな。

    材料を全部、厳選して買えるのなら良いのだが
    それは私の財布が許してくれない。
    最近つくづく思うが、エコだのナチュラルだの実践できるヤツは
    そんだけ金庫にも心にも生活にも余裕がある、って事で
    つまり、貧乏人は病気覚悟の濃い味でいけ、ってこった。

    まあ、そういう 「何もかも貧乏が悪いんだ」 と
    死体の横で包丁を持って叫んでいるような
    人を殺しといて何を言う、ハナからおめえが悪いに決まっとろうが
    みたいなグチはどうでも良いがな。

  • ソーマブリンガー マルチプレイ

    今回は、マルチプレイのメリットを詳しく説明しようと思う。

    マルチプレイは、訓練用ステージのact0を終えたキャラなら
    いつでもどこからでも出来る。

    ひとつだけ条件があって、遅い進行度のプレイヤーをリーダーにする事。
    この判定は、どうもイベント通過のようである。
    ところどころにある会話イベント、これ。

    リーダーより先に進んでいる場合は
    もう一度同じところをプレイしなければならない。
    たとえば、自分がマスターのact5の3まで進んでいても
    リーダーがエキスパートのact2の5までしか行っていないのなら
    それに合わせて、エキスパートでしか遊べないのである。

    マルチプレイの縛りはこれだけ。
    私はLV99マックスになると、経験値取得の意味がなくなり
    バトルの楽しみが半減するので
    同じところを同じキャラで何度もするのはイヤだけど
    考えようによっては、死んでも経験値が減らないので
    これは縛りとは言えないかも知れない。

    ソーマブリンガーの死のデメリットは、経験値が少々減る事と
    死んだら街に戻らなきゃならないので
    死んだ場所までかなり距離がある場合がある、面倒くささである。

    死んだ場所には自分の墓ができ
    その墓を回収しないと、経験値がゴッと減る。
    墓を回収しても、経験値はちょっと減っている。
    最高LVに上げた蘇生呪文だと、「経験値の8割を回収できる」 ので
    墓回収では、少なくとも2割以上の経験値を失うのであろう。
    この計算は攻略本に載ってるけど、複雑っぽく理解できていない。

    経験値のデメリットは、蘇生呪文を持つキャラが仲間なら少々お得だし
    死んでダンジョンに戻ってくる面倒さは
    生き残った仲間にゲートを置いてもらう事でなくなる。

    自分が出したゲートは、1往復したら消滅するけど
    仲間が置いたゲートは、何度使用しても消えないのである。
    もうこれだけで、マルチプレイの方が何ぼもラクだよな。

    プレイ時間についても、書いておくが
    最初の1周だけは、どんなストーリーなのか
    イベントを全部見ておく必要がある。
    いや、見ないなら見ないでも良いんだが。

    このイベント、会話主体なんだが、これが長い長い。
    もうおめえら口を利くな! と怒りたくなるほどダラダラと会話が続く。
    1周きちんとプレイしたとしたら
    イベントが6割ぐらいの時間を占めてると思う。
    それを設定でスキップ出来るのである。

    イベントスキップしたら、1周2時間ぐらいで終わると思う。
    良いアイテムはマスター周回で出るので
    LV上がりストップ防止のためにも
    ノーマルとエキスパートは敵を避けてクリアし
    LV50台でマスターを開始し、全敵撃破でじっくりとプレイし
    エキストラダンジョンもマスターのをプレイするのがお勧め。

    これをすると、1キャラ5時間ぐらいで
    ゲームが終わるような気がするけど
    ここらへんの時間の感覚は正確ではない。

    見逃せないメリットとしては、どうやらマルチプレイの方が
    宝箱や敵ドロップで、出るアイテムの量と質が良いらしい事。

    私の感覚としては、シングルプレイで完全クリアして
    ゲットした赤アイテムは、3割ぐらい。
    マルチプレイで完全クリアしたら、ほぼ全部の赤アイテムを入手できた。
    2人でマルチプレイだと、2.5倍ぐらい得になってる気がする。
    が、これもテキトーな感覚なので、定かではない。

    明確なメリットとか何より、ソーマブリンガーは
    シングルではクリアが厳しい職がある、というのが一番重要である。
    これはもちろんヘタレプレイでの話なんだが
    ソーマス、ガンナス、ダークスは、シングルではかなりの技術を要する。

    それでも私レベルでも、シングルクリア出来ない事はない程度だが
    突っ込んで突っ込んで、考えなしにいきたい
    タラタラ人の後ろに付いていって、テレテレ遊んでクリアしたい
    という野望があるのなら、マルチプレイじゃないと無理である。

    シングルプレイで付く仲間は、大まかな設定変更しか出来ず
    行動も結構融通が利かないので、やはり自分で道を切り開くしかない。
    その点マルチプレイだと、「私ここにいるから行ってきて」 と
    仲間を思う存分アゴでこき使えるわけだ。
    (ゲームの腕は上達しないし、人間関係も悪くなるのでほどほどにな。)

    マルチプレイをする上での鉄則としては
    どの口が言うか、と言われそうだが、“助け合い” は基本中の基本。
    それに加えて、アイテムを譲る、あげる、欲張らない
    そして何より大事なのが、“仲間を置いていかない” これ!!!

    ひ弱カンプスだろうがソーマスだろうが、敵を倒したいのである。
    仲間が先に行って、全敵をせん滅してしまったら
    自分は宝拾いだけしかする事がない。
    これはゴミ拾いゲームか? とすら思えてくる。

    同様に、足の遅いキャラも絶対に置いていかないようにする事。
    それも岩に引っ掛かったり、迷ってるフリをして
    ジグザクに迷走して、さりげなく一緒に走らないと
    相手にいらん気を遣わせる。
    それでたとえ相手に方向音痴のアホウか、と思われようが
    移動はとにかく、常に同じ画面にいるべきである。

    「あいつら殺ってきてー」 とかいう我がままは
    相手に頼る事になるので、いくら言っても良い。
    あまりにマップの端っこでボンヤリしていると
    「ちょっとは動け!」 と、怒られるが
    それでも自分ひとりで全部やるよりは、全然マシ。

    要するに、仲間が 「自分がいなくても良いんじゃないのか?」
    と感じる事だけは、絶対にしてはいけないのだ。
    人はそんな些細な事でこそ、不愉快な気分になるものだから。
    一緒に遊ぼうと思うのなら、相手の存在を常に意識するべき。

    ひとりで移動してひとりで敵を倒したければ
    シングルプレイをすれば良いのである。

    関連記事: 09.7.9 ソーマブリンガー
          09.8.13 ソーマブリンガー カンプス攻略
          09.8.24 ソーマブリンガー ソーマス攻略
          09.9.3 ソーマブリンガー ソーマス攻略 2

  • 座椅子

    地べたを這いずり回って生きている私の生活には、座椅子が欠かせない。
    洋風インテリアでも別に構わないのだが
    冷え性なので、冬はコタツがないとやっとられん。
    そんでクデ~~~ッとしたいので、座椅子必須。

    座椅子ってやつは、そんなに荒く扱っているはずはないのに
    買い替えサイクルが短い。

    生地が擦り切れてきたり、クッション部分がヘタってきたりが主だが
    一度リクライニングの歯車?が壊れたんか
    もたれかかった途端、後ろにバターーーッと倒れた事もあり
    その衝撃が心に刻まれ、ちょっと調子が悪くなったら
    買い替えを急ぐようになってしまった。

    ほら、歳を取ると、骨や関節、大事じゃん。
    座椅子倒れで脊髄骨折、とか同情の度合いに関わってくるだろ。
    あまり妙な原因は作らん方が良いと思うんだ。

    しかし、それにしても座椅子は満足できるものに当たらない。
    昔うちの実家には、廊下の隅に色んな種類の座椅子が積み上げてあり
    一体何のオブジェなのか、不思議に思っていたのだが
    あれは買って気に入らなかった座椅子たちを放置してたんだな。
    新品なんで捨てるに捨てられず、ってとこだろう。

    私もようやく、親のその気持ちがわかる年頃になったが
    そんなポンポンとチェンジ出来る身分じゃなく
    一発必中を狙わにゃならんので、買う時にしこたま吟味してるんだが
    家と店と何が違うんやら、部屋で座ると 「あれ?」 なんだよな。

    それでも買った物を使わないといかんので
    座布団やらクッションやら枕で調整してるんだけど
    固定できないので、いちいちセッティングが面倒くせえ。

    私の理想の座椅子は、邪魔にならない大きさのシンプルな形で
    ヘッドレストがついている事である。
    もちろん値段も安いもの。
    たったこれだけの希望が、何故叶えられないのか?

    特にヘッドレストがいかん!
    日本の家や物の基準は、身長何cm対象がデフォなんか?
    何かすべてが、低い小さいなんだよ。

    私は165cmと、別にデカい体型でもなく、座高も普通なのに
    座椅子の背もたれ部分が短すぎるんだ。
    車のシートは普通に座れるのに、何で座椅子だと途端に短くなるんだ?

    ヘッドレストが重要な理由は、首の骨が真っ直ぐで
    気を抜くと、頭部を前方に押し出しアゴが上がった体勢になってしまい
    それが肩凝りの原因になるのである。

    常に頭部を全部、垂直に体に乗せたいので
    無意識に座っている時には、ヘッドレストで支えてくれんかな、ってわけ。
    えらいだらしない望みだが、座椅子ってそういうヤツ専用の道具だろ。
    しつけが悪いから、正座して背筋を伸ばしてゲームはしきらんぞ。

    んで、ネットで座椅子を買った。
    店を見て回っても失敗続きだったんで、労力を惜しんだんだ。
    でも何日も調べまくって、良さげなんを見つけて
    サイズもちゃんとチェックして、と慎重にコトを進めたさ。

    そんで届いたその座椅子、やっぱり背もたれが短けえ。
    一体どういうこっちゃ? と、不思議だったが
    平らに近いぐらいに背もたれを倒して乗ってみて、わかった。

    問題は背もたれの長さではなく、尻下のクッションの厚みなんだよ。
    確かに床に直接座ると、背もたれも充分な長さがある。
    でも座椅子の座るべき場所に座ったら
    クッションの厚みの分、背もたれが足りないんだ。

    だったら尻部分がヘタれるまで待ちゃ良いし
    そうか、座椅子のサイズってそういう事だったんか
    と、新しい発見をした気分で、結果悪くない買い物だった。

    座椅子という大物、中ボスクラスの買い物をこなした事で
    結構な経験値が入って、私のネットショッピングもスキルアップしたかも。

    ただ注意点がひとつ。
    とにかく背もたれの長さで選び、しかも安物を買ったんで
    色々とその、製品開発にあたっての使い勝手の考慮は弱いようで
    いや、これは製品のせいじゃないんかも知れんが
    まあ、こういう事もあるかも、という話をするけど
    背もたれが長い = 背もたれ部分の重量も重い って事なんだな。

    座椅子にドカッと座ったら、後ろに倒れて
    その際にコタツを蹴り上げてしまった。

    リモコンやらティッシュの箱やらは
    いくらでも飛んで飛んで回って回ってくれていいけど
    置いてあったコーヒーとアイス玄米茶と水も、宙に浮いたさ
    テーブルの上が、えらい事になっとったさ
    当然、ヘビースモーカー用灰皿もお供したさ
    ちょっと涙目になったのは、スネの痛みのせいだけじゃないさ
    何となくその日から節煙し始めたさ。

    ラクあれば、絶対に必ずもれなく苦あり!